アルファの私がアルファの皇太子に溺愛執着されていますっ!

高遠すばる

文字の大きさ
上 下
29 / 61

はじめて5(性描写あり)

しおりを挟む
「あなたを、助けに来たのよ、フェリクス」
 言って、アンリエッタはガウンをその場に落とした。
 メイドの手によって着せ付けられた煽情的なネグリジェは、大切な場所が隠れていない、薄い生地のものだ。アンリエッタの目から見てもはしたないように思える。
 けれど、これはアンリエッタの勝負服なのだ。アンリエッタを頼ってくれないくせに、自己犠牲ばかり激しいフェリクスとの。
 アンリエッタのしどけない姿を目にして、フェリクスは硬直した。
「アンリエッタ、どうして」
 そう、戸惑う声がする。
 しかしその声は次第に熱を孕んだ吐息に取って代わられて、フェリクスは重い体を引きずるようにしてアンリエッタのもとに歩み寄ってきた。
 アンリエッタはにらむようにフェリクスを見た。恥ずかしくて目を逸らしたい、でもフェリクスを助けたいという想いが、アンリエッタの目を逸らさせなかった。
 ふいに、がばりと抱き着かれる。アンリエッタは突然の強い抱擁に息を吐きだした。
 耳元に、フェリクスの荒い吐息が触れる。
 フェロモンが強くなる。アンリエッタの喉を、鼻を、肺をも侵食するようだった。
「アンリエッタ、そんなことをして、もう後戻りはできないよ。僕は今、もうほとんど理性が持ちそうにない」
「ええ、いいわ。私はフェリクスにそうされるために来たんだもの。……私が困ったら、あなたが助けてくれるんでしょう?なら、あなたが困ったときは、私が助けなきゃ。……番、なんですもの」
 アンリエッタが言う。
 ――その、言葉が、皮切りだった。
 噛みつくように口付けられて、戸惑う舌に絡みつかれて。
 フェリクスは、アンリエッタを抱き上げてベッドに向かった。天蓋をいささか乱暴に払ってアンリエッタを横たえる。
 はっと見やる、わずかなろうそくの明かりに照らされたフェリクスの目は、ぎらぎらと輝いていた。欲望のたぎる、雄の目――アルファの、これから自分のオメガを愛するのだという意思のこもったまなざし。
「アンリエッタ……震えているのか?」
「し、かたないでしょう、はじめてなんだから」
 アンリエッタの声に、フェリクスは気分を良くしたようにふっと口角をあげた。
 いつもの優しいだけのフェリクスが、こんな顔をするなんて、とアンリエッタは思った。
 まるで二重人格みたいだわ、と。
 フェリクスが、アンリエッタの首筋に舌を這わせて横目でアンリエッタを見る。
 ただ舐めるだけなのに、時折うなじのあたりに犬歯をつうと沿わされると、どうにかなりそうになる。叫びだしたいような、そのままぎゅっと抱きしめてほしいような、おかしな気持ちに。
「は、ぁ、ああ」
「アンリエッタ……かわいい、かわいいね」
「そこ、そこでしゃべらないでぇ……ッ」
 吐息でかき混ぜるように、耳にフェリクスの甘い声が吹き込まれる。太ももをすり合わせて、アンリエッタは声をあげた。
 自分から、こんな、信じられない声が出るなんてしらなかった。
 フェリクスの指先がアンリエッタの鎖骨を辿って、胸の、わずかに色付いた薄桃色の蕾に触れる。最初、確かめるように触れられていたそこは、フェリクスの指先が次第に激しくなって、きゅうう、くりり、とつまむように触れてから、そこはまるで茱萸の実のようにたちあがり、硬くなった。
 フェリクスが、アンリエッタの形よい胸に手のひらを当てて、胸の尖りごと揉み込むと、フェリクスの手のひらに小さな蕾がつぶされる。片方はそうされておいて、もう片方の胸は触れられぬまま――アンリエッタはどうしようもない気持ちになって、ただフェリクスの手の動きに翻弄されることしかできなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

処理中です...