天使な狼、悪魔な羊

駿馬

文字の大きさ
上 下
205 / 260
第18.5章 流れる先に

8.初陣の闖入者

しおりを挟む
■■■前書き■■■
お気に入りや感想、web拍手、コメントをありがとうございます。
頂いた応援は更新の励みになっております。

■□■□■□■□■□
第18.5章は色んな名前が飛び交うため、少しでも分かりやすくなればと、この章に出てくる人達を整理しておきます。ご参考までにどうぞ。

(バルジアラの副官)
●リスドー ※腹心
●イスト
●ヴェーリ
●モルァニス
●アルトファーデル

(下級兵士)
●ライン(リスドーの部隊所属)
●ロア(イストの部隊所属)
●マルア(ヴェーリの部隊所属)
●ロンド(ヴェーリの部隊所属)
●ワンド(アルトファーデルの部隊所属)

(階級章のない上級兵士)
●ダナン(イストの部隊所属)

(銅の階級章を持つ上級兵士)
●ダルウェイ(リスドーの部隊所属)
●リーベイツ(モルァニスの部隊所属)
■■■■■■■■■

一度心の芯が隔離されてしまえば、魔法で多数の死体を作り出してしまっても、明確な殺意と怒りで自分を睨む相手と剣を合わせても、相手の胸や首を刺し抜いて死体になった姿を見ても、葛藤や罪悪感はまったく浮かんでこなかった。
自分でもこんなに簡単に割り切った考えが出来るのかと驚きつつ、目の前の相手を楽にしてあげようと全力で対峙すると、絶命の瞬間まで自分を睨みつける人もいれば、かすり傷を負っただけで逃げ出す人もいた。

そうやって殺意を向けてくる相手の生命を奪っていくと、やがて周囲に散らばっていた敵軍が背を向けて撤退を始めた。戦いが始まって大した時間は経っていないが、バルジアラ様がダスタンドを討ち取ったのだろうか。


「ディスコーニ!怪我は?!」
「特にありません。皆さんは無事ですか?」
「俺たちも無事だよ」
「ディスコーニが魔法で一掃してくれたおかげで随分楽だったよ」
「ヴェーリ様、バルジアラ様が勝ったのでしょうか?」
「バルジアラ様がダスタンドを倒すためにルタン側に行ったのは確かなんだけど、早すぎるから何か別の理由があるのかも」

イスト様やヴェーリ様を含め、なぜルタン兵が撤退を始めたのか分からないようだ。
みんなで首を傾げながら背を向ける者たちを見ていると、ルタン側から煙を巻き上げながら何かがこちらに向かってくるのが見えた。


「うわっ。アレは…」
「これはもう撤退だな」

イスト様とヴェーリ様の視線の先に目を凝らしてみると、疾走するバルジアラ様が熊のような何かに追いかけられているようだった。野生の熊でも現れたのかと思ったが、次第に見えてくるその熊らしきものは、白くて薄いふわふわした何かを身につけているだけらしく、肌色と白、草よりも深い緑色の髪の3つしか色がない。


「バルちゃぁ~ん!どうして逃げるのぉ?将軍就任おめでと~☆ってハグしながら言わせてよぉ」
「こっち来んな!」
「もう照れちゃってぇ!そんなところもかわいいんだからっ♪」

バルジアラ様がいつになく余裕のない顔をしているのが見えた頃、追いかける人物が戦場には明らかに不釣り合いな白のベビードールを身に着け、もも色の大ぶりのバラで股関を隠した姿であることも確認出来た。
男はバルジアラ様よりも背は低いが上官と変わらない大柄で、猛スピードで走っているから、透けたベビードールがめくれ上がり、鎧のような筋肉を全身に纏っているのが分かる。武器らしいものといえば、柄頭にバラがあしらわれた小さな剣を無数に備えたベルトが分厚い右太ももに巻きつけてあるくらいで、他に何も持っていないのだが…。
股間にある一輪のバラの花びらが、風と振動で時折ハラリと飛んでいくから、全部なくなった場合のことを心配してしまう。


バルジアラ様とは顔見知りのようだが、一体何者だろうか。そう思いながら周囲の仲間を見ると、顔色を失くしてバルジアラ様と男を凝視していた。


「お前のせいでもうこの戦いは終わったんだよ!邪魔だ!どっか行け!」
「え~!折角お祝いを言いに来たんだもの。あつぅぅい抱擁をしながら、お祝いのキスもしたいわぁ。うふっ♪」
「気持ち悪っ!! おいお前ら、撤退するぞ! 代わりの馬を連れてこい!」

バルジアラ様が怒鳴り声を上げながら自分たちに指示を出した時。男はバルジアラ様の走る速度が僅かに遅くなった隙をついて先回りすると、進路を塞がれて急停止したバルジアラ様に向かって、ふわふわしたベビードールを見せつけるようなポーズを取った。


「バルちゃんが『男がみんなピンクを好きだと思うな!俺はピンクよりも白が好きなんだよ!』って大声で叫んだから、今日は白なのよ? あの時、急いでお着替えして戻ってきたのに、居なくなっちゃっていたんだもの。
だ・か・ら! 今日はいっぱい見てね♪ ほら素敵でしょ? でもぉ、ピンク色も可愛いから見たくなったでしょ?  うふっ!」
「見たくねぇよ!気持ち悪い!死ね!俺に構うな!」

バルジアラ様はそう叫ぶと、猛スピードでどこかへ駆け出した。


「どこ行くの?あ、もしかしてデートのお誘い? 待ってぇ~♪」

逃げるバルジアラ様を追いかけだした男は上官よりも足が速いらしく、2人の距離は徐々に近付いている。上官は後ろを見ることなく必死の形相で逃げ回っているが、対照的に後ろを走る男は楽しそうな笑顔を浮かべている。


「あれは……?」
「そうか。ディスコーニは初めて見るのか。あれが『桃色宣教師』だよ」
「俺は前線の方に撤退の指示をしてくるよ」

顔に冷や汗を浮かべたイスト様が教えてくれたのだが、あの男が以前バルジアラ様から教えられた『逃げるしかない自然災害』らしい。


「こうやって追いかけっこするのも楽しいねっ♪」
「楽しくねぇよ!! お前はもうアビテードに帰れ!」
「私の帰る場所はバルちゃんの腕の中よ。きゃぁぁ!言っちゃった♪」
「気持ち悪ぃぃぃ!」
「あ、もしかして私の腕の中にバルちゃんが帰るって方が良かった? バルちゃんなら、いつでもウェルカムっ☆」
「そんなことあるわけねぇだろ!ってか、なんで俺を狙うんだよ!」
「バルちゃんって私よりも背が高いし、身体つきも良いから、私と並んだらバランスの取れたカップルになるじゃない。お姫様抱っこ、してほしいな~。あ、他にも色んなことしてほしいな♪ ふふっ! 色々考えてたら、ドキドキしてきちゃった☆」
「変なこと想像して、ニヤニヤしてんじゃねぇよ!」

戦場の端から端までを行ったり来たりしている姿は、一見すれば大人が追いかけっこしているような状況だが、逃げているのは大国の将軍。どんな相手にも屈しない、人格にも富んだ高い実力の持ち主なのに。今はそんな威厳は見えず、狩りをする肉食獣から逃げているようにしか見えない。


「距離が段々詰まってきているので、そのうちバルジアラ様は捕まってしまいそうです…」
「俺達は手を合わせて無事を祈ろう」

自分の周辺にいた仲間たちは一斉に手を合わせ、小声で『バルジアラ様が無事逃げ切れますように』『オネエになりませんように』とつぶやき続けている。自分もそれに倣って手を合わせ、『バルジアラ様が追いつかれませんように』と祈りながら、逃げ回る上官を見守り続けた。


そんな状況がしばらく続いて、バルジアラ様の背中に男の伸ばした手が届きそうなほど接近した頃。

「ダスタンドが来たぞ!そっちに行けよ!」
「えぇ~!やだやだぁ~。私はバルちゃんがいいのっ! バルちゃんまだかな~。どこかな~。ベビードール気に入ってくれるかな~ってドキドキしながら待って、待って、待ち続けて。ようやく今日会えたんだもの。
一緒に拠点に帰りましょ?私がマッサージしてあげるね! 将軍就任のお祝いにい~っぱいサービスしちゃうっ♪」
「そんなもんいらねぇよ!」

そうこうしていたら、3人の副官達を連れたダスタンドが現れて、馬上からバルジアラ様が男から逃げ回っている姿を指差して大笑いを始めた。


「ははは!バルジアラが追いかけ回されていると聞いて来てみれば、なんとも間抜けで滑稽な姿だな!吟遊詩人を呼んで来い!大国の将軍がこの間抜けな姿を晒し、最後は桃色に染められたと世界中に知らしめてやろう!」

ダスタンドが笑い声をあげながらバルジアラ様を罵ると、追いかけ回していた男はピタリと動きを止めた。


「あぁ?! お前もう1回言ってみろ!俺のバルちゃんが間抜けなわけねぇだろ!」
「お前のじゃねぇよ!」

今までにない低い声で怒鳴った男がダスタンドに身体を向けた直後。


「ーーがはっ!」

細い短剣が喉元を後ろから刺し抜くと、ダスタンドは豪快に落馬した。
ダスタンドが乗っていた馬は興奮してどこかへ走り去って行ったが、後方にいた副官達は絶命した死体を驚愕の表情で見たまま硬直している。

ダスタンドは男の方を見ていたし距離もあった。加えて男がダスタンドに短剣を投げた様には見えなかったが、特徴的な短剣は確かに背後から喉を刺している。喉元の短剣に黒く小さな火花が僅かに残っているが、あれはなんだろうか。
何が起こったのか自分には分からなかったが、副官方を含め、周囲の仲間たちも何が起きたか分かっていないようだ。
そんな中、バルジアラ様は男の一撃であっけなく倒されたダスタンドに憐れみの表情を浮かべた。


「まったく口の悪い人ねぇ。でもぉ、これでおじゃま虫はいなくなったよ♪ 今から一緒に帰りましょっ!」
「誰がお前と行くか!お前が倒したんだからダスタンドの階級章取りに行けよ!」
「わたしぃ、お金とか戦果って興味がないの。興味があるのは、美容とバルちゃんみたいな素敵なオ・ト・コ!うふっ♪」
「気持ち悪いんだよ!そもそも、なんでお前が殺るんだよ!」
「だってぇ。バルちゃんの悪口言うんだもん。怒ってるの?」
「当たり前だろ!」
「じゃあ、今度は私の相手していいよ♪ 私、臨機応変に対応出来るからどこからでも大丈夫よ♪ どうぞ召し上がれっ!」

男は胸の前で両手を組んでバルジアラ様にウィンクをしたのだが、バルジアラ様は戦意の欠片も見えないような今にも死にそうな顔になった。


「何が召し上がれだ!俺の邪魔するやつは嫌いなんだよ!大っきらいだ!!!」

バルジアラ様の言葉がショックだったのか、男は衝撃を受けた表情で膝から崩れ落ちた。


「バ、バルちゃんに嫌いって。大っきらいって言われた…」
「金輪際俺に関わるな!おい、お前ら帰るぞ!」

バルジアラ様は地面にへたり込む男に視線を合わせることなく声を上げ、ワンドが連れてきた馬に乗ると、リスドー様を連れて戦場を離脱した。
バルジアラ様がいなくなっても、自分たちが撤退を始めても、ダスタンドの副官達が泣きながら死体を馬に乗せて立ち去っても。へたり込んだ男は、いつの間にか現れていたマスカレードマスクの男から差し出されたハンカチで目元を拭きながら、「バルちゃんに嫌いって言われちゃった…」と呟きながらシクシク泣いたままだった。




バルジアラ様の率いる軍勢が戦場に一番近い地方の拠点街の城門前に集まると、明日の朝まで自由にしろと言い渡された。空に僅かな茜色が残る時間ではあるが、休息のために用意された拠点内の仮眠部屋に行こうとすると、後ろから同僚達に肩を叩かれた。振り向くと同僚たちだけでなく、よく面倒を見てくれる中級兵士達もいて、自分にニコニコとした笑顔を浮かべていた。

「ディスコーニ!今からみんなで娼館に行こうぜ!」
「私は大丈夫です。楽しんできて下さい」
「え~!やっぱり戦場から生きて帰ってきたら、行きたくなるだろ」
「終わり方はアレだったけど、戦場の高揚感がまだ落ち着いてないだろ?スッキリしに行こうぜ!」
「すごく疲れたので早く眠りたくて」
「そっか。ディスコーニは初陣だったもんな」
「じゃあゆっくり休んどけよ!」
「今日はどの子にしようかな~」

周囲にいた同じ部隊の人たちを観察してみると、娼館に行くのは独身者だけらしく、既婚者たちは連れ立って酒場に行っているようだった。
今日は早く眠りたいと思いながら歩いていると、道の端で家族と再会を喜び合う人達が目に入った。

「あなた、おかえりなさい。怪我はしてない?」
「大丈夫だよ」
「良かった。本当に良かった。この前は怪我してたから、待ってる時は気が気じゃなかった」
「心配かけてごめんな」
「お母さんだけずるい!私にもチューして、ギュ~ってしてよ!」
「ごめんごめん。みんなでギュ~ってしような」

周囲の人の目を気にせず抱きしめ合い、キスをしていても、本人たちはそれを恥ずかしいとは思っていないし、行き交う人も微笑ましく見ているだけだ。


「おかえりなさい!無事で良かった!」
「迎えはすごく嬉しけど、身重なんだから家で待っていても良かったんだぞ?」
「もし貴方に何かあったらって考えたら、居ても立っても居られなくて。家で待ってる方が身体に悪いわ」

夫婦らしい2人はキスをすると幸せそうに微笑み合い、2人で女性の膨らんだお腹を撫でた。
殺伐とした戦場から行きて帰ってきて、あんな風に愛する人に笑顔で迎えてもらえたら、どんなに幸せだろう。抱きしめあって生きて帰ってきたことを確認して、一緒に家に帰って幸せな食卓を囲みたい。
幸せそうな人たちを羨ましく見ながら、ぼんやり歩いていると。


「そこのお兄さんったら、寂しそうに歩いちゃって。私が温めてあげよっか」

肌の露出が目立つ女性が自分の隣に来て、歩調を合わせながら話しかけてきた。誰だろうかと顔を見ると、化粧が濃く、妖艶な雰囲気を出すこの女性は娼婦のようだった。


「結構です」
「もう強がっちゃって~。殺伐とした場所から帰ってきたら人肌が恋しくなるでしょ? まだ成人したばっかりの新兵さんには、特別にいっぱいサービスしてあげるから。ね?」

掴まれた腕を胸に押し付けられた瞬間、反射的に腕を振り払っていた。女性に怪我などはなかったのだが、思いがけない反応に驚いたらしく、紅を引いた口を半開きにして呆然として立ち止まった。


「すみません。私には決まった人がいますので」

そう言ってその場を立ち去ったのだが、心を落ち着けようと深呼吸をしたり、意識を遮断しようとしてみたものの、なぜか胸がざわざわと落ち着かない。
あの女性の行動がどうしてここまでざわつかせるのかと考えた時、腕に感じた柔らかい感触が消えていないことが分かった。

父の書斎で読んだ小説に男女が愛し合う場面を描いたものがあったが、相手のぬくもりを感じるだけで興奮するのだろうか。合わせた唇はマシュマロのように柔らかくて弾力があるのだろうか。
繋いだ手は柔らかいのだろうか。キスをしたらどうなるのだろう。愛し合う時、どんな風になるのだろう。どんな眼差しを向けられ、どんな言葉をかけられるのだろう。
湧き上がってくる疑問の答えが知りたいが、まずは運命の人と出会わなければ話が進まない。

今までも彼女に思いを馳せてはいたものの、目の前で他人の生命を奪ったばかりだからか、今は彼女のことを考えれば考えるほど、抱きしめて安心させてほしいと心が訴える。これが『人肌が恋しくなる』という意味なんだとなんとなく分かったが、誰でもいいわけじゃない。自分は彼女だけが恋しくてたまらない。

彼女に会いたい。会って手を繋いで帰りたい。隣に居てほしい。抱きしめてほしい。


どんなに願っても、出会えていないからどうしようもないのだと理解している。でも、やっぱりどうしても、いま彼女に会いたい。
彼女への高まる気持ちに全身が包まれるような感覚に陥りながら、真っ暗で冷たい風が吹き抜ける路地裏に足を踏み入れた時、小柄な女性が暗闇から滲み出てくるようにじわじわと現れて、思わず足が止まった。漆黒の長い髪が闇と同化している女性は、普通の人間と同じ様に顔に特徴があると思うのだが、閉じた目に視線が固定されてしまって他の部分に意識が向かない。ただ、手を伸ばせば届く位置にいるこの女性は、幻だと直感的に理解できた。


ーーディズ、おかえりなさい!
ーー無事で良かった。怪我はしていない?顔を良く見せて。
ーーいっしょに家まで帰りましょ。

目を閉じたままの幻は、幸せに満ちた空気を出しながら声をかけてくると、自分の腕にしなだれかかってきた。
触られている感触はしないが、どことなく温かさを感じて心地がいい。無言で一緒に路地裏を抜け、魔力の光が浮かぶ道に出た時、幻はあっという間に消えてしまった。

どこにもいない幻に少しの名残惜しさを感じつつ、どうしてあんなものを見たのか歩く速度を落として考えていると。以前リーベイツ様に言われた『こうなってほしくないという気持ちが想像力と混ざると、話してくれたような幻覚を見るのかもしれない』という助言を思い出した。


「あぁ、そういうことなのか」

まだ見ぬ愛する人への気持ちが強くなって、先程の女性のぬくもりや願望、想像が混ざって幻覚を見たらしい。仲間が自分を庇って死ぬ幻覚は御免だが、またあの幻には会いたい。
歩きながら目を閉じて、彼女への愛しい気持ちをもう一度高ぶらせて目を開ければ、父と同じくらい長い闇色の髪を揺らす幻が隣を歩いていた。


ーーひとりで眠るのは寂しかった。ディズが隣にいないと眠れないよ。
ーー無事に帰ってきてくれて本当によかった。今日は早く寝ようね。
ーーディズ。好き。愛してる。


幻を見ながら世界のどこかにいる本物の『愛する人』に思いを馳せれば、今まで以上に巡り合うのが楽しみで仕方がなくなって、彼女に逢うまでは死にたくないと思った。

ーー私も貴女を愛しています。早く本物の貴女に会いたい。
ーーこうして貴女と歩けるように、私は絶対に生き残ります。

心の中の言葉を聞いた幻は、目を閉じたままとても幸せそうに微笑んでくれた。


■■■■■《おまけ》■■■■■
ルタンとウィニストラの両国が完全に撤退した戦場跡には、シクシクと泣き続ける大男を取り囲むように、数人のマスカレードマスクをつけた男が集まっていた。

「そーすい。素直じゃない子は、思ったことと違うことをやっちゃうもんですよぉ」
「好きな子を前にした時ほど、意地悪したくなるものですわぁ! 私もそうだった記憶がありますもの」
「そうですわ! 私達は男心も分かるオトメなんですから、めげちゃダメですよぉ!ガンバですっ☆」
「そう、そうよね! まったくバルちゃんったら、素直になれない可愛い子ってことね! もう、しょうがないんだからっ♪」

こうしてメーコは復活し、バルジアラの受難は続くのであった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...