天使な狼、悪魔な羊

駿馬

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第19章 再会の時

11.悩める人たち

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■■■前書き■■■
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更新を大変お待たせしてしまい、申し訳ありません。m(__)m
今回のお話は、第三者視点→ディスコーニ視点→バルジアラ視点となります。

■■■■■■■■■

犬と猫をそれぞれ抱いた若かりし頃のウィニストラ国王夫妻を描いた絵画が見下ろす中、ディスコーニと5人の副官達が、緊張感を漂わせてデスクワークに励んでいる。
ディスコーニは報告書を作成し、ファズは首都から届く書類を確認。セナイオル、アヴィスはディスコーニの書いた報告書を複写し、アクエルとラダメールは、その複写が間違っていないかを確認している。誰もが無言で作業をする中、陽の差し込む窓際に置かれたカゴの中には、お気に入りのフカフカのクッションの上で丸まって眠るユーリがいた。
窓を叩く風の音で目を覚ましたユーリは、大きなあくびをしながら身体を伸ばすと、部屋を駆け抜けて探検をしたり、机を駆け登って置かれたおやつを食べ始めた。机の上をチョロチョロと動き回ったり、起き上がりこぼしに飛びかかって遊び始めれば、数瞬の間だけ6人は視線をユーリに移すが、微笑みを浮かべるとすぐに手元の書類に視線を戻した。


「ディスコーニ様。こちらはバルジアラ様と宰相様からのお手紙で、こちらはディスコーニ様との接点を求める貴族らからのお手紙です。他国から届いたシェニカ様に関するお手紙は、こちらにまとめています」

「分かりました。一旦休憩にしましょうか」
「はい」

ユーリが背伸びをするアヴィスの肩に駆け上がると、ディスコーニは微笑みながらその姿を見守り、シェニカからもらった飴を口に入れると目を閉じて味わった。


「テラスでおやつにしようか」
「チチッ!」

お菓子やお茶を手にしたファズ達と一緒にテラスに出ると、ユーリはガーデンテーブルの上に降ろされた。ユーリを囲んで休憩する様子を室内から見ていたディスコーニは、机の端に置かれた書類の束を手に取ると、大きなため息を吐き出しながら読み始めた。



「ちょっと硬めのクラッカーだけど食べる?」
「チッ!」

ラダメールから渡されたクラッカーを受け取ったユーリは、一心不乱にかじり始めた。


「エニアスから、ディスコーニ様がいないから書類が溜まるし、ユーリもいないから癒やしがない。そのせいでバルジアラ様が荒れて、部隊全員が鍛錬場に連行されて、大変な目にあったと連絡が来た。加えて、先日の朝、バルジアラ様の執務室を覗いたら、『今日は午後の鍛錬終了時刻まで俺と鬼ごっこだ。私服に着替えて王宮以外の場所を探せ。飯は好きな時に食べて良し』と書き置きが残されていたらしくて。バルジアラ様は本気で気配を消してるから、王宮も含めた首都のあちこちを探し回ったけど、結局捕まえられなかったらしい」

「それはまた大変な目に…」
「確かに良い鍛錬にはなるけど…。後回しになった分も合わせてデスクワークが過酷になるな」

「あと、書類の山にウンザリしていらっしゃるから、首都を発つのは2日後になったとのことだ」
「早めに出発して、ディスコーニ様に押し付けるつもりなんだろうな…」
「どうすればバルジアラ様は真面目にしてくれるんだろうか…」


「それと。この前、トゥーベリアス様は貴族の令嬢と付き合ってるって、シェニカ様に勘違いされただろ?だからなのか、トゥーベリアス様は今まで親しかった令嬢達と距離を取り始めたらしい」

「身辺整理をするってことは、割って入るつもりなのかなぁ」
「お2人はすごく良い感じっぽいから、無理そうな気がするけど。どうするつもりなんだろ」
「時間さえあればお2人の関係も進展するかもしれないのに…」
「バルジアラ様のデスクワークが障害に…」

5人で同時にため息を吐くと、散らばった欠片を食べているユーリに視線が集まった。その視線を感じたのか、ユーリは食べるのを止めて2本足で立ち上がった。


「シェニカ様はユーリが大好きだから、ユーリがいてくれたらきっと大丈夫だと思うんだ。だから、シェニカ様の気持ちがディスコーニ様から離れないよう、協力してくれないか? 給料は美味しい食べ物。前払いだ」
「チッ!」

セナイオルがクルミを差し出すと、返事をしたユーリはクルミを噛み砕き、頬袋に入れ始めた。


「契約成立だ。頼んだぞ!」
「これで安心だな」
「ユーリがいてくれたら、何でもうまくいきそうな気がするな」
「そうだ。ユーリからもバルジアラ様にデスクワークをするよう促してくれないか?ディスコーニ様がシェニカ様と一緒に過ごすためには、バルジアラ様にデスクワークをちゃんとやってもらわないといけないんだ。これも頼める?」

「チチ!」
「じゃ、これも前払いだ」

しばらく他愛のない話をしていると、観葉植物の葉を大きく揺らすような強い風が吹いた。強弱をつけながら吹き抜ける風を避けるためか、ユーリはファズに飛びついた。


「さて、もうひと仕事しますか」

胸元に張り付くユーリを撫でながら、ファズ達は室内への扉をくぐった。





報告書に使う言葉選びや表現などに神経をすり減らす作業を1日続け、待ちに待ったご褒美の時間。
レストランに行こうとシェニカの部屋に行けば、彼女は笑顔で迎えてくれる。同じ部屋で過ごせなくても、顔を合わせ、会話し、食事が出来るのは本当に嬉しく思うのに。彼女が旅に戻る日が来てしまえば、この時間が幻だったようになるのかと思うと、胸が苦しくなる。
彼女と出会う前の日常に戻るだけというのに、彼女と一緒に旅をしたい、側にいたいという願いが強くなり、以前と同じような気持ちになれない。


「シェニカの方は順調ですか?」
「うん!まだ一部しか出来てないけど、順調に行ってるよ」

ローズ様の助言もあって、フェアニーブで神官長らに会うと聞いた時には驚いた。やはり彼女にとって師の存在は大きく、その意見に彼女は影響を受けるようだ。ローズ様は簡単に面会出来るような方ではないし、慎重な言動を心がけねばならない方だが、今回貴重な機会を頂いた上に、信頼していただけたのはとても喜ばしく思う。


「ずっと羊肉ばっか食ってるけど、魚や他の肉料理は食べないのか?」
「他の料理も美味しそうなんだけど、この街って故郷に似ててさ。実家で羊肉をよく食べてたから、懐かしさもあって、なんかずっと注文しちゃうんだよね」

『赤い悪魔』は自分が同じ場所にいると口数は少なくなるし、自分と会話をすることはないが、以前のような露骨な不機嫌さを見せることはなくなった。時間の経過、2人の距離感の改善だけでなく、ローズ様からの助言もあってか、少しずつ彼にも周囲を伺う余裕が出てきたのだろう。
彼女の旅の不安が解消に向かっていると思うと喜ばしいことなのだが、2人が以前のような深い関係に戻ったら…と考えると、悲しい未来を想像してしまう。そんなことが起きないように、自分も彼女と一緒に行けたらいいのに…。


「急な話で申し訳ないのですが。もう少しこの街でゆっくり出来る予定でしたが、フェアニーブで行う他国から会談の申し込みが相次いでいるので、その対応のためにバルジアラ様たちは早く向かうとのことでした。
明日バルジアラ様たちがここに到着する見込みなのですが、私も同席しなければならない会談があるので、一緒に向かわなければならないのです。こちら側の予定なので、私達だけが先に行き、シェニカは予定通りの日程で出発ということも可能です。その場合、トゥーベリアス殿がシェニカと一緒にフェアニーブに向かいます。私達と一緒に出発することも、ここでゆっくりして出発することも可能ですが、シェニカはどうしたいですか?」

「じゃあ私もディズ達と一緒にフェアニーブに向かってもいい?」

「もちろん大丈夫ですが、良いのですか?」

「うん。トゥーベリアス様と一緒だと、色々お誘いがあって大変な気がするし」

シェニカが自分と一緒に移動してくれること、トゥーベリアスを避けている様子に正直ホッとした。

他国との会談は基本的に王太子殿下やバルジアラ様の出席で済むというのに。今回の一件について、自分から直接話を聞きたいと他国から要望があったこと、他国に成果を誇るという理由で、自分まで会談への同席を求められた。詳細は提出する報告書を読めば良いし、なにより自分はシェニカの世話係だから、出席は重要な国に限ると聞いたが…。その時は彼女の側にいるのがトゥーベリアスになるから、余計なことをされないためにも、彼女と片時も離れていたくない。
彼女が一時も離れていたくないと言ってくれれば、会談に同席することもトゥーベリアスが近付く機会を与えることもなく済むのだが。律儀で真面目な彼女がそんなことを言うことはないだろう。


「ディズがお仕事してる時、ユーリくんは何をしているの?」
「部屋を探検したり、お昼寝をしたり、おやつを食べたり。書類を咥えて運んだり、風に飛ばされないように書類の上に座ってくれたりしています」

「ユーリくん、働き者ね」
「チチ!」

シェニカが自身の胸元から顔を出しているユーリに声をかけると、彼は元気よく返事をした。指先で頭や顔を撫でられている彼を見ると羨ましく思う。

彼女と一緒に過ごせる時間は限られているというのに、なぜこうも仕事に追われてしまうのだろうか。
バルジアラ様のように仕事から逃げるという選択肢を取れたらいいのだが、そうするとしわ寄せがファズたちに行ってしまう。彼らにはデスクワークだけでなく、自身の鍛錬や部下の育成、覚えなければならない知識など、やることは膨大にある。彼らへの影響を考えると、バルジアラ様のようにワガママを言うことが出来なくて、結局仕事に追われてしまっている。
この状況を変えるには、バルジアラ様に自分の分のデスクワークは自身でやってもらわねばならないが、自分が反抗しても『上官命令だ』の一言で押し切られてしまう。
筆頭将軍を別の人が担ってくれればいいのだが、今回の一件で『次の筆頭将軍はディスコーニ』という空気が流れてしまって、困ったことになっている。


「このあと、外の空気を吸うために少し散歩をしようかと思っていますが、一緒にどうですか?」
「いいね、一緒に行く!」
「ルクトさんも一緒にいかがですか?」
「俺は部屋にいる」



宿の外に出ると、魔力の光を手に乗せ、彼女と手を繋いで暗闇に満ちた石畳の道を歩き始めた。時折巡回の兵士とすれ違うと、露骨にジロジロ見たりはしてこないが、額飾りを隠した彼女に興味津津な様子なのが分かる。


「土や草の匂いがして、懐かしいな」
「シェニカの故郷も同じ匂いがしていましたか?」
「うん。牧場や畑が多いから、年中土や草、牧場の匂いがしているんだ。他の街から来る人は牧場の匂いを嫌がることもあるけど、私はそういうところで育ったから全然気にならないんだ。ディズが生まれ育った街って、どんなところ?」

「私が生まれ育ったのは、首都の南東にあるアミズという街で、年中咲く花が特産の場所です。私は食べたことはありませんが、フラワーパフェが有名らしいです」
「フラワーパフェって見た目もきれいなんだろうな。行く機会があったら食べてみよ!」

「その時はぜひ声をかけて下さい。私も一緒に行きたいです」
「うん!一緒に食べよ」


もうすぐ報告書の作成が終わるが、次はあの方が溜め込んだ書類を押し付けてくるだろう。行く先々でデートしようとシェニカと約束したいところだが、限界まで書類を溜め込んだ上官と、連日の残業続きで疲労困憊のエニアス達を見て見ぬ振りは出来ないだろう。
エニアス達には宰相様を見本にして尻の叩き方を考えてもらわねば。





部隊を引き連れてボルフォンに到着すると、軍の拠点の前にはディスコーニが副官らと共に出迎えに来ていた。副官のうち、セナイオルとラダメールがいないが、シェニカ様の護衛として置いてきたのだろう。
トゥーベリアスがトラント国王と4人の『白い渡り鳥』様を軍の地下牢に連れて行くのを横目で見届けると、ディスコーニを連れて自分らも拠点に入った。


「報告書はあとどれくらいで終わりそうなんだ?」
「まだかかりそうです」
「書類がすっげー溜まってる。さっさと終わらせろ」
「溜まっているのはバルジアラ様の分ですよね。よい機会ですから、ご自身の仕事はご自身でしてはいかがですか?」
「なに言ってんだ。俺の仕事の手伝いをするのも、お前の仕事だ」
「いつまで経ってもデスクワーク嫌いは治りませんね…」

わざとらしく大きなため息を吐くディスコーニを見ながら、ファズからの『ディスコーニ様は、いざとなったら国を捨ててシェニカ様を取る覚悟でいらっしゃる』という報告を思い浮かべた。


ーーいざとなったら国を捨ててシェニカ様を取る覚悟でいるだと?! 何を馬鹿なことを言ってるんだ。確かにシェニカ様はウィニストラにとって大事な方ではあるし、尊重すべき方だが、万が一結婚出来たとしても、軍人であるお前が第一に考えないといけないのは、シェニカ様じゃなくて、国と国王陛下なんだよ。
そんなことは当然分かっているはずなのに、なんで国を捨てる覚悟をしているんだ。しかも今はまだ『お友達』でしかなく、恋人以上の関係でもない。夢を見すぎた挙げ句、やっと来た初恋に舞い上がり過ぎているのだろうか。

『侵略できない大国が、大義名分を持って他国を侵略した』という戦果とシェニカ様との関係、ディスコーニを『英雄』と称える国民の状況を見て、俺がディスコーニを重用するのを面白く思わない将軍たちも、黙らざるを得なくなった。
この調子でディスコーニに将軍としての実績を積み重ねさせ、筆頭将軍を引き継がせたいと思っているのに、まったくこいつは何を考えているんだ。



会議室に入って用意された椅子に座ると、ニドニアーゼルとストラが目の前に遠慮なく書類をドサドサと積んだ。もう見たくない山積みの書類を指差し、机を挟んで立つディスコーニを見た。

「いつも通りお前が目を通しておけよ」
「私には報告書の作成がありますし、私自身が確認しなければならない書類もあります。すべては無理です」

「お前なら出来る」
「無理なものは無理です。そもそもバルジアラ様がしないといけない仕事なのですから、ご自身でなんとかしてください」

「お前がいない間、俺はかなりの数を処理したんだよ。これは命令だ」
「私はシェニカ様の世話役です。シェニカ様のお世話の方が優先度は高いので、いくらバルジアラ様のご命令であろうと、そちらの仕事をおざなりにすることは出来ません。そのため、手伝うことは出来ても、ご期待に沿うことは出来ないかと思います」

シェニカ様に関することは、こいつしか出来ないから優先するのは分かる。でも俺の仕事が毎日毎日溜まり続け、もう限界なんだよ。


「もうストレスでおかしくなりそうなんだよ。国内にいる間だけでもいいから、今後のためにもシェニカ様についてはファズ達に任せろ」

「…分かりました。自国内だけですよ。ですが、夕食はシェニカ様と一緒にしますから、時間になったら離席します」
「分かった、分かった」

今回の戦争において、ファズ達はシェニカ様の護衛に徹していたから目立った戦績は上げていないが、シェニカ様に顔と名前を覚えて頂いた上に、気にかけていただけるくらいの距離になった。他の『白い渡り鳥』様の護衛をしても、そこまでの結果になることは稀で、さらに軍人を避けてきたシェニカ様ということもプラスされて、他の副官達だけでなく、将軍らにも簡単にはなし得ない立派な成果になった。
ファズ達がシェニカ様からのより一層の信頼を得るために、その役割を譲ってやれと言い含めれば、ディスコーニは仕方なさそうなため息を吐いてやっと同意した。



この10年、文句や嫌味は言っても聞き分けの良い奴だったはずなのに。もっともな理由を並び連ねて、なかなか言うことを聞かない。御しやすく、使い勝手の良い奴だと思っていたのに、突然制御出来ない奴になってしまった。シェニカ様との恋愛は、立場的にも個人的にも上手くいくよう願っているが、自分の仕事に影響が出るのは困る。


「シェニカ様を大事にするのは当然のことではあるが、仕事に支障が出るのは問題だ。もう30手前の良い歳した男なんだから、恋愛に舞い上がるな。みっともない」
「私の仕事には支障は出ていません。バルジアラ様こそ、30過ぎの良い歳した男なのに、ご自身の仕事をちゃんと自分で出来ていません。これについて貴方様は何も思わないのですか?」

「俺のところにくる書類が多すぎるんだよ!」
「その怒りの気持ちを処理能力に変換して下さい。さ、一秒でも早く書類に目を通し、決裁してしまいましょう」

軽口や嫌味、文句などいろいろなことを教えてきたのは自分だが、こういう口答えをされるのは非常に腹が立つ。ディスコーニを黙って働かせる方法はないものかと頭を巡らせてみたものの、昔から何にも興味を持たない、つまんねぇ奴だったと再確認するだけだった。
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