75 / 409
後−2 スタリッツアからの手紙
しおりを挟む翌日、朝食後に俺達は商会に向かった。
俺は領主様あての手紙を一通持って。
商会の支店長は気さくに見える人で、いかにも商人していた。人選は流石である。
勿論商業に精通していて、カレーのこと、オーウトの店から飲食店ギルドに話が行っているだろうこと、を話し、武国にもカレーが広まることをお願いした。農国から武国に行く者が決まったらバックアップすると確約をくれた。
あと、スパイス類も小館に送ってくれると。
泉さんはしきりに、東武領都にケーキ屋を出せないか?とけしかけていた。
支店長はあまり乗り気ではない。武国の国民の嗜好は小豆がベースのものや甘辛団子のようなものやせんべいのようなものだ。ケーキが浸透するには時間がかかりすぎるのではないか?と。
カレーのように、匂いで興味をそそる、というインパクトに今ひとつ欠けると。
「将軍御用達」とかにしてもらえませんかね?と俺は助け舟を出した。泉さんの本体のためだ。女公爵へのわずかばかりの贖罪も入っていたかも知れない。
その一言で、やってみるとの言葉を得られた。
情報に関しては、地道に、商売のやりかたに沿った方法で全く疑念を起こさせないようにやっていかねばなりません。焦るのは悪手です。と。時間がかかるだろう。でも経験豊富な者がそういうのであれば、ソレに従うのは最善なのだろう。
雑談時、転移魔法、転送魔法で雪を南国に、という話を出したら、うーんと考え込んでいた。可能性があるのだろうか?一笑に付すというものではないように見えた。
この支店以外にも、北の国の首都にも立ち上げているとのこと。また、日のいずる国の首都にも出す算段をしている、多分俺達がソコに着く頃、人員は到着しているかしないか、くらいではないか?とのこと。人員が来ていれば、通信は可能だろうと。
あとは、北の国までの情報、そこから東へ、また、その先から南に下りて日のいずる国首都への情報などを貰った。
支店長と2人になったとき、手紙を託した。彼も俺が2人に成るのを待っていたのをわかったようだった。
昼は、商会から少し奥に入った路地にある喫茶店にした。
「奥のほうが静かでいい。」泉さん
確かに馬車通りだと、音やらホコリやら、結構なもんだ。静かな小さい路地のほうが、店も客も落ち着いていて居心地も良い。
またここにも小さい教会があった。この街は小さい教会が多いようだ。オーウトで小さいモスクが多かったように。
ああ、日本での小さい神社や、祠のようなものなのだろう、こっちの教会やモスクは。
「昨日、どうでした?武官さんと飲みに行って」
「あー、彼はこっちに長いらしくってなー、、いろいろおもしろい話を聞いたぞ」
「へぇ、、」
「飲み屋街というのか?娼郭街とまではいかないが、おねーちゃんがお酌してくれる楽しい店とかなー」
「・・・・幼女も行っていいんすか?」
「・・・だめだろーよ、、」
当然だよな、法律など無い方が道徳は発達している場合のほうが多いんだから。
「あ、モフ☆モフの獣人のおねーちゃんばかりの店もあるってなー」
「え?!!!どこっすか!!行きまそう!!ほら!!今すぐ!!ほらーー!!!!」
こいつ、、、(泉)
東武領領主が、スタリッツアからの手紙を受け取った。
短い手紙だった。
”問題は解決。心配無用。”
だけであったが、領主東はその意味の深さを理解していた。
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる