アルファの私がアルファの皇太子に溺愛執着されていますっ!

高遠すばる

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番2(性描写あり)

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「君が、かわいいなって思って……。君をこの腕に抱ける日が来るなんて、夢みたいだって、思ったんだ」
「……夢じゃないわ」
 息を吸って、アンリエッタは言った。見上げて口にした声は、フェリクスに届いただろうか。……届いただろう。
 フェリクスの目がゆっくりと瞬いてアンリエッタを映す。
 その目には、アンリエッタでもわかるほどの愛情がにじんでいて。近づく距離に、アンリエッタは静かに目を閉じて、その唇を受け入れた。
 触れた唇は甘く、ミルクのような味がした。それはアンリエッタのアルファ――フェリクスのフェロモンによるもので、アンリエッタは「私はこのひとの番なんだわ」と思い知らされるようだった。
 それが胸をぎゅっと締め付け、アンリエッタの心に多幸感をもたらす。フェリクスの胸についた手を握られ、その熱さに溶けてしまうようですらあった。
 しゅるり、と胸元のリボンがほどかれた。シルクのやわらかな素材でできた寝衣はフェリクスの手で簡単にはだけられてしまう。
 思わず隠そうとした手をそっと取られ、アンリエッタの顔が赤面した。
「アンリエッタ……綺麗だ……」
 ため息をついて、フェリクスがアンリエッタを見下ろす。
 窓から入る月の光がアンリエッタの裸身を照らし、白く映えるようなアンリエッタの体が暗い中に浮かび上がっている。
 アンリエッタの胸を、フェリクスの指が包み込む。そこにはペンだこができていて、フェリクスが普段どれほど政務に尽力しているのかがわかった。
 それを尊いと思いこそすれ、嫌だと思うことはあるはずがない。だというのに、フェリクスはひとつひとつの動作の中で、アンリエッタの様子を確認しながら行為を進めてくれた。
 手のひらで揉まれた胸の中央――ぴんと硬くなった小さな蕾がフェリクスの指先に触れた瞬間、アンリエッタは小さく甘やかな声をあげた。
「ふ、ぁ」
「アンリエッタ……」
 それが、アンリエッタが感じ入っている証だと理解したのだろう。フェリクスはその唇に笑みをはいてアンリエッタを見つめた。
「かわいい……ここ、少し触れただけで、まるで茱萸の実みたいに赤く、硬くなって」
「や、いわ、ないでぇ……ッ」
 アンリエッタの白銀の――月の光をより集めたような髪が、アンリエッタの頭が揺れるのに合わせてぱさ、ぱさ、とシーツをたたく。
 汗ばんだ手で白いシーツを握りしめる――その手を、もう片方の手でなだめるように撫でられて、アンリエッタはそれだけで頭の中が溶けてしまう心地だった。
 胸を、鎖骨を指で確かめるように撫でられながら、アンリエッタの薄く開いた唇には今一度の口づけが降ってくる。戸惑って縮こまる舌に絡みつかれ、アンリエッタはふうふうと鼻から息を吐く。
 歯列を辿られ、舌の根元を甘やかすように愛撫されて――……アンリエッタはくちゅ、と水音を立てる足をすり合わせた。
「フェ、い、くす」
「ん……、アンリエッタ、かわいい。かわいいね……」
 フェリクスがアンリエッタをかわいいという。
 フェリクスが好き、好き、好き――……そんな想いでいっぱいになって、アンリエッタはうっすらを目を開けてフェリクスを見上げた。フェリクスの空色の目がアンリエッタの視界一杯に広がる。アンリエッタはあ、と思った。もうだめ、こんな、愛しくて仕方ないという目で見られては、もウ戻れなくなる。アンリエッタはすべてをさし出して、どうか私を愛してくださいとその腕に包まれることしかできなくなる。
 フェリクスの手が、すい、と腹を撫でる。そこは子を宿す場所だ。アンリエッタは、このひとの――フェリクスの子を、この腹に抱き、はぐくむのだ。
 それを自覚して、アンエッタは自分の唇に笑みが浮かんでいることを理解した。
 この、アンリエッタを愛してくれているひとの子供を抱いて、愛したい。あたたかで愛しいだけの、胸がときめくような感情がやさしくアンリエッタを包み込む。
「フェリクス、すき、あなたが、すき」
 うわごとのようにつぶやいた言葉は、フェリクスの目を丸くさせたらしかった。一瞬驚いて目を見張ったフェリクスは、アンリエッタの腹に手を置いたまま硬直して。
 けれど、しばしののちに我を取り戻したのか、フェリクスはアンリエッタの手を握っていた手をそっと解放して、そのまま自分の顔を覆った。
「なんで、そんなにかわいいことを言うかな……」
「フェリクス……?」
「僕も、君を好きだ、愛しているよ。アンリエッタ」
 顔中に、雨のようなくちづけが降らされる。それがくすぐったくて肩をすくめたアンリエッタに微笑んだフェリクスが、アンリエッタの下肢の間――ぬかるんだそこへ、指を滑らせた。
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