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第三話 元勇*、拠点を開業してみる

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「あれー?こんなのができてたんだー」
「「「へぇ?」」」
とりあえず寄ってみよーぜ、とかなんとか言い合いながら、その冒険者グループが宿の一階にある食堂に入ってきた。

「いらっしゃーい!」
へぇ?ちゃんとしてるなー、とかいろいろ感想を述べながらテーブルに付き、壁に貼ってある品書きを見渡す。

「おれ、ざるそばと冷酒」剣士らしい男
「じいさんかよw、俺は若者らしくカツレツ定食かなー」タンクらしい男
「私は魔法使いらしくマンドラゴラ定食にしよーかなー、でも食えるの?」
「なんだよ魔法使いらしい定食ってw、あたいはがっつりオーガステーキだ!しかも1kg!」拳士らしい女
・・・・・・・想像してしまい胸焼けしている3人

それとエールを3杯注文し、ガツガツ食った4人。
ひとここちついてから、

「ねぇねぇ、店員サン、ここって客来るの?なんか中途半端だけど、場所的に」剣士(略)
王都から魔物の森まで70キロほど。王都領内の端っこ近くにある。王都から馬車2日弱。

「皆さん、ストレージはそう大きくないでしょう?なので、うちではストレージサービスと荷馬車サービスをやっています。狩りをして皆さんのストレージを満杯にしてココに戻り、うちに預け、また狩りに出る。荷馬車一杯分にまでたまったら、荷馬車で王都に帰り売る。一度の遠征で今までの何倍も稼げますよ?」メフィスト

「・・・・それ、、いいなぁ、、・・あ、でもいくらここのストレージに入れてりゃ腐んないといえども、王都に帰るまで1日半かかるんだから、腐るわな」
「ああ、半日ありゃ充分内臓は逝くわ」

「そんな貴方方に朗報!うちは”捌き”サービスもあります。ストレージと荷馬車を契約されたお客様には無料で!
こちらに持ち込んだ獲物をその場で解体、腐りやすい内蔵や脳は取り出し、もし必要なら冷凍に、不要なら捨てます。肉はグループリーダーの血を一滴垂らしてもらって”持ち主”の魔法で持ち主固定しますので安心!
捌けは、更に多くの獲物を荷馬車に積めますよ!
肉は冷凍してもいいですが、少し味は落ちますねー」

「「「「すんばらしい!!!」」」」
「んじゃ、さっそく、、」
「いえいえ、焦りは禁物!」
ちっちっち!といいながら鼻先で人差し指を振る美青年に擬態したメフィスト。名札には”めふい”と書かれている。
「獲物を持ってきてからでいいですよ。幸いうちは開店したばかり、部屋を確保すらしなくても大丈夫でしょう。
なので、とっとと貴方方のストレージを獲物で満杯にして戻ってきてください、お待ちしております!」

「「「「おー!!」」」」
じゃらじゃら、と飯代を放り出し、4人は森に向かって駆けていった。


俺は畑を耕しながら”聞き耳”で一部始終聴いていた。うまいなぁ、さすがたぶらかしのメフィストフェレスだ。
なかなか良い人材をえられた、、のかな?


夕方、もう一組の冒険者パーティーがやってきた。
「うっわ、なにこれ?!!」
「夢かよ?!!」
「野宿だと覚悟していたのに??」
「夢が覚めないうちに部屋確保だっつ!!」
「「「「おー!!」」」」

「ちーす!」
「いらっしゃーい」
「部屋2つあいてるー?」
「ありまーす、少々お待ちを、、」
ほどなく厨房から出てくるメフィスト、
エプロンが黒服に似合っているのがなんか、、

「4名様、2部屋。風呂は外の銭湯が無料になります。朝食は無料でこの食堂で食べられます。夕食が必要な場合はこの食堂しかありません、今のところ。 武具の手入れや必要なものの入手は隣の武具屋で間に合うはずです。
一泊で銀貨3枚です。」
・・・・「やっす、、、」
「開店したばかりなので特別ですよ」
「つか、、銭湯あるって言った?」
「はい、温泉ですよ、終日営業なので、帰りが夜中になっても入れますよ。冒険者用の宿ですからねうちは」
「すぐ温泉だ!!!」
「「「おう!!」」」


最初のパーティーも狩りから戻ってきた。
「「「「ただいまー」」」」
「おや!お早いですね!てっきり明日になるかと、、、」
「いやー、がっつりいっちゃったよ!!ここ見ちゃ野営なんかする気にならんだろう?でも、ほれ、満杯だぜストレージ!もうゴブリン一匹入りゃしない!」
「誰がゴブ入れるかよw」
あっはっはっはっは!!!
暖かい飯、風呂、眠る安心できる部屋!があるってことで、皆陽気になっている。
「では、裏で獲物に血を一滴づつたらして持ち主の確定をしておきましょう、荷馬車は予約なさいますね?でしたら獲物を全てさばいておきます。内臓と脳は捨てていいですか?」

その後彼らは部屋と荷馬車の予約をし、荷物を置いて即銭湯に向かった。


聴くとはなく、彼らの話が耳に入ったので気になったから聴いた。
わりかし仲の良いパーティーだったらしく温泉に浸かりながら、

「いや、お前らが森に向かったってんで、んじゃー複数パーティーが居たほうが魔物が分散されてお互いにやりやすいだろーなー、ってんで俺らも急遽来たんだよ。」
「おう、そりゃありがたいな!今日はイレグイだったが、結構きつかったんよ本音んとこ、、明日から楽になるなー、助かった。」
「そりゃそうと、これ、どーゆーこった?」
「どーもこーも、すげー便利になったな?・・」
最初のパーティーの男が後から来た者たちに、宿のストレージサービス、荷馬車サービス、捌きサービスを話した。
「・・・すげー便利だなおい!荷馬車一杯分?しかもさばいた後の重量だぜ?暑い時期なら冷凍サービス?おいおい、どんだけの稼ぎに成るんだ?討伐なんてチンケな稼ぎとバカにできなくなったなおい!!」
「だろう?なぁ、、一度のここへの遠征で、一ヶ月暮らせちゃうよなー、荷馬車2台なら?3台なら?」
「おいおいおいおい!!!」

いや、あまり無理しちゃ死ぬだろー、、一台でやめておくようにメフィストにそれとなく言わせよう。

両方のパーティリーダーが荷馬車の複数台予約に来たので、1パーティーあたり、一回につき荷馬車1台のみ、だけになります。でないと無茶するパーティーが出てきますので、、と釘をさした。
2人共「ああ、そうか、、」と熱が醒めたようになった。

でも、と
「一度荷馬車満載程度まで獲物が貯まり、ここに休息期間として1週間以上森には入らずのんびりされた場合は、もう一台提供できます。」
商売熱心なメフィストであった。

それを聞いて、俺は即座に畑の奥を開墾し、訓練場とレクリエーション施設?を作った。
レクリエーション施設は、、、あれだ、ブートキャンプの障害物を持った走路だ。
高さ3mの塀。深さ2m幅10mの泥の池、つるつるの高さ5mの緩やかな岩山、50cmから1.5mの岩が縦に生えた地帯、頭部大の岩がごろごろころがった地帯、網がかかってその下をくぐり抜ける地帯、網が山のようになってて昇り降りする地帯、高く太い棒の上にいくつか小旗が刺さってて、それをとってくるというもの、鉄条網のようになった茨の迷路、などなど。
脳筋ベテラン冒険者達ならば、どうにかやっとクリアできるかできないかくらいで、楽しめるだろう。


温泉は、従業員は夜中に入る。客があまりいないからな。
じゃぶじゃぶ、、、
「わが主よ、さすがでございます」
「あー、お前が営業熱心なんでなー、、仕方がなくなー、お前、俺の扱い、結局うまいなー」
「いえいえ、あれは他意などありませんでしたよ?」
うそつけ、、

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