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第百八十八話 いきなり結婚!
しおりを挟む結婚式当日は快晴。
ドラゴニア自体、というかこの大陸南部は晴れが多い。熱帯性気候らしく、雨が降る時はスコール。2時間くらいどばっと降って、すぐに晴れる。
レストランで結婚式を行うが、一応外部向けの結婚式。
人魚王国の最強かつ重要な外交要員である国民とドラゴニア幹部な国民の結婚式だ。双方の国王が出席するので、どうですか?と、ドーラの同盟各国王家に招待状を送っていた。日程が決まったのは寸前なので送ったのも寸前になったが。
それでも各国の王は出席した。
当然皆各国王が来ると思ったから。
式の後に2-3日の余裕を持って来訪している。
同盟同士やドラゴニアとの事もあるが、異世界からの新しい国ムータンのことも気になるのだろう。
そういうこともあり、ムータン国王は前日に初めてこちらの世界に来ていた。
式前日
ダンマスが迎えに行った。ダンマスと国王は懇意にしているからだ。実際俺お前の仲程度までになっている。
国王が国を留守にするので、向こうにはユーリが留守番に行っている。
もし外国が何かしてきた場合、完全撃破できる者はそう多くおらず、しかも向こうを知っていなければならないので、ユーリしかいなかった。
邸に設置されている転位扉から出てきた国王は、まずダンマスとティルームでお茶をした。国王は初めての転位。気分が悪くなったりしてこないかの確認だ。国民が来た時も、なんだかんだあっちにいったりこっちにいったりで練兵場の中に優に30分以上はいた。幸い不調になるものは今まで出たことがなかった。
国王もなんともなさそうだったので、ダンマスは邸の中、外、を案内した。そしてドラゴニア王都側の街を案内した。
「なにか、とても懐かしい雰囲気を感じる」と王。
子供の頃は、電気もガスも無くクルマも無かった。ランプと薪と馬車の世界だったらしい。ランプこそ魔石を使っているが、他は今のドラゴニアは似たようなものだ。
そして、ほとんど子供ばかりなのが驚愕だった。知ってはいたが、やはり目にすると違うらしい。
その中に混じっている大人は、見たこと在る者達ばかり、つまりドラゴニアで研修しているムータン国民達。
王に気付く国民はお辞儀をするか跪く。王は手を上げて応えている。
それから空を飛んで上空からドラゴニアを見て、その後新ムータンに行く。勿論王は自分の魔力で空を飛べるようになっている。努力の人なのだ。
新ムータン王宮で、近衛兵と側近達に迎えられた国王。
皆国王の初来訪で感激している。
ねぎらいの言葉を掛けてもらい、涙をこぼしている者も多い。
それを見て更に
「苦労を掛けた。ありがとう」と。
どれだけ苦労しても、それを認められれば報われるというものだ。
その晩は国王は王宮に泊まり、翌朝迎えに来たダンマスと式に向かった。
ーー
「あー、ドラゴニア国人魚島保養所支配人マッハおよび人魚国外交ドラゴニア担当及び人魚島保養所海中施設支配人セレーネの結婚をここに認め、祝福する。」
とドーラが宣言した。
ここはドラゴニア王宮ではない。王宮は邸より少し大きい程度しかないので、客間は多いけど広間は無いのだ。だからたいがいのことは食堂でやっていた。
で、今現在ドラゴニアで一番大きい場所は騎士団の側にムータン人達のために作った食堂。結局ゆとりをもったら2000人程度の人数が座れる。押し込めば倍以上。
そこの前には部隊が設置されているのでそこで今見世物になっているのが、ドーラとマッハとセレーネ。
ドーラは2人に指輪をプレゼントした(ユータの世界の風習を少し真似た)。ドラゴニアの紋章(竜と盾)と、2人の名前を刻んだシンプルな指輪。ミスリルなので痛まない。いざという時は売ればひと財産になる。
「いざという時は言えよ、俺が買い取ってやる」ドーラ
あはははは、と乾いた笑いのマッハとセレーネ。
招待客の多くは(いざって、どういうときだよ)と心の中で突っ込んでいた。
結局マッハのプロポーズはどうなったのか?
(前話)セレーネがもう十分だとわかったので、魚人に礼を言ってドーラはセレーネを連れ帰った。
シュン! マッハは人魚島の海中宿にいたのを感知したのでそこに行った。
「ただいま帰ったぞー!」
「帰りましたー」セレーネ
「さあマッハ!今ココでっつ!!」なぜかそこに居たユータがいきなりっつ!!
え?と少し混乱するマッハを急かす!
「ほら、もうすぐ式なんだから今言わないとダメでしょっ!!!」ユータ。ちなみにこの時はまだ決まっていなかった。
「早くしなさいよ、捨てられちゃうわよ?」姫。海中宿だから当然居る。
捨てられちゃう、は強烈な一発だった。
「・・っ、、セレーネ!!・お、俺と結婚してくれっつ!!!!」マッハ
おう!ダイレクトっ!!
「よ、よくってよ!!」
人魚では流行りなのか?(少し前に姫がなんかそんなのやっていた)
「おーーー!!!」パチパチパチパチ!!!
皆の歓声に、真っ赤になってるが、どうにか片手を半分上げて応えるマッハ。
ということで、ムードもセッティングもナニもあったもんではなかった。
これはひとえに、
”プロポーズの環境つくり”
のための高級レストラン
が、
”いつの間にか結婚式場”
に、
いつの間にか周囲の者達の中ではそうなってしまっていた
ということが、功を奏したのだろうw♪
怖いね?ww
だが、関係者達は「とっとと事が進んでとてもよかった!」とホッとしている。
なーんかだらだらしたラブコメ主人公みたいに引き伸ばして話数を多くしょうとしているのと似たような感じになりそうだったからだ。許すまじ!wせめてメゾンがぎりぎりだねっ!!五代くんのその後キボンヌ!るみこ氏!!
結婚式を行ったレストランでは、乾杯と軽くコースを食べた。その後、騎士団本部(ちなみに騎士団というのはまだドラゴニアには無い。防衛軍が代わりにある)の超大食堂に皆を転移させ、そこで宴会を始めた。
用意をした厨房班の子達も、用意が終わっているので参加している。
こっちでは結婚式は余り行われない。家と家との結婚の場合のみ、対外的に必要なので行われていたようだが、ドラゴニアでは貴族とか無いし。
今回は特別だということ。
まぁ「やりたい子達がいれば用意するわよ」テイナ。というのが実情だな。多くの子達は「よくわからないし、面倒くさい。」と思っているようだ。
ドラゴニアの子達は皆孤児だった。親を知らない子、あまり覚えていない子、がほとんどだった。
そして、孤児院の仲間たちが家族同様だった。
なので、結婚という儀式とか血のつながりとかはあまり意識しないのだ。
一緒に住んで、一緒に助け合って良くなっていく。常に信頼し合って譲り合っていく。それが家族だと思っている。
だから、彼等は「結婚した後々が本番」だとわかっている。結婚した後のほうがよほど長いし大変だろうから。
でも、
「ごちそう食べる機会が増えるのはいいな!!」
と誰かが言った。
皆、
(ああそうか!結婚式すると、ごちそうを用意してもらえるんだ!!)と気づいてしまった。
「うっ、、、」とその言葉に呻くテイナ。
(仕方がない、様子見て厨房班の人員を増やそう)とテイナは思った。
数時間の宴会の後は別れてお茶会。
各国王達は集まって自己紹介などしていった。ムータン国王がいるのだ。
ドーラに代わってダンマスが混じっている。勿論ガンダも居る。
ドーラとユータ達はセレーネや姫、マッハやマッハの今や元の仲間達と一緒に大通りに設置された”二次会用お茶会場所”でケーキを食べて茶を飲んだ。
裏方をやってくれている厨房班とその手伝いの子たちも、かわりばんこに休んでケーキを食べていた。
国を上げて皆で楽しんだ一日だった。
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