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後後191 ほげきのガク

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アニャータはいつの間にか「アーニャせんせい」と呼ばれていた。

トリミングの上手さではガクの足元にも及ばないが、なにせ先生自体がもふもふだ。猫型になってやってー!と特に子供から求められるとOkするしかないアーニャせんせー。猫型のほうが体力でるのでやりやすいっちゃやりやすい。
そうすると、やっぱ「アーニャせんせーにトリミって貰いたい」という者が多くなる。というかほぼ全部。

ガクファンも、ガクセンセー好きだけど、それとこれはべつー!とか薄情なことを言う。まぁちっさい子供達だからね。
だがしかし、ちっさい子の毛並み達ほどガクには大切なものであった、、、
大人なんか薄情なものであった。掌返し?でアニャータに。


指を咥えてアーニャの仕事を見ているガク
うん、全く予想すらできない事態だよね。

たまーにガク指名で来てくれる者もいる。
で、仕上がり、ぴっぱぴっかのもっふもっふになっても、見向きするのはアニャータのみ。
「ガクさん、すごいです!!」と。それが唯一の救いかな、、と思うガク。

でもいいのだ、アニャータにトリミングできるのはガクだけだから。
数日にいっぺん、ガクはアニャータにトリミングしている。アニャータも聡明だし意欲旺盛なので、そのやりかたをじっくり観察し分析し自分の違いを見つけていく。
と、
どうだろう、、、
2ヶ月もしないうちに、アニャータの技量がガクの足元に及ぶくらいにまでなっていた。なにしろ、実地経験を毎日大量に積めるからね!

が、そこからはもうセンスを鍛えるしかないので、、、、、

ガクほどモフ☆モフに対する愛情を持つ者はこの世に存在しないだろうし、それほど努力を注ぎ込むやつもいないだろうし、何しろガクには究極のモフ美の対象アニャータがいる。

ただ、その差をわかる者は、、というか、、わかろうとする者は、そう多くない。
「強者強者を汁」、、ごめん「知る」。その手の世界だ。


なので、暇が多い。

ある日ガクは新開拓地に行ってみた。酒持って、シューレの食い物をたくさん持って。泉さんが見えなかったので一人で。

街道の整った道から枝道に入る。が、ヒ王のおかげで枝道も滑らかだ。あれから幾度かは少し雨が降ったはずだが、全く崩れていない。なんか魔力でも乗っているんかなぁ、くらいに強いのがよくわかる。
「ドラゴンって、すげーな?なにがどうってのはわからんけど・・・」

村長宅に着いて荷物を運び込み、畑に向かう。
ちなみに、酒樽を背負って村長宅に運び込んだんだが、無意識にやっているガク。普通なかなか難しい。酒蔵のベテランくらいだろう、一般人でできるのは。でもそんなことに気づかないガク。
もう、仕事選び放題じゃね?特に肉体系、、

畑に向かっていると、畑中の道傍がいきなりボコッと持ち上がって、
「ガクさん!こんにちは!」
「おう、もぐ、、。・・そうか、、もぐらとの一般的対面って、こうだよな、、、うん、、、」なんかを納得するガク。

「丁度いい、おまえ暇か?」
「ヤることありますけど、暇にもできますよ?」
よくわからんが、わかる。

「んじゃまず風呂に行って泥落として湯に浸って毛並みをやらかくして、村長宅に来い。トリミングしてやる」
「え!ボクに?ほんとう?まじ?わかりました!すぐに!」潜っつ!!もぐもぐもぐもぐ、、と
どうだろう?
モグラって地上を走るより、土中を掘り進むほうが速いのか???

なわけないです。土中が好きなだけ。安心できるし。

ーー

「ほう、思ったとおりだ、、、」
ガクは一種の感動していた。モグラの毛並みに。

モグラは土中生物なのに毛が結構ある。
短い毛。でも硬いってほどではない。
手触りは良い。とても、良い。
そう、、毛足の短い猫、、シャムとかのようなのかな?それをデフォルメしたような感じ。
ちなみにシャムとか野生により近い猫の毛並み、背中の中央部分、背骨に沿って、毛が少し硬い。
豹などと同じだ。狼もそうだよね?
(知りませんが、多分?)

そういう毛を持っている猫の運動能力は、豹とかにすごく近い。(ウチの子がそれ)

で、
もぐもなんかそれに近い感じ。でも運動能力は、モグラ独特のなんだろうな、とは思う。
毛並みは、土に汚れない特殊仕様。汚れが付き難い。ついてもすぐ落ちる。

「こりゃ、、特別なブラシいるな、、」
以前ごむたいにあげたブラシは短毛用の普通のブラシ。あれでも日常には十分だろうが、ガクが本気でやるには全く不足。
なんだろう、、竹を細くしてブラシの毛とか作れるかなぁ、、その植えたブラシを、、なんだろう、、なんかに漬け込んで、、、乾かしたらさらさらになるようなのに漬け込んで、、、それを仕上げブラシに、、、

なにがいいんだろう?やっぱミミズの汁とかかなぁ、、いやだなぁ、、

んなことをやっていると、気づくともう夕方。皆帰ってきていた。
村長に言って、ごむたいを借り、自分ちに連れていくことにした。

「ごむたい、お前の毛並みはとてもいいんだが、なにせ特殊だ。だからお前用のブラシとか特別に開発せねばならないのだ!よってお前は俺と一緒に来て研究しろ。」
「らーじゃー!!シューレさんのごはんをまた毎日たべれますね!!」
ごはぁんんぅ???あれをごはんと呼ぶならば、、、だが、、。ご存知の通り残飯なんだけど
ま、良い材料のあまりカスだから、やっぱいいのかな?

村長の「飲んでいきません?」の誘いを丁重に断り
そのまま小館に向かう。
村近くにはもう夜道になっていたが、家も多いので灯りもあり、人通り?も多いので危なくない。

そのままシューレの食堂の前にごむたいを降ろして先に食べてていいよ、と。
ガクは馬車を村長の家に返しに行った。


ガクが食堂に入ると、泉さん、アニャータ、ごむたい、シューレが一緒に飯食ったり酒のんだり。
ガクもお誕生日席に座り、晩定食1の大を頼む。定食が面白いんでうまいのだ。ここは日々開発だからね!外れも少なくないのが人気の秘密だ!!

で、ガクは食べながら、ごむたいの毛並みに手をやって、こいつの毛並みによいブラシを作りたいし、なんか良い脂とか無いかな?と皆に知恵を借りた。

「うーむ、、魚の油とか?いや、ミミズ汁か?」泉さん
「ガマ、かな?」言うと思った、シューレ
「お米の油とか植物系?」アニャータ、やっぱお肌にやさしそう、、

「竹かぁ、、、よさそうだが、、、狼の背の硬い毛とか貰って、、」シューレ
ビクッと、そこらの人狼達が自分の背に手をやってる。

「クマオに聞いてみようか?ヤツの剛毛なんか使えそうじゃね?」泉さん
「お願いします!!熊は毛に油があるからいいかも!!」
「くさいけどな、あの毛、、」
「・・・・・・・・・まぁ、、やってみましょう、やるだけは・・」

「あとは、魔獣狩ってきてやるよ、、久々だし、、」泉さん
そう、いずみ村の近くの森は、奥に行けば魔獣が多い。
たまに泉隊が狩り尽くしてるけど、半年ほどでまた元に戻っているのだ。

ガク、これからは研究と実験の毎日になるかも?
良い暇つぶしが手に入ったな!!

酷いよね?まぁそーだけど、、
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