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28羽開店準備とお客第一号
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あのハンバーグ選手権から数日。
材料集めも一通り終わった。明日から本格的に店をオープンさせる。今は明日の夜に向けて開店準備中。
メインに使う肉は、ジャンボコッコリーとオークの肉。
ジャンボコッコリーは下処理さえちゃんとしてやれば、グリフィンには劣るが十分美味い。
上手く捕まえたオークは肉に甘みがあり、バラなんか最高に美味い!
ただ、肉になる前の見た目がね…。
イーサさんがファースに、魔物があまり激しく動き回ると乳酸が増えて肉が硬く不味くなる。
だから、リラックスしてるところを一撃で仕留めろと教えていた。
それからファースはオークを見つけると、静かに近づき一撃で頭を潰して終了。
あまりにもグロいため、頼むから頭潰す以外で頼むよ…マジで頼むよ…って伝えると
はぁ…とした素振りをしつつも、水の光線のようなもので仕留めていた。
グロさは減ったから良いけど、お前どんどん魔法の腕上がってんな!俺にも少し分けてくれよ。
「十分に肉も仕入れたし、たまっねぎやショウガ草、他の野菜もあったからな。親子煮や生姜焼き含めいろんなメニューに行けるぞ!」
――つんつん――
「腹減ったのか?」
右手が上がる。
本当にこいつの胃袋鋼だな。でも、なんだかんだ言ってもグルメスライムだからな。味を見てもらうのに丁度いいか。
「今からいろんな料理を出すから、不味ければ左手。美味ければ右手。普通なら両手で示してくれ」
わかったと言われるので、さっそく作っていこう!まずは親子煮からだな。
米があれば親子丼に出来るけど、カオルさんに聞いても米は見たことが無いって言われたからなぁ。とりあえず作るか。
◇
●親子煮 『普通』
(カオルさんから買った山椒をかけたら右手)
●生姜焼き 『右手』
●ベーコントマト串『左手』(トマトの皮が硬くて不味い)
●煮豚 『右手』
●焼き豚 『普通』(味が薄いらしい)
●トン汁 『普通』
(なんか物足りない。やっぱり一味がいるな)
●タレ味玉 『右手』
とりあえずこんなもんか?
あんまり作っても一人じゃ捌けないだろうからな。
作り置き出来るものを大目に選んだけど、ベーコントマト以外は出しても問題なさそうだ。
しかし、こっちのトマトの皮はすごく硬くて口の中に残る。そう考えると俺が元居た世界のトマトは良く出来てたんだなぁ。
「ここはお店をされてるんですか?」
「え?あ、はい!ここで屋台開いてます。明日から開店予定なんですが、良ければ食べていきませんか?」
「では、お言葉に甘えて」
1人の男がいきなり話しかけてきてビックリしたけど、お客様第一号だからな!ダニアさん達だって大切なお客さんだけど、面識がない人という意味で第一号。
「何にしましょう!」
「このビールセットというのは?」
「お任せの串5本にビールがついて開店セールで銀貨1枚になります。もちろんビール無しでも大丈夫ですよ!」
値段は考えに考えたけど、俺は考えるのが苦手だ。肉代はタダ。捌いてもらっても、それを上回る討伐代が入ってくる。
酒は樽1つ2000円。かなり安いが爺さんがそう決めたんなら良いんだろう。
だから串一本100円で売っても俺が損することは全くない。
開店セール終ったら、一本銀板2枚の予定。あまり安いのも善し悪しがあるぞと、イーサさんが言ってたからな。
「それなら、このビールセットでお願いします」
「わかりました!味付けにお好みはありますか?」
「お任せします」
お任せの串は『正肉・豚バラ串・鳥ナンコツ・皮・かしら』正肉と皮がタレで行こう!最初はまずシンプルにだ。
ビールは串と一緒に出してくれと言われたので、それで良いだろう。
ファースに氷のジョッキだしてくれよと頼んだけど、気分が乗らないから嫌だと言われた。
お前の気分待ってたら、一生出てこない気がするわ。
「お待たせしました!正肉・豚バラ串・鳥ナンコツ・皮・かしらになります!あとビールです」
「豚というのは?」
「オークの事です。俺が住んでた国では、オークの事豚って呼んでたんですよ」
焼きオークとかオーク串、それのオーク汁って言って飲みたいか?俺ならお断りしたいしなんか呼び名がすでに不味そう。
味が豚肉なんだから、俺は豚肉で通すことにした。
「これがビール…。こんなに透き通った酒は初めて見ました。何か特別な手法でも?どちらで仕入れを?」
「いやいや。でも、まぁ企業秘密でして…」
「それは失礼した。店の者に仕入れ先を聞くなんて無粋なことをしました」
うーん。
なんかこの人言葉遣い硬いんだよな。でも、まぁサラリーマンでも崩さず喋る人はいたからな。気にしても仕方ないか。
その人は、それからビールを3杯追加し焼き鳥も追加でさらに10本食べてくれた。
「実に美味しかった。お値段はいかほどに?」
「はい。銀貨3枚と銀板5枚になります」
「ではこれを」
俺の手に渡されたのは金貨1枚。お釣りも十分用意してあるからな!全然金貨でも構わない。
どっかのおっちゃんは俺が金貨出したら文句言ってたけどな。商売人が文句言うなってんだ。
銀貨6枚と銀板5枚を用意し振り返ると、男は店を離れ歩き始めていた。
ちょ、ちょっとお釣り!!
「すいませんお客さん、お釣り渡してないですよ!」
「いや、それは取っておいて欲しい。実に美味しかった。あのビールも感動しました。感動代だと思ってもらえれば」
「それでもこれは貰い過ぎです!感動代貰うよりも、また来てもらえる方が嬉しいですから」
「では、またお邪魔しましょう。次も楽しみにしています」
男が話し終ると、ブワッと風が舞い上がりチリが目に入らないよう閉じてしまった。
開けるとそこには男はいなかった。
どうなってんだこりゃ?なんだったんだいったい。
でもなぁ…。
さすがに6000円以上のチップなんて貰えないよな。次来て貰えたらお会計から引いて残りは返そう。
そして俺は次の日、とんでもない事態になってしまった。
材料集めも一通り終わった。明日から本格的に店をオープンさせる。今は明日の夜に向けて開店準備中。
メインに使う肉は、ジャンボコッコリーとオークの肉。
ジャンボコッコリーは下処理さえちゃんとしてやれば、グリフィンには劣るが十分美味い。
上手く捕まえたオークは肉に甘みがあり、バラなんか最高に美味い!
ただ、肉になる前の見た目がね…。
イーサさんがファースに、魔物があまり激しく動き回ると乳酸が増えて肉が硬く不味くなる。
だから、リラックスしてるところを一撃で仕留めろと教えていた。
それからファースはオークを見つけると、静かに近づき一撃で頭を潰して終了。
あまりにもグロいため、頼むから頭潰す以外で頼むよ…マジで頼むよ…って伝えると
はぁ…とした素振りをしつつも、水の光線のようなもので仕留めていた。
グロさは減ったから良いけど、お前どんどん魔法の腕上がってんな!俺にも少し分けてくれよ。
「十分に肉も仕入れたし、たまっねぎやショウガ草、他の野菜もあったからな。親子煮や生姜焼き含めいろんなメニューに行けるぞ!」
――つんつん――
「腹減ったのか?」
右手が上がる。
本当にこいつの胃袋鋼だな。でも、なんだかんだ言ってもグルメスライムだからな。味を見てもらうのに丁度いいか。
「今からいろんな料理を出すから、不味ければ左手。美味ければ右手。普通なら両手で示してくれ」
わかったと言われるので、さっそく作っていこう!まずは親子煮からだな。
米があれば親子丼に出来るけど、カオルさんに聞いても米は見たことが無いって言われたからなぁ。とりあえず作るか。
◇
●親子煮 『普通』
(カオルさんから買った山椒をかけたら右手)
●生姜焼き 『右手』
●ベーコントマト串『左手』(トマトの皮が硬くて不味い)
●煮豚 『右手』
●焼き豚 『普通』(味が薄いらしい)
●トン汁 『普通』
(なんか物足りない。やっぱり一味がいるな)
●タレ味玉 『右手』
とりあえずこんなもんか?
あんまり作っても一人じゃ捌けないだろうからな。
作り置き出来るものを大目に選んだけど、ベーコントマト以外は出しても問題なさそうだ。
しかし、こっちのトマトの皮はすごく硬くて口の中に残る。そう考えると俺が元居た世界のトマトは良く出来てたんだなぁ。
「ここはお店をされてるんですか?」
「え?あ、はい!ここで屋台開いてます。明日から開店予定なんですが、良ければ食べていきませんか?」
「では、お言葉に甘えて」
1人の男がいきなり話しかけてきてビックリしたけど、お客様第一号だからな!ダニアさん達だって大切なお客さんだけど、面識がない人という意味で第一号。
「何にしましょう!」
「このビールセットというのは?」
「お任せの串5本にビールがついて開店セールで銀貨1枚になります。もちろんビール無しでも大丈夫ですよ!」
値段は考えに考えたけど、俺は考えるのが苦手だ。肉代はタダ。捌いてもらっても、それを上回る討伐代が入ってくる。
酒は樽1つ2000円。かなり安いが爺さんがそう決めたんなら良いんだろう。
だから串一本100円で売っても俺が損することは全くない。
開店セール終ったら、一本銀板2枚の予定。あまり安いのも善し悪しがあるぞと、イーサさんが言ってたからな。
「それなら、このビールセットでお願いします」
「わかりました!味付けにお好みはありますか?」
「お任せします」
お任せの串は『正肉・豚バラ串・鳥ナンコツ・皮・かしら』正肉と皮がタレで行こう!最初はまずシンプルにだ。
ビールは串と一緒に出してくれと言われたので、それで良いだろう。
ファースに氷のジョッキだしてくれよと頼んだけど、気分が乗らないから嫌だと言われた。
お前の気分待ってたら、一生出てこない気がするわ。
「お待たせしました!正肉・豚バラ串・鳥ナンコツ・皮・かしらになります!あとビールです」
「豚というのは?」
「オークの事です。俺が住んでた国では、オークの事豚って呼んでたんですよ」
焼きオークとかオーク串、それのオーク汁って言って飲みたいか?俺ならお断りしたいしなんか呼び名がすでに不味そう。
味が豚肉なんだから、俺は豚肉で通すことにした。
「これがビール…。こんなに透き通った酒は初めて見ました。何か特別な手法でも?どちらで仕入れを?」
「いやいや。でも、まぁ企業秘密でして…」
「それは失礼した。店の者に仕入れ先を聞くなんて無粋なことをしました」
うーん。
なんかこの人言葉遣い硬いんだよな。でも、まぁサラリーマンでも崩さず喋る人はいたからな。気にしても仕方ないか。
その人は、それからビールを3杯追加し焼き鳥も追加でさらに10本食べてくれた。
「実に美味しかった。お値段はいかほどに?」
「はい。銀貨3枚と銀板5枚になります」
「ではこれを」
俺の手に渡されたのは金貨1枚。お釣りも十分用意してあるからな!全然金貨でも構わない。
どっかのおっちゃんは俺が金貨出したら文句言ってたけどな。商売人が文句言うなってんだ。
銀貨6枚と銀板5枚を用意し振り返ると、男は店を離れ歩き始めていた。
ちょ、ちょっとお釣り!!
「すいませんお客さん、お釣り渡してないですよ!」
「いや、それは取っておいて欲しい。実に美味しかった。あのビールも感動しました。感動代だと思ってもらえれば」
「それでもこれは貰い過ぎです!感動代貰うよりも、また来てもらえる方が嬉しいですから」
「では、またお邪魔しましょう。次も楽しみにしています」
男が話し終ると、ブワッと風が舞い上がりチリが目に入らないよう閉じてしまった。
開けるとそこには男はいなかった。
どうなってんだこりゃ?なんだったんだいったい。
でもなぁ…。
さすがに6000円以上のチップなんて貰えないよな。次来て貰えたらお会計から引いて残りは返そう。
そして俺は次の日、とんでもない事態になってしまった。
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