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第一話 始まりは、

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その空き地の隅なんぞ誰もいかない。
いじめられ殴られ蹴られしたボクの唯一の逃げ場所。
この空き地すら誰も来ない。
金網フェンスで囲まれた空き地。
ボクだけが知るフェンスの抜けみち。
泣き顔が普通に戻るまで、いつもそこで時間を潰した。


その生暖かい風が吹いてくるその穴。いつの間にできていたんだろう?この穴は。
その穴の中は真っ黒。光が入っていかないのかってくらいに真っ黒。
小石を投げ入れる。
いつまで経っても音はしない。
不思議に、怖さに好奇心が勝っていたボク。

今日はどうしようもない。明日、ロープを持ってこようか、どこからもってくればいいのか、、うちにあったかな?


翌日下校してすぐに家に帰り、物置からロープを持って、空き地の隅の瓦礫の間に見つけた穴に向かった。
もちろん誰も居ない。
ボクは付近の一番大きな瓦礫にロープの端を結んだ。そして逆の端に拳くらいの石を結んだ。
そろそろとロープに結んだ石をおろしてみる。
ロープがおしまいになるぎりぎりで、石は底に届いた様子。偶然だな!ついている!
そう思い、ボクはロープを腰に巻きつけ、そして右腕にも巻きつけ、滑り落っこちないようにした。一応軍手をしている。
たぶん、これでいけるよな?

どわーーーーーーーーーーー!!!

どっすーん!!、、、う、、***・・・

・・・・・・・・・・・・・・

ん、、、、あ、、落ちたんだ、、いってぇー、、でも怪我していない?
ロープ、滑って落ちたんだっけ、軍手って滑るよなー、、少し気絶していたみたいだった。でもまだ明るい。

穴の入り口がちっさく見える。大丈夫、ロープも落ちていない、切れてもいない。

ポケットから懐中電灯を取り出し、点灯し、降りる前に腰に引っ掛けていたヘルメットを探して見つけ、かぶる。
さあ探検だ!
ボク一人の秘密!

からん、、何か蹴飛ばした
ん?灯りをあててみる、、刀?いや、剣ってやつか、、サビサビだなー、昔の?お宝かな?らっき!!
よく見ると、握り手の部分に宝石?こりゃ、、まじお宝発見???
周囲も照らしてよく探してみる。土をつま先でちょっとづつ蹴ってみて、なにか埋まってないかな?と。
腕輪発見。ぼろぼろーー?でもないか?服でこすってみる。銀?錆びても居ない?これにも宝石!
おとしたら嫌なので左腕に嵌める。丁度いい大きさだ。

ふと見ると、背の高さより低い横穴が合った。
下ばかり見ていたので気付かなかったのか。
そうか、風が吹いてきてるのは、こっからか、、そうだよな、奥が無けりゃ風なんか出てこない。

剣を左の腰、ベルトに差し、左手に懐中電灯を持って、横穴内部を照らす。

!!広い!なんて広いんだ!!
横穴を懐中電灯で照らすと、なんと天井やら床やら壁やらもきらきら光、その中全体がぼーっとだけど見えた。
なんだろう?あのキラキラは、宝石?鉱石?ぼくは知らずに踏み出して、奥の壁に手を付いていた。

近くで見ると、その小さな石たちは、いろいろな色があった。金色、銀色、青銀、赤銀、橙銀、緑銀、みなきらきら懐中電灯の灯りに反射してきれいに光っている。
ぼーっと見ているだけでも、とても気持ち良い感じ、、、
なんか、ちょっと、、
気づくと座り込んで、、横になってもいいよね、、まだ夕方でもないし、、少しだから、、


カキン!!ガン!キンッ!!ボンボン!!
ハッ!な!
ボクは飛び起きた、なんだ?穴の奥だ、、誰か居るような感じ、、小走りに行く。
小さな出口が見え、その向こう側でなんか音がする。掘っているのかな?

いや、声もするぞ?なんて言ってるのかまではわからないけど、、

そーっと、、
え?
何?
闘ってる?
何と?なによあれ?熊じゃないよな?でっけー豚?豚って立つっけ?で、棍棒持っているけど、蹄だよね豚、、蹄のマタに棍棒挟み込んでんの???
こっちより広い場所かも、と思えるそこは、
懐中電灯で照らさなくてもしっかり見えている。いつの間にか、懐中電灯を消して尻のポケットに仕舞っていた。
左手は、腰のベルトに差した剣をぐっと押さえている、右手は剣の柄にかかっている。
自分でもそれに気がついていない。




彼、小田中裕太。高校一年生。気が弱く、少々上がり症ぎみ。小学校高学年まではさほどでもなかった。が、悪意を持ってからかう奴らが出てき始めた小学校高学年あたりから、気弱に、上がり症になってしまった。
そういう気の弱いおとなしい者達は、悪意を持った奴らの格好の標的であり、大人たちはそのいじめを無視していた。
裕太は他の友人達を巻き込みたくないので一人を好むようになり、ラノベとゲームに入り込んだ。
そのままずっと、、、

裕太にとって、今のこの状態は日常ではない。彼の中ではラノベの登場人物たちに感情移入以上、入り込んでしまっているのと同じになっているのだろうか。
これは中3のときのことだった。




「ああ!」唯一怪物と闘っていた剣を持った者が何かに躓いて仰向けに倒れた、
ダッ!!タタタタ!
ズバン!!
大上段から思いっきり振りおろした剣により、その怪物は頭から股まで切り裂かれた、と思ったら、、
ほどなく、キラキラとした光になって消えていった。
ゴロン、、
こぶし大ほどのきれいな石が落ちていた。
「魔石だ、、、」ゲームの世界、ラノべの世界だと、魔獣の魔石だ。

「助けてくれてありがとう、、その魔石は君のものだ。ボクは君の助けがなかったらやられていた。だからそれは君のものだ」
その者は立ち上がりパンパンとほこりをはらうと、魔石を拾い、ボクに渡してくれた。
「あ、ありがとう、、」
「君は、、一人なのか?他に気配がない。たった一人でこんな深くまで来たのか?君が強いのは今見たからわかったが、それでも無謀もいいとどこじゃないか?」
「あ、、ああ、あの、、すぐそこからはいったから、、」
「あ?どこ?」
あそこ、と言おうとして出てきた方を見ると、何もない壁。
「え?!あそこから出てきたのに!!」
その剣士の仲間がそこらの壁を触ってみた、、2人ともクビを振る。
「何もないようだ、、もしかしたら転送されたのかもな、、君が気付かぬうちに、、」
・・・・・
「何か触ったり、足元に印や陣のようなものが無かったか?」
「気づかなかった、、、」
「ふむ、、でも君がここに来た方法が、上から下りてきたのでなければ、転送だろうな」

「まぁいい、君はどうする? 僕らは、一度上に戻る。もう魔獣もかなり強くなってきたので、コレ以上は僕らの手に負えない。君一人では危険だぞ?見た限り君はろくに装備もしていない、野営の道具もなさそうだ。僕らと一緒に上に戻ることを勧めるが?」
・・・
「・・・選択肢はないってことか、、、うん、一緒に行って、いいかな」
「ああ、歓迎する。ボクはマキ。彼女はテイナ、魔法使いだ。そしてあの子はニヤ、斥候を担当する盗賊職、ネコ人族だから優秀だ。」
「ボクは裕太。」 ボクには3人共それほど年上には見えなかった。
「剣士だな。うん、助かる。では出口まで一緒に頑張ろう!」
が、
「もう皆の疲労が濃いので、ここで休んでいく。数時間交替で寝て、疲れが取れたら出発しよう。」
ボスらしいアレを倒したでの、多分ここらは数日はここにはデカイものはこないらしい。なので比較的安全なここで休むのが最も良いとのこと。
彼女らから干し肉と水を分けてもらい、その場でごろんと横になって眠る。すぐに眠りにつけた。


おい、おい、裕太、、
ハッ!「何?」
マキだった。
「見張りの交替だ、あとを頼む。」

ボクとテイナが見張りに付いた。

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