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中−10 『そそっていいのは俺だけ!!』
しおりを挟むいずみ村に居る時は泉さんカントクの元、朝一番で気の訓練、その後棒振り。俺までシゴカれたー。
その後、人狼3人とそんちょは人選、泉さんも行くときも有るし、俺を尾行するときも有る。
なんだかんだで気の訓練はじめて1週間経った頃人選終了。
翌日そんちょ主催宴会で、その翌日帰村に。
出立当日朝も、ふつーに気と棒振りさせるのねー、泉さん、、体育会系幼女おっさん。
領都経由で小館村に帰宅することに。
来る時は気にしていなかったが、道がかなり良くなっている。
この入植地いずみ村に通ずる枝道もだけど、街道から出ている枝道の殆どが、
路肩が固められ、石が敷き詰められている。低速だと少しごとごとするが、でもぬかるみにならない。
冬季はどうしても通行が減るのはぬかるみだから。荷馬車の積載量も少なめにしなければならないし。
「こりゃ、福田さんのおかげだなー」
と馬車の中で外の路面を見ながらつぶやくと
「おお、そうだぞ?奴は凄い。冬季の領内の流通量は倍増した。しかも熊が4頭引きの大型駅馬車で暖房付きなんぞ作ったもんだから、ひとの移動量も夏季とそう変わらん。」
「で、その福田さんが、今将軍様の仕事を、、」
「おう、、、どうなることやら、、想像もできんなぁ俺には、、」
「同じくです、、賢い人のやるこたー、わかりましぇん♪」
なんですか?お前が言うな的な目は?変人のやることもわからんてか?
「いんです、俺は俺でいいって皆言ってくれたんだから」
「・・・お手柔らかに頼むぞ?な?」
「人聞きわるい、、たしかに発端の多くは俺かもしれんが、ことをでっかくしちゃうのは、
ことを、俺に全く関係なくでっかくしちゃっているのは、皆じゃないですかー」
・・・・・まぁ、そーだたったかな?
とかつぶやく泉さん
「特に王様(将軍様)」
「おう!そうだったな!!」
・・・
「まぁ、だけど、、あの王様がこれほどノリノリになるケースが幾度も続くってのは、かつての戦乱期以来だそうだ。
福田が同僚からそう聞いたんだと。
おまえと、あの将軍、なんか似てるとこあるんじゃねーかな?」
「・・まさかぁ、、」
と笑ってはいたが、、
そうか、、そそらせてはいけない、か、、、肝に銘じておこう。
帰宅後。
『そそっていいのは俺だけ!!』
と太い筆ででっかくかいて部屋の壁に貼った。
飯だぞー、と誘いに来た泉さんがソレを見て、ジト目で俺を見ていた。
ここんとこ穏やかな毎日が続いていた。
新人仔人狼達の面倒見を始めたので、年長組が今までの年下組を見るようになり、基本、俺は仔人狼達に専属。
ある程度になったら、幼年組として年下組と混ぜて行動になる。
それまで、この、ちっちゃなモフ☆モフ達と、毎日が天国ぅううう!!!
モフがみ様ありがとうごさいますっ!!
「「「「「もっふもふー♪もっふもふー♪もっふもっふはちぇーいーぎー♪、もっふもふー♪もっふもふー♪もっふもっふは神だー♪、もっふもふー♪もっふもふー♪もっふもっふは愛だよー♪、もっふもふー♪もっふもふー♪もっふもっふはちゃいきょおー!!」」」」」
まだちいちゃいからね、舌っ足らずの歌が可愛いのっつ!!!
人形態で走るのがまだうまくないらしく、、たまに尻尾だけだしてバランス取りながら走っている。
中途半端な変態も、これまたかわいいのなんのっつ!!
昔はみせびらかしたい!とか愚かにも考えたが、「ぜってぇーみせねぇっつ!!」です、今は。
なにより可愛すぎてもってかれちゃうリスク高すぎ!!
泉さんが小館滞在中は、毎朝村人を集めて、「気」と「棒振り」をさせるようになっていた。入植地から帰って来た直後から。
勿論、俺も強制参加させられている。泉さん、毎朝拉致しにくるんだもん、、寝ているところに。
なので、俺も意思に反しながらも、少しは棒振りもまともになり、気も体内くらいにはまわせるようになっていた。
「破ッ!!」
バキッ!!
泉さんが、俺が両手で支え持った厚さ3cmくらいの木の板を、平手をおしつけただけで破壊した音。
「これが、今俺ができる最大くらいかな、、」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!
鍛錬に集まってきてる村人たちの拍手。勿論人形態になっている人狼たちも。
人狼達は結構気を練りやすいらしく、進展が速いと泉さん。
なので
「んじゃ、太狼」
「はいっ!」
俺は1cmより厚めの板を先程のように構えて持つ。
「ハッ!!」
パキっ!!
おおーーパチパチパチパチパチパチ!!!
「このように、お前らも真面目に鍛錬すれば、できるようになる。毎日仕事も楽に感じられるようになるぞ?」
いやいやいやいや、50センチくらいある鉄の輪を屋台の輪投げ代わりに投げていた村人ですよ?これ以上になってどーすんの?
最弱俺はウサギよりびびりますけど?
と言っても特段強くなるつもりは毛頭ない!!!
「えばってどーする?!」 がん!
と板で頭をぶたれたー、、
「泉さん、心よめるんすか?」
「いや、おまえ口から漏れ出てたぞ?」
しまたあるね!
んじゃ、と板を構える泉氏
「は?」
「は?じゃねーよ、やってみ?」
「うあはははは、じょうだんはよしこさん!」
「いいからはよやれや、、」
すごまれてはごまかせないチープな根性は俺のです
えーと、、こう、、だっけ?
フン!と、いろいろと直される。
「気を練れ」
はーい
・・・・・・・・・・・・・
目で、もういい、と合図され
「はっ!」
べき
???
「ほう、、一応はできるじゃねーか!あっはっはっはっ!!
おーいみんなー、学も一応できているぞー!!あっはっはっはっ!!」
俺の場合は見世物ですか、、、
でも、学がやった板は、ヒビがはいったというよりは、”粉砕しきれなかった”と言った方が正しいものであった。
それを今知るのは泉のみだった。
冬季、それはこの東武領でもあまり事はない。
年末年始の祭事くらいだろう。
なので、特に泉は小館といずみ村を行き来し、両村民の鍛錬にあけくれた。
基本、全員と言ってよいほど戦闘好きなので皆は喜んでいたが、、、
「まっちょになっちゃうよー」となんだかんだといいながら、初期の数倍の鍛錬をこなせるようになっている学。
仔人狼達も、冬季にすくすくと育ち、春には幼年組になるだろう。
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