23 / 38
22羽腐った匂いにアレ発見
しおりを挟む
イーサさんが、デンと捌かれた肉の前で仁王立ちに立って待っていた。似合い過ぎだよイーサさん。
あなたがこれらを狩ってきたと言っても、誰もそれを否定する余地がないオーラが漂ってるよ。
ただ、エプロンが可愛いんだけどね。誰趣味それ?
「この肉がロックカウで、こっちの肉がジャンボフランゴ。そんでこっちが…」
数が多すぎて、まったく覚えられん。この世界で生きていて、その肉を扱ったことがあるんだったら名前だけ言われりゃわかるだろう。俺には全く未知なるものだからな…。
「あの…」
「覚えられないんだろ?」
「えっ…。えぇ…」
「途中からポカーンって顔してたからな。ダニアがあいつ多分肉の種類言ってもわからないと思うぞ。無知そうだからなって言ってたから、メモにまとめといた。どうにかして自分で字は解析しろ。習ったんだろ?」
すいませんと言ってメモを受け取った。まぁ、見ても俺にはミミズが這ってる文字にしか見えないんだけどね…。一つ一つ解析していくしかないだろ。
また、その捌かれた肉をアイテムボックスに入れるのも一苦労。ダニアさんやイーサさんに手伝ってもらいどうにか終える。
「これだけに肉、このままだとケン腐るぞ?なぁ、イーサ生肉ってそんなに日持ちしないよな?」
「しないな。塩漬けにするなら持つだろうが」
「保存方法は少し考えがあるので、試してみます。お肉の勉強もしたいので頑張ってみます」
やっぱりアイテムボックスに時間停止はないんだな。まぁ、俺のにはついてるから入れときゃ腐らないみたいなんだけどね。
でも、それを今伝えるのは得策じゃないな。
「あと、教えてもらいついでにこの辺に調味料とか香辛料扱ってるお店ってないですかね?」
「調味料はそこらへんの市場に行けば手に入るが、珍しい香辛料なら…あの自称魔女の家か?」
「魔女の家?」
あぁ…。とダニアさんが苦虫潰すような顔をしながら話してくれた。なんとも変わった女性がいる場所で、その人はいつも黒いフードを被っており店の中は独特の匂いが鼻につくそうだ。
ダニアさんも、1度店を覗いてからは足を運んでないそう。それでも時々物好きが買いに行ってるらしいんだよなと話していた。
「怖いもの見たさで行ってきます」
「そうしてみると良い。悪い人ではないんだよ。ただ、俺達にはあの匂いがどうも…」
「あの匂いを良い匂いと言える人間は、あの女ぐらいだろうさ」
どんな匂いがしてるんだよ…。逆に気になるよ。ダニアさん達に、ありがとうございますとお礼を言うと、さっとく教えてもらった魔女の家に向かった。
「なんか、カラスが鳴きそうな雰囲気の店だな…。ここだけ孤立感はんぱないぞ」
――ガチャツ――
明けた瞬間に、なんとも言えない臭いが鼻につく。臭い…臭いことは臭いんだが、そこまで毛嫌いするほどの臭いでもないぞ?なんか懐かしいような懐かしくないような。
「おっ?これクサヤじゃないか!臭いの下はこれか?この世界にもクサヤが…って、ダニアさん達は受け付けないような言い方だったから、この世界にはないのか?」
「あなたクサヤを知ってるの?」
「あぁ。よく親父が食べてたからな」
女がフードをバサッと取り、やっと見つけた!と俺に抱き着いてくる。ちょっと待て待て!!
いきなり女性に抱き着かれても、俺には女性に対しての免疫がほとんどないんだって…。その柔らかい身体を押し当てるの止めて…。
「あなた日本人ね!?この世界の奴らは、クサヤなんて腐った食べ物だとか言うからね!」
「ってことは、あんたも日本人なのか!?」
「そうよ!私は日本では笹本香。こっちの世界では、カオルで通してる」
カオルと名乗る女性は、日本でスパイスや保存食についての料理研究をしていたらしい。
その時に、地震にまきこまれ亡くなったところを爺さんに呼ばれ転成したそうだ。
爺さんには、勇者も魔法使いも興味ないから研究の続きをやらせてくれと研究材料の提供を申し出たらしい。
「俺は尾口健之助だ。フルネームで名前を言わないのには理由があるのか?聞き取ってもらえないとか?」
「そうなのよ。何回か伝えても長ったらしい名前だと言われるから、カオルにしたの。私にとっては研究できれば名前なんてどうでも良いんだけどね」
「よっぽど研究好きなんだな」
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、研究についての面白さというものについて語られる。興味が無い俺にとっては地獄のような長い時間だった…。
自分の興味がないことを、間髪入れる瞬間もなく話し続けられたら誰だってぐったりするだろ。
「それで、尾口さん…。なんかおかしいね。ケンは何しに来たの?」
「屋台を開いててさ、珍しい香辛料とかあれば見て見たいんだけど」
「お店開いてるの?それなら今度お邪魔しようかしら。珍しいって言っても、私のは研究の延長上に売ってるようなものだから…」
そう言われながら店内を歩いていくと、これは…。これは、まさかのアレか?アレならアレがないと美味しさ半減だが、アレはなさそうだ。
「これもカオルさんが?」
「えぇ、そうよ。私たちには一般的なものだからと思って出したんだけど…こっちの世界では不向きなのよね…なにがいけないのかしら?」
うーん…。これだけだと確かに扱いにくいかもしれない。でも、アレを出せるなら是非とも欲しい。
あなたがこれらを狩ってきたと言っても、誰もそれを否定する余地がないオーラが漂ってるよ。
ただ、エプロンが可愛いんだけどね。誰趣味それ?
「この肉がロックカウで、こっちの肉がジャンボフランゴ。そんでこっちが…」
数が多すぎて、まったく覚えられん。この世界で生きていて、その肉を扱ったことがあるんだったら名前だけ言われりゃわかるだろう。俺には全く未知なるものだからな…。
「あの…」
「覚えられないんだろ?」
「えっ…。えぇ…」
「途中からポカーンって顔してたからな。ダニアがあいつ多分肉の種類言ってもわからないと思うぞ。無知そうだからなって言ってたから、メモにまとめといた。どうにかして自分で字は解析しろ。習ったんだろ?」
すいませんと言ってメモを受け取った。まぁ、見ても俺にはミミズが這ってる文字にしか見えないんだけどね…。一つ一つ解析していくしかないだろ。
また、その捌かれた肉をアイテムボックスに入れるのも一苦労。ダニアさんやイーサさんに手伝ってもらいどうにか終える。
「これだけに肉、このままだとケン腐るぞ?なぁ、イーサ生肉ってそんなに日持ちしないよな?」
「しないな。塩漬けにするなら持つだろうが」
「保存方法は少し考えがあるので、試してみます。お肉の勉強もしたいので頑張ってみます」
やっぱりアイテムボックスに時間停止はないんだな。まぁ、俺のにはついてるから入れときゃ腐らないみたいなんだけどね。
でも、それを今伝えるのは得策じゃないな。
「あと、教えてもらいついでにこの辺に調味料とか香辛料扱ってるお店ってないですかね?」
「調味料はそこらへんの市場に行けば手に入るが、珍しい香辛料なら…あの自称魔女の家か?」
「魔女の家?」
あぁ…。とダニアさんが苦虫潰すような顔をしながら話してくれた。なんとも変わった女性がいる場所で、その人はいつも黒いフードを被っており店の中は独特の匂いが鼻につくそうだ。
ダニアさんも、1度店を覗いてからは足を運んでないそう。それでも時々物好きが買いに行ってるらしいんだよなと話していた。
「怖いもの見たさで行ってきます」
「そうしてみると良い。悪い人ではないんだよ。ただ、俺達にはあの匂いがどうも…」
「あの匂いを良い匂いと言える人間は、あの女ぐらいだろうさ」
どんな匂いがしてるんだよ…。逆に気になるよ。ダニアさん達に、ありがとうございますとお礼を言うと、さっとく教えてもらった魔女の家に向かった。
「なんか、カラスが鳴きそうな雰囲気の店だな…。ここだけ孤立感はんぱないぞ」
――ガチャツ――
明けた瞬間に、なんとも言えない臭いが鼻につく。臭い…臭いことは臭いんだが、そこまで毛嫌いするほどの臭いでもないぞ?なんか懐かしいような懐かしくないような。
「おっ?これクサヤじゃないか!臭いの下はこれか?この世界にもクサヤが…って、ダニアさん達は受け付けないような言い方だったから、この世界にはないのか?」
「あなたクサヤを知ってるの?」
「あぁ。よく親父が食べてたからな」
女がフードをバサッと取り、やっと見つけた!と俺に抱き着いてくる。ちょっと待て待て!!
いきなり女性に抱き着かれても、俺には女性に対しての免疫がほとんどないんだって…。その柔らかい身体を押し当てるの止めて…。
「あなた日本人ね!?この世界の奴らは、クサヤなんて腐った食べ物だとか言うからね!」
「ってことは、あんたも日本人なのか!?」
「そうよ!私は日本では笹本香。こっちの世界では、カオルで通してる」
カオルと名乗る女性は、日本でスパイスや保存食についての料理研究をしていたらしい。
その時に、地震にまきこまれ亡くなったところを爺さんに呼ばれ転成したそうだ。
爺さんには、勇者も魔法使いも興味ないから研究の続きをやらせてくれと研究材料の提供を申し出たらしい。
「俺は尾口健之助だ。フルネームで名前を言わないのには理由があるのか?聞き取ってもらえないとか?」
「そうなのよ。何回か伝えても長ったらしい名前だと言われるから、カオルにしたの。私にとっては研究できれば名前なんてどうでも良いんだけどね」
「よっぽど研究好きなんだな」
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、研究についての面白さというものについて語られる。興味が無い俺にとっては地獄のような長い時間だった…。
自分の興味がないことを、間髪入れる瞬間もなく話し続けられたら誰だってぐったりするだろ。
「それで、尾口さん…。なんかおかしいね。ケンは何しに来たの?」
「屋台を開いててさ、珍しい香辛料とかあれば見て見たいんだけど」
「お店開いてるの?それなら今度お邪魔しようかしら。珍しいって言っても、私のは研究の延長上に売ってるようなものだから…」
そう言われながら店内を歩いていくと、これは…。これは、まさかのアレか?アレならアレがないと美味しさ半減だが、アレはなさそうだ。
「これもカオルさんが?」
「えぇ、そうよ。私たちには一般的なものだからと思って出したんだけど…こっちの世界では不向きなのよね…なにがいけないのかしら?」
うーん…。これだけだと確かに扱いにくいかもしれない。でも、アレを出せるなら是非とも欲しい。
0
お気に入りに追加
251
あなたにおすすめの小説

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜
黒城白爵
ファンタジー
とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。
死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。
自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。
黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。
使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。
※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。
※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。


転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる