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後後266 妹ができた件

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熊の工房
「えー、今は出張しないねーですわ。だってほら、農国王離宮建築受けちゃったし。でも王都にあるのにねぇ、またここにも・・・。」
と熊はいまいち乗り気ではなさそう。

「先に南の開拓村の社たのんます!」とお願いしてみる。
「もちろんあの公爵には俺から言っておくから!」と。
そんなら、と快く引き受けてくれる熊。
社のほうがよほど面白そうだ、と小さい熊のつぶやきが聞こえた。

「あ、公爵邸は熊じゃないの?」
「ああ、あれは公爵が弟子でいいっていうんで小熊に任せた」
ほう、物分りいいな?
(できねーって断ったんじゃないか?で、誰でも良いからとか・・)泉さん
なるほど

ひとの留守中にちゃっかしシューレから許可とって村長の家の側に自分の屋敷作ること始めちゃうんだもんなー。
ちゃっかり公爵だよなー。ばあさんてちゃっかりしてるの結構多いよなー。(ガクの感覚です。)


数日後
「ええええ!領主様受けてくれないって?!!」ガク
「そうじゃ。許可はくれたが、なんか忙しいって。」村長
「学園に姪っ子ヲッチに行くのが忙しいんだなっつ!!!」
「よくわからんが、毎日王都に出かけているぞ?」
くっそー、どうしよ?

ここはトリミング小屋。村長が領主様に話を持ってった結果を話しに来ている。

「いんじゃないか?この際、あのリーダーにやらせてみりゃーいんじゃないか?打ち合わせとかで村の外の者達と会うようになるだろ?やつはそろそろサブリーダー作るべきだろうし。」
と、良いこと言う泉さん。

「んじゃ、そこんとこヨロシク!泉さん!!」
俺かよ、と泉さん。
そりゃそーよ、泉さん配下の村だもん!

「っていうか、こっから将軍様の離宮の門使って王都行けるじゃん!領主様ここに住んでこっから通えばいいのに!!」
「いや、やっぱ領主は領都にいなけりゃいろいろ不味いだろ。第一部下が不便だ。」泉さん
確かに、領主様がここに長く滞在するときは将軍様が滞在している時くらいだ。むぅ、仕方がない・・と諦めた。

結局、あの村のリーダーが指揮者になってガクと泉が手伝うことになった。

だが、「おまえは旅の前までに一人でも多くトリミング終わらせておけ。」と、手伝いの大半は泉さんがやってくれている。

なのでなんだかんだあっという間に祭りの時が近づいてきた。

今回は上村、下村、いずみ村、小館村、そしてホストの南の開拓村が正式に参加する最初の祭りになった。
もちろん祝詞は領主様が奏上し、神楽はまたカタリーナ隊にお願いし、舞は前回の子達にお願いした。

屋台希望者は数倍に増えた。そりゃそうだ、参加する村が数倍になったのだから。
村から街道までの道の両脇、全部埋め尽くされそうだ。収穫後でなければ到底できなかった。畑荒さられちゃうからね!

社はこじんまりしているが、とてもきれいで美しいものを作ってくれた。
高さは人の背丈より僅かに高いくらいだが、部品一つ一つが丁寧に作られている。造形も良い。彫りも、余計なところには無く、でもあると良いと思われるところには丁寧で良いものが彫られている。
よく磨かれていて、とても長持ちしそうだ。

御札はシューレに書いてもらおうと泉さんと話したが、そのシューレが「泉かガクが書け」と言ったので、字がよほどきれいな泉さんに書いてもらった。豊穣神。


そんな時に
(なんか学園が大変らしいぞ?)
と、シューレから念話が入る。

なぜシューレ?
(おもしろいんでヲッチしてるからな!)
だそーです。

流石に将軍様の離宮は使えないんで、領主様の離宮のゲートから領都に、領都のゲートから王都に行った。
騎士団駐屯地に出るので、そこから学園はすぐだ。

・・・・・なにやってんの?

「がくえんさいとかいうものを始めてるそうです」と、門衛。

目の前に広がる光景。
前庭がぐちゃぐちゃ。なんか作ろうとして失敗した様子?
玄関前のロータリーの真ん中の噴水に、いろいろ装飾のつもり?されて、小汚く・・
門から見える側の窓にはなんかうちがわから貼られているのだろう、規則性も何もないので小汚く見える。

「なんでこんなこと、始めたの?」
「なんでも、華子様が・・・」
博子かっつ!!

もしかしたらうちの祭りの話を知って、
祭り→自分達もやりたい→学校→学園祭
で、華子をそそのかし・・・
だな!。

大人たちはなぜ阻止しなかった?

まず学園長室に!
ごんごん!がちゃっ!!
「あ!」
領主様もいるよ?

「おう、何を怒っている?」領主様
「・・・いや、何なんですか?この有様は?」ガク
「学園祭だと言っている。楽しそうにやってるぞ?」領主様
「うん、たまにはこういう気晴らしも気分転換になって良い刺激になるのではないかな?」学園長

「まぁ、わかってやらせてるのであれば、まぁ・・・。」
なんか気が削がれた・・・。
来なくて良かったかな?
アホみたい?

「で、いつやるんですか?その祭りって。」
「えと、来年の
あっほかあああああああああああああ!!!
勉強したくないんで授業つぶしの理由にしただけだろうがあああああああああ!!!
学園祭準備なんかふつう一週間もないわあああああああ!!!!
と、いう怒声が学園中に響き渡った。

今、秋の真っ只中である。

「あと、5日後から3日間。それが学園祭日程です。決定にしてくださいね?これ以上は面倒見きれませんよ?」
と、こめかみに青筋たてながら、笑顔で学園長と領主様に宣言した。

学園長、隣の事務室に入って「今すぐ学園中に通達してこい!」と日程を言って回る者達を手配始めた。

領主様しょぼんとしている。
「領主様?ここにゲートがあるのだから、金曜日、学校が終わったら領都の領主邸にあの子が帰ってくるようにすればいいんじゃないですか?あの子は身内です。領主様が引き取るのが筋です。遠慮なんかしないでください。あの子は何も言わないけど、多分、喜んで引き取られます。」
と言ってみる。

「そうかのう・・。あまり話もせんのでな。」
「お互い、恥ずかしがってるようですね」
「そうなのかのう・・」
「うちの子になってくれ、って言えばいいじゃないですか。お前がたった一人の身内なのだ、頼む!って」
「拒否されたら・・」
「その時は今までと同じでしょう?影から援助してやればいい。結局彼女が幸せに成れば領主様は嬉しいでしょう?彼女がどこにいても、それが最も重要でしょ?」
「うむ・・・。」

「じゃ、いきましょう、今、どこにいるのですか?」
「教室に居ると思う。」

領主様と一緒に教室に向かう。
徐々に足取りがしっかりしてきた様に見える。
さすが戦人だ。俺らの世界のものだと、多分近づくに連れビビりが強くなるだろう。

教室の扉は開け放っていた。作業で出入りが激しいからだろうか。

教室の前の廊下にいて、壁に太筆で何か書いていた響子。
見ると、
”最強軍団東武領軍”で、狼だろう、犬ににている画が数匹分。
壁アート?
見回すと、他の場所にもいろいろ画が書いてある。
博子・・・ろくでもねーことしか教えてないんじゃねーの?それこそスラムにしそうな勢いでっ!!!

領主様は、その画と文字を見つめている
「響子、わしの子になってくれ。わしの、わたしの身内はもうおまえしかいないのだ!たのむ!」
「・・いいんですか?わたしは・・アレですよ?」
「え?アレ?よくわからんが、なんでもよい!家族は家族だ!」
「しかたありませんねー、お、おとー・さま」
大歓声と拍手の嵐

泣き崩れる領主嗚咽をあげる、そのまえでしゃがみ、あたまをそっと抱いてやる響子。

近づいて訊いてみる
「アレって特に何考えつかなかったんでしょ?」
「急にだったもんで、つい焦ってしまい、気の利いたことは言えませんでしたわw」
眼鏡の中の目には涙が溢れていた。

あ、この子も怖かったんだな、拒否されるのが。
でもなー、毎日見に来てるんだぞ?わかるよなぁ?
それでもやっぱ、怖かったんだろうな。いづれ来なくなる、とか・・・。

でも、東武領のこととか訊いていたんだろう。だからこその・・そして唯一の肉親へのメッセージでもあったんだ。

「俺のな、親代わりは領主様なんだ。おまえは俺の妹だ。よろしく響子。」
「よろしくお兄様」

更に嗚咽が激しくなる領主様。
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