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16羽俺生きてるよ!
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「お前さぁ、もうちょっと人を運びやすそうな形になれないの?」
右手が上がる。なに⁉︎できるだと⁉︎そ、そうだよな。俺に巻きついたり寝袋になったり、鳥を捌くのにデカいシートになったりするんだ。出来ないと考える方が不自然だよな。
「ちょっとなってみろよ?」
左手が上がる。
「は?イヤなのかよ⁉︎」
右手が上がる。なんだよこいつ…。グリフィン取りに行けなくても良いのかよ!
「グリフィン取りにいけなくてもいいのかよ?」
左手が上がる。じゃぁどうするんだよ!とケンカ腰に話してしまう俺。やれやれと言わんばかりに素っ気なくされ、頭に来る。なんなんだよ!このクソ可愛くないスライムは⁉︎
「なにしておるんじゃ。ほれグリフィンじゃ」
ドサっとデカい鳥が俺の前に置かれる。丸の状態だけど丸ではない。今締めましたという羽もついてる状態だ。
「いや、あのさ、爺さん。羽どうやって毟るんだよ⁉︎俺こんなデカい鳥の羽なんて毟れないからな⁉︎」
「やれやれ。煩い人間じゃて。ほれ、羽だけ毟ってやれ」
その言葉に素直にファースは動き、鳥を包み込むと羽や産毛を消化していく。なんだよこいつ。爺さんのいうことだけ聞くのかよ!
「ほれ出来たぞ。これで捌いて焼き鳥焼いてくれ」
「あぁ…わかったよ」
「なんでそんなに不機嫌なんじゃ。面倒くさいやつじゃの」
ファースの行動にも腹が立つが爺さんの言葉にも腹が立つからな⁉︎なんなんだよこいつら!
「こいつが俺のいうこと全く聞かないんだよ‼︎」
「そんなことで怒っておるのか?小さい子供かお主は。しかし、いい子なんじゃがの。ほれお前どうした?」
爺さんがファースに話しかけると、ファースがあぁだこうだと言わんばかりに手を動かし爺さんに話しかけているように見える。爺さんもふむふむと聞いているから、話し出来んのか?
「ほっほっほ!こりゃ愉快!お前のいうことも一理ある。しかしな、お前がひとつ大人になって、そこはやってくれんかの?」
わかったというように右手を上げて俺を見て来るファース。なんだよ⁉︎これ俺が子供扱いされてんのか⁉︎
「なんて言ってんだよ、こいつ」
「お前が寝ている間に…」
◇
爺さんの話しを聞きながら、俺は鳥を捌いていた。ファースは捌こうとする俺に気づき鳥の下でシートになってくれる。
爺さんがいうには、昨日俺が寝ている時に魔物に襲われないよう狩りをしている間分身つけてやったのに感謝もしてこない。女を見る目がないうえに情けなく未練がましい。弱い。食い物以外取り柄がない。俺散々な言われようだな⁉︎話せるようにしてやろうか?と言われたが、今はいいと断ったよ!話せるようになったら、何言われるかわかったもんじゃない。
爺さんは早く作れと言うことまなく、捌き終わるまで静かに待っていてくれた。これはこれで不気味だ…。
「爺さん腹減ってないのか?」
「減っておるがどうしてじゃ?」
「いや、やけに静かだなと」
爺さんが、あぁと言いながら
「見事に捌くのに惚れ惚れしておったんじゃ」
「この前も見てたじゃないか」
「あの時は、ほとんど解体が終わっておったからの。人間1人でこのように解体できるものなのかと感心しておったんじゃ」
人間が建物を作るのは知っておる。人間が生きる為に魔物や生き物を狩り調理するのを知っておる。人間が畑に草花や野菜を植え育てるのも知っておる。
しかし、こうやってマジマジと工程を見たこともなければ興味もなかった。綺麗に盛られた皿。綺麗に立てられた建造物。
それが全ての答えなのだと思っていた。
ワシは失敗という言葉を知らん。出来ないことに挑戦することが愚かなことじゃと思っておった。出来ん能力を持って生まれたこと。それが結果なのじゃと。
しかし、汗水流しながらここに包丁を入れてみるかと前回の反省を生かしながら捌くこの男を見て、ワシの方が愚かじゃったんじゃと気づかされるとはの。
人間に興味を持ったのは初めてじゃ。
「爺さん?大丈夫か?」
「大丈夫じゃ。悪いの。考え事じゃ」
「ならいいけど、遅いんだしあんまり無理するなよ」
年寄り扱いされたのが不服だったのか、ワシはお前よりも何千倍も丈夫じゃ!と怒られた。そこは見た目重視するだろ。爺さんに鳥が捌き終わったから焼いていくが何が良いかと聞くと、前回食べたものとレバーにハツ(心臓)、砂肝を焼いてくれと言われた。タレがお気に入りらしく、砂肝以外はタレで出した。
「やはり美味い!これに酒があれば絶品じゃの!」
「そうだろ?やっぱり焼き鳥と言えばビールだな。カァァ!ビールが飲みてぇ」
「じゃな。ほれ一杯どうじゃ」
お、気が利くじゃねぇか!爺さんからシルバーの缶ビールを受け取る。俺はこのキレがあって喉越しが溜まらないビールが好きなんだよなぁ。プシュッと開けて一口。
「あぁ…俺生きてる。俺生きてるよ…。ビールだけ…いや酒だけは俺を裏切らねぇ!たまんねぇな!」
「アル中みたいな発言じゃの」
「爺さん、酒飲んで美味いと思えるのは酒好きの俺にとっちゃ生きてる証拠さ!」
いや、実に美味い。汗かきながら鳥捌いて熱い焼き台の前で焼いた後のビール。格別だな。本当たまんねぇわ!もう一本飲んでおくか。
――
―――
――――……
ビール?あれ、これビールだよな…。
右手が上がる。なに⁉︎できるだと⁉︎そ、そうだよな。俺に巻きついたり寝袋になったり、鳥を捌くのにデカいシートになったりするんだ。出来ないと考える方が不自然だよな。
「ちょっとなってみろよ?」
左手が上がる。
「は?イヤなのかよ⁉︎」
右手が上がる。なんだよこいつ…。グリフィン取りに行けなくても良いのかよ!
「グリフィン取りにいけなくてもいいのかよ?」
左手が上がる。じゃぁどうするんだよ!とケンカ腰に話してしまう俺。やれやれと言わんばかりに素っ気なくされ、頭に来る。なんなんだよ!このクソ可愛くないスライムは⁉︎
「なにしておるんじゃ。ほれグリフィンじゃ」
ドサっとデカい鳥が俺の前に置かれる。丸の状態だけど丸ではない。今締めましたという羽もついてる状態だ。
「いや、あのさ、爺さん。羽どうやって毟るんだよ⁉︎俺こんなデカい鳥の羽なんて毟れないからな⁉︎」
「やれやれ。煩い人間じゃて。ほれ、羽だけ毟ってやれ」
その言葉に素直にファースは動き、鳥を包み込むと羽や産毛を消化していく。なんだよこいつ。爺さんのいうことだけ聞くのかよ!
「ほれ出来たぞ。これで捌いて焼き鳥焼いてくれ」
「あぁ…わかったよ」
「なんでそんなに不機嫌なんじゃ。面倒くさいやつじゃの」
ファースの行動にも腹が立つが爺さんの言葉にも腹が立つからな⁉︎なんなんだよこいつら!
「こいつが俺のいうこと全く聞かないんだよ‼︎」
「そんなことで怒っておるのか?小さい子供かお主は。しかし、いい子なんじゃがの。ほれお前どうした?」
爺さんがファースに話しかけると、ファースがあぁだこうだと言わんばかりに手を動かし爺さんに話しかけているように見える。爺さんもふむふむと聞いているから、話し出来んのか?
「ほっほっほ!こりゃ愉快!お前のいうことも一理ある。しかしな、お前がひとつ大人になって、そこはやってくれんかの?」
わかったというように右手を上げて俺を見て来るファース。なんだよ⁉︎これ俺が子供扱いされてんのか⁉︎
「なんて言ってんだよ、こいつ」
「お前が寝ている間に…」
◇
爺さんの話しを聞きながら、俺は鳥を捌いていた。ファースは捌こうとする俺に気づき鳥の下でシートになってくれる。
爺さんがいうには、昨日俺が寝ている時に魔物に襲われないよう狩りをしている間分身つけてやったのに感謝もしてこない。女を見る目がないうえに情けなく未練がましい。弱い。食い物以外取り柄がない。俺散々な言われようだな⁉︎話せるようにしてやろうか?と言われたが、今はいいと断ったよ!話せるようになったら、何言われるかわかったもんじゃない。
爺さんは早く作れと言うことまなく、捌き終わるまで静かに待っていてくれた。これはこれで不気味だ…。
「爺さん腹減ってないのか?」
「減っておるがどうしてじゃ?」
「いや、やけに静かだなと」
爺さんが、あぁと言いながら
「見事に捌くのに惚れ惚れしておったんじゃ」
「この前も見てたじゃないか」
「あの時は、ほとんど解体が終わっておったからの。人間1人でこのように解体できるものなのかと感心しておったんじゃ」
人間が建物を作るのは知っておる。人間が生きる為に魔物や生き物を狩り調理するのを知っておる。人間が畑に草花や野菜を植え育てるのも知っておる。
しかし、こうやってマジマジと工程を見たこともなければ興味もなかった。綺麗に盛られた皿。綺麗に立てられた建造物。
それが全ての答えなのだと思っていた。
ワシは失敗という言葉を知らん。出来ないことに挑戦することが愚かなことじゃと思っておった。出来ん能力を持って生まれたこと。それが結果なのじゃと。
しかし、汗水流しながらここに包丁を入れてみるかと前回の反省を生かしながら捌くこの男を見て、ワシの方が愚かじゃったんじゃと気づかされるとはの。
人間に興味を持ったのは初めてじゃ。
「爺さん?大丈夫か?」
「大丈夫じゃ。悪いの。考え事じゃ」
「ならいいけど、遅いんだしあんまり無理するなよ」
年寄り扱いされたのが不服だったのか、ワシはお前よりも何千倍も丈夫じゃ!と怒られた。そこは見た目重視するだろ。爺さんに鳥が捌き終わったから焼いていくが何が良いかと聞くと、前回食べたものとレバーにハツ(心臓)、砂肝を焼いてくれと言われた。タレがお気に入りらしく、砂肝以外はタレで出した。
「やはり美味い!これに酒があれば絶品じゃの!」
「そうだろ?やっぱり焼き鳥と言えばビールだな。カァァ!ビールが飲みてぇ」
「じゃな。ほれ一杯どうじゃ」
お、気が利くじゃねぇか!爺さんからシルバーの缶ビールを受け取る。俺はこのキレがあって喉越しが溜まらないビールが好きなんだよなぁ。プシュッと開けて一口。
「あぁ…俺生きてる。俺生きてるよ…。ビールだけ…いや酒だけは俺を裏切らねぇ!たまんねぇな!」
「アル中みたいな発言じゃの」
「爺さん、酒飲んで美味いと思えるのは酒好きの俺にとっちゃ生きてる証拠さ!」
いや、実に美味い。汗かきながら鳥捌いて熱い焼き台の前で焼いた後のビール。格別だな。本当たまんねぇわ!もう一本飲んでおくか。
――
―――
――――……
ビール?あれ、これビールだよな…。
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