上 下
273 / 409

後後147 おにぎりころりん

しおりを挟む

ある小春日和の日
今日はトリミングは夕方からにしようと決め、その旨張り紙だし、登山用特性下駄をベースにして作ったくるぶしまであるわらじ下駄を履き、シューレの所に寄って握り飯を作ってもらって山に向かった。

なんだかんだで結構鍛えられているガク。周囲が桁違いなので、そのケツにぶら下がってる程度でも、かなりの力を付けていた。(中ー27話)
本気になったガクの足どりはしっかりとし、そして早かった。装備は握り飯に水の入った竹筒のみ。それも腰にぶら下げるのではなく手製バックパックで背負っている。
わらじ下駄は足首でしっかり固定され地面の感触も足に伝わる。

昼には峠の一番見晴らしのいい場所に出ていた。

懐かしいな、、と思い出した。
あの旅の始まりがこの峠超えだった。
あの時はひーひーで、今にも死にそうで、大変だったお思いしかなかった。
何年経ったのか。あまりそういうことに意味を見出さないこっちの人びと。いつ、より、何があったのか?が重要だということらしい。事実を覚えておれば、年月など曖昧でもさほど問題ない。

なので、
「いったい、俺は今何歳なんだろう?」
ここでもそう思った。

そんではここで握り飯くうかな?と座る場所を決めるために見渡すと、少し登ればもっと眺めが良さそうな感じの岩場が。

急な岩場っぽい感じなんで両手も使い登る。頂上にある松の木?の根本に座って、四方を眺めながら握り飯を食う。
裏は斜面で木が生えている。景色がいいのは他の3方だ。裏も木々の上の方に遠景が見えるけどね。

握り飯の最後の1個に手を伸ばしたら、掴み損ねたかころりんと、後ろに転がる、コロコロ、、加速、
おいまてごらぁあ!といいながら追いかけるガク。
と、ほどなくおにぎりがうさぎの穴?みたいのに落ちていってしまった。
あーあ、と覗いてみるとなんか深そう。ま、いーか、、と

「・・・・」
穴からなんか聞こえる、、、
「・・りこ・・りんs・・ん」
ま、いーか、、最後だったし、、とその穴を無視して行く。

ぼこぼこぼこぼこ!!
と、足元に走る土の盛り上がり!モグラの奇襲?!

ぽこっ!と顔を出す、大きめの、、もぐら?あまり良く見たこと無いけどそれっぽ!
「無視しないでください!!定石は踏むべきでしょう?!」
いきなり喋りだすモグラ?

無視していこうとしたら裾を掴まれた。
「うるせーなー、、なんだよー」ガク
たしかに毛皮で、なかなか手触りも良さそうに見える。が、土の中の物体。常に汚れている。
トリミングなんぞ意味ネーじゃん、と、ガクは全くそそられない。

なーんか、ここにきて一挙だなぁ、、、出てこないくていいのに、、、

「おまえ、帰れよ、、」ガク
「ごむたいなっ!!」モグ
「最近新キャラ多くってなー、お腹いっぱい」
「・・・・殺生な!!」
しるか、、と振り払おうとしても、その手は強く、つめも思いっきりひっかかっている。

「なんだよー、言いたいことあるならとっとと言え!」ガク
「・・・おにぎり、、もっとください」
「ない。あれが最後の1個。もらえただけ有り難いと思え」
正論である!!

「つーか、モグラはみみず食って生きてるんだろ?何米食ってんだ?」
「モグラは根食いしたりもするんですよ?」
「害獣じゃねーか、退治していい?」
「ごむたいなっつ!!」
「・・・おまえに名前つけてやる」
ワクワクワク!!(もぐ)

「ごむたい君。良い名だろ?な?いいよな?すっごくいいなをしたいだろ?」強引に迫るガク
「・・・・はい、、、いい、です、、、」折れるモグ
!!
「名前付けて貰ったんだから、あなたは飼い主ですよね?責任持って買ってくださいね!」
「狩ればいいのか?」
「飼うんですよっつ!!」
「まるまる太らせればいいか、、、」
「・・・まずいです、、」
「うそつけ、結構旨くて珍味で高く売れるつーじゃないか、わかった飼ってやる」うそだけどね!つか聞いたことすらない。
「・・・・やっぱいーです」

ガクが斜面のほうから下に降りようと歩くと、土がぼこぼこ盛り上がり、付いてくる。
げしっつ!!げしげしげしっつ!!踏み荒らす。
ぼこ!と顔を出し、
「ひどいっす!!いたいけなかわいいモグラをっ!!」
「害獣」
「・・・・・」

「付いてくるから悪いんだ。もううちには狼、、、そういえばうちにはねこ獣人もいるから、モグラ狩り、好きだったな、、」ガク
「なぜそんなにいじめるんですか!!」
「だからついてこなけりゃいいだろ?迷惑です!」
「・・・・・かわいいのに、、」
「きたねーよ土だらけで、、」
「・・もぐらだから、、」

なぜ一気にこんなんなるんだろう?
俺なんか呪われているんかなぁ、シューレに払ってもらおうかなぁ、、あ、、シューレが元凶だったりしたら、、、

「おまえ、精霊とかに牽かれる口か?」
「はあ?いませんよ、精霊なんて」
ほう、、そう思ってるのか、、んじゃ違うのかな?

「でもな、言葉を喋るようなモグラ居るくせに、精霊いないって決めつけるって、どーゆーことかな?」
「モグラは正義です!!」
あばよ、、
すたたたたたたたーーー!!

走るのに追いつける穴掘りなんざいない。

山を降りるのに走って降りるとすぐヒザと腿がだめになる。なので、飛び降りていくようにいくと早い。重いザック背負ってると無理だけどね。木の根元付近を利用すると木の幹に体重掛けられるのでかなり楽。
一瞬で次々にルート決め、それを辿って跳ねていく。
走るより早いし。若者しか出来ないけどねw


行きの半分以下の時間で山を降り、走って上村まで到着。
村の中通って、顔なじみとかには軽く声かけながら、最初にガクを拾ってくれたおっちゃんちの方に出た。
昼間なのでやっぱり2人ともいない。

上村の中で貰った魚をおっちゃんちのテーブルの上に置いて小館に帰る。


やっと着いた、、、なんか、最近はもう、、

シューレの店で一休みして早めの夕飯食べて帰ってトリミング、、と思って、、
ガラガラガラ、と店の引き戸を開け、、
「シューレー、にぎりm・・・・・おめー、なんでいるんだ?」ガク

なんか人の大きさになったモグラが食堂のイスに堂々と座っていた。
「それはモグラですから」
「返答になって無い。しかもでかくなってるし、、モグラって大食漢なんだろーが、でかくなってどーすんだよっつ!!」
「あ、それはだいじょぶです。食事の量はかわらずで、、そうですね、今の私の大きさくらいしか食べません、一日に。」
村の食料の危機?!

「うざくなったらこいつを丸焼きにすりゃいいだろ?」
あ!
「泉さん、早いですね?いたんですか、このへんな物体に目が行ってて、、」
「そりゃそーだよな、俺もこいつが入ってきたとき、そのままこの木刀で一刀両断しようと思ったさ」
うん、魔力まとって斬るからできるよね!

「こいつ、寄生先をさがしてるみたいなんですよ、、飼え飼えうるさくて、、」ガク
「おう、じゃ俺が飼い主な。とっととまるまる太れよ!!」泉
「・・ここの人たちはモグラは食う対象でしかないんですかっ!!」もぐ
「「他に何があるってんだ?」」

「おいおい、、食材としても使えるが、強壮剤の素材としても売れるそうだぞ?」シューレ
へぇ、、そういう知識も持ってるんですね?
「そりゃ長生きだからな」

・・・・
「ごはん、食べさせてください。そしたら帰ります」モグ
やっとあきらめたか、、

そして閉店になったら山に帰ったモグ。それまで食い散らかしていた。さすが大食漢なモグラである。
「ガクにつけておこう」シューレ

それから、たまに店にきちゃ、ガクのツケで大量に食べて帰っていくようになったそうな。

「少し位の被害あっても、これ以上レギュラー増やしてたまるかっつ!!」ガク
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

ファンタジア!~異世界転移した私は勇者を目指します~

ヤマタ
ファンタジー
 突如眩い光に包まれた花咲詩織は異世界へと飛ばされてしまう。そして戦闘経験も無いのに勇者として迎え入れられた挙句、金髪の麗しい王女リリィと魔物討伐に駆り出されることになってしまった。  詩織は体に秘められた特殊な魔力と、伝説の聖剣で果敢に魔物に挑むが立ちはだかるのは強敵ばかり。果たして無事に魔物達を討伐して元の世界へと帰ることができるのか?心を通わせた王女リリィとの絆はどうなっていくのか?  これは平凡な少女詩織が本当の勇者としての伝説を残すまでの物語。  本作は王道的な展開有の異世界百合ファンタジー作品です。天真爛漫な王女のリリィと、元は一般人の詩織が共に成長し、絆を深めながら危機に立ち向かう様子を是非ご覧ください!

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件

シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。 旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

異世界で神様に農園を任されました! 野菜に果物を育てて動物飼って気ままにスローライフで世界を救います。

彩世幻夜
恋愛
 エルフの様な超絶美形の神様アグリが管理する異世界、その神界に迷い人として異世界転移してしまった、OLユリ。  壊れかけの世界で、何も無い神界で農園を作って欲しいとお願いされ、野菜に果物を育てて料理に励む。  もふもふ達を飼い、ノアの箱舟の様に神様に保護されたアグリの世界の住人たちと恋愛したり友情を育みながら、スローライフを楽しむ。  これはそんな平穏(……?)な日常の物語。  2021/02/27 完結

異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天
ファンタジー
 幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!  創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。  『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく  はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!

処理中です...