上 下
179 / 409

後後53 最新技術 戦艦武国の戦力

しおりを挟む

「タラップ上がるだけでも一苦労だな」
と体格が子供だけど体力異常な泉さんに言わせるほど高い。5階建てくらいあるんじゃないか?もっとか?
俺、途中で何度か休憩しそうになったが、旅でのおかげだろう、しないですんだ。ちったぁ体力ついたってもんだw

船腹に入り口を作らなかったのは、外洋航海のために少しでも堅牢性を保ちたかったんだろうな。
船体は木製。鉄にしなかったのはできなかったのか?敵側に長距離砲の艦があるという情報は無いのだろう。
射程距離で一方的な砲撃戦ができると踏んでのことかな?

甲板は広く、中央よりやや後ろに低めの艦橋。その前に主砲2門の鉄製砲塔。回転砲塔のようだ。口径120mmくらいだろうか?砲身長いな?多分弾頭は椎の実型だろう。砲身内部には少ないがライフリングが刻まれていたから。
砲塔は凄い重さになっているはずだが、見えないが船の竜骨は金属かもしれない。排水量的には支えられているのだが、重量を分散できなければ砲撃時の衝撃に耐えられないかもしれないから。

帆柱は無い。帆船を装うつもりはないということか。

艦橋に上がる。
前方を見渡せるぎりぎりの高さか?
やはり砲塔が甲板にある重心の高さを考量しての、艦橋の低さになったとか。

んじゃ、内燃機関はかなり下だな。
すると、排水管と排気管は船尾かな?

そのとおりだった。
なので、石炭も最下層に入れてある。補給はほぼ見込めないんで、往復分。最下層の蒸気機関とポンプ以外の場所はほぼ石炭倉庫。

竜骨はやはり金属だった。クロスフレームの組み合わせの、見たことのない変った骨だ。ねじれそうだが、前後とくっついているので大丈夫なのだろう。

あとは、普通の、東の国から乗った船と似たりよったりだった。

旗艦だが、積載能力に余裕があるようで、移送する将兵も乗せる様子で、結構な部屋数が合った。

転移門は、船のちょうど中心になる場所にあった。最も守られている場所、と言っても良いかもしれない。
専用の部屋。
そして、門専用の農国からの援軍の魔術師3名。


途中食堂で休憩になった。
福田さんを捕まえ、聞きたいことを訊いてみる。

「この世界の、武国以外の海軍の最新装備を把握していますよね?」俺
「ええ、知っています。知りたい、ということですね?」福田さん
よかった、福田さん成長していた。今までだったら”知っています”で終わってたからな。

「特に戦艦について教えてください」俺

「帆船です。泉さんとガクさん、野上チームで、以前西の国の船を鹵獲しましたよね?あのときの複数の帆柱を持った船が最新です。排水量もあの程度が限度でしょう。多分、あのクラスが最新最大です。
で、海戦装備ですが、あの鹵獲艦にはありませんでしたが、通常船体の右舷左舷にずらっと先込め式の大砲が並ぶそうです。先込め式の銃もあるみたいですが、全く届きもしないので使われないそうです。で、その大砲の射程ですが、せいぜい800メートル、再装填に10分ほどかかるようです。冷やして再装填するとのことです。」

「この船の主砲は?」
「尾栓式、薬莢を使うタイプです。口径120mmなので大きくはありませんが、船の設計の上で、砲塔旋回式だとこれが限度だと思われます。
有効射程は2キロ、10m四方に着弾します。砲に据え付けてある照星と照門で100m単位で狙いをつけます。2-3分に一度発射できるまで訓練しました。海上での距離目測はかなり難しいですが、砲兵達はベテランに近くなっているはずです。
砲身にライフリングがいくらか切ってありますが、今の技術ではこれが精一杯でした。ただ、対陸上砲撃など、精度を無視できるのであれば、8キロくらいはいくと思われます。今回いろいろ試してもらいたいものです。
砲弾は200発あります。手作りなので、製造量に限界が在ります。

以上、今回はこれが限度でした。」

「ありがとうございました。カートリッジタイプまでにしてしまうとは思いませんでした」
「大田がやたらこだわったので」

それから、この船を作る時の苦労をいろいろ聞いた。
戦国時代並のところに、黒船並のを作るというのだから、かなり無理がある。
技術も無いし、それ以前に材料も無い。
よくも作ったもんだ。

だが、技術の封印で、今までこの世界の人の心に平和な世界が維持されてきた。
今回西方征伐を終えたら、この船は封印してもらいたいものだ。
陸の方は鉄道馬車までは許容できても、蒸気機関車は許容できないな。

俺も、なんか将軍達の封印基準がわかってきた気がする。旅のおかげだろうか。


今回に関わる封印技術の特別利用は、この戦艦武国に関してのみだという。
ひとまず安心かな。

俺達は艦内視察を終え、陸に降りた。

将軍は俺の顔を見ていただけで満足した様子で、他に視察に行った。

「どうじゃった?」領主様が俺に訊く
そうだろう、泉さんはこの凄さがわかってない様子。ちょうど泉さんの時代の船、泉さんの時代の数段前の時代の砲なんだ。

「この時代、この世界にこれほどのモノを作ってしまったのは脅威ですね」俺
「そう捉えるか、、やっぱりおまえはこの国に合っているな、あっはっは!!
おまえ、特に食堂で福田と話している時、悲痛な顔していたぞ。この国、この時代に最も必要な者の顔をしていた。儂と将軍は、もうそれを通り越し、決意を固めきってるからな、こーんな顔していられるんだ。はよここまで来い、ガクよ。」領主様


「そうなのか?」泉さん
「武士、いらなくなっちゃいますよ?いいんですか?」
「・・・・・今回の戦が終わったら、この船封印だよな?」泉さん
「でしょうね、全て取り壊し、金属は鋳溶かして原型無くさないと。設計図も全て燃やす。全く形跡すら無くさないと、火種は残るでしょう」俺
「まぁ、そこまでやらんとだめだろうな」領主様
「まぁ、そこまでやるなら安心だな、」泉さん


この中で、それを知っているのは俺、福田さん、大田さんのみ。
福田さんと大田さんは封印の必要性をどの程度わかっているのだろうか?
重要なことだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...