天使な狼、悪魔な羊

駿馬

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第16章 日の差さぬ場所で

15.共犯になった日

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私は強制催眠をかけた副官の後ろについて、アステラ将軍が感知するという道を進み始めた。最初は真っ直ぐだった窪みのある道が途中で緩い右カーブになり、そこを通れば1人しか通れない幅の真っ直ぐな短い道があった。その道の先に、煌々とした光が溢れる場所がある。


その光の入り口で立ち止まった副官の後ろから中の様子を伺うと、思わず息を呑んだ。
そこは天井が高く、広いドーム型の洞穴なのだが、一番奥の壁の中央に女神、その頭上に大きな鳥、女神の右手側に天使、左手側に悪魔の巨大な壁画が彫られていた。
穏やかに目を閉じて小首をかしげ、胸で両手を重ねた慈愛に満ちた笑みを浮かべる女神は、上から包むような羽衣を纏っている。その中央部分を女神の頭上にいる大きな鳥がじゃれるように嘴で咥えていて、羽衣には文字が模様のように刻まれている。
天使と悪魔は女神に向かって微笑を浮かべて、楽しそうに、舞うように空を飛んでいる。
この楽しげな彫刻は水の侵食を受けていないらしく、羽衣の文字や表情、刻まれた服の細かな皺まではっきりと見える。

羽衣に何が刻まれているのか気になるけど、今はそれどころではないと視線をその下に移した。
洞穴の壁には魔力の光だけでなく、火が灯された燭台がいくつも嵌め込まれていて、部屋の中央には果物が入った籠やワインが並ぶ長いテーブルがある。そこに置かれた一番豪華な椅子には金髪の人が座り、その少し離れた場所に白髪の人が立派な椅子に座っているけど、2人とも私の位置からは背中しか見えない。

女神の真下には黒い絨毯が敷かれ、その上には太く長い蝋燭が使われた燭台が山のように置かれた祭壇がある。壁の両側には礼拝堂に良く使われる背もたれの有る長椅子が寄せられているから、元々ここは礼拝堂だったのだろうと想像出来た。そして天使の彫刻の近くには木の扉があり、その扉の横にある椅子に銀の甲冑を着た黒髪の大柄な男性が座っていた。
 
見覚えのあるその大柄な男性は間違いなくアステラ将軍で、私を見て目を見開いた。
 
 
 
「アステラ様。この奥の洞穴で発見しました」

副官がそう話しかけると、私に背を向けていた白髪と金髪の2人が振り返ってきた。
白髪の人は忘れもしないベラルス神官長、金髪の人は自信と威厳に満ちた雰囲気を醸し出す、眉間にくっきりと皺が刻まれた壮年の見知らぬ男性だった。ベラルス神官長は嬉しそうに破顔し、金髪の人は赤い目をギラつかせて、私を舐め回すように見てとても不快だった。



「1人で居たのか?」


「落盤に巻き込まれたらしく、洞穴の奥で気絶していました。ウィニストラ、サザベルの者はおらず、護衛は岩に潰されて死亡していました」


「そうか。ご苦労だった。お前は下がって良い」
 

「はい」
 
副官は私の背中を押して洞穴の中に数歩進ませると、クルリと背を向けてディズの元へと戻って行き、私は1人その場に取り残された。
すぐにここから逃げ出したい、ディズに助けを求めたいという気持ちと恐怖心をグッと押さえつけた。



「シェニカ様。お久しぶりです。お会いできて嬉しいです」

神官長はあの試験日と同じ、狂喜に満ちた笑顔を私に向けて来た。私を利用しよう、取り入ろうとする人は似たような笑顔を浮かべることがあるけど、この神官長の笑みは今まで向けられた中で一番不快なものだった。



「ベラルス神官長、貴方が『聖なる一滴』のことを教えたんですね」
 
 
「これも白魔法を司る神殿の将来のためですよ。神殿の権威と威信を取り戻すには、なぜ白魔道士の最高位である『白い渡り鳥』様が戦場に行くのを禁止されているのか、ということを知らしめることから始めなければなりません。そうしなければ、ただの足手まといだとか、威張り散らしているなど、好き放題に言われたままです。

特に『白い渡り鳥』様の中でも最上位である貴女様の作る『聖なる一滴』の効果は、素晴らしいの一言です。
今でもあの時の光景は鮮明に覚えていますよ。まさに芸術のような効果は、あの場にいた誰もが手にしたいと思ったのですよ。
あのローズのせいで、折角の逸材である貴女様と接触するどころか、挨拶回りの機会までも奪われてしまいましたが、こうして再会できたことが嬉しくてたまりません。

貴女様の『聖なる一滴』があったら、戦場ではどんな小国でも大国に勝てるのです。それどころか、戦争などしなくても、あれを混ぜた飲み物を出せばすぐになんでも手に入れられますよ。
まさに貴女の存在は時代の変わり目。『聖なる一滴』をそのまま放置する様な現状は、宝の持ち腐れというものです。有効利用するのが1番だと思いませんか?」
 


「もともとあれは『白い渡り鳥』の身を守るためだけに使うものです。戦場でも政治にも使うものではありません。それに『聖なる一滴』は口外してはならぬもののはずです」

私がそう言うと、ベラルス神官長は大げさに肩をすくめて、わざとらしい溜息を吐いた。



「枠に囚われるというのは時代遅れですよ。貴女様が以前ここに来て下さった時には、ゆっくり時間をかけて我々の置かれた現状と『聖なる一滴』の有効利用についてお話したかったのですがねぇ。
残念ながら、貴女様は見向きもせずに去っていかれた。これから先の未来に貢献出来る能力があるのに、協力しようともしないとは。本当に頑なで困ったものです」
 
その時、豪華な椅子に座った人が白ワインが入ったグラスをコトリとテーブルに置いた。
 
 

「貴殿があの『再生の天使』か。我々に力を貸せば何でも望みを叶えてやろうではないか。貴殿の作る『聖なる一滴』があれば、すぐに世界のバランスをひっくり返せる。
例え禁を犯したとしても、我々が世界を統一してしまえば何の問題もない。そうなれば、どんな望みも欲しいままだ。悪い話ではないだろう?我々と手を組もうではないか」
 
この人がトラント国王なのか。国王は人の上に立って、国民を守り導くのが使命であるはず。なのにこの人は傭兵を麻薬漬けにしたり、高い税金をかけたり、戦争ばかりしたり、『白い渡り鳥』を戦場介入させたりして碌な国王じゃない。



「私に望みはありません。貴方達のくだらない戦争に付き合うつもりは微塵もありません」
 
私がそう言ったのが気に食わなかったのか、国王は睨むようにスッと赤い目を細めた。
 


「くだらぬと申すか。やはり女には分からぬ話なのか」
 
国王はアステラ将軍とベラルス神官長に目配せすると、2人は立ち上がり、私に向かって勢いよく駆け出して来た。
2人は同時に動いたけど、私に近い場所に座っていたベラルス神官長の方が、アステラ将軍よりも先に私の方に走ってきた。目を見開いて邪悪な笑みを浮かべ、私を捕まえようと両手を伸ばす神官長を見て、一気に嫌悪感が身体を駆け巡った。
 
 

「シェニカ様、まずは大人しく貴女様の持つ『聖なる一滴』をこちらに寄越しなさい。そうすれば悪い様にはしますまい」
 
ベラルス神官長のその言葉を聞いた時、私は試験の日の光景と、5人の神官長の嬉しそうな顔がフラッシュバックした。
加えて足を引きずって歩くエアロスや毒を受けて苦痛に呻くウィニストラの兵士、原液を受けたディズの苦痛に満ちた顔、彼が吐露した『聖なる一滴』に対する不安を思い出した。
 
 

ーーそんなに……。そんなに欲しいならあげるわっ!

私は心の中で叫び、外しておいたピアスを魔力を込めて強く握り締め、迫り来るベラルス神官長に投げ付けた。
 
薄氷に包まれていた塊は空中で氷が消え去り、たった一滴の小さな水滴に姿を変えて額に静かにぶつかった。額に何か当たったのが分かった神官長は、黒くなった手をそこに当てて動きを止めると、その手が小刻みにカタカタと震え始め、生え際の白髪がパサリと一房地面に落ちた。
神官長はおでこに手を当てたまま、見開き血走った目で私を見て、声は出ていないけど口を大きく動かした。すると真っ黒い口の奥からは、白い泡が逃げ場を求めるように次々に溢れ始めた。



「ベラルス殿?」

追いついたアステラ将軍は、身体を大きく震わせているのに突然動かなくなった神官長の両肩を後ろから掴み、不機嫌そうな顔をして立ち止まった。
私は目の前で始まった神官長の異変を目の当たりにして、カタカタと全身が小刻みに震え始めた。



「一体どう……っ!」

将軍に掴まれた瞬間に大きく揺らめいた神官長は、上等な神官服から出ている顔や手が真っ黒で、白く細い煙を立ち上らせている。
ギョロリと盛り上がった目、泡を吹き続ける口のままゆっくりと振り返れば、その顔を見たアステラ将軍は鋭い目をまん丸に見開いて驚愕の顔を浮かべた。



「ぎゃぁぁっっっーー!!」

ベラルス神官長の耳をつんざくような絶叫が響くと、将軍は神官長の肩を掴んでいた手を外した。支えをなくした神官長はその場に倒れ込むと、将軍は私に向かって嬉しそうな笑みを浮かべた。



「なるほど、これが貴女様の『聖なる一滴』か。確かに素晴らしいな」

将軍は仲間の神官長の惨状を目の前にしたのに、動揺したり怒ったりするどころか全く気にしていないらしい。それがとても恐ろしくて、思わず細い道に戻るように数歩後退りした。



「絶対に逃がさない」

将軍は目に止まらぬ速さで目の前まで来て、首を掴んで私を高らかに持ち上げた。息ができなくて呻く声すら出ないし、苦しくて閉じた瞼からは涙が滲んでくる。
爪を立てた私の右手は首を掴む将軍の手首に食い込み、握りしめた左手でその手首を何度も叩いている。激しくばたつかせる足は身体に当たっているのに、大柄な将軍はまったく動じなかった。


「アステラ良くやった。確か裸にして手足を拘束しろと言っていたな。手伝ってやろう」

目を薄く開けてみると、笑みを浮かべた国王がそう言ってロープを持ってこちらに歩いて来る。将軍が私の首を掴む手にグッと力を入れた時、私は一気に気が遠くなった。



「ア、ス、テラ……様……」

意識を失いそうになる直前、近くで消え入りそうな、苦しそうな声がして首を締める手が少しだけ緩んだ。



「ベラルス殿、貴方とは『白い渡り鳥』の籠絡の仕方や、愛人の選定、盟約の相手など、あらゆる所で意見が合わないので、衝突する度に殺してやろうと思っていました。ですが、こうして『聖なる一滴』の効果を身をもって教えてくれるという良い働きをして頂き、心から感謝していますよ。後のことは私に任せて、安心して死んで下さい」

将軍がそう言うと同時に身体が僅かに縦に揺れて、近くでグシャリと何かが潰れる音がした。
息苦しさで全身から力が抜けつつある私は、弱々しいながらも握った左手に魔力を込め、私を掴む男性の太い手首のすぐ上でその手を開いた。


「なんだこの痛みは」

将軍が不思議そうに私の方を見ると、掴んだその手はもう真っ黒になっていて、白い煙が小さく上り始めていた。顔も黒く変色した将軍は掴んでいた手を離し、私はドサリと冷たい地面に落とされた。
ゲホゲホとむせながら目の前に立つ大きな将軍を見上げると、顔からも白い煙を上げ始めた将軍は鬼のような形相で私を見下ろして来た。



「貴様ぁ……!」

将軍がゆっくりとした足取りで私に近付いてきて、ビクビクと痙攣を始めた黒い手を伸ばして来たのに、私はガタガタと震えが大きくなって、身体に力が入らず後退りすることも逃げることも出来なかった。



「シェニカ、よく頑張ってくれました」

真っ黒な手が私に届きそうな時、どこからともなく現れたディズが私の膝裏に手を入れて抱き上げた。
目線が高くなると、近くにいた国王は腰を抜かしているのか、尻餅をついたまま後ずさりを始めていたのが見えた。



「ディス、コーニ……?なぜ貴様がぁぁぁああーーー!!」

アステラ将軍は私を抱えたディズに腰にある剣を抜こうとしたけど、震える手ではそれは叶わず、また一歩も踏み出せなかった。
将軍は足元に横たわる神官長の上にガクンと豪快に膝をつき、絶叫を上げながら全身をビクンビクンと痙攣させ始めた。
私を見上げる将軍の頬が白い煙に吸い取られるようにみるみるこけ、ギョロリとした大きな目が私を見ている。
息が出来ないのか苦しそうに口をパクパクと動かしているが、そこからは白い泡がゴポゴポと溢れ出し、甲冑の隙間からも白い煙を上げながら次第に身体が小さくなっていく。

老人のように肉がなくなった真っ黒な将軍は、私に向かって助けを求める様に震える手を伸ばして来ると、ディズは私から将軍が見えない様に背を向けた。



「後は私が背負います。目を閉じてて良いですからね」

ガタガタと震え続ける私にそう声をかけると、ディズは苦しむ将軍の横を素通りし、祭壇の下にある黒いカーペットの上に下ろしてくれた。そして私の頭を優しく撫でると、彼は私に背を向けた。


彼がこの場所を選んだのは、この後のことを直接見ないようにするためだったかもしれないけど、テーブルの下から見ようと思えば見れる。
 
ディズには目を閉じてていいと言われたけど、私がしたことは最後まで見届けなければと思って、涙を流しながらも目は閉じなかった。
ディズがアステラ将軍の前で立ち止まった時、将軍は重そうな甲冑に耐え切れず、神官長の上にドサリと倒れ込んだ。
 
 
「貴方も大罪人の1人。本当なら長く苦しまなければなりませんが、シェニカとの約束です。感謝して下さい」
 
ディズは剣を引き抜くと、ビクンビクンと痙攣している倒れた将軍の肩を掴んでゴロリと仰向けにさせ、躊躇なく剣で喉元を刺し抜いた。
痙攣していた身体が動きを止めると、誰かの荒く短い息を飲む様な呼吸音だけが静まり返った洞穴内に響いている。


「さて、あとはトラント国王。貴方だけです」

ディズに血が滴る剣を向けられた国王は、ハッとした表情になった。



「ディ、ディスコーニ!なぜ貴様がここにいる!貴様は『聖なる一滴』で再起不能のはずではないのか?!」

震える声でそう叫びながら立ち上がろうとした国王だったが、相変わらず腰が抜けたままらしくそのままの体勢で動けていない。


「ええ、あのままなら再起不能でした。でも、こうして元に戻ったのですよ。貴方は『白い渡り鳥』様を戦場介入させるという大罪を犯した首謀者。きちんと罪を明らかにし、国の滅亡を知らしめさせていただきます」
 
 
「わ、私は国王だぞ!ウィニストラの一将軍ごときが私に剣を向けるなど、そんな狼藉は許されぬぞ!」
 
 
「剣を向けられるのが嫌なら、彼らと同じ目に遭いなさい!」
 
ディズはテーブルの上にあった白ワインが入ったグラスを手に取ると、彼は国王の顔面に中身を浴びせた。





「ぎゃぁぁぁぁ!」

ワインを私の『聖なる一滴』と勘違いした国王は、顔を手で覆ってつんざくような悲鳴をあげると、後ろに引っ張られるように倒れて動かなくなった。
 
 
 
 
ディズは国王が気絶していることを確認すると、震えと涙が収まらない私の目の前にやって来た。彼は私の手を取って立ち上がらせると、2人の死体を見えない様に抱き締めた。
 
 
「シェニカ。怖く、辛い思いをさせてしまって本当にすみません。ですが、これで共犯です」
 
「う、う……。ひっく、うぅ…」
 
 
ディズは震えと嗚咽がおさまるように、背中を優しくさすって頭を撫で始めてくれた。
 
 

「ピアスに仕込んであったんですね。まだありますか?」
 
 
「うん…。でも、もう使いたくない」
 
 
「出口に辿り着くまでに他の将軍と出会っても、国王を盾にすれば彼らは手を引くはずです。ですから、少なくとも今回はもう大丈夫なはずですし、ピアスのことも私とシェニカだけの秘密です」

 
それからしばらくして私の嗚咽が少し落ち着くと、身体を離したディズはアステラ将軍から階級章とネームタグを外した。
そして、天使の彫刻近くにある扉を開けて、気絶したままの国王を私の近くまで引きずってきた。


「シェニカ、国王に強制催眠をかけて出口を案内させるように命じて貰ってもいいですか?」


「うん。分かった」


私は国王に目覚めの魔法をかけると、王は恐怖に満ちた目で私を見て小さな悲鳴を上げた。私は目に溜まった涙を追い出すように目を閉じると、小さな声で呪文を詠唱した。そして目を開き、小刻みに震えだした国王の眉間に指を当てると、赤い目が大きく見開かれた。


「ここから一番近い出口まで、私とディスコーニ様の指示に従いながら案内しなさい」


「はい」



女神が刻まれた礼拝堂の洞穴を出た後は、国王の先導で私達はスムーズに先に進むことが出来ている。国王が案内する道はここでの生活では使っていないのか、身の回りの世話をしていたと思われる兵士にも将軍にも遭遇しなかった。
国王は鍾乳洞の道を熟知しているのか、いくつかある分岐点で悩むことなく、吸い寄せられるかのように緩急のある坂を登っていく。


 
これでやっと外に出られると思うと安心出来るのに、目から溢れる涙が止まらない。
礼拝堂にいた時はポーチにいたユーリくんは、今はリスボタンになってくれているし、隣にいるディズとは手を繋いでいるし、ぽつりぽつりと他愛のない話をしている。今までならそれだけで不安はどこかに行ってしまっていたのに、やっぱり『聖なる一滴』のショックが尾を引いて心が落ち着かなかった。


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