上 下
115 / 409

後−42 キャンプブートッチ出立前日

しおりを挟む

昼食後の腹ごなしに少し散策。裏道をゆく。
ここも小さい教会やらモスクがそこここにある。

幾つかに入ってみるが、ここのも、多くがほかの町のと同じように、古くでもよく手入れがされている。
そして、小さいながらも美しい作りだ。

「美味いもの食ってると、きれいな教会とか作るんですかね?」俺
「・・うーん・・理屈がわからんが、、結果を見ると、そうだよなぁ、、」泉さん


「でも、うまいものばかり数百年食ってても、治んないポンコツって多いみたいですねぇ」俺
「ああ、それはもう実例2つ見ちゃったからなー、否定できん」泉さん

そういえば、市でわけわからんモノ買ったな、、この街を出る前にスクレにあげるか、、
指揮棒様の棒みたいなものの持ち手部分の端に妖精の形の飾りが付いているものだった。

街を歩きながら、この街を出ると決めてから、自分がここを出たくない気持ちを持っていることを知った。
ほかの街ではここまで感じたことがなかった。少し後ろ髪引かれるときもあったが、その程度でしかなかった。

「知り合い、、多く出来ましたよねー、ここ」
「ああ、他より多いな、、」

「また、来ましょうね、、ゴンザとかマキシムとか居るとは限らんけど、二ヶ月もいりゃ来るでしょw」
「奴等の誰かは常にいるだろ」
「あーそうっすねー」

「次は、妖精とか、全部見つけたいっすねー」
「・・・・それはそれで、、またなんか面倒になりそうだなぁ、、」
「「ははははは!」」


晩飯は宿で食った。
給仕の子に、明後日朝に発つんだが、と、日のいずる国への行き方と、あっちに行くのにココで買っていったほうが良いもの、とか、何かアドバイスないか?と訊いた。
客が引けた後、給仕の子達は俺ら席に来て、皆で茶を飲みケーキを食いながらいろいろ話を聞いた。
4人いる給仕や下働きの子の半数は日のいずる国から来たという。

「あっちより待遇いいとか?」俺
「いや、ここ、飯がうまいって有名なんで、小さい頃から”大きくなったらブートッチに住むんだ!”って決めてたんで、、」
そーっすか、、、
(なんか、妖精と一緒だよな?)泉さん

ほかの子達も似たりよったりだった。
「で、どう?ここ」
「「「「天国♪」」」」
まかないでさえ、すげーうまい!とか。
「あ、でもお客さんに出す食事のほうが美味いっすよ!!」
とフォロー忘れないトコが、プロになってるのってことかな?

「ケーキとか、食わないの?」
「「「「休みの日は皆でケーキ!」」」」
だよなぁ。

で、向こうの国境の街まで距離は無いんで、昼間近の馬車でも十分だという。
道も広く、よく固められている。石畳ではないけど、春先のぬかるみ時期になると、板を敷き詰めるという。
「短い距離っても、、すごいおお仕事だろ?!」俺
「街あげて、手伝える者達みなでやります。勿論領主様の兵隊がメインで。賃金でるんで嬉しいんですよねー」
店の客も幾分減るんで、かわりばんこに出るから、店の給金と道路工事の賃金で嬉しい時期だという。

ケチ臭い雇い主がいないらしい、この街は。
そういうとこでも居心地いいのだろう。、、あれ?でも農国、あまりケチ臭い奴見たことなかったな?全体的にいいのかな?

「貴族たちがばんばん金を使うんだろう、一般の社会で。ゴンザレス達が言ってたろ?どこでも食いに行くって。」
なるほど。

金持ち一人が一般社会でばんばん金使えば、一般人数十人や時には100人以上の生活向上の貢献になるだろう。

「俺らの武国も、結局似たようなことになっているだろ?今は」泉さん
そーなの?

「領主連中が、いろいろなことに金を使うようになったんだよ。しかも、領民の教育とか考えるようになったしな。小館を知ってから。」
ふーん、、

「ま、ゆっくりだが、、そのうち、うちの国もここみたいに心にでかい余裕が持てるようになるだろうさ」
「だったらいいですね」

給仕達は、自分達の国や人々が褒められているのだな、ということだけは理解できたようで、なんとなく喜んでいた。

ーー

給仕達のアドバイスを元に、というか、買っていったほうが良いもの、って全て食い物だった。
長持ちする干物がメイン。
あとは日持ちするクッキーとかバターケーキとか。

おすすめの店でおすすめの品を買い込み、、、食って無くなってしまうものなんで、少しの間は重くてもいいのだ。


夜、スクレの夜番する店。
「きたよー」
「ちーす」

「いらっしゃいませー!」
がやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがやがや

「盛況だな、、つーか、、席ない?満席?」俺
・・・・

「あ、今作ります!!!」スクレ、
ケーキをおごってもらって食っているのに、中断して立ち上がる。

「あ、いい、あっちから持ってきていいんだろ?」と俺達が、ケーキカウンターの客用なのか、そこにある小さなテーブルと椅子を持ってくる。

で、同じものを注文し、スクレにもおごる。
今さっきおごってもらって食べてたのに、相変わらず顔が100wになる。こいつどんだけ、、
で、
ケーキが運ばれた時、
「あ、これ、市場で見つけて買ってきた、あげるよ」と、あの棒をスクレに。

・・・・・・??・・・・??!??・・・・!!、?、、!!!!! 「あーー!!」

何?
これ、、
「これ、じーちゃんだかばーちゃんの時代の、、、なんだっけ?」
ぽんこつ極まったな?

「ああ、魔法の杖だった、、」
スクレ、、、、のうまでクリームとスポンジになったんじゃね?
記憶がクリームに埋まって掘り出しにくかったの?

「使ってみてよ」俺
・・・・
「どーやるんだったっけ?とか考えてる?」俺
「いやいやいやいや!!そこまでじゃないですよーー!!でも、少しだけ、どーやるんだっけって思っただけで」
そのものじゃないですかね?

「てくまくまざこん、とか言いながらフルんじゃないの?」
「・・・・・あ、、+*@¥¥=!!#$&&!!」
しゅりーん!!!

俺らは星空に包まれて、というか、、360度星だけの世界にいた。

勿論息はできる、、が、、美しいというのか、息をのまれて息が止まっていた

しゅるーん、、、
数秒の後、店の席に座っていた。

「あー、まだうまく行きませんねぇ、、100年ぶりくらいっすかね、今の魔法使ったの」スクレ

他の客も呆然。

「杖のお礼に、、、」
と、スクレが自分の髪飾りを俺の襟に差してくれた。

「お、ありがとう、、」
へへへ、と照れるスクレ

で、俺らは明日発つというと、えー!!とびっくりする。
また寄るから、と確約できない約束じみたことを言ってごまかす。

「魔法使えるってばれたから、気をつけなよ?」泉さん
「あと、あっちの通りの**てパスタ屋に妖精の子いたから行ってみな」俺

朝まで満員でドタバタしていたスクレに別れを言い、俺らは宿に戻り、
荷物を持ち、
朝飯を食い、ゆっくり茶とケーキを食い終えてから、停車場に向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...