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後後209 一時帰都スタリッツア、でまたぷち旅に

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翌朝のスタリッツア行き駅馬車に乗った。

「今日も天気がいいですねー」
「おう、農国を旅していると天気がいいなー」
「水不足にも見えないし、いい土地ですねぇ」
「俺の故郷とは雲泥の差だなぁ、、、羨ましいわ」

同乗の客が
「そういうことには気づいたことありませんでした。私達は恵まれてるんですねぇ」と。
他の客も頷く。

「こういういい土地を選んで住み着いたんだろう、あんた達の祖先は」
「そうですね、そうなんでしょうね」
「でも、あなたの言っていた故郷の人々は、、」

「ああ、逃げることを許されなかったんだよ。単なる農民なのにな。当時、逃げたら死刑だった。」
江戸時代まではそうだった。

「今思えば、とんでもないですよね」
「ああ、時間を掛けた死刑相当だな、あの時代の北の農民は。」

北海道なんかものすごかったという。熊に全滅にさせられた村とか。村の規模が必要最低限の半分以下だったのだろう。村長達でさえ防備の必要性なんぞ低く見てたようだ。いざ自分が死ぬかも知れないとなってはじめて、というのが多かったとも。
農民が逃げ出したら死刑なんて法が許されていた国が他にあったかどうか知らない。


夕刻にはスタリッツアに着いた。
街なかの馬車を拾い、武国離宮に向かう。

離宮に着き、中に入る。
入り口脇のティールームで休んでいても、給仕やメイドが来るのみで。

「帰ってくるのが早かったか?」
「ええ、まだ余裕あったみたいですね」

夕食だと呼ばれてダイニングに行くと将軍様と領主様とアニャータ、グレイス公爵が揃っていた。

「おお、早かったな、あと半月ほどはいいのに」
と、のんきな将軍様

一体なにをやろうとしているのか?!

まぁ、よい、、では早速、と泉さんを見ると、こくりと頷く。
「それはそうと領主様、ブートッチという街をご存知ですか?農国で最も人気がある街です。」
将軍様、ちょっとぎくりとしたw

「ここスタリッツアからさほど遠くもありません(嘘w)。僕らが今朝までいたのはゴルダという街。小さな街ですが、とても美味しく、居心地の良い街です。」ガク

「そこから、少し行くと(大嘘w)キャンプブートッチという、そのガクの言う農国で最も人気のある街であります。外国の国王様も滞在中が笑いが絶えず、帰国日にも帰りたくないと駄々をこねるほどの街!!だそうです。
さて、領主様”は”まだ行かれたことがありませんね?」泉

「折角なので、将軍様と領主様とご一緒させていただき、ブートッチを案内させていただきたいと切望します。」ガク
「さようでござります。今回のこのスタリッツアでの所用が済んだあと、是非、是非ともご一緒しませんか?」泉

あ!と、領主様が思い出した様子、ニヤリとしたし。以前ブートッチのこと言ったんだよねー。

「この際だ、是非とも行ってみたいものだ」領主様
「・・・仕方がない、、式を終えたら行くか、、」将軍様
あ!ダメっ!!って顔で将軍様の口を手で押さえる領主様

将軍、目をでっかくおっぴろげる!!己の不始末に気付く様子がよくわかるっつ!!!

そうですか、このまま結婚式に行くんですか、、へぇ?まー楽でいいか、、

「んじゃ、新婚旅行は皆で一緒にキャンプブートッチですね!♪」俺

ああーー、、っと萎れていく領主様と将軍様

全く気にしていないアニャータと公爵様。

「ブートッチか、、私も長らく行っていないので、ご一緒させて貰おうかな」公爵
うん、このくらいのずーずーしさが無いと大国で公爵とか維持できないよね!!

(隣、日のいずる国だよな?)泉さん
(あ、来ますね、、)
(おう、確実に来るだろ)

大世帯になるなー、、

(でもアニャータの家族は却下しますよ俺。)
(うん、今回だけは却下しとかないと、、いや、、、逆に皆がお前の味方だぞ?しかもこの大陸で最強のドラゴン王夫妻とか、、)
(あっはっは、でも脚下。親戚づきあいしたくないくらい。身勝手すぎる。間に挟まれるアニャータは?)
(あー、見えない所で潰しておいて貰うのがいいんだな、、)

で、領主様、俺と泉さんに
「お前らは式の2-3日前まで必要ない。どっかに遊びに行っておれ。」
と、式の日を聞いて放置された。

その後就寝前にアニャータと少し話したが、毎日毎日磨き掛けられるのできつい、、とか。
「んじゃ、前日俺が最高のブラシかけちゃる!その前の日はちゃんと3食飯を腹8目以上食べろよ。」と言いつけ、
それから公爵と話す。
やっぱ式は人間形態のみで行くとのことだった。猫は?と訊くと「却下された」とのこと。

「式の3日前くらいからは飯をちゃんと食わせ、式のお色直しの最後は猫で行きたいので、バレないようにそれができるように手配してください」とお願いした。
思ったとおりこの人は載ってくれた。ニタリと黒い笑みを浮かべたのが少し、、、あ、、悪巧みのシューレに似ている、、

「そう言えばシューレは招待してるんですか?」
「勿論、おまえの身内同様の大精霊様だ。呼ばないわけないだろう?」公爵
「んなら話早い、シューレも載ってくれるんで、、俺がどうにか連絡しておきます」
「うむ、楽しみに成ってきた、頼む!」

それからシューレに手紙を書いて、転位門を借りて武国王都に出て、その駐屯地から東武領領都領主様の邸の転位門に出て、シューレの店に行った。いなかったので呼び出してもらう。
シュン!
「おう!用事だって?」シューレ、転位で来てくれた。

これこれこう、と説明。
がっつ、とシューレに抱きしめられ、次の瞬間には違う場所に。

あ、目の前に公爵様、めを見開いている。
「あ、紹介します、こちらシューレ、大妖精様。シューレ、こちら公爵様」
「・・・・あ、、」
凝固から解け、挨拶する公爵。そういう格で言うとシューレのほうが万倍上。王より上だそうな。

公爵の部屋だった。シューレは公爵がいる場所を目当てに転位したのだろう。

「んじゃ、お願いしますっつ!!」
と、悪巧みに入り始めた2人を公爵の部屋に残して、下に居るだろう泉さんのところに戻る。


下に戻ると泉さんとアニャータが茶を飲みながら話をしていた。
「おうどうだった?」泉さん
「うまくいきました。(シューレ来てます、公爵様んとこ)」
(おう、いい感じだな)

(アニャータ、、お色直しの最後は猫で行くからな?)
(え!ほんとですか?できるんですか?)
(できなくともやるから、絶対内緒な!なのでちゃんと飯食べときなさいね?でないと最高の毛並みにできないから)
(わかりました。)

(こっちには公爵様とシューレがついていんだ、文句など言えまい!俺の世界最高の唯一のモフを前面に出さないでどーするっつ!!!)
モフとか言われても気にしないアニャータ♪アニャータは、ガクの人生=モフ、だと判っているのだ、そのトリミングの魔日を見てきたために。

早寝早起き推奨なので、アニャータは先に寝させる。


「さて、んじゃ、半月ほど、どこに行きますかね?」ガク
「おう、、微妙だよなぁ、、半月、、」泉さん

「あのあまり滞在できなかった北の国との国境の街はどうだ?」泉さん
「ゴルダ、ダリー、国境の町、、途中2泊ですか、、丁度いいかもっすね。明日夜明け前に停車場に行きましょうか?」
「今行って、直行無いか聞かないか?」今夜中だけど?
ってことで行ってみる。
流石農国首都、夜中でも馬車とか人通りとかあるんだねー。


駅馬車の停車場。まだ人が居た。車庫に入っていない馬車もいる。

国境の町への直行馬車もしくは近くまでの直行は無いか?と訊く。
「あ、あるよ?でも臨時馬車なんだ。席あいてるかな?」

(え、今乗るの?・・どうします?)
(あるんなら幸運だ、乗っちまえ。)
(用意も何も、、)
(カネは?)
(十分に、、)
(んじゃ問題ない。空いてりゃのるぞ)

「あるよー余裕だってよ、、夜明け前には出発だ。」
「ありがとう!2人だ、いくらだー?」
とカネを払い、二刻ほどあるのだから、と辻馬車拾って離宮に戻って着替えと剣くらい持って戻ってくる。

まだ時間あったので待合所で茶を飲んで待つ。
速い馬車なので、途中で一泊で着くという。
馬車の近くに行って見ると、小館の高速馬車だった。うん、安心だね!!
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