14 / 84
12話 ギルド
しおりを挟む
「すいません。身分証明書の発行がしたいんですけど」
「身分証明書の発行ですね。街に住んでる人であれば雑貨ギルドで街人登録が可能ですよ?」
「僕、街の人じゃないんです。出来れば外で魔物討伐もしたいので、身分証明書の発行をお願いします」
「はぁ…それは可能ですが…。お連れの大人の方とかはいないのですか?」
「え…僕ひとりなんですが、大人が必要なんですか⁉︎」
「おい坊主!ここは遊び場じゃねーぞ‼︎そんなズボンとシャツ1枚着て鞄ぶら下げてる子供が外に出ても、魔物のエサになるだけさ!帰んな帰んな」
いきなり後ろから話しかけられ振り向くと、40代半ばくらいの男性が立っていた。
「魔物討伐が可能だから来たんですけど…」
「外でアリを殺して魔物討伐なんて言ってるガキもいるからな!アリをいくら殺しても魔石や素材は出ないんだぞ。わかって来てんのか?」
いくらなんでも頭ごなしにそれはないだろう。僕が生まれていろんな苦しみを知らずに生きていたら、きっとこれで泣いていたに違いない。違いないが僕はそうじゃない。
「魔物討伐できなくて、ここには来ないでしょう」
「魔石1つでも出してから言うんだな。ケツの青いガキは口ばかりでかくて困ったもんだ」
やれやれとばかりにわざとらしく両手を広げ、ため息をついてくる。
「言い過ぎですよ!ギルドに登録もしていない子に絡むのはやめてください!僕も気にしなくて良いからね。でも、あの人の言う通り魔物討伐は魔石や倒した魔物の討伐証明部位に素材を持って来て初めて討伐なのよ」
受付さん曰く、魔物を討伐すると討伐した魔物の身体の一部が討伐証拠として出るらしい。それとは別に魔物の毛皮や食べれる魔物なら肉が残ったりもするそうだ。中には杖などの素材に使える牙とかが取れる魔物もいると教えてくれた。
「これは魔石ではないんですか?」
鞄から赤い石を取り出し受付の人に見せる。
「…これは魔石ですね」
「んなわけあるか!見せてみろ!」
いちゃもんつけて来た男が受付の人から魔石を奪い取る。奪い取って放った言葉がありえない‼︎
「坊主!これどこから盗んだんだ⁉︎それとも親が持ってるもん勝手に持って来たのか?魔石を持ってくれば良いってもんじゃないんだぞ!討伐した魔石じゃないとな」
この人すごい支離滅裂な事言ってる気がする。魔石を持って来いと言い、持ってきたら盗んだもの⁉︎人を馬鹿にするのも良い加減にしろ!と怒鳴りそうになると、静かに僕の横で黙っていたルピがトコトコと中年男のところに行く。
「お?なんだ嬢ちゃん。魔石はちゃんと持ってる人に返せって、嬢ちゃんからも言ってやれ」
1人ぶつぶつ言っている男性にルピが手を当てて
「ピッ!」
男の体に火がつく。
「!!!?アッ!!!!熱い!あっつッ‼︎誰か消してくれ‼︎頼むから消してくれーー‼︎」
「ルピ」
「ピッ」
ザバーと降り注ぐ水に、今度は溺れそうにガバババッとなっている中年男。
周りで見ていた人は全員が固まり声が出ていない。
「これで良いですか?僕は魔物討伐は出来ませんが、僕の従魔のルピが魔物討伐をします。それでもダメなんですか?」
「えっと…あ、はい。大丈夫です。今用紙をご用意しますね」
固まっている周りを無視して、受付の人に話しかけると慌てたように用紙を持ってくる。
「1番上にお名前とその下に年齢。冒険者希望なら、剣士・斥候・魔術士など自分が得意な分野のものを書いてください。最後に身分証明書が偽造されないように両手の指の痕をつけて、ここの紋様に血を一滴落としてください」
「従魔がメインの場合はどうしたら良いですか?」
「それならテイマーで良いと思いますので、テイマーとご記入ください。その時に、従魔のお名前と同じく血液ももらいます。従魔が増えるたびにこの作業は必要なので忘れないでくださいね」
「わかりました」
必要事項を記入して、名前はクボハヤトではなくハヤトとした。
嫌がるルピにお願いして指先をほんの少し風で切ってもらい血を垂らす。ルピも恐々と自分の足の先を風で切り、踏みつけるように書類の紋様に血をつけていた。
受付の人が若干嫌な顔をしているが、僕も嫌な思いしたんだ。文句は言わせない。
出来上がった身分証明書兼ギルドカードは、運転免許証ぐらいの大きさをしていた。僕は1番下のFランクと表示されている。ランクは貢献度や強さによって上がって行くという事だった。早く上がると良いな!
「手元にある魔石を売りたいんですが、どこに行けば良いですか?」
「それなら建物の奥にある買取場所があるので、そちらにお願いします」
「わかりました」
ヒソヒソと声は聞こえるが、何かを言ってくるわけでもなく僕とルピをジロジロ見てくる冒険者の目線が気持ち悪い。僕とルピは見世物パンダじゃないと言いたくなるが、ほっといて奥に行く。
「身分証明書の発行ですね。街に住んでる人であれば雑貨ギルドで街人登録が可能ですよ?」
「僕、街の人じゃないんです。出来れば外で魔物討伐もしたいので、身分証明書の発行をお願いします」
「はぁ…それは可能ですが…。お連れの大人の方とかはいないのですか?」
「え…僕ひとりなんですが、大人が必要なんですか⁉︎」
「おい坊主!ここは遊び場じゃねーぞ‼︎そんなズボンとシャツ1枚着て鞄ぶら下げてる子供が外に出ても、魔物のエサになるだけさ!帰んな帰んな」
いきなり後ろから話しかけられ振り向くと、40代半ばくらいの男性が立っていた。
「魔物討伐が可能だから来たんですけど…」
「外でアリを殺して魔物討伐なんて言ってるガキもいるからな!アリをいくら殺しても魔石や素材は出ないんだぞ。わかって来てんのか?」
いくらなんでも頭ごなしにそれはないだろう。僕が生まれていろんな苦しみを知らずに生きていたら、きっとこれで泣いていたに違いない。違いないが僕はそうじゃない。
「魔物討伐できなくて、ここには来ないでしょう」
「魔石1つでも出してから言うんだな。ケツの青いガキは口ばかりでかくて困ったもんだ」
やれやれとばかりにわざとらしく両手を広げ、ため息をついてくる。
「言い過ぎですよ!ギルドに登録もしていない子に絡むのはやめてください!僕も気にしなくて良いからね。でも、あの人の言う通り魔物討伐は魔石や倒した魔物の討伐証明部位に素材を持って来て初めて討伐なのよ」
受付さん曰く、魔物を討伐すると討伐した魔物の身体の一部が討伐証拠として出るらしい。それとは別に魔物の毛皮や食べれる魔物なら肉が残ったりもするそうだ。中には杖などの素材に使える牙とかが取れる魔物もいると教えてくれた。
「これは魔石ではないんですか?」
鞄から赤い石を取り出し受付の人に見せる。
「…これは魔石ですね」
「んなわけあるか!見せてみろ!」
いちゃもんつけて来た男が受付の人から魔石を奪い取る。奪い取って放った言葉がありえない‼︎
「坊主!これどこから盗んだんだ⁉︎それとも親が持ってるもん勝手に持って来たのか?魔石を持ってくれば良いってもんじゃないんだぞ!討伐した魔石じゃないとな」
この人すごい支離滅裂な事言ってる気がする。魔石を持って来いと言い、持ってきたら盗んだもの⁉︎人を馬鹿にするのも良い加減にしろ!と怒鳴りそうになると、静かに僕の横で黙っていたルピがトコトコと中年男のところに行く。
「お?なんだ嬢ちゃん。魔石はちゃんと持ってる人に返せって、嬢ちゃんからも言ってやれ」
1人ぶつぶつ言っている男性にルピが手を当てて
「ピッ!」
男の体に火がつく。
「!!!?アッ!!!!熱い!あっつッ‼︎誰か消してくれ‼︎頼むから消してくれーー‼︎」
「ルピ」
「ピッ」
ザバーと降り注ぐ水に、今度は溺れそうにガバババッとなっている中年男。
周りで見ていた人は全員が固まり声が出ていない。
「これで良いですか?僕は魔物討伐は出来ませんが、僕の従魔のルピが魔物討伐をします。それでもダメなんですか?」
「えっと…あ、はい。大丈夫です。今用紙をご用意しますね」
固まっている周りを無視して、受付の人に話しかけると慌てたように用紙を持ってくる。
「1番上にお名前とその下に年齢。冒険者希望なら、剣士・斥候・魔術士など自分が得意な分野のものを書いてください。最後に身分証明書が偽造されないように両手の指の痕をつけて、ここの紋様に血を一滴落としてください」
「従魔がメインの場合はどうしたら良いですか?」
「それならテイマーで良いと思いますので、テイマーとご記入ください。その時に、従魔のお名前と同じく血液ももらいます。従魔が増えるたびにこの作業は必要なので忘れないでくださいね」
「わかりました」
必要事項を記入して、名前はクボハヤトではなくハヤトとした。
嫌がるルピにお願いして指先をほんの少し風で切ってもらい血を垂らす。ルピも恐々と自分の足の先を風で切り、踏みつけるように書類の紋様に血をつけていた。
受付の人が若干嫌な顔をしているが、僕も嫌な思いしたんだ。文句は言わせない。
出来上がった身分証明書兼ギルドカードは、運転免許証ぐらいの大きさをしていた。僕は1番下のFランクと表示されている。ランクは貢献度や強さによって上がって行くという事だった。早く上がると良いな!
「手元にある魔石を売りたいんですが、どこに行けば良いですか?」
「それなら建物の奥にある買取場所があるので、そちらにお願いします」
「わかりました」
ヒソヒソと声は聞こえるが、何かを言ってくるわけでもなく僕とルピをジロジロ見てくる冒険者の目線が気持ち悪い。僕とルピは見世物パンダじゃないと言いたくなるが、ほっといて奥に行く。
3
お気に入りに追加
3,365
あなたにおすすめの小説
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました
桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。
召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。
転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。
それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。
リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。
そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。
そして予告なしに転生。
ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。
そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、
赤い鳥を仲間にし、、、
冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!?
スキルが何でも料理に没頭します!
超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。
合成語多いかも
話の単位は「食」
3月18日 投稿(一食目、二食目)
3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる