397 / 409
後後266 妹ができた件
しおりを挟む熊の工房
「えー、今は出張しないねーですわ。だってほら、農国王離宮建築受けちゃったし。でも王都にあるのにねぇ、またここにも・・・。」
と熊はいまいち乗り気ではなさそう。
「先に南の開拓村の社たのんます!」とお願いしてみる。
「もちろんあの公爵には俺から言っておくから!」と。
そんなら、と快く引き受けてくれる熊。
社のほうがよほど面白そうだ、と小さい熊のつぶやきが聞こえた。
「あ、公爵邸は熊じゃないの?」
「ああ、あれは公爵が弟子でいいっていうんで小熊に任せた」
ほう、物分りいいな?
(できねーって断ったんじゃないか?で、誰でも良いからとか・・)泉さん
なるほど
ひとの留守中にちゃっかしシューレから許可とって村長の家の側に自分の屋敷作ること始めちゃうんだもんなー。
ちゃっかり公爵だよなー。ばあさんてちゃっかりしてるの結構多いよなー。(ガクの感覚です。)
数日後
「ええええ!領主様受けてくれないって?!!」ガク
「そうじゃ。許可はくれたが、なんか忙しいって。」村長
「学園に姪っ子ヲッチに行くのが忙しいんだなっつ!!!」
「よくわからんが、毎日王都に出かけているぞ?」
くっそー、どうしよ?
ここはトリミング小屋。村長が領主様に話を持ってった結果を話しに来ている。
「いんじゃないか?この際、あのリーダーにやらせてみりゃーいんじゃないか?打ち合わせとかで村の外の者達と会うようになるだろ?やつはそろそろサブリーダー作るべきだろうし。」
と、良いこと言う泉さん。
「んじゃ、そこんとこヨロシク!泉さん!!」
俺かよ、と泉さん。
そりゃそーよ、泉さん配下の村だもん!
「っていうか、こっから将軍様の離宮の門使って王都行けるじゃん!領主様ここに住んでこっから通えばいいのに!!」
「いや、やっぱ領主は領都にいなけりゃいろいろ不味いだろ。第一部下が不便だ。」泉さん
確かに、領主様がここに長く滞在するときは将軍様が滞在している時くらいだ。むぅ、仕方がない・・と諦めた。
結局、あの村のリーダーが指揮者になってガクと泉が手伝うことになった。
だが、「おまえは旅の前までに一人でも多くトリミング終わらせておけ。」と、手伝いの大半は泉さんがやってくれている。
なのでなんだかんだあっという間に祭りの時が近づいてきた。
今回は上村、下村、いずみ村、小館村、そしてホストの南の開拓村が正式に参加する最初の祭りになった。
もちろん祝詞は領主様が奏上し、神楽はまたカタリーナ隊にお願いし、舞は前回の子達にお願いした。
屋台希望者は数倍に増えた。そりゃそうだ、参加する村が数倍になったのだから。
村から街道までの道の両脇、全部埋め尽くされそうだ。収穫後でなければ到底できなかった。畑荒さられちゃうからね!
社はこじんまりしているが、とてもきれいで美しいものを作ってくれた。
高さは人の背丈より僅かに高いくらいだが、部品一つ一つが丁寧に作られている。造形も良い。彫りも、余計なところには無く、でもあると良いと思われるところには丁寧で良いものが彫られている。
よく磨かれていて、とても長持ちしそうだ。
御札はシューレに書いてもらおうと泉さんと話したが、そのシューレが「泉かガクが書け」と言ったので、字がよほどきれいな泉さんに書いてもらった。豊穣神。
そんな時に
(なんか学園が大変らしいぞ?)
と、シューレから念話が入る。
なぜシューレ?
(おもしろいんでヲッチしてるからな!)
だそーです。
流石に将軍様の離宮は使えないんで、領主様の離宮のゲートから領都に、領都のゲートから王都に行った。
騎士団駐屯地に出るので、そこから学園はすぐだ。
・・・・・なにやってんの?
「がくえんさいとかいうものを始めてるそうです」と、門衛。
目の前に広がる光景。
前庭がぐちゃぐちゃ。なんか作ろうとして失敗した様子?
玄関前のロータリーの真ん中の噴水に、いろいろ装飾のつもり?されて、小汚く・・
門から見える側の窓にはなんかうちがわから貼られているのだろう、規則性も何もないので小汚く見える。
「なんでこんなこと、始めたの?」
「なんでも、華子様が・・・」
博子かっつ!!
もしかしたらうちの祭りの話を知って、
祭り→自分達もやりたい→学校→学園祭
で、華子をそそのかし・・・
だな!。
大人たちはなぜ阻止しなかった?
まず学園長室に!
ごんごん!がちゃっ!!
「あ!」
領主様もいるよ?
「おう、何を怒っている?」領主様
「・・・いや、何なんですか?この有様は?」ガク
「学園祭だと言っている。楽しそうにやってるぞ?」領主様
「うん、たまにはこういう気晴らしも気分転換になって良い刺激になるのではないかな?」学園長
「まぁ、わかってやらせてるのであれば、まぁ・・・。」
なんか気が削がれた・・・。
来なくて良かったかな?
アホみたい?
「で、いつやるんですか?その祭りって。」
「えと、来年の
あっほかあああああああああああああ!!!
勉強したくないんで授業つぶしの理由にしただけだろうがあああああああああ!!!
学園祭準備なんかふつう一週間もないわあああああああ!!!!
と、いう怒声が学園中に響き渡った。
今、秋の真っ只中である。
「あと、5日後から3日間。それが学園祭日程です。決定にしてくださいね?これ以上は面倒見きれませんよ?」
と、こめかみに青筋たてながら、笑顔で学園長と領主様に宣言した。
学園長、隣の事務室に入って「今すぐ学園中に通達してこい!」と日程を言って回る者達を手配始めた。
領主様しょぼんとしている。
「領主様?ここにゲートがあるのだから、金曜日、学校が終わったら領都の領主邸にあの子が帰ってくるようにすればいいんじゃないですか?あの子は身内です。領主様が引き取るのが筋です。遠慮なんかしないでください。あの子は何も言わないけど、多分、喜んで引き取られます。」
と言ってみる。
「そうかのう・・。あまり話もせんのでな。」
「お互い、恥ずかしがってるようですね」
「そうなのかのう・・」
「うちの子になってくれ、って言えばいいじゃないですか。お前がたった一人の身内なのだ、頼む!って」
「拒否されたら・・」
「その時は今までと同じでしょう?影から援助してやればいい。結局彼女が幸せに成れば領主様は嬉しいでしょう?彼女がどこにいても、それが最も重要でしょ?」
「うむ・・・。」
「じゃ、いきましょう、今、どこにいるのですか?」
「教室に居ると思う。」
領主様と一緒に教室に向かう。
徐々に足取りがしっかりしてきた様に見える。
さすが戦人だ。俺らの世界のものだと、多分近づくに連れビビりが強くなるだろう。
教室の扉は開け放っていた。作業で出入りが激しいからだろうか。
教室の前の廊下にいて、壁に太筆で何か書いていた響子。
見ると、
”最強軍団東武領軍”で、狼だろう、犬ににている画が数匹分。
壁アート?
見回すと、他の場所にもいろいろ画が書いてある。
博子・・・ろくでもねーことしか教えてないんじゃねーの?それこそスラムにしそうな勢いでっ!!!
領主様は、その画と文字を見つめている
「響子、わしの子になってくれ。わしの、わたしの身内はもうおまえしかいないのだ!たのむ!」
「・・いいんですか?わたしは・・アレですよ?」
「え?アレ?よくわからんが、なんでもよい!家族は家族だ!」
「しかたありませんねー、お、おとー・さま」
大歓声と拍手の嵐
泣き崩れる領主嗚咽をあげる、そのまえでしゃがみ、あたまをそっと抱いてやる響子。
近づいて訊いてみる
「アレって特に何考えつかなかったんでしょ?」
「急にだったもんで、つい焦ってしまい、気の利いたことは言えませんでしたわw」
眼鏡の中の目には涙が溢れていた。
あ、この子も怖かったんだな、拒否されるのが。
でもなー、毎日見に来てるんだぞ?わかるよなぁ?
それでもやっぱ、怖かったんだろうな。いづれ来なくなる、とか・・・。
でも、東武領のこととか訊いていたんだろう。だからこその・・そして唯一の肉親へのメッセージでもあったんだ。
「俺のな、親代わりは領主様なんだ。おまえは俺の妹だ。よろしく響子。」
「よろしくお兄様」
更に嗚咽が激しくなる領主様。
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる