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第百九話 ムータンとカメラと、初の異世界間同盟?
しおりを挟むムータン滞在で、ドーラは山登りを知った。
日帰りだけど、食い物と茶を沸かす道具、水、雨具を持担いて歩いて登っていく。
途中でぶーたれ始めたが、「弱音吐かない」とユータに一蹴された。
でも、朝早くから歩き始め、昼頃にやっと低い山の頂きに登りきり、その達成感、というよりは、最初は
「やっどづいだー、、もうだめ、、」と、、なんかからどうにか逃げ切った感だ。
その後、茶を沸かす用意しながら体を冷まし、茶を飲みながら弁当を食べる。
その頃になると周囲もよく見え、自分の居る所の見晴らしがよくわかる。
「ああ、よくも歩いてここまで登ったもんだ、、、」と達成感が沸き起こる。
慣れれば登頂したらすぐ達成感でるけど、最初はこんなもんだ。
「・・・・あれだな、、あの監視所の子たち、登山道あるほうがいいって言ってたの、これなのかな」ドーラ
「うん、多分、そうなんじゃないかな」
一歩一歩、大した距離ではない。が、続けていれば、たった半日でここまで登ってしまうのだ。
ユータもはじめて山に連れて行かれた時は、そう思ったものだ。
それから、歩くことも苦にならなくなり、普段でも結構好んで歩いていた。
便利さ、は、その必要な理由がはっきりある時に使うのはいい。
けど、何も理由もないのに便利に頼ったら、”なにかの良さがわかる機会を逃す”のだ。
父さんにそう言われた時は今ひとつぴんとこなかったが、いろいろなんかのときに、ああこれか、とその言葉を思い出す。
父さんは昔大きいバイクにテントを積んでいろいろ旅行していたらしい。
「高速は楽で早く着くが、その間が無いんだよ。でも下の道だと、そこの地域を見ることができる。楽しい。あとから思い出すことができる。高速だとそれは無い。」
今はもう「歳なので」と、ピンク色のナンバーのビジネスバイクを持っているが、たまにしか乗らない。普段は電車で通勤してる。
「たまに気分転換が必要」というときだけ、バイクで通勤している。
小さい頃は、ユータを後ろに乗せ、河原とか連れて行ってもらっていた。
ユータが自転車を買って貰ってからは、「自分でいろいろ走ってみなさい」と、あまり乗せてくれなくなった。
もうユータはバイクの免許や車の免許を取れる歳になった。
「とらないけど。いらないし」ユータ
おとうさん、ユータと長距離ドライブにでも行きたかったのか、そういう夢持ってたのか、少しさびしそうだったとドーラ。
山の下りは慣れないと結構厳しい。
下手に降ってると、膝が笑って降りられなくなったりする。
なので、ユータが手本見せながらのんびり降りていく。
のんびりと言えども、登りよりは余程早い。
途中、小川で遊んだりしながら帰っても、日暮れまでには王宮に着いていた。
山の入り口、登山道入り口のある小さな街道は山奥の村と首都を結ぶ街道。バスなどはないが、ロバに牽かせた荷車などはよく通っている。
ユータ達が歩いていると、乗ってけ、と声を掛けてくれる。
そういうところは、向こうの、ドラゴニアの世界と一緒で嬉しく、気持ちいい。
やっぱり、この国は文明化よりも魔法が似合う国だな、と、ユータは思う。
ユータとドーラは、一度日本に帰っていた。卒業式まであと2週間ほどあるので、
「ドーラとムータンに行って来る。」と両親に言って、出てきた。
パスポートのビザを見せたらユータの父さんはびっくりしていた。ビザの種類が観光ではない。現地政府関係のビザになっている。
いつの間に?恐ろしい子!!、とまでにはならなかったろうけど、、それに近い好意的な感動はあった様子だった。
父さんは古いメカニカルな一眼レフカメラを出してきて、「持っていきなさい」と、フィルムもたくさんくれた。
電池を使わないタイプなので電池の心配はしないでいいと。中学に入った頃一年ほど結構使わせてもらったカメラ。その後小さいデジタルカメラ買ってもらってからはそれのみ。でもそれはなぜかあまり使いたいと思わなかった。
撮り終えたフィルムは、現地で現像できなければ持って帰ってくればいい、会社の近くで現像できるから、と。
ドーラも目を輝かせて、ユータから借りていじくり回すのを見て、、父さんはまた部屋に入り、すぐ戻ってきた。
「んじゃこれ、ドーラが持っていきなさい。使い方はほぼユータのと一緒だから」
(これ、、向こうでも使えるじゃん?)ドーラ
(だよね、ナイス父さん!!)ユータ
で、調べたら、カラーは無理だが白黒フィルムは現像しやすく、温度管理さえできれば焼付もそうむずかしくないとわかった。
白黒フィルム、印画紙。
暗室用道具、現像道具、薬液類、現像液はフィルム用と印画紙用は違うので別に。印画紙用を多めに。
フィルム現像用にダークバッグは必須。暗室は紙焼きだけにしましょう。
温度管理は魔法でできるので、温度がわかるように温度計。
印画紙より一回り大きめの金属バット(四角いオケ?デカタッパー?みたいなもの)4つ以上。現像、停止、定着、水洗い。
とりあえずそれらを買ってポケット(ストレージ)にしまっておく。
どうせ向こうで優秀な子たちがいるんだ、その子達にとられてしまうだろう、ユータそれほど器用ではないので。
でもまぁいいか。向こうで写真ができるようになれば。
機械と薬液類や印画紙フィルムはこっちで買っていかないと、向こうでは作れない。
「向こうで流行ったら、、、」ユータ
「ああ、流行るな。流行らないわけない」ドーラ
「でもこっちのお金はそこまで多く手に入らないよ?」
「・・・それについては、、俺に少し考えがある。」
それから「いってきまーす!」と自宅を出て、そのまま転移。ムータンへ。
王宮に着いて、王様の側近に、王様の空いた時間に面会を、「ドラゴニア国王として」面会を求めた。
それにはユータも吃驚。でも、まぁそーか。
ムータン、ドラゴニア、両方に利があること。双方に問題は起きないこと。
それならばドーラが何かするだろう。そうでないことならやらない。それがドーラ。
ユータはそう思っている。
王様は他のをあとにして時間を開けてくれた様子。
「職務に邪魔して申し訳ない」ドーラ
「いや、この件も職務だと思うのだが?」王
「ああ、貴国と我が国、そうほうに利があることだ。」ドーラ
「まず、状況を説明したい。ウチの世界とこっちの世界ではお金を交換することができない。こっちのカネは裏付けがない。なので、今までは、ウチの国の産物をこっちでほそぼそと売ってカネを得て、必要なものを買って向こうに持っていっていた。ただ、今回、今までの収入では足りなくなりそうな状況に入ることが予想された。
うちの売り物は、川魚のヒモノ。今は海の魚のヒモノやウニなども得られるようになった。俺らにはストレージがあるから生物でもいいのだが、俺らの身元を知らないこっちの者達に不審がられるのでできなかった。
最近海の領土ができたのだ。なので人魚達がいろいろ交換に持ってくる。」
さすが普段ならそこで顔色くらい変わるのに、今は真剣に聞いているだけの王様。
「あと、うちの国のカネは、金、銀、銅の硬貨だ。魔法で精錬しているので100%と言って良い。」
さて、と、ドーラは続ける。
「今までの仲だし、ざっくばらんにいく。うちの金貨をこっちの世界の必要なカネに変えて欲しい。公的レートとはいわない。当分の間、公的レートの半値で、どうだ?」
ドーラ、王の目を見つめる。
王は考える。
額が少なければ気にもしないだろう。が、我が国が取り扱う金の量が、レートに影響を与えるようになれば、確実に武力侵攻される。もちろん先に似非民主革命とかやるアレだ。
なので、
「武力の保証が欲しい。」王
「どの程度?」ドーラ。
「多分、最悪、この世界の全ての国を相手に。」
「・・・・ユータ、ダンマスのところの、、そうだな、ミノクラスで、何人いればこの国を完全に守りきると思いう?お前の世界の最強の軍団を相手に。」
「えー、、ミサイル1万発とか来たら?音速の数倍だけど?」
「ああ、ダンマスのバリアなら、、単なる物理攻撃はほぼ意味ないからな、、」
「んじゃ、それ全土に張れば?」
「まぁ、、そうか、、魔力が持てばいいだけだもんな、、でもそう長くは出来ないと思うので、ミサイルだけダンマスに任せて、普通の戦闘機とか戦車とか来たら?」
ユータは執務室に張ってある地図を見る。等高線とか引いてあるやつ。
「皆、サーチはドーラ並?」
「俺の半分から俺並」
「最低で、30人、かなぁ、、負けないけど、取りこぼしが怖い。人間小さいから」
「ユータ、例えば、俺とユータが全世界を滅ぼすとなったら、どのくらいかかるかな?」
「うーん、多分、襲ってくる国は限られるから、、それ最初にやれば、あとはすぐ降るんじゃないかなぁ。30から50カ国だけ更地にすればいいだけだし、、ドーラはメテオできるの?」
「・・やったことねぇ、、でも訓練すりゃ、すぐできるはず!」
「僕できるし!僕だけでも、そうだな一度にでかいので1000くらいかな、、北米とか完全に更地にするには20個くらいかな、、月でもいいけど、地球の地表が全部だめになるっていう話だし、、、めんどくさいねー」
「そうだよなぁ、、一気に全部って、、あ、、一時期、この国だけどっかに避難させて、その間に地球表面全滅させて、、」
「食べ物なくなるよ?」
「・・・・チッ、、めんどくせぇ、、」
そういうレベルなんだ、、、と、改めて、、、こっち側、、というか、、向こうから来た者達が善良な者達でよかった、、と思う王。
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