上 下
6 / 84

4話 ルピとの約束

しおりを挟む
久々に歩いた疲れもあるのか次第に眠気に襲われてきた。そろそろ寝ようかとルピに声をかけようとし異変に気づく。ルピが外に目を向け警戒してるような鳴き声をした。その瞬間

「グルルルルルル…」

暗くてよく見えないが犬?いや犬とは比べものにならない不気味さを漂わせた生き物いる。数は6匹ほど天然テントの周りに集まっていた。多分これが魔物だろうと理解する。

ルピを守らなければ!自分にできることが何かを考える。ルピになにかあってはいけない。少しでもルピが逃げる時間を作らなければ!!ルピに僕の後ろに行くように声をかける。

かけるがルピが聞く様子はなく、むしろ天然テントの外に出ようとしていた。慌てて止めにいくが、間に合わず外に出るルピ。ルピが外に出た瞬間、待ってましたとばかりに襲いかかる魔物。

「ルピ!戻るんだ!戻ってくるんだルピ‼」

「「「グルルルルルルー‼」」」

一斉に飛びかかる魔物。もうダメだ…と思った…。

「ピィー一一ヤァァアア一一‼」

ルピが大きく鳴くと風が集まり竜巻のようになる。魔物達はその竜巻に巻き込まれながら、1匹また1匹と地面に激しく叩きつけられていく。

「ギャインッ」となき絶滅する魔物。魔物が倒されると青白く光。光が消えるとそこには赤い石と狼のものと思われる牙が残っていた。
ルピが、ピィー♪と嬉しそうに僕のもとに駆け寄ってくるが

「危ないじゃないか‼ルピになにかあったらどうするの⁉ルピは強いのかもしれないけど、勝手なことしちゃダメだよ‼」
「ピィ…ピィルルゥ…」

ごめんなさいと頭を下げてくるルピの頭を撫でてやりながら僕は話を続ける。

「僕こそ急に怒鳴ってごめんね。僕には魔物がよくわからないし、ルピがいなくなっちゃうんじゃないかって怖かったんだ…。ルピにとってはあの魔物ぐらいは平気なの?」

頭を撫でてもらうのが気持ちいのか、もっともっとと僕に頭をこすりつけてくるルピ。

「ピッ!(ウンウン)」

何度見てもやっぱり可愛い!けど、可愛いで終わっちゃダメだ。

「ルピ、僕はルピよりもすごくすごく弱い。だからルピが勝てないなって思う魔物が出た時には僕を置いて逃げて欲しい。この約束が守れないなら僕はルピと一緒にはいられない」
「ピル…ピィャ…ピルルル…」

ルピがイヤイヤと言ってくる。でもここで約束をしておかないとルピは危険な目にあっても僕を守ろうとするかもしれない。僕は命の大切さを知っているつもりだし、また僕のせいで誰かに悲しい思いはさせたくない。

「ルピ、お願い。僕との約束を守って?僕はルピと一緒にいたいよ。いたいけど…。ルピを傷つけてまで一緒にはいるのは僕にとっては、すごく辛いことなんだ」
「ピィ…ピィルル。ピィ…」

すごくルピは悩んだ顔をして、わかったとうなずいてくれた。ありがとうとルピの頭を撫でてあげる。その後も何度か魔物が出た。出たけどその度にルピが大丈夫!と示してくるのでお願いすることにした。

朝になり丸まって寝ているルピを起こさないよう外に目を向ける。そこら中に赤い石と牙が散らばっていた。なにこの数!?本の知識であってるなら、魔物を倒したことで得られるものは魔石だよね?せっかく倒してくれたんだからと取り敢えず集めていく。

かなりの数になり22個の魔石が集まった。1人でこんなに倒したんルピのすごさにビックリする。

ルピもそのあとモゾモゾと起きてきた。ピィーと眠そうに僕に挨拶をしてくれるルピ。おはよう。昨日はありがとう。今日も一日よろしくねと声をかけると、ピィ♪と嬉しそうに返事をしてくれる。

やっぱりもう、本当に可愛い!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました

桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。 召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。 転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。 それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...