普通のOＬは猛獣使いにはなれない

OLは猛獣に翻弄される

猛獣との長い夜が始まる④

　目蓋を閉じると、ベッドの軋み音とクロードの吐息が鮮明に聞こえてきて、否が応でも興奮が高まっていく。

『彼氏が出来たの？』
『飲み友達だって。お互い恋愛感情はないわよ』
『はぁ？　飲み友達？』

　不意に、同僚女性と元彼氏の言葉が脳裏に蘇ってくる。

（彼氏じゃない飲み友達、セフレ。クロードさんとの関係は何が当てはまるのかなんて、今はもういい。今は、触れて欲しい。弄って、いっぱい抱いて欲しい）

　クロードの吐息と体温を感じて、キスされると思った次の瞬間、首筋を食まれて鋭い痛みが走った。

「いっ」

　歯を立てられた痛みで、閉じていた目蓋を開いたクロードの肩を掴む。

「クロードさん、首に痕を残さないで」

　噛まれた痛みとキスマークを付けられた焦りから、退いてもらおうとクロードの肩を押しても彼は動かない。

「……外へ出て来る前に、お前と話していた男は誰だ？」
「男？」

　茹だった頭ではすぐには答えが出て来ず、少し考えてから会社を出る前に元彼氏に会ったことを思い出した。

「彼は、別れた元彼……元恋人で、偶然会ったから話をしただけ」
「元恋人か」

　首筋に滲む血を舐め取り、クロードは顔を上げて上半身を起こす。
　噛まれた痛みで涙を浮かべている紗智子と視線を合わせ、彼女の目元を人差し指の先で拭った。

「元恋人にも、そんな顔を見せたのか？」

　チッと舌打ちしたクロードは、はち切れんばかりに膨らんだズボンの前を寛げる。
　下着に指をかけてずらせば、勢いよく勃起した陰茎が飛び出てくる。
　無言で紗智子の太股を抱えて開かせて、彼女の股の間にクロードは自分の体を押し付けた。

「クロードさん？　ま、待って」

　首の痛みに気を取られていた紗智子は、太股の付け根に触れる熱いモノに気付き、慌てて太股を抱えるクロードへ手を伸ばした。

「もう、十分だろう」

　右手で持った陰茎の先で下生えを掻き分け、辿り着いた秘部の割れ目を亀頭で上下に擦れば、溢れ出た愛液が水音を立てた。
　硬くて熱い陰茎が秘部の入口の浅い場所を擦る、異物感と甘い刺激で体の奥の疼きが増していくばかり。
　何度もクロードに抱かれ、彼の与えてくれる蕩けるような快感を知っている体には、この刺激だけでは物足りない。
「入れて欲しい」と強請りそうになるのを紗智子はぐっと堪え、太股を抱えるクロードの腕に触れた。

「待って。まだゴムを、着けてないっ、だめぇああんっ」

　言い終わる前に、秘部の入口を往復していた亀頭がナカへと押し入り、圧迫感と膣壁を擦る快感で抗議の言葉は嬌声に変わる。

「はぁ、駄目、抜いてよ。避妊しなきゃ、今日は本当に、駄目なの。妊娠、しちゃう、あぁん」

　息を吐いたクロードは、紗智子の制止を無視してさらに腰を押し付けていき、膣の最奥へ到達した亀頭で子宮口を穿った。

「駄目、ではなくイイんだろう？」
「ひぅっ」

　クリトリスを人差し指で弾けば、口では駄目だと言う紗智子の膣壁は悦んで陰茎を締め付ける。
　陰茎を締め付けられる気持ち良さで、目を細めたクロードは息を吐きだすとゆっくりと腰を動かしていく。

「これで孕んだら、お前と子どもの世話はしてやる」
「なん、はぁ、なにを言っているの？　ああっ」

　腰を押し付けて奥を穿つ動きは緩く、前戯せずに挿入した体を気遣いながら律動しているように感じて、紗智子の頭の中が混乱してくる。

（ああっ、駄目、駄目よ）

　優しい動きだけでは物足りなくて、自分で腰を動かしそうになって紗智子は下唇を噛んで、快感に飲み込まれないように堪える。

「世話とか、そういうことじゃない、私はぁ、まだ妊娠したくないの。今日は、危ない日」
「黙れ」
「んんっ」

　抱えていた太股から手を離し、紗智子の上に覆いかぶさったクロードに勢いよく唇を食まれて「嫌だ」という言葉は発せられなくなる。
　半開きだった口の間から舌を捻じ込まれてしまえば、紗智子の口から洩れるのはくぐもった嬌声と吐息だけになった。