15 / 40
学園編序章
ろくろを回して夢を語れ
しおりを挟む
「リーゼロッテ、大丈夫?」
「あ、え?」
クロエに肩を揺すられ、はっと我に返ったリーゼロッテは、そのまま自分の隣に立つクロエを見上げた。
「体調悪いの?これから昼休憩だけれど、リーゼロッテは救護室に行く?」
「あ、ううん。なんでもないの。考え事をしていて」
そう、よかった。とクロエが笑うから、つられてリーゼロッテも微笑んだ。
けれど、その頰をクロエがびょーんと引っ張るから、何事かと目を瞬く。
「リーゼロッテ、ほっぺたはすごく柔らかいのにね」
「もう!怒るわよ、クロエ」
「ごめんごめん」
ぱっとリーゼロッテの頰を離したクロエはけらけらと笑った。クロエの態度が、侯爵令嬢に対するそれではないと非難されているのを知っている。
けれど、それはリーゼロッテが頼んだからだ。
クロエへの陰口に気づいてリーゼロッテが訂正した時にはもう、クロエのそれは染み付いていてーー……いいや、違う。クロエは、リーゼロッテがさみしくないようにこうやって振舞ってくれているのだった。
本当に気遣いの塊みたいな友人だ。
「クロエはさ、何にでもなれそうよね」
「どういうこと?」
「丁寧だし、気遣いもできるし、勉強もできる。おまけにセンスまでいいんだもの。どんな職にも就けそう」
言い切って、あっと思う。
そういえば職につくなんて庶民の考えだ。子爵家の令嬢たるクロエには失礼なことばだったかもしれない。
「あ、ご、ごめんね、あの、今のは」
「職……」
クロエは、はっとしたような顔をしてリーゼロッテを見ていた。そこに、嫌悪の色は見られない。
困惑するリーゼロッテに、ややあって、クロエはそうなのだわ、と口にして、胸の前で腕を組んだ。
「リーゼロッテ、本当に、本当に、私、職業婦人になれると思う?」
「え、うん、もちろん。だってクロエはなんでもできるもの。かわいいし、見た目が重視される職にだってつけるわ」
受付や接客業もいいかもしれない。こう、クロエは人を安心させる容姿をしているから。信用が置けて、なんだって話してしまう。そういう表情と仕草をしていることは、前世的な観点から見ても十分以上に強みだ。
「かわいいはリーゼロッテに言われてもよくわかんないわ」
「失礼な」
「だってリーゼロッテはとってもとっても美人だもの。……でも、そうね」
クロエは、そう言って笑った。
きらきらした目が、リーゼロッテを見つめている。
「私ね、侍女になりたいの。夢はでっかく、王宮の侍女!」
「ええっ!すごいすごい!クロエ、それ、エリートじゃない!絶対なって!」
リーゼロッテは思わずはしゃいだ。王宮の侍女といえば、つまりは王族に仕えるひとーーこの国における、職業婦人の頂点だ。
リーゼロッテの反応に、クロエは嬉しそうに目を細めた。
「それでね、それでね。私、かわいいお姫様にお支えしたいの!」
「この国にはお姫様はいないけど……」
ちっちっち、とクロエはひとさし指を振った。
「王子様がいらっしゃるじゃない。アルブレヒト王太子殿下が婚約者を迎える頃には、私だって卒業よ。待ち遠しいわ……綺麗な綺麗なお姫様を着飾って愛でて暮らすのよ」
げ。リーゼロッテはアルブレヒトの名を聞いて苦虫を噛み潰した心地だった。
あの王太子の婚約者事情として、ゲームの中ではヒロイン以外に語られない。 すなわち相手の候補はリーゼロッテで……。いやいやないないありえない!
「……そうね!他国のお姫様とかね!」
「貴族令嬢なもしれないわ……まあ、リーゼロッテは除外として」
「どういう意味よ」
おどけていうクロエは、リーゼロッテの心中を察してくれたのだろうか?
そういう雰囲気ではなかったが、王太子の相手役として自分が外れていてほっとした。
だからリーゼロッテはふざけて、私じゃ役不足?などと返したのだが、即座になぜかクロエは目をそらして口笛を吹きはじめた。なぜ冷や汗をかく。
「そ、そうねえ。例えば、ヒュントヘン公爵家に双子の、お姫様、いらっしゃるじゃない。家格的にはそこらへんじゃないかしら……うーん。でも、私の好みのお姫様じゃないのよね」
「さらっと失礼だわ、クロエ」
「私は!お姫様を!綺麗にしたいの!こだわりは捨てないわ。こう、こうね、透き通るみたいに綺麗なお姫様におつかえしたいのよ」
手でろくろを回すような動作をしてクロエのこだわりはヒートアップしていく。
だからリーゼロッテはこりゃあしばらく帰ってこないわ、と思って、壁に掛けられた時計を見上げた。
ーーと。
「クロエ!戻ってきて!食堂が混む時間だわ、はやく行かないと」
「待ってもう少し語らせて!」
「く、くろえ……」
講義室の扉を半開きにしたまま、リーゼロッテはどうしようかと思った。
クロエはリーゼロッテを待ってくれたのだし、待つべきということはわかっている。が、そろそろ我に返ってもらわねば2人とも昼ご飯を食いっぱぐれてしまいそうだ。
かたん、と音がした。なんとなく振り返ったリーゼロッテは、廊下の方へ視線をやった。
ーーその時、影からきて、不意討ちまがいににリーゼロッテの腰を掴んで強く引くものがあった。
えっ、とリーゼロッテの口から音が発せられる前に、リーゼロッテは廊下に引きずり出される。
そうして、扉の陰に閉じ込めるように、誰かの両腕で行く道を塞がれた。
さらりとした薄い金髪が、リーゼロッテの視界に入る。リーゼロッテより頭一つ分以上ほどに背の高い、緑の目をした、涼しげな顔立ちの少年ーーいや、青年だろうか。
その人が、瞳の緑に炎のような熱をたたえ、リーゼロッテを見下ろしていた。
「ーーリズ」
記憶のものよりずっと低くなった声。けれど、その呼び名は、ただ1人だけに許されたものだ。
リーゼロッテは、胸のリボンをぎゅっと握った。
恐る恐る、口を開く。
「ヴィー……」
ひさびさに会った大切な人は、記憶の中の彼とどこまでも同じでーーしかし、何もかもが違っていた。
「あ、え?」
クロエに肩を揺すられ、はっと我に返ったリーゼロッテは、そのまま自分の隣に立つクロエを見上げた。
「体調悪いの?これから昼休憩だけれど、リーゼロッテは救護室に行く?」
「あ、ううん。なんでもないの。考え事をしていて」
そう、よかった。とクロエが笑うから、つられてリーゼロッテも微笑んだ。
けれど、その頰をクロエがびょーんと引っ張るから、何事かと目を瞬く。
「リーゼロッテ、ほっぺたはすごく柔らかいのにね」
「もう!怒るわよ、クロエ」
「ごめんごめん」
ぱっとリーゼロッテの頰を離したクロエはけらけらと笑った。クロエの態度が、侯爵令嬢に対するそれではないと非難されているのを知っている。
けれど、それはリーゼロッテが頼んだからだ。
クロエへの陰口に気づいてリーゼロッテが訂正した時にはもう、クロエのそれは染み付いていてーー……いいや、違う。クロエは、リーゼロッテがさみしくないようにこうやって振舞ってくれているのだった。
本当に気遣いの塊みたいな友人だ。
「クロエはさ、何にでもなれそうよね」
「どういうこと?」
「丁寧だし、気遣いもできるし、勉強もできる。おまけにセンスまでいいんだもの。どんな職にも就けそう」
言い切って、あっと思う。
そういえば職につくなんて庶民の考えだ。子爵家の令嬢たるクロエには失礼なことばだったかもしれない。
「あ、ご、ごめんね、あの、今のは」
「職……」
クロエは、はっとしたような顔をしてリーゼロッテを見ていた。そこに、嫌悪の色は見られない。
困惑するリーゼロッテに、ややあって、クロエはそうなのだわ、と口にして、胸の前で腕を組んだ。
「リーゼロッテ、本当に、本当に、私、職業婦人になれると思う?」
「え、うん、もちろん。だってクロエはなんでもできるもの。かわいいし、見た目が重視される職にだってつけるわ」
受付や接客業もいいかもしれない。こう、クロエは人を安心させる容姿をしているから。信用が置けて、なんだって話してしまう。そういう表情と仕草をしていることは、前世的な観点から見ても十分以上に強みだ。
「かわいいはリーゼロッテに言われてもよくわかんないわ」
「失礼な」
「だってリーゼロッテはとってもとっても美人だもの。……でも、そうね」
クロエは、そう言って笑った。
きらきらした目が、リーゼロッテを見つめている。
「私ね、侍女になりたいの。夢はでっかく、王宮の侍女!」
「ええっ!すごいすごい!クロエ、それ、エリートじゃない!絶対なって!」
リーゼロッテは思わずはしゃいだ。王宮の侍女といえば、つまりは王族に仕えるひとーーこの国における、職業婦人の頂点だ。
リーゼロッテの反応に、クロエは嬉しそうに目を細めた。
「それでね、それでね。私、かわいいお姫様にお支えしたいの!」
「この国にはお姫様はいないけど……」
ちっちっち、とクロエはひとさし指を振った。
「王子様がいらっしゃるじゃない。アルブレヒト王太子殿下が婚約者を迎える頃には、私だって卒業よ。待ち遠しいわ……綺麗な綺麗なお姫様を着飾って愛でて暮らすのよ」
げ。リーゼロッテはアルブレヒトの名を聞いて苦虫を噛み潰した心地だった。
あの王太子の婚約者事情として、ゲームの中ではヒロイン以外に語られない。 すなわち相手の候補はリーゼロッテで……。いやいやないないありえない!
「……そうね!他国のお姫様とかね!」
「貴族令嬢なもしれないわ……まあ、リーゼロッテは除外として」
「どういう意味よ」
おどけていうクロエは、リーゼロッテの心中を察してくれたのだろうか?
そういう雰囲気ではなかったが、王太子の相手役として自分が外れていてほっとした。
だからリーゼロッテはふざけて、私じゃ役不足?などと返したのだが、即座になぜかクロエは目をそらして口笛を吹きはじめた。なぜ冷や汗をかく。
「そ、そうねえ。例えば、ヒュントヘン公爵家に双子の、お姫様、いらっしゃるじゃない。家格的にはそこらへんじゃないかしら……うーん。でも、私の好みのお姫様じゃないのよね」
「さらっと失礼だわ、クロエ」
「私は!お姫様を!綺麗にしたいの!こだわりは捨てないわ。こう、こうね、透き通るみたいに綺麗なお姫様におつかえしたいのよ」
手でろくろを回すような動作をしてクロエのこだわりはヒートアップしていく。
だからリーゼロッテはこりゃあしばらく帰ってこないわ、と思って、壁に掛けられた時計を見上げた。
ーーと。
「クロエ!戻ってきて!食堂が混む時間だわ、はやく行かないと」
「待ってもう少し語らせて!」
「く、くろえ……」
講義室の扉を半開きにしたまま、リーゼロッテはどうしようかと思った。
クロエはリーゼロッテを待ってくれたのだし、待つべきということはわかっている。が、そろそろ我に返ってもらわねば2人とも昼ご飯を食いっぱぐれてしまいそうだ。
かたん、と音がした。なんとなく振り返ったリーゼロッテは、廊下の方へ視線をやった。
ーーその時、影からきて、不意討ちまがいににリーゼロッテの腰を掴んで強く引くものがあった。
えっ、とリーゼロッテの口から音が発せられる前に、リーゼロッテは廊下に引きずり出される。
そうして、扉の陰に閉じ込めるように、誰かの両腕で行く道を塞がれた。
さらりとした薄い金髪が、リーゼロッテの視界に入る。リーゼロッテより頭一つ分以上ほどに背の高い、緑の目をした、涼しげな顔立ちの少年ーーいや、青年だろうか。
その人が、瞳の緑に炎のような熱をたたえ、リーゼロッテを見下ろしていた。
「ーーリズ」
記憶のものよりずっと低くなった声。けれど、その呼び名は、ただ1人だけに許されたものだ。
リーゼロッテは、胸のリボンをぎゅっと握った。
恐る恐る、口を開く。
「ヴィー……」
ひさびさに会った大切な人は、記憶の中の彼とどこまでも同じでーーしかし、何もかもが違っていた。
0
お気に入りに追加
993
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる