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斎藤課長視点(変態注意!)
02.斎藤課長は策略を巡らす
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カランッ
開店準備をしていた金色に近い茶髪に染色した男性店員は、手に持っていたグラスを置いて出入り口の方を向く。
「まだ準備中、って、兄貴か」
店内へ入って来たのが兄だと気付き、男性店員は表情を崩す。
「うん? 何かあったのか?」
開店前のこの時間は、外勤の途中で立ち寄ったのだろう。電話で済まさずに仕事の途中で来るのは、込み入った頼み事がある時のみだ。
「協力して欲しい」
「は?」
前置きなしに出された協力要請に、仕事モードでは完璧で隙の無い兄にしては珍しく余裕の無さを感じ取った。
「俺の理想とする足をした女の子を見つけたんだ。彼女の手触りをこの手で確かめたい」
「はぁっ?」と男性は驚きの声を出す。
一年半前、海外赴任先で付き合っていた白人女性と別れたきり、浮いた話など無く仕事一筋だった兄が頬を染めて興奮している様は、正直気持ちが悪く見えた。
「マジか。兄貴に気に入られた子は可哀そうな、いや、協力って何をすればいいんだ?」
「今度の週末、此処で飲み会を開く。奥の席をとっておいてくれ」
兄が親指で示したのは、半個室になっているテーブル席だった。
「今度の週末って、また急だな。今のところ空いているからいいよ」
「で、その彼女はガードが固くて正攻法では落とすのは無理そうなんだ。強めの酒を用意しておいてほしい」
「あのさ、酔い潰す気なのか? 頼むから犯罪行為だけは止めてくれよ」
何を企んでいるのか読めてしまった崇人は、痛くなってきた額を右手で押さえた。兄がやらかして女性に訴えられでもして、自分と店に火の粉が降りかかるのだけは勘弁してほしい。
「俺がそんなヘマをすると思うのか、崇人? グレーで抑えるに決まってるだろ」
完璧な斎藤課長の顔をした兄は、ニヤリという効果音が聞こえてきそうな悪役な笑みを浮かべた。
総務課に彼氏がいる女性社員にさり気なく飲み会に誘ってもらったが断られてしまい、隼人自ら須藤麻衣子を誘いに行き半ば無理やり飲み会へ参加することを了承させた。
もちろん、飲み会後に利用するホテルの下見を弟にさせることも忘れてはいない。
前日は小学生の時の遠足前日と同じ気分になり、寝付けない上についホテルで彼女を組み敷いている光景を想像して、ガチガチに勃起してしまいさらに眠れなくなった。
飲み会では、若い社員達に囲まれながら隼人はこの後の行動を冷静に組み立てていた。
カウンターの奥から崇人が何か言いたげな視線を送ってきても、全く相手にせず無視をする。
「須藤さん、大丈夫?」
目論見通り、アルコール度数が高い酒をそうとは知らず飲んでいた麻衣子は泥酔状態となり、女子社員に支えられて何とか立っていた。麻衣子を心配するふりをして、隼人は内心ではほくそ笑む。
「俺がタクシーまで連れて行くから、皆は気にせず二次会に行ってくれ」
飲み会で一番騒いでいた、調子がよく発言力がある若い社員に二次会用の一万円入り封筒を渡す。飲み会の間で気になる女子社員が出来た彼は、封筒を受け取ると満面の笑みになった。
「えー、いいんですか? 課長、ありがとうございます。じゃあ、遠慮なく行ってきまーす! お疲れさまでしたー!」
斎藤課長が二次会に参加しないのに女子社員は不満の声を上げるが、男子社員達が彼女たちを引っ張って夜の街へと連れて行った。
まさか、斎藤課長が地味な女子社員をタクシー乗り場まで送らずホテルへ行き、不埒な行為をしようと考えているとは微塵も思いつかないのだろう。
(ふっ、計算通りだな)
社員達の姿が完全に見えなくなり、隼人も店前から移動する。
「麻衣子さん、行こうか」
問い掛けに聞こえているのかいないのか、目蓋を閉じた麻衣子は頷く。興奮のあまり斎藤課長は絶対にしない、鼻歌を歌いながら半ば眠る麻衣子を抱えてホテルへ向かった。
開店準備をしていた金色に近い茶髪に染色した男性店員は、手に持っていたグラスを置いて出入り口の方を向く。
「まだ準備中、って、兄貴か」
店内へ入って来たのが兄だと気付き、男性店員は表情を崩す。
「うん? 何かあったのか?」
開店前のこの時間は、外勤の途中で立ち寄ったのだろう。電話で済まさずに仕事の途中で来るのは、込み入った頼み事がある時のみだ。
「協力して欲しい」
「は?」
前置きなしに出された協力要請に、仕事モードでは完璧で隙の無い兄にしては珍しく余裕の無さを感じ取った。
「俺の理想とする足をした女の子を見つけたんだ。彼女の手触りをこの手で確かめたい」
「はぁっ?」と男性は驚きの声を出す。
一年半前、海外赴任先で付き合っていた白人女性と別れたきり、浮いた話など無く仕事一筋だった兄が頬を染めて興奮している様は、正直気持ちが悪く見えた。
「マジか。兄貴に気に入られた子は可哀そうな、いや、協力って何をすればいいんだ?」
「今度の週末、此処で飲み会を開く。奥の席をとっておいてくれ」
兄が親指で示したのは、半個室になっているテーブル席だった。
「今度の週末って、また急だな。今のところ空いているからいいよ」
「で、その彼女はガードが固くて正攻法では落とすのは無理そうなんだ。強めの酒を用意しておいてほしい」
「あのさ、酔い潰す気なのか? 頼むから犯罪行為だけは止めてくれよ」
何を企んでいるのか読めてしまった崇人は、痛くなってきた額を右手で押さえた。兄がやらかして女性に訴えられでもして、自分と店に火の粉が降りかかるのだけは勘弁してほしい。
「俺がそんなヘマをすると思うのか、崇人? グレーで抑えるに決まってるだろ」
完璧な斎藤課長の顔をした兄は、ニヤリという効果音が聞こえてきそうな悪役な笑みを浮かべた。
総務課に彼氏がいる女性社員にさり気なく飲み会に誘ってもらったが断られてしまい、隼人自ら須藤麻衣子を誘いに行き半ば無理やり飲み会へ参加することを了承させた。
もちろん、飲み会後に利用するホテルの下見を弟にさせることも忘れてはいない。
前日は小学生の時の遠足前日と同じ気分になり、寝付けない上についホテルで彼女を組み敷いている光景を想像して、ガチガチに勃起してしまいさらに眠れなくなった。
飲み会では、若い社員達に囲まれながら隼人はこの後の行動を冷静に組み立てていた。
カウンターの奥から崇人が何か言いたげな視線を送ってきても、全く相手にせず無視をする。
「須藤さん、大丈夫?」
目論見通り、アルコール度数が高い酒をそうとは知らず飲んでいた麻衣子は泥酔状態となり、女子社員に支えられて何とか立っていた。麻衣子を心配するふりをして、隼人は内心ではほくそ笑む。
「俺がタクシーまで連れて行くから、皆は気にせず二次会に行ってくれ」
飲み会で一番騒いでいた、調子がよく発言力がある若い社員に二次会用の一万円入り封筒を渡す。飲み会の間で気になる女子社員が出来た彼は、封筒を受け取ると満面の笑みになった。
「えー、いいんですか? 課長、ありがとうございます。じゃあ、遠慮なく行ってきまーす! お疲れさまでしたー!」
斎藤課長が二次会に参加しないのに女子社員は不満の声を上げるが、男子社員達が彼女たちを引っ張って夜の街へと連れて行った。
まさか、斎藤課長が地味な女子社員をタクシー乗り場まで送らずホテルへ行き、不埒な行為をしようと考えているとは微塵も思いつかないのだろう。
(ふっ、計算通りだな)
社員達の姿が完全に見えなくなり、隼人も店前から移動する。
「麻衣子さん、行こうか」
問い掛けに聞こえているのかいないのか、目蓋を閉じた麻衣子は頷く。興奮のあまり斎藤課長は絶対にしない、鼻歌を歌いながら半ば眠る麻衣子を抱えてホテルへ向かった。
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