天使な狼、悪魔な羊

駿馬

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第19章 再会の時

13.お酒はほどほどに

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■■■前書き■■■
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更新お待たせしました!
今回はシェニカ視点→ディスコーニ視点→シェニカ視点となります。
■■■■■■■■■


ーー恥ずかしくて言いにくいなら、一緒にお酒を飲もうと部屋に誘って、雰囲気に任せれば良いかもしれませんよ

ローズ様の助言に従い、雰囲気に任せようとお酒を飲み、時折キスをしたり、手を繋いでみたりしているんだけど…。楽しい会話が続くだけで、そういう雰囲気にはならない。うーん、やり方が間違っているのだろうか。
そもそも、どうやってそーいう雰囲気にすればいいんだっけ?

ふわふわする頭を働かせて振り返ってみると、ルクトと付き合っている時、彼とそーいうことをしたいって思う前に襲われて、その後は流されるような感じだったから、自分から積極的になったことがないような気がした。
どうすればいいか分からないけど、やっぱり直接的な言葉じゃないとダメなのだろうか。いや、そもそも私には女性としての魅力が足りないのではないだろうか…。


「飲むペースがはやいようですが、大丈夫ですか?」
「だいじょうぶだよ~。ベリーのシードル、おいしいね。へへ」

空いたグラスにシードルを注ぐと、3本目の瓶があと少しでカラになりそうなことに気付いた。もともと美味しいっていうのもあるけど、彼との会話が楽しいからか、どんどん飲めてしまう。


「ディズは何のお菓子が好き~?」
「どんなお菓子も好きですが、シェニカと食べた饅頭パフェがもっと好きになりました。また一緒に食べに行きませんか?」

「うん!行く行く~! 見た目はすごく甘そうなのに渋い味だったね。また食べたくなっちゃった。へへっ」

「随分お酒が回っていますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ~。キスしてもいい?」
「いいですよ」

クスクスと笑う彼は、触れるだけの優しいキスをすると、すぐに顔を離して幸せそうに微笑むだけだ。
ローズ様によれば、彼はそーいう関係になるのを心待ちにしていると言っていたんだけどなぁ。あ!もしかしたら、連日のお仕事で疲れて、今はお酒とおしゃべりを楽しみたいってことなのかもしれない。やっぱりディズは忙しいんだなぁ。


その後もお酒を飲みながら、時折手を繋いだり、深いキスをしたけど、結局そういう雰囲気にならなかった。今日はダメだったけど、タイミングが合う時がくればいいな~。


「たくさん飲みましたね」
「おいしかったからね~。へへっ」

頭はしっかりしてると思うのに、口から出る言葉はゆるくまとまりがない。2人で4本を飲みきったけど、流石に飲みすぎたのか身体がかったるい。なんとなくディズの肩に重い頭を預けると、彼は私の肩に腕を回してくれた。


「かたくてあったか~い」
「シェニカはぽかぽかしていますね」

彼はそう言うと、肩に回した手に力を入れた。そうしていると、余計にあったかくなって、かたい腕がもっと頼もしく感じて、なんだかとても安心出来る。そういえば鍾乳洞にいた時も、ディズと一緒にいれば不安が続くことはなく、安心して前に進めた。彼は明るく静かに照らしてくれる、大きな月みたいだ。


「こういうゆったりした時間を、生息地でもたくさん過ごしたかった…」
「やっぱり将軍職になると忙しいんだね」

「いいえ。同じ立場でも他の方々はきちんと休日もありますし、定時で帰れる人もいるのです。私の場合、バルジアラ様からデスクワークを押し付けられるのが原因なのです」

「頼りにされているんだねぇ」

「頼りにされているのか、良いように使われているのか分かりませんが…。フェアニーブで提出する報告書の作成は仕方がないとしても、バルジアラ様の手伝いで、こんな幸せな時間を潰していたと思うと後悔ばかりで。シェニカと一緒にいる時だけは、ワガママになろうと思います」

「バルジアラ様が困るんじゃない?」
「本来なら自身でやらなければならない仕事ですし、良い機会なので困ってもらおうと思います」

顔は見えないけど、ディズは静かに笑ったような気がした。バルジアラ様とはとても強い結びつきがあるようで、直接的な言葉はなくても尊敬し信頼し合っているのが、今まで聞いた話の中から伝わってくる。私とローズ様のような関係に近いのかな~とぼんやり思うと、神殿での時間が懐かしくなった。友人や家族との時間はなかったけど、目を閉じればローズ様とのいろいろな思い出が蘇ってくる。師匠であり、先輩や母でもあるような、一言では表現出来ないような、密な関係だと思う。


「こうしていると鍾乳洞を思い出しますね」
「そう、だね」

「こういう風に抱きしめあって、手を繋いで、力を合わせて生き抜いて。とても幸せでした」
「私も…。そう、思う」

温かい体温と安心感に包まれて、なんだかとても気持ちよくなってきた。まるで温泉に浸かっているみたいだ。いつかユーリくんと一緒に温泉に行きたいな…。水に濡れるのは嫌だと聞いたけど、温泉の蒸気はやっぱり普段と違うって感じて、何度も温泉の蒸気浴をしてくれたり…。お風呂上がりは日の当たる場所でお昼寝したり…。気持ちよく眠るユーリくんを見ながら何をしようかな…。


「いつか。あの時のように一緒に眠りたいです」
「うん…」

温泉いいなぁ。あったかいお風呂に入って、美味しいご飯を食べて。ディズとユーリくんとまったり過ごして、それから…。




「眠ってしまいましたね」

気持ちよさそうに眠る彼女を片腕で抱きしめながら、自分も目を閉じた。
彼女はベリーのシードルを気に入ったのか、ペースよく飲んでいた。紅潮した頬やトロンとした目、時折出る舌っ足らずな口調、一緒に眠ったら気持ちよさそうな体温。甘えたような言葉や仕草、キスを求めてくれる姿に思わず胸が高鳴った。鍾乳洞で温めあった時のような、ドキドキとした胸の高鳴りと幸福感が蘇り、このまま自分も眠ってしまいたくなる。

一緒に眠りたいと言ったら、『うん』と返事があったものの、酔っていたし、半分眠っているような状態だったから、本当にそう思ってくれているのかは分からない。でも、嫌がられてはいないと思いたい。


ーーフェアニーブにシェニカが行くと知られているから、彼女の気をひこうと、様々な魅力を持つ王族や将軍らが集まってくる。惹かれるのは仕方のない人たちばかりだろうが、それでも自分だけを見ていてほしいと思ってしまう。でも、彼女の自由を縛ることは出来ないし、側に居続けることも出来ない。
ならどうすればいいのかと考え続けた結果、離れていても決して壊れない確かな絆が必要で、そのためには多くの時間と想いに溢れた言葉、思い出が重要になると、戦術論を参考に導き出した。
一番の難敵はバルジアラ様だが、『今が一番大事なんだ』と無理を言って時間を貰い、たくさんの思い出を作ろう。


しばらくぬくもりを感じた後は、彼女をしっかり休ませなければと言い聞かせ、抱き上げてベッドに運んだ。


「おやすみなさい。良い夢を」

ブーツを脱がせて布団をかけ、声をかければ彼女の口から言葉にならない音が出てきた。律儀な彼女のことだから、きっと『おやすみ』と返してくれているのだろう。もう一度小さな声で「おやすみなさい」と言うと、自分の方を向く寝返りと同時に袖を捕まれた。
いつもより積極的にキスを願ってくれた彼女を見ると、彼女と直接体温を分け合いながら一夜を過ごる日が本当に来るかもしれない。そんな幸せな夢を与えてくれた彼女の頬に口づけ、袖を掴む指を外そうとしたのだが。指にはほとんど力が入っていないから簡単に外せるのに、彼女が『行かないで』と言っているような気がして、とても名残惜しい。
『袖を掴む指を放せなかった』と理由をつけて、このまま一緒のベッドで眠ってしまいたい。でも、恋愛観が一般人に近く、律儀で真面目な彼女だから、許可なく同じベッドで眠ったとなったら、怒ったり、ガッカリしてしまうのではないだろうか。彼女にそんな風に思われたくないと心の中で何度も繰り返し、可愛い寝顔をしばらく眺め、意を決して指を外した。

手の甲に口付けを落として1歩離れた時、ベッド横のテーブルに並べられた、ファズたちが贈ったリスのぬいぐるみ、コッチェルくん、目を閉じた人形、コンパクトに視線が止まった。赤いコートを着た可愛い人形を手にとると、所々縫い目がちぐはぐなことに気付いた。どこかの土産品のような気もしたが、売り物ではなさそうだし、こうして飾っているところから、彼女の大事な思い出の品なのだろう。次にコンパクトを手にとってみると、古めかしい感じがするし、中の青いビロードは年代物のようだから、骨董品の一種のようだ。
彼女は思い出を大事にする人なのだと分かると、やはり離れるまでにたくさんの思い出を作らねばと強く思った。どんなことをしようかと考えながら、ユーリの入ったポーチをそっと手にとり、静かにワゴンを押して扉を開いた。


「シェニカ様はお休みになりましたので、鍵を渡しておきます」

警備をしていたアクエルとアヴィスに声をかけると、アヴィスは受け取った鍵を丁寧に懐にしまった。


「ファズがバルジアラ様にかけあって、シェニカ様がいらっしゃる間は、ディスコーニ様に対して配慮してもらう許可をもらいました。なので、心置きなくシェニカ様との時間をお過ごし下さい」

「ファズが?」
「はい」

自分は何も命じていないから、自主的に考えて行動してくれたのだろう。もともとバルジアラ様の部隊にいたから、よく知っている間柄とはいえ、簡単に許可を出すような内容ではないだけに、彼は相当の覚悟をしたのだろう。それにしても、バルジアラ様が許可を出すなんて。どういう心境の変化だろうか。


「よく許可をもらえましたね」
「その場にいたラダメールとセナイオルはもちろん、エニアス達も同じように頭を下げてくれました。私達も含め、両部隊の皆がディスコーニ様を応援しております」

「ありがとうございます。今日はシェニカ様の許可をもらっていないので部屋に戻りますが、明日以降は遠慮なく時間を貰おうと思います」
「おやすみなさいませ」

ファズたちがもらってくれた許可はとても嬉しい。シェニカと一緒に過ごせる時間が増えるのなら、どんなことをしようか。今夜のように2人っきりで酒を飲むのも良いし、街をデートするのも良い。
彼女の部屋を離れるのは後ろ髪を引かれる名残惜しさだったが、また明日もあると考え直し部屋に戻ることにした。廊下の窓の外は暗く、激しい雨音しか聞こえないが、心の中は快晴の空の下にいるようにとても晴れやかで、ワクワクとした高揚感で満ち溢れた。




翌朝。元気に駆け回っていたユーリを肩に乗せ、部屋の扉を開けばファズが待機していた。ユーリはファズを見ると、飛び移るつもりのようで身体を縮こませた。

「おはようございます」
「おはようございます。ユーリ、おはよう」

ファズが手を差し出せば、ピョン!と大きくジャンプして、彼の肩まで走って頬ずりした。ユーリはファズにひとしきり撫でられると、自分の方に戻ってきて軍服の合わせ部分から顔を出した。


「ファズ。昨日はバルジアラ様に掛け合ったそうですね。ありがとうございます」
「出過ぎた真似を申し訳ありません」

「私が願っても許してもらえませんので、とても有り難いことです。本当にありがとうございます」
「我々に出来ることは何でもやりますので、書類の作成など遠慮なくまわしてください」

「ではバルジアラ様が抱える書類についても、手伝いを頼んでもいいですか」
「もちろんです」

彼は文句も嫌味も言わない真面目な性格で、部下たちから頼られる優秀な人物だ。バルジアラ様の部隊にいた頃から、自分が昇格した時の腹心となるべく、人一番努力してきたのを知っている。自分にはもったないほどの人物が部下になってくれて頼もしかったが、プライベートなことまで熱心に応援してくれるとは思ってもみなかった。

今まで自分の書類を任せていたが、これからは押し付けられたバルジアラ様の書類についても手伝ってもらおう。彼の負担は倍増するだろうが、はやく将軍職に就けるように色々と手回しをしておかなければ。




目を開けると、そこはベッドの上だった。起き上がるとズキズキと痛みだした頭に治療魔法をかけ、なんで旅装束のままベッドに入っていたのかと思い出してみると、昨晩は酔いつぶれて眠ってしまった事実に気付いた。
部屋の中を見渡してみたけど、彼の姿もユーリくんのポーチもなかった。ベッドに運んでもらった上に、『おやすみなさい』も『ありがとう』も言えず、彼には本当に申し訳ないことをしてしまった。シャワーを浴びたり、身支度を整えていると、ルクトが部屋を訪ねてきた。


「メシ食いに行くか?」
「うん」

レストランに入ると、日替わりの朝食メニューを注文した。ここも高級レストランだけど、朝食のメニューはご飯に焼き魚、つみれ汁、野菜のお浸し、漬物、デザートのフルーツという安宿でもよく見るメニューだ。パッと分かる違いと言えば、オシャレな店内と食器、食材の新鮮さだろうか。
静かなレストランもいいけど、わちゃわちゃした食堂の喧騒の中で食べるのも、楽しいもんだな~と安宿の良さを再認識した。そんなことを思いながら食べていると、窓から見える空には相変わらず灰色の雲がかかっているけど、雨音がしていないことに気付いた。


「雨、止んだんだ」
「夜中は降ってたけど、明け方にはもう止んでた。晴れてはいないが、もう少ししたらここを出るって聞いた」
「そっか。ここを出たら次はアドアニザだから、もう少しでレオンに会えるね。楽しみだね」
「そうだな」

ルクトはあまり表情を変えないけど、きっとすごく楽しみにしていると思う。レオンと再会したら、また一緒にお酒を飲んだりしたいな。
レストランを出ると、ロビーでファズ様たちと話していたディズが、私に微笑を浮かべながら歩いてきた。


「急な話になってしまいましたが、これからここを出発することになりました」
「すぐ準備できるから大丈夫だよ」
「では荷物を取りに部屋に戻りましょうか」

部屋に戻って準備を整えていると、ディズがひときわ嬉しそうな笑顔を浮かべていることに気付いた。何か嬉しいことがあったのだろうか。


「昨日は寝ちゃってごめんね。ベッドまで運んでもらったり、片付けもしてもらって…。色々とありがとう」
「私の方こそ、楽しい時間をありがとうございました。実はこれから先、毎日シェニカとの時間を取れることになりました。なので、またシェニカと一緒に過ごしていいですか?」

「もちろん良いけど、お仕事は大丈夫?」

「報告書はあと少しで終わりますし、シェニカとの時間を大事にしろと、バルジアラ様やファズたちが気を利かせてくれました。シェニカと半日を過ごし、残りの時間で仕事に励みますから大丈夫ですよ」

「そうなんだ。なんだか気を使ってもらって申し訳ないや」

「みんな温かく見守って下さっているので、申し訳なく思う必要はありませんよ。
それで、なんですが…。私は地方に行く機会が少なかったので、これから立ち寄る街をあまり知らないのです。なので、一緒に街を見て回りたいのですが、良いでしょうか」

「うん!もちろん!」

「私は国外に行くと監視下に置かれるので、興味を引かれる場所があっても、街を見て回ることが出来ないのです。シェニカと一緒にいれば街を見て回れるので、国外に出た後も立ち寄る街でデートをしたいのですが…。どうでしょうか?」

「私もデートしたいな」

「シェニカとたくさんデートが出来るなんて…。本当に嬉しいです」

ディズはそう言うと、包み込むように優しく抱きしめてきた。
彼となら関係を進めても良いと思ったけど。私に絶えず『愛しています』と伝えてくれる彼に、『私も愛しています』とちゃんと応える方が先なのかもしれない。
私の中にある『好き』が確かな『愛』に変わるまで、焦らずゆっくり愛情を深めて行ってもいいかもしれない。
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