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背の高いギルが陽菜へ覆いかぶさっている状態は、キスと言うよりも喰らい付いているといった表現の方が正しい。
じゅるじゅると水音を立てて、互いの唾液を混ぜながらギルは肉厚の舌を陽菜の舌に絡ませて、軽く吸い上げる。
強引な行為なのに、触れ合っている部分から互いの熱が広がっていき、陽菜の思考は甘く蕩けていく。
どう足掻いても逃がしてはくれないと理解して、執拗なディープキスに応えるしかなかった。
せめてもの抵抗で、密着する二人の隙間を少しでも開けたくてギルの胸を両手で押そうにも、全く隙間は出来ない。
キッチンのカウンターへ押し付けるように押さえ込まれ、後頭部に回ったギルの手の平と太股には触手が巻き付いている状態で、逃げられるわけがなかった。
流されてはいけないと分かっていても、契約を結んだ三ヶ月間でギルによって教育されてしまった体は陽菜の意思を無視し、いとも簡単に彼を受け入れてしまう。
くちゅくちゅと、舌と舌を絡ませ合う水音が聞こえるのに、舌技に翻弄される陽菜には恥ずかしいと思う余裕はなく、必死で彼の舌の動きに応える。
(キス、気持ちいい)
舌を軽く吸われるキスに息苦しい以外の感情、舌を吸われる気持ちよさを拾い始めた頃、唾液の交換に満足したらしいギルの舌が口腔内から出ていく。
互いの舌と舌を透明な唾液の糸が繋ぎ、プツリと切れて陽菜の口の端に落ちた。
「はぁ……ギル」
唇は離れても後頭部へ回されたギルの腕は離れず、触手と共に荒い呼吸を繰り返す陽菜の体を支える。
「なん、で?」
いきなりキスをした理由と何故止めたのか、両方の意味を込めて潤んだ瞳でギルを見上げた。
全身に広がっていくこの熱は、キスをされた興奮と羞恥によるもの。
そう思おうとしても、太股に巻き付き股間をゆっくりと擦る触手によって、体の奥から甘い疼きが生じてくる。
全身の熱は体の奥から生じる疼きと結びつき、陽菜の全身を支配していく。
「ヒナ」
ギルの長くて形の良い指が、下を向こうとする陽菜の顎を掴み上向けさせる。
見下ろしてくる赤い瞳には、捕らえた獲物の喉元へ今にも牙を突き立て食らおうとする、明らかな欲が浮かんでいた。
「欲情しているな。欲しくなったのか?」
何を欲しているのかは言わず、目を細めたギルは口角を上げた。
彼の外見同様、内面からも肉食獣の獰猛さを感じ取った陽菜の背筋を寒気が走り抜け、キスの快楽に蕩けていた思考が冷えていく。
「ち、違う。欲情なんてしていない。ギルの方こそさっきから、その、当たってるわよ」
身を縮めて睨む陽菜の頬を、伸びて来た触手の先が撫でる。
「俺は欲情しているからな」
「は、え? ちょっと」
後頭部を固定する手と太股に巻き付く触手はそのまま、背中を下りていくギルの手が前へ移動して服の上から陽菜の胸に触れた。
二本の触手がワンピースとキャミソールの裾を一緒に捲り上げ、胸を弄っていた手が露わになった素肌へ触れる。
「いつもと違うな」
「え?」
耳に届いたギルの言葉に、陽菜は目を丸くする。
「あっ」
ブラジャーの中へと入り込んだギルの指先は、レースで縁取られた布をずらし右の乳房を手のひらで包み込んだ。
最初は弱く、時折痛みを感じる寸前の強さで揉みしだき始め、陽菜の口からは甘い吐息が漏れた。
「はぁっ、だめぇ」
親指が時折固くなった乳首を掠めていく。
その度、キスで敏感になった体と砕けかけた腰から下へ、甘い刺激が走り抜けた。
乳房だけを揉む手を握り、「乳首も弄って」というお強請りをしたくなり、声に出す前にハッと我に返る。
せめてもの抵抗として、陽菜はギルの上着を引っ張った。
「ああっ」
乳房だけでは物足りない心を見透かたのか、ギルは揉みしだく手を動かして自己主張する乳首を親指で押した。
「フッ、駄目だと言いつつ、乳首が硬く尖っているぞ」
色気のある低音の声を耳元へ流し込まれ、耳朶を食まれた陽菜の頬が羞恥と興奮で熱くなった。
「だって、胸、触られたら、あんっ」
言い終わる前に、両胸を揉みしだいていたギルは僅かに口角を上げると、乳首を親指と人差し指できゅっと摘まんだ。
両乳首から体に走り抜ける強い刺激与えられ、その衝撃で陽菜は上半身を大きく揺らしてしまった。
「も、止めてよ」
止めて欲しいと口にしながらも、陽菜は体の奥から湧き上がる甘い疼きと太股を擦る触手の行く先を期待して、胸が高鳴っているのを自覚していた。
じゅるじゅると水音を立てて、互いの唾液を混ぜながらギルは肉厚の舌を陽菜の舌に絡ませて、軽く吸い上げる。
強引な行為なのに、触れ合っている部分から互いの熱が広がっていき、陽菜の思考は甘く蕩けていく。
どう足掻いても逃がしてはくれないと理解して、執拗なディープキスに応えるしかなかった。
せめてもの抵抗で、密着する二人の隙間を少しでも開けたくてギルの胸を両手で押そうにも、全く隙間は出来ない。
キッチンのカウンターへ押し付けるように押さえ込まれ、後頭部に回ったギルの手の平と太股には触手が巻き付いている状態で、逃げられるわけがなかった。
流されてはいけないと分かっていても、契約を結んだ三ヶ月間でギルによって教育されてしまった体は陽菜の意思を無視し、いとも簡単に彼を受け入れてしまう。
くちゅくちゅと、舌と舌を絡ませ合う水音が聞こえるのに、舌技に翻弄される陽菜には恥ずかしいと思う余裕はなく、必死で彼の舌の動きに応える。
(キス、気持ちいい)
舌を軽く吸われるキスに息苦しい以外の感情、舌を吸われる気持ちよさを拾い始めた頃、唾液の交換に満足したらしいギルの舌が口腔内から出ていく。
互いの舌と舌を透明な唾液の糸が繋ぎ、プツリと切れて陽菜の口の端に落ちた。
「はぁ……ギル」
唇は離れても後頭部へ回されたギルの腕は離れず、触手と共に荒い呼吸を繰り返す陽菜の体を支える。
「なん、で?」
いきなりキスをした理由と何故止めたのか、両方の意味を込めて潤んだ瞳でギルを見上げた。
全身に広がっていくこの熱は、キスをされた興奮と羞恥によるもの。
そう思おうとしても、太股に巻き付き股間をゆっくりと擦る触手によって、体の奥から甘い疼きが生じてくる。
全身の熱は体の奥から生じる疼きと結びつき、陽菜の全身を支配していく。
「ヒナ」
ギルの長くて形の良い指が、下を向こうとする陽菜の顎を掴み上向けさせる。
見下ろしてくる赤い瞳には、捕らえた獲物の喉元へ今にも牙を突き立て食らおうとする、明らかな欲が浮かんでいた。
「欲情しているな。欲しくなったのか?」
何を欲しているのかは言わず、目を細めたギルは口角を上げた。
彼の外見同様、内面からも肉食獣の獰猛さを感じ取った陽菜の背筋を寒気が走り抜け、キスの快楽に蕩けていた思考が冷えていく。
「ち、違う。欲情なんてしていない。ギルの方こそさっきから、その、当たってるわよ」
身を縮めて睨む陽菜の頬を、伸びて来た触手の先が撫でる。
「俺は欲情しているからな」
「は、え? ちょっと」
後頭部を固定する手と太股に巻き付く触手はそのまま、背中を下りていくギルの手が前へ移動して服の上から陽菜の胸に触れた。
二本の触手がワンピースとキャミソールの裾を一緒に捲り上げ、胸を弄っていた手が露わになった素肌へ触れる。
「いつもと違うな」
「え?」
耳に届いたギルの言葉に、陽菜は目を丸くする。
「あっ」
ブラジャーの中へと入り込んだギルの指先は、レースで縁取られた布をずらし右の乳房を手のひらで包み込んだ。
最初は弱く、時折痛みを感じる寸前の強さで揉みしだき始め、陽菜の口からは甘い吐息が漏れた。
「はぁっ、だめぇ」
親指が時折固くなった乳首を掠めていく。
その度、キスで敏感になった体と砕けかけた腰から下へ、甘い刺激が走り抜けた。
乳房だけを揉む手を握り、「乳首も弄って」というお強請りをしたくなり、声に出す前にハッと我に返る。
せめてもの抵抗として、陽菜はギルの上着を引っ張った。
「ああっ」
乳房だけでは物足りない心を見透かたのか、ギルは揉みしだく手を動かして自己主張する乳首を親指で押した。
「フッ、駄目だと言いつつ、乳首が硬く尖っているぞ」
色気のある低音の声を耳元へ流し込まれ、耳朶を食まれた陽菜の頬が羞恥と興奮で熱くなった。
「だって、胸、触られたら、あんっ」
言い終わる前に、両胸を揉みしだいていたギルは僅かに口角を上げると、乳首を親指と人差し指できゅっと摘まんだ。
両乳首から体に走り抜ける強い刺激与えられ、その衝撃で陽菜は上半身を大きく揺らしてしまった。
「も、止めてよ」
止めて欲しいと口にしながらも、陽菜は体の奥から湧き上がる甘い疼きと太股を擦る触手の行く先を期待して、胸が高鳴っているのを自覚していた。
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