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麻衣子さん視点
08.どうやら私は変態で可愛い斎藤課長のことが大好きなようです
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翌朝、ホテルをチェックアウトした麻衣子は、二日ぶりにスマートフォンの電源を入れて眉を顰める。
数件の着信と十数件のメッセージ受信の通知が着ていたのだ。
送信者の名前を確認して、斎藤課長からのものは開くことなく消去した。
地下鉄に乗り目的の駅へ着くと、エステの建物までの道順を示す地図アプリを開く。
駅から徒歩五分程の商業ビルの一階に入っている目的地となるエステは、HPによると女の子が憧れるお城をイメージしたという。
女の子というには年齢が合わない気がして、麻衣子は緊張しながらお洒落な扉のドアノブに手をかけて開いた。
「いらっしゃいませー」
白とピンク色を基調とした、エステというよりイングリッシュカフェかと思わせるお洒落な内装の店内に戸惑う麻衣子を、フリル付きにエプロンドレスに似た可愛らしい制服を着た綺麗な女性が出迎えた。チケットを女性へ渡すと受付へ案内され、彼女は予約票とチケットの名前を照会する。
「須藤麻衣子様、ですね。ご来店ありがとうございます。どうぞ此方へ」
テーブル席へ通された麻衣子は、体験コースについて簡単な説明を受けながらラミネートされた体験メニュー一覧に目を通す。
メニュー表に表記されていたのは、ハンドマッサージ、顔とデコルテのマッサージ、顔のケアとメイク、脱毛体験の4コース。
「私がおススメしているコースは、美顔体験と脱毛体験ですね」
「脱毛……」
メニュー一覧には、脱毛体験は脹脛か腕のどちらかを選べる、と書かれていた。
(足がツルツルになれば斎藤課長は私への興味を無くすはず。そうしたら前と同じ、ただの上司と部下の関係に戻る)
半月間、ハイスペックな課長と恋人関係になれるという、甘い夢を見させてもらっただけ。
今まで通り仕事だけの上司と部下になり、職場と家を往復する波風立たない普通の生活に戻るだけだ。
(以前と同じ生活に戻るだけなのに、どうしてこんなに悲しいの? 斎藤課長は、隼人さんは、ツルツルの足を見たらどんな顔をするのかな)
『ありがとう、麻衣子さん』
作ってくれた料理を食べて、「美味しい」と伝えた時に見せたくしゃりと口元を緩めた嬉しそうな笑顔が、麻衣子の脳裏に浮かんで消える。
冷静沈着な斎藤課長が社外では可愛いで笑うなんて、きっと自分以外の社員は知らない。
『ほら、スベスベになった』
足のムダ毛を剃り終わった足に頬擦りをして感触を確かめる姿、頬を紅潮させて息を荒げて興奮する姿は、隼人だからこそ受け入れられた。
他の男性だったら気持ち悪いと引く以前に、絶対にムダ毛の手入れなんかさせない。
可愛い笑顔を変態行為を思い出す度に、胸の奥がぎゅうっと締め付けられて苦しくなるのは、恐らく……自分は彼のことが。
「須藤様?」
声をかけられて、思考に耽っていた麻衣子はハッと顔を上げた。
「あ、すいません。えーと、じゃあ、体験はこれでお願いします」
人差し指を動かし、メニュー表の中から選んだ体験コースを指差して女性へ伝えた。
数件の着信と十数件のメッセージ受信の通知が着ていたのだ。
送信者の名前を確認して、斎藤課長からのものは開くことなく消去した。
地下鉄に乗り目的の駅へ着くと、エステの建物までの道順を示す地図アプリを開く。
駅から徒歩五分程の商業ビルの一階に入っている目的地となるエステは、HPによると女の子が憧れるお城をイメージしたという。
女の子というには年齢が合わない気がして、麻衣子は緊張しながらお洒落な扉のドアノブに手をかけて開いた。
「いらっしゃいませー」
白とピンク色を基調とした、エステというよりイングリッシュカフェかと思わせるお洒落な内装の店内に戸惑う麻衣子を、フリル付きにエプロンドレスに似た可愛らしい制服を着た綺麗な女性が出迎えた。チケットを女性へ渡すと受付へ案内され、彼女は予約票とチケットの名前を照会する。
「須藤麻衣子様、ですね。ご来店ありがとうございます。どうぞ此方へ」
テーブル席へ通された麻衣子は、体験コースについて簡単な説明を受けながらラミネートされた体験メニュー一覧に目を通す。
メニュー表に表記されていたのは、ハンドマッサージ、顔とデコルテのマッサージ、顔のケアとメイク、脱毛体験の4コース。
「私がおススメしているコースは、美顔体験と脱毛体験ですね」
「脱毛……」
メニュー一覧には、脱毛体験は脹脛か腕のどちらかを選べる、と書かれていた。
(足がツルツルになれば斎藤課長は私への興味を無くすはず。そうしたら前と同じ、ただの上司と部下の関係に戻る)
半月間、ハイスペックな課長と恋人関係になれるという、甘い夢を見させてもらっただけ。
今まで通り仕事だけの上司と部下になり、職場と家を往復する波風立たない普通の生活に戻るだけだ。
(以前と同じ生活に戻るだけなのに、どうしてこんなに悲しいの? 斎藤課長は、隼人さんは、ツルツルの足を見たらどんな顔をするのかな)
『ありがとう、麻衣子さん』
作ってくれた料理を食べて、「美味しい」と伝えた時に見せたくしゃりと口元を緩めた嬉しそうな笑顔が、麻衣子の脳裏に浮かんで消える。
冷静沈着な斎藤課長が社外では可愛いで笑うなんて、きっと自分以外の社員は知らない。
『ほら、スベスベになった』
足のムダ毛を剃り終わった足に頬擦りをして感触を確かめる姿、頬を紅潮させて息を荒げて興奮する姿は、隼人だからこそ受け入れられた。
他の男性だったら気持ち悪いと引く以前に、絶対にムダ毛の手入れなんかさせない。
可愛い笑顔を変態行為を思い出す度に、胸の奥がぎゅうっと締め付けられて苦しくなるのは、恐らく……自分は彼のことが。
「須藤様?」
声をかけられて、思考に耽っていた麻衣子はハッと顔を上げた。
「あ、すいません。えーと、じゃあ、体験はこれでお願いします」
人差し指を動かし、メニュー表の中から選んだ体験コースを指差して女性へ伝えた。
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