上 下
33 / 35
斎藤課長視点(変態注意!)

10.斎藤課長はハッピーエンドを迎える?

しおりを挟む
一時間後、エステ店から出て来た麻衣子は駅に向かって歩く途中でバッグの中からスマートフォンを取り出し、耳へ当てた。

「麻衣子さんっ!?」

 かかってきた電話に焦って出たため、麻衣子がくすりと笑う。
 急いで支払いを済ませ、カフェを出て全速力で麻衣子が居る場所へ向かった。

 走って来た隼人に驚いた麻衣子は、どうして此処に居ることが分かったのかと問う。

「そんなことより、麻衣子さん、足は? 脱毛しちゃった!?」
「ちょっ、声が大きいっ」

 人通りの多い駅前の大通りの歩道で「脱毛」と隼人が叫び、通行人の視線が二人へ集中する。

 返答次第では、今にも抱き着いてきそうな雰囲気を放つ隼人の手首を掴み、麻衣子は細い路地へ彼を引っ張って行く。
 路地に人通りがほとんど無いことを確認して、電信柱の影に隠れるようにして隼人と向き合い彼の手首を解放する。

「脱毛はしなかったよ。顔のお手入れをしてもらったの」
「あ、そういえば何時もより化粧が濃いかも」

 よく見たら普段より濃い化粧をしている。
 ムッとなった麻衣子は眉を寄せて隼人を見上げた。

「足、確認させて」

 ひざ丈のスカートの中へ入り込み、レギンスのウエスト部へ触れようとする隼人の手を押さえて、麻衣子は彼の目をじっと見詰める。

「隼人さんは、私の足だけが好きなの?」

『兄貴の返答しだいで、麻衣子さんはもう戻ってきてくれなくなるぞ』

 エステ店を調べたと電話してきた時の崇人のお節介な言葉が聞こえてきて、泣き出しそうな顔になった隼人は不安に揺れる瞳で見上げてくる麻衣子の頬に手を添えた。

「足の感触も好きだけど、思ったことが直ぐに顔に出るところと、美味しいものを食べると全身から幸せそうなオーラを出すところ、いつまで経ってもセックスの時に恥ずかしそうな反応をするところ、時々悶えたくなるくらい可愛いことを言い出すところ、麻衣子さんの全部が可愛いし好きだと思っているよ」
「私は……私も、隼人さんが好き。この前は、嫌いって言ってごめんなさい」

 喉の奥から絞り出した麻衣子の声は震えていて、泣きたくなるのを堪えて口元をきつく結ぶ。

「じゃあ、じゃあ、お試し期間だけじゃなくて、これからも一緒にいてくれる?」

 両想いだと跳び上がりたいのを堪えて問えば、両目いっぱいに涙を浮かべた麻衣子はコクリと頷いた。

「麻衣子さんっ」

 感極まった隼人は堪えきれずに泣き出す麻衣子の体を抱き締めた。


 その後は、お互い「ゴメンね」と謝り恋人となれたことを喜び、手を繋いで自宅マンションへ向かった。
 二日前も同じように手を繋いでいたのに、麻衣子と手を繋いで歩いたのが随分前のことに感じる。

 リビングへ入り我慢できず麻衣子に抱き着いた隼人は、彼女の首筋に顔を埋めて香りを堪能した。

「麻衣子、麻衣子さんっ」
「だめっ。ほとんど寝てないんでしょう? 今日はゆっくりしよう」

 キスをしようと、顔を近付ける隼人の唇を人差し指で押しとどめ、麻衣子は微笑む。

「足のお手入れも明日にしてね」

 上目遣いで言われてしまい、喧嘩をしてから仲直りするまでの間完全に萎えていた性欲が湧き上がり、股間に血液が集中していく。

「あー、もうっ可愛い! 可愛すぎて我慢できない。寝る前に少しだけ、先っぽだけでも入れさせて?」
「ぷっ、何言っているの。仕方ないなぁ。少しだけなら、その、いいよ」

 十代男子のような隼人の発言で、吹き出した麻衣子の言葉の最後は恥ずかしさから小声になる。

「麻衣子さん、好きだよ」
「うん。私も隼人さんが好き、きゃあっ」

 頬を赤く染めて好きと言われた瞬間、隼人の頭の中で理性の糸が切れる音が響いた。
 麻衣子の肩と腰に手を差し入れて彼女の体を抱き上げ、向かうのはもちろん寝室。

「ちょっとー!?」
「はっ、ごめん、もう、止められない」

 その後の展開は、先っぽだけでは終わらず夕方まで盛ってしまい、怒った麻衣子に足の手入れの禁止を言い渡された隼人が必死で謝る、というものだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...