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OLは猛獣に翻弄される
猛獣との長い夜が始まる②
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食後のアイスティーを飲み干し、硝子のコップをコースターの上にコップを置く。
「ごちそうさまでした」
紗智子が両手を合わせたのと同時に、クロードもワイングラスをテーブルに置いた。
テーブルに並べられた料理を食べたくても、一般女性並みだと思っている紗智子の胃袋では全ての料理は食べ切れない。
どれを食べようか迷った末、選んだのはグラタンだった。
グラタンとバケットパン数切れ食べて紗智子は満腹になり、他の料理とワインはクロードが平らげた。
長身で筋肉質とはいえ、彼の体のどこに大量の料理とアルコールが入るのか、食事をする度に不思議でならない。
グラタン皿にスプーンを入れて、紗智子は椅子から立ち上がる。
「何処へ行くつもりだ?」
「キッチンです。お皿を洗おうと思って」
「皿は洗わなくていい。後で部下達が片付ける」
「駄目ですよ」
焦げたチーズがこびりついたグラタン皿に視線を向けて、紗智子は首を横に振った。
「ご飯を用意していただいた上に、食器まで洗ってもらうのは部下の方に申し訳ないです」
「そんなことは気にしなくていい」
「気になります。だから」
言葉を切った紗智子は、テーブルの上の皿とクロードの顔を交互に見て、ニッコリと微笑んだ。
「クロードさんも手伝ってくださいね」
「は?」
手伝いを要求されるのは想定外だったらしく、クロードの口から素っ頓狂な声が出た。
冷蔵庫の食器棚が壁際に置いてあるキッチンは、二人並んで立つには狭いため距離が近くなる。
「お皿を拭き終ったら、重ねてください。お皿を重ねたら、風呂敷で包んでおけば持って行きやすいかしら?」
シンク台の引き出しから、友人の結婚式の引き出物を包んでいた風呂敷を取り出す。
「皿が洗ってあるだけで、アイツ等は感激するだろうな。本当にお前は変わった女だ」
「クロードさんがお皿を洗ってくれたって、部下の方々は感激するんじゃないですか?」
「感激? 恐怖で震えるだろうな」
苦笑いしたクロードは布巾をシンク台に置き、紗智子の腰に手を回した。
「片付けはもういいだろう。手伝ったご褒美を貰おうか」
耳元で甘さを含んだ低い声で言われ、紗智子の背中がゾクリと粟立つ。
(あ、もうこんなになってるなんて)
密着するクロードの股間部は、服越しでも硬く盛り上がっているのが分かり、この後の展開に期待して体の奥に疼きが生じる。
「ご褒美って、するのは、まだ駄目です。お風呂に入って、歯みがきもしたいです」
「洗ってもどうせドロドロになるんだ。そのままでいいだろう」
腰から下腹部を撫でるクロードの手の行く先を察して、紗智子は自分の手を重ねて動きを抑える。
「そのままでよくない! 力尽きて寝ちゃうからメイクを落としたいし、ご飯のあとは歯みがきしたいとか、とにかく私が気になるの!」
「くっ、くくく、そうか」
必死に訴える紗智子を抱き寄せて、クロードは肩を震わせて笑い出した。
***
一月前、浴室でセックスをして逆上せて動けなくなった時以来、「浴室ではセックスしない」と紗智子はクロードと約束をしていた。
シャワーを浴びて、全身を洗い流した紗智子が浴室から洗面所へ出るのと同時に、勢いよく洗面所の扉が開く。
「拭くのを手伝おう」
洗面所に入って来たのは、シャツの袖を捲り上げたクロードだった。
「自分で拭けます。あっ」
籠の中に入れていたバスタオルを取ろうと、腕を伸ばした紗智子よりも早くクロードの手がバスタオルを掴む。
抗議の声を上げようとした紗智子の肩に、ふわりとバスタオルが掛けられる。
「拭いてやるからじっとしていろ」
髪を拭くように用意していたタオルを手にして、クロードは愉しそうに口角を上げた。
(もうっ、強引なんだから!)
命じることに慣れた、暴君のような顔になったクロードに何を言っても無駄だと、彼と出会ってまだ一月半という短い期間で嫌というほど理解させられた。
特に、性行為に関することは抵抗を試みても紗智子が受け入れるように、上手くコントロールされてしまうのだ。
「ごちそうさまでした」
紗智子が両手を合わせたのと同時に、クロードもワイングラスをテーブルに置いた。
テーブルに並べられた料理を食べたくても、一般女性並みだと思っている紗智子の胃袋では全ての料理は食べ切れない。
どれを食べようか迷った末、選んだのはグラタンだった。
グラタンとバケットパン数切れ食べて紗智子は満腹になり、他の料理とワインはクロードが平らげた。
長身で筋肉質とはいえ、彼の体のどこに大量の料理とアルコールが入るのか、食事をする度に不思議でならない。
グラタン皿にスプーンを入れて、紗智子は椅子から立ち上がる。
「何処へ行くつもりだ?」
「キッチンです。お皿を洗おうと思って」
「皿は洗わなくていい。後で部下達が片付ける」
「駄目ですよ」
焦げたチーズがこびりついたグラタン皿に視線を向けて、紗智子は首を横に振った。
「ご飯を用意していただいた上に、食器まで洗ってもらうのは部下の方に申し訳ないです」
「そんなことは気にしなくていい」
「気になります。だから」
言葉を切った紗智子は、テーブルの上の皿とクロードの顔を交互に見て、ニッコリと微笑んだ。
「クロードさんも手伝ってくださいね」
「は?」
手伝いを要求されるのは想定外だったらしく、クロードの口から素っ頓狂な声が出た。
冷蔵庫の食器棚が壁際に置いてあるキッチンは、二人並んで立つには狭いため距離が近くなる。
「お皿を拭き終ったら、重ねてください。お皿を重ねたら、風呂敷で包んでおけば持って行きやすいかしら?」
シンク台の引き出しから、友人の結婚式の引き出物を包んでいた風呂敷を取り出す。
「皿が洗ってあるだけで、アイツ等は感激するだろうな。本当にお前は変わった女だ」
「クロードさんがお皿を洗ってくれたって、部下の方々は感激するんじゃないですか?」
「感激? 恐怖で震えるだろうな」
苦笑いしたクロードは布巾をシンク台に置き、紗智子の腰に手を回した。
「片付けはもういいだろう。手伝ったご褒美を貰おうか」
耳元で甘さを含んだ低い声で言われ、紗智子の背中がゾクリと粟立つ。
(あ、もうこんなになってるなんて)
密着するクロードの股間部は、服越しでも硬く盛り上がっているのが分かり、この後の展開に期待して体の奥に疼きが生じる。
「ご褒美って、するのは、まだ駄目です。お風呂に入って、歯みがきもしたいです」
「洗ってもどうせドロドロになるんだ。そのままでいいだろう」
腰から下腹部を撫でるクロードの手の行く先を察して、紗智子は自分の手を重ねて動きを抑える。
「そのままでよくない! 力尽きて寝ちゃうからメイクを落としたいし、ご飯のあとは歯みがきしたいとか、とにかく私が気になるの!」
「くっ、くくく、そうか」
必死に訴える紗智子を抱き寄せて、クロードは肩を震わせて笑い出した。
***
一月前、浴室でセックスをして逆上せて動けなくなった時以来、「浴室ではセックスしない」と紗智子はクロードと約束をしていた。
シャワーを浴びて、全身を洗い流した紗智子が浴室から洗面所へ出るのと同時に、勢いよく洗面所の扉が開く。
「拭くのを手伝おう」
洗面所に入って来たのは、シャツの袖を捲り上げたクロードだった。
「自分で拭けます。あっ」
籠の中に入れていたバスタオルを取ろうと、腕を伸ばした紗智子よりも早くクロードの手がバスタオルを掴む。
抗議の声を上げようとした紗智子の肩に、ふわりとバスタオルが掛けられる。
「拭いてやるからじっとしていろ」
髪を拭くように用意していたタオルを手にして、クロードは愉しそうに口角を上げた。
(もうっ、強引なんだから!)
命じることに慣れた、暴君のような顔になったクロードに何を言っても無駄だと、彼と出会ってまだ一月半という短い期間で嫌というほど理解させられた。
特に、性行為に関することは抵抗を試みても紗智子が受け入れるように、上手くコントロールされてしまうのだ。
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