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10歳の公爵令嬢と私
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その日、憂鬱な表情を浮かべながらセレティーナは、馬車に揺られていた。
何故なら今日から王弟セルノプスの娘シボレットへの淑女教育係として公爵邸で過ごす事になるからだ。
伯母ジョセフィーヌの話では、シボレットは今年で10歳になる。
しかしあまりにも利発すぎるシボレットは、経験豊富な教育係だった8人もの伯爵・侯爵夫人達を理詰めで追い返してしまったそうだ……。その噂は社交界に広まり、教養の高い貴婦人達は自身の保身の為、彼女の教育係を受けようとしないらしい。しかし公爵令嬢である彼女を指導するには、指導者側にもそれなりの身分が必要だ。
そんな中、宰相の娘でもあり、少し前まで王太子の婚約者だったセレティーナは最高の適任者だった。
しかしセレティーナの方では別の理由で不安を抱いていた。
王弟殿下の娘という事は、すなわちシボレットはユリオプスとは従兄妹という血縁関係になる。
少し前まで自身の従兄妹の婚約者だった人間から、教育を受ける事は気分のいいものではないはずだ……。
その部分がセレティーナには、大きく引っかかっていた。
そんな不安とは裏腹に馬車は容赦なくディプラデニア家に到着してしまう……。
ベテラン御者のトムズが、馬車から降りやすい様に手を差し出してくれたが、あまりにも青い顔をしているセレティーナを心配そうに労いの言葉を掛けてきた。
「お嬢様……。もしやお加減が優れないのでは?」
「いいえ。大丈夫よ……。トムズ、心配してくれてありがとう」
御者として20年間、ロベレニー家に仕えてくれているトムズにとって、セレティーナは、実の娘の様な大切な存在だ。今後セレティーナは、この公爵家の敷地内にある小さな別宅に滞在する。その間、トムズはセレティーナの専属御者として、ここで仕えるよう言われた。セレティーナが実家のロベレニー家に戻るその日まで……。
心配そうな表情でセレティーナを気遣うトムズの手を借りて馬車を降りると、公爵邸の執事とメイド長らしき二人が優しい笑みを浮かべ、セレティーナを出迎える。よく見ると何人かの使用人も数人ズラリと入り口に並び、セレティーナを出迎えてくれている。流石、公爵家だけあって使用人達のレベルも高い。
「セレティーナ様。ようこそお越しくださいました。執務室にて閣下がお待ちでございますので、早速ご案内させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ。お願いするわ……」
セレティーナの返答を確認した初老の執事が屋敷内へと案内を始める。
その後ろをメイド長らしき気品と貫禄のある女性が付いてきた。
残りの使用人達は、トムズと話し合いながらセレティーナの身の周り品を屋敷の中へと運び込もうとしている。
執事に労いの言葉を掛けられながら王弟セルノプスの執務室へと案内されるセレティーナだが、実はセルノプスには幼少期に二回程しか会った事が無い。だが、とても整った顔立ちの爽やかな男性だった事だけは覚えている。
そんな事を考えながら執事に案内されていると、重厚感ある扉が姿を現わす。その扉を執事がノックすると、室内からよく通る落ち着きある声で入室の許可が下りる。そのまま執事に促されるままセレティーナが入室すると、10年前よりは少しだけ老けた端整な顔立ちの中年男性が笑顔で出迎えてくれた。
「セレティーナ、よく来てくれたね。最後にお会いした時は、まだ小さなレディだったのに……。今ではすっかり素晴らしい淑女になられたようだ」
公爵でもある王弟セルノプスが昔を懐かしむ様に目を細めながらセレティーナに向ける優しい眼差しは、たまに父フェンネルから向けられる物とよく似ていた。
「セルノプス閣下、お久しゅうございます。この度はわたくしの様な若輩者に大切なご息女シボレット様の教育係としてお声がけ頂き、誠にありがとうございます」
「礼を言わなくてはならないのは私の方だ。正直あのこまっしゃくれた我が娘を将来有望な君に押し付ける事は、実は非常に心苦しいのだが……。しかし君以外に適任者が思いつかなくてね。君がこの話を受け入れてくれて、本当に感謝しているのだよ?」
「勿体なきお言葉でございます。わたくしの様な者でもお役に立てるのであれば、是非お力添えをさせてくださいませ」
恭しく礼をとり、そう答えたセレティーナにセルノプスが苦笑する。
「全く……。甥は随分と愚かな行動を取ったものだ。君のような素晴らしい婚約者を簡単に手放すなんて……。気が触れているとしか思えない」
セルノプスのその言葉にセレティーナが困った様な笑みを浮かべる。
「君には屋敷の敷地内に小さな別宅を用意してある。そこを自由に使ってくれ。とりあえず今日はここまで来るのに疲れただろう。娘には明日……」
「いえ。よろしければ本日ご挨拶させて頂けませんでしょうか?」
「構わないが……大丈夫かい? 初めから張り切り過ぎると疲れてしまうよ? なんせ私の娘は相当手強いのだから」
苦笑しながら忠告してきた公爵にセレティーナは、思わず笑みをこぼしてしまう。
「手強いのであれば尚更でございます。早々にシボレット様と関係醸成を図る事が得策かと思いますので」
「君は噂通り、とても優秀な女性のようだ。分かった。ならばこの後、娘のもとに案内させよう。ジニア、セレティーナをシボレットの部屋に案内してやってくれ」
「かしこまりました。それではセレティーナ様、シボレットお嬢様のお部屋にご案内させて頂きます」
ジニアと呼ばれた40代くらいの侍女と思われる女性が、セレティーナを丁重にもてなしながら案内を始めた。流石、公爵家の使用人だけあり、一つ一つの所作や身のこなしが優雅で美しい。
「それでは閣下、失礼いたします」
「ああ。娘をよろしく頼むよ。それと君にはそこのジニアと数人の侍女を付けるから、もし困った事あがあったら何でも言ってくれ」
「お心遣い、大変痛み入ります」
そう言って優雅にお辞儀をして部屋を出て行くセレティーナ。
そんな新たに着任した若き娘の教育係の後姿をセルノプスは、目を細めなが見送る。
そしてニヤリと笑みを浮かべながら、セルノプスは小さく呟いた。
「これは今後の展開が楽しみだな……」
しかし、その公爵の呟きは退室していくセレティーナの耳には届かなかった。
そんなセレティーナは、侍女のジニアに案内されながらシボレットの部屋へと向かっていた。
そしてこの間、少しでもシボレットの人柄について情報取集をしようと、ジニアに質問をしてみる。
「ジニア、シボレット様はどのようなお方なの?」
「そうですね……。シボレットお嬢様は一言で表すならば、とてもはっきりした性格のお方ですね」
「もしかして……ご自身のお考えをしっかりお持ちの方かしら?」」
「はい。納得が出来ない事に関しては、とことん追求される所がございます」
それを聞いてセレティーナは安堵する。
どうやらシボレットは、リナリスのように悪知恵の働くタイプではないようだ。
むしろ真面目で真っ直ぐで曲がった事を嫌うタイプのようなので、これならばきっと上手くやっていけるとセレティーナは確信する。
ただ一つだけ気にかかる事があるとすれば、シボレットから見た際のセレティーナの評価が、どうしても微妙になってしまう事だ。なんせセレティーナはシボレットの従兄妹であるユリオプスから、婚約解消を打診された元婚約者でもあるからだ。そんな相手が教育係では、シボレットもかなり気まずさを感じるだろう……。
そんな事を考えていたセレティーナは、とある部屋でジニアが止まり、扉をノックする事で我に返る。
「シボレットお嬢様、新しい教育係のセレティーナ様がお見えになりました」
すると中から「通して頂戴」という凛とした声で入室許可が下りる。
ジニアに促されながらセレティーナが室内に入ると、そこには長く綺麗に切りそろえられた真っ直ぐで美しい銀髪の少女が、ユリオプスと同じエメラルドのような濃いグリーンの瞳で、ジッとセレティーナを見つめくる。まるで人形のような美少女が、セレティーナの事を待ち構えていたのだ。これはセルノプスではないが、かなり手強そうだと感じたセレティーナは、相手に気付かれないように小さく一呼吸吐く。
するとシボレットが、何ともう優美な礼を披露しながら挨拶をする。
「お初にお目にかかります、セレティーナ様。わたくしはシボレット・ディプラデニアと申します」
「セレティーナ・ロベレニーと申します。この度は恐れ多くもシボレット様の教育係としてお声がけ頂き、恐悦至極に存じます。若輩者であるが故、至らぬ点もあるかとは思いますが、精一杯お役に立てるよう尽力致しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」
そう挨拶を交わすと、シボレットがまるで値踏みでもするかのようにセレティーナの事を足元から頭の先まで見回して来た。
「本当に随分とお若いのね。失礼ですが、セレティーナ様はおいくつなられるのかしら?」
「来年で21となります」
「まぁ……。本当にユリスお兄様とは年齢が離れておいででしたのね。それなのにわたくしの教育係など引き受けてしまわれてよろしいのかしら? ご年齢的に新たな縁談話などが舞い込んできているのではなくて?」
予想はしていたが、どうやらシボレットはセレティーナの事を事前に調べている様だ。まだ10歳だと言うのに社交界特有のギリギリの言葉の攻防を大人顔負けの巧みさで、見事なまでにぶつけてきた。
だが、セレティーナの方もこういうやりとりは、ユリオプスとの婚約期間中で慣れ過ぎてしまっている。その為、敢えてセレティーナはシボレットにふわりと優雅な笑みを返す。
「お気遣い頂き、誠にありがとうございます。ですがその件に関しては、宰相である父フェンネルに一任しております。父の指示があるまでは、ユリオプス殿下の婚約者だった際に王妃教育で学んだ事を是非活用したく、今後はこの様に教育者としての道を歩み、他ご令嬢方のお力になれればと思っておりますので、ご心配には及びません」
シボレットにツッコまれる前に先にユリオプスとの婚約解消の件を切り出したセレティーナ。
それで少しはシボレットが怯むかと思っていたのだが……何故かその予想とは違う部分にシボレットが反応した。
「あなたは……女性でありながら殿方との結婚よりも教育者としての道を歩まれる事を望まれるの……?」
「そう……ですね。父の意向にもよりますが、そう言ったお話が無い限りは。折角10年以上も掛けて身に付けた教養や知識、王族向けの作法なので。一人でも多くの他ご令嬢方のお役に立てた方が、その努力も報われると思いますので……」
「でもあなたが淑女として、どんなに素晴らしい作法や教養を身に付けていたとしても未婚という部分で、周りからは色々言われてしまうのではなくて?」
セレティーナが全く予想していなかった部分に何故かシボレットがグイグイと食い付いてくる。
だが、セレティーナは自分の思っている正直な気持ちでシボレットの質問に応える。
「確かに未婚であるわたくしでは、良き淑女を指導する立場の人間としては不適切だと感じる方は多いとは思います。ですが……わたくしは、ご結婚されている女性のみが良き淑女であるとは思っておりません」
「でも……良き淑女の条件は『良き妻であり、良き夫を持つ事』と言われているでしょう……?」
シボレットのその質問で彼女の中で何が引っ掛かっているのか、何となく分かって来たセレティーナ。
その質問に対する自分なりの考えを正直な気持ちでシボレットに返答する。
「それはあくまでも延長線上での結果の一つに過ぎないと思います。良き淑女であったからこそ、良き妻として評価され、良き夫に恵まれる。良き淑女とは、より良い結婚を目指すのではなく、どこまで自身が描いている理想の女性像に近づけるかを目指す事だと、わたくしは思います」
「で、でも! あなたは今後も周りから、ユリスお兄様から婚約破棄をされたと色々と言わ……」
そう言いかけて、シボレットがとっさに口元を手で押さえた。
そのボレットの行動にセレティーナは、思わず笑みをこぼす。
人をあからさまに傷付けてしまうような言葉を放ってしまった自分の行動に気付けるシボレットは、恐らく『良き淑女』の資質を十分持っている。
「それはユリオプス殿下の描く理想の淑女像と、わたくしが目指していた理想の淑女像の認識が異なっていただけだと思われます……。ならば自分の目指している淑女像に共感してくださる殿方を見つければ良いのです」
「殿方を見つける……?」
「正確にはそのような殿方に見初められるという言い方が正しいでしょうか……。選ばれるという立場は変わりませんが、それならば少しでもわたくしを理解し、わたくしと歩み寄る努力をしてくれるような殿方に選ばれたいではありませんか? 選ぶ側の殿方をある程度、自身の理想に近い男性になるように世の男性をふるいにかける、その一つの方法として良き淑女を目指すのだと、わたくしは考えております」
セレティーナの言葉にシボレットが茫然とする。
「あなたは……今までの教育係のご婦人方とは真逆の考えをお持ちなのね……」
「オールドミスへの道に一歩踏み出しているので。この先わたくしを求めてくださる殿方には、ユリオプス殿下以上の方は現れる事はないかと思います。それどころか王太子殿下より婚約を解消された身では、後妻や条件の悪い婚約の申入れが多くなるかと……。ですが、そうなってしまっても相手の男性が大事にしたいという女性になれば、きっとわたくしは幸せな結婚生活を送る事が出来ると信じております。『良き淑女』を目指す事は、自分が生涯幸せで過ごせる為に努力する事だと思えば、頑張れる気が致しませんか?」
そうにっこり微笑むセレティーナを見つめるシボレットの表情が、ゆっくりと和らいでいく。
「あなたの様に聡明で美しい方なら、たとえユリスお兄様に婚約破棄をされた経緯をお持ちでも、すぐに良縁のご結婚の申し入れが入ってくると思うわ!」
「そうなるようわたくしは、ユリオプス殿下の婚約者だった際、王妃教育に励んでいたのです。よろしければシボレット様もその準備をお試しになってみませんか?」
いたずらを企むような笑みを浮かべながら、誘って来たセレティーナにシボレットは破顔する様に満面の笑みで答える。
「ええ、是非!」
こうして初日からシボレットの心を掴んだセレティーナは、翌日から教育係を始めた。
そんなシボレットはジョセフィーヌの言っていた通り、聡明で頭の回転が速く、始めはセレティーナが教える事など何もない様に思えた。しかし、日々教えてゆくうちに所々虫食いのように抜けている部分がある。
恐らく度々教育係が代わった所為なのだろう……。
恐らくシボレットは、教育係が変更する度に同じ内容の淑女教育の講義を何度も受けさせられたと思われる。
毎回、新しい教育係に代わる度にそれを訴えてきたのだが「復習だと思って……」と言われてしまい、聞き入れて貰えなかったそうだ。ただでさえ飲み込みの早いシボレットにとって、すでに理解している事を何度も繰り返し指導される事は、相当の苦痛だったはずだ。
そんなシボレットは、いつしか自ら独学で得て行った知識を披露し、やって来る教育係をことごとく返り討ちにしだしたのだ。その度に「知識をひけらかす様な女性は殿方に生意気だと思われ、よい結婚生活が出来ない」や「良き淑女は相手を立てる事が美徳だ」などと言われ、教養を学ぶ意欲だけでなく結婚願望も同時に失っていってしまった……。
だが公爵令嬢ともなると、隣国の王族との政略結婚が殆どとなる。
しかし今までの教育係だった夫人達が推奨する淑女を目指す事は、シボレットのような身分の高い女性にとっては、むしろマイナス要素となる。
身分が高ければ高い程、周りにひけらかせる事が出来る知識を持ち、自分の意見をはっきり言える女性の方が、人の上に立つ王族の男性達にとって、魅力的な女性として目に映るからだ。
シボレットの場合、まさにその素養に恵まれた令嬢でもある。
幼い頃から宰相である父の仕事を手伝い、王太子であるユリオプスの婚約者としてやってきたセレティーナは、その事を経験上、よく知っている。たとえ夫や婚約者の考えに意見するような形になったとしても自身が納得出来ない内容であれば、賛同せずにハッキリと自分の考えを述べる事も大切なのだ。
だがその結果、リナリスの件でユリオプスに自身の感じた事を正直に口にしたセレティーナは、婚約を解消されたのだが……。
しかし、その婚約のその後について、父フェンネルは何も言ってこなかった。
新しい婚約の話もなければ、実家に戻れと言う指示もない……。
むしろこのまま公爵家に居座り続ける事を望まれている様な扱いだ。
そもそも現在セレティーナとユリオプスの婚約が継続されているのかさえ、セレティーナは知らないのだ。
その事を確認しようと家族や友人に手紙で確認しようとするも相変わらず到着までの時差があり、しかも現在のユリオプスの現状を質問する内容を書くと、その件についての返答が一切ないのだ。
しかも社交界に参加しているシボレットやセルノプスにその事を確認してみるが……二人に上手く躱されてしまい、返答が貰えない……。そんなセレティーナ自身の社交活動は、シボレットの教育係に専念して欲しいと言われ、一切参加させて貰えない状況だ。
他にも不可解なのが、トムズと一緒に馬車で買い物に出かける際、まるで王族の様な仰々しい護衛が付き、店に入れば王族御用達の個室に案内され、そこで商品の紹介を受けるという……まるでセレティーナを人目にさらしたくない様な扱いを受けた。だがそれが悪意からではなく、厳重に守られているという感覚なのでセレティーナも抗議する事が出来なかった……。
そんな真綿で徐々に首を締める様な隔離された生活を強いられていたセレティーナだったが、苦痛だという思いも不自由だと感じる事も一切なかった。何故ならばシボレットの目まぐるし過ぎる成長を目の当たりにし、その事に夢中になっていた為、そんな生活でも楽しいと感じる状況が多すぎたからだ。
シボレットは一つの事から、たくさんの知識を自発的に身に付けていく。そして更に上の事を教えると、それも物凄い速度で知識として吸収していくのだ。
ただ……それはあくまで知識的部分のみで、実践的な部分はあまり身に付いていない。
淑女としての立ち居振る舞いやダンス等は、かなり教え甲斐があるレベルだったので、その辺を楽しく学ばせようと工夫する事にセレティーナは尽力を注ぎ、そしてすぐに身に付けてしまうシボレットの指導が楽しくてたまらなかったのだ。
そんな指導者としての日々に充実感を得ながら大満喫していたセレティーナだが……。
気が付けばユリオプスのもとを離れてから4年もの歳月が流れてしまっていた。
何故なら今日から王弟セルノプスの娘シボレットへの淑女教育係として公爵邸で過ごす事になるからだ。
伯母ジョセフィーヌの話では、シボレットは今年で10歳になる。
しかしあまりにも利発すぎるシボレットは、経験豊富な教育係だった8人もの伯爵・侯爵夫人達を理詰めで追い返してしまったそうだ……。その噂は社交界に広まり、教養の高い貴婦人達は自身の保身の為、彼女の教育係を受けようとしないらしい。しかし公爵令嬢である彼女を指導するには、指導者側にもそれなりの身分が必要だ。
そんな中、宰相の娘でもあり、少し前まで王太子の婚約者だったセレティーナは最高の適任者だった。
しかしセレティーナの方では別の理由で不安を抱いていた。
王弟殿下の娘という事は、すなわちシボレットはユリオプスとは従兄妹という血縁関係になる。
少し前まで自身の従兄妹の婚約者だった人間から、教育を受ける事は気分のいいものではないはずだ……。
その部分がセレティーナには、大きく引っかかっていた。
そんな不安とは裏腹に馬車は容赦なくディプラデニア家に到着してしまう……。
ベテラン御者のトムズが、馬車から降りやすい様に手を差し出してくれたが、あまりにも青い顔をしているセレティーナを心配そうに労いの言葉を掛けてきた。
「お嬢様……。もしやお加減が優れないのでは?」
「いいえ。大丈夫よ……。トムズ、心配してくれてありがとう」
御者として20年間、ロベレニー家に仕えてくれているトムズにとって、セレティーナは、実の娘の様な大切な存在だ。今後セレティーナは、この公爵家の敷地内にある小さな別宅に滞在する。その間、トムズはセレティーナの専属御者として、ここで仕えるよう言われた。セレティーナが実家のロベレニー家に戻るその日まで……。
心配そうな表情でセレティーナを気遣うトムズの手を借りて馬車を降りると、公爵邸の執事とメイド長らしき二人が優しい笑みを浮かべ、セレティーナを出迎える。よく見ると何人かの使用人も数人ズラリと入り口に並び、セレティーナを出迎えてくれている。流石、公爵家だけあって使用人達のレベルも高い。
「セレティーナ様。ようこそお越しくださいました。執務室にて閣下がお待ちでございますので、早速ご案内させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ。お願いするわ……」
セレティーナの返答を確認した初老の執事が屋敷内へと案内を始める。
その後ろをメイド長らしき気品と貫禄のある女性が付いてきた。
残りの使用人達は、トムズと話し合いながらセレティーナの身の周り品を屋敷の中へと運び込もうとしている。
執事に労いの言葉を掛けられながら王弟セルノプスの執務室へと案内されるセレティーナだが、実はセルノプスには幼少期に二回程しか会った事が無い。だが、とても整った顔立ちの爽やかな男性だった事だけは覚えている。
そんな事を考えながら執事に案内されていると、重厚感ある扉が姿を現わす。その扉を執事がノックすると、室内からよく通る落ち着きある声で入室の許可が下りる。そのまま執事に促されるままセレティーナが入室すると、10年前よりは少しだけ老けた端整な顔立ちの中年男性が笑顔で出迎えてくれた。
「セレティーナ、よく来てくれたね。最後にお会いした時は、まだ小さなレディだったのに……。今ではすっかり素晴らしい淑女になられたようだ」
公爵でもある王弟セルノプスが昔を懐かしむ様に目を細めながらセレティーナに向ける優しい眼差しは、たまに父フェンネルから向けられる物とよく似ていた。
「セルノプス閣下、お久しゅうございます。この度はわたくしの様な若輩者に大切なご息女シボレット様の教育係としてお声がけ頂き、誠にありがとうございます」
「礼を言わなくてはならないのは私の方だ。正直あのこまっしゃくれた我が娘を将来有望な君に押し付ける事は、実は非常に心苦しいのだが……。しかし君以外に適任者が思いつかなくてね。君がこの話を受け入れてくれて、本当に感謝しているのだよ?」
「勿体なきお言葉でございます。わたくしの様な者でもお役に立てるのであれば、是非お力添えをさせてくださいませ」
恭しく礼をとり、そう答えたセレティーナにセルノプスが苦笑する。
「全く……。甥は随分と愚かな行動を取ったものだ。君のような素晴らしい婚約者を簡単に手放すなんて……。気が触れているとしか思えない」
セルノプスのその言葉にセレティーナが困った様な笑みを浮かべる。
「君には屋敷の敷地内に小さな別宅を用意してある。そこを自由に使ってくれ。とりあえず今日はここまで来るのに疲れただろう。娘には明日……」
「いえ。よろしければ本日ご挨拶させて頂けませんでしょうか?」
「構わないが……大丈夫かい? 初めから張り切り過ぎると疲れてしまうよ? なんせ私の娘は相当手強いのだから」
苦笑しながら忠告してきた公爵にセレティーナは、思わず笑みをこぼしてしまう。
「手強いのであれば尚更でございます。早々にシボレット様と関係醸成を図る事が得策かと思いますので」
「君は噂通り、とても優秀な女性のようだ。分かった。ならばこの後、娘のもとに案内させよう。ジニア、セレティーナをシボレットの部屋に案内してやってくれ」
「かしこまりました。それではセレティーナ様、シボレットお嬢様のお部屋にご案内させて頂きます」
ジニアと呼ばれた40代くらいの侍女と思われる女性が、セレティーナを丁重にもてなしながら案内を始めた。流石、公爵家の使用人だけあり、一つ一つの所作や身のこなしが優雅で美しい。
「それでは閣下、失礼いたします」
「ああ。娘をよろしく頼むよ。それと君にはそこのジニアと数人の侍女を付けるから、もし困った事あがあったら何でも言ってくれ」
「お心遣い、大変痛み入ります」
そう言って優雅にお辞儀をして部屋を出て行くセレティーナ。
そんな新たに着任した若き娘の教育係の後姿をセルノプスは、目を細めなが見送る。
そしてニヤリと笑みを浮かべながら、セルノプスは小さく呟いた。
「これは今後の展開が楽しみだな……」
しかし、その公爵の呟きは退室していくセレティーナの耳には届かなかった。
そんなセレティーナは、侍女のジニアに案内されながらシボレットの部屋へと向かっていた。
そしてこの間、少しでもシボレットの人柄について情報取集をしようと、ジニアに質問をしてみる。
「ジニア、シボレット様はどのようなお方なの?」
「そうですね……。シボレットお嬢様は一言で表すならば、とてもはっきりした性格のお方ですね」
「もしかして……ご自身のお考えをしっかりお持ちの方かしら?」」
「はい。納得が出来ない事に関しては、とことん追求される所がございます」
それを聞いてセレティーナは安堵する。
どうやらシボレットは、リナリスのように悪知恵の働くタイプではないようだ。
むしろ真面目で真っ直ぐで曲がった事を嫌うタイプのようなので、これならばきっと上手くやっていけるとセレティーナは確信する。
ただ一つだけ気にかかる事があるとすれば、シボレットから見た際のセレティーナの評価が、どうしても微妙になってしまう事だ。なんせセレティーナはシボレットの従兄妹であるユリオプスから、婚約解消を打診された元婚約者でもあるからだ。そんな相手が教育係では、シボレットもかなり気まずさを感じるだろう……。
そんな事を考えていたセレティーナは、とある部屋でジニアが止まり、扉をノックする事で我に返る。
「シボレットお嬢様、新しい教育係のセレティーナ様がお見えになりました」
すると中から「通して頂戴」という凛とした声で入室許可が下りる。
ジニアに促されながらセレティーナが室内に入ると、そこには長く綺麗に切りそろえられた真っ直ぐで美しい銀髪の少女が、ユリオプスと同じエメラルドのような濃いグリーンの瞳で、ジッとセレティーナを見つめくる。まるで人形のような美少女が、セレティーナの事を待ち構えていたのだ。これはセルノプスではないが、かなり手強そうだと感じたセレティーナは、相手に気付かれないように小さく一呼吸吐く。
するとシボレットが、何ともう優美な礼を披露しながら挨拶をする。
「お初にお目にかかります、セレティーナ様。わたくしはシボレット・ディプラデニアと申します」
「セレティーナ・ロベレニーと申します。この度は恐れ多くもシボレット様の教育係としてお声がけ頂き、恐悦至極に存じます。若輩者であるが故、至らぬ点もあるかとは思いますが、精一杯お役に立てるよう尽力致しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」
そう挨拶を交わすと、シボレットがまるで値踏みでもするかのようにセレティーナの事を足元から頭の先まで見回して来た。
「本当に随分とお若いのね。失礼ですが、セレティーナ様はおいくつなられるのかしら?」
「来年で21となります」
「まぁ……。本当にユリスお兄様とは年齢が離れておいででしたのね。それなのにわたくしの教育係など引き受けてしまわれてよろしいのかしら? ご年齢的に新たな縁談話などが舞い込んできているのではなくて?」
予想はしていたが、どうやらシボレットはセレティーナの事を事前に調べている様だ。まだ10歳だと言うのに社交界特有のギリギリの言葉の攻防を大人顔負けの巧みさで、見事なまでにぶつけてきた。
だが、セレティーナの方もこういうやりとりは、ユリオプスとの婚約期間中で慣れ過ぎてしまっている。その為、敢えてセレティーナはシボレットにふわりと優雅な笑みを返す。
「お気遣い頂き、誠にありがとうございます。ですがその件に関しては、宰相である父フェンネルに一任しております。父の指示があるまでは、ユリオプス殿下の婚約者だった際に王妃教育で学んだ事を是非活用したく、今後はこの様に教育者としての道を歩み、他ご令嬢方のお力になれればと思っておりますので、ご心配には及びません」
シボレットにツッコまれる前に先にユリオプスとの婚約解消の件を切り出したセレティーナ。
それで少しはシボレットが怯むかと思っていたのだが……何故かその予想とは違う部分にシボレットが反応した。
「あなたは……女性でありながら殿方との結婚よりも教育者としての道を歩まれる事を望まれるの……?」
「そう……ですね。父の意向にもよりますが、そう言ったお話が無い限りは。折角10年以上も掛けて身に付けた教養や知識、王族向けの作法なので。一人でも多くの他ご令嬢方のお役に立てた方が、その努力も報われると思いますので……」
「でもあなたが淑女として、どんなに素晴らしい作法や教養を身に付けていたとしても未婚という部分で、周りからは色々言われてしまうのではなくて?」
セレティーナが全く予想していなかった部分に何故かシボレットがグイグイと食い付いてくる。
だが、セレティーナは自分の思っている正直な気持ちでシボレットの質問に応える。
「確かに未婚であるわたくしでは、良き淑女を指導する立場の人間としては不適切だと感じる方は多いとは思います。ですが……わたくしは、ご結婚されている女性のみが良き淑女であるとは思っておりません」
「でも……良き淑女の条件は『良き妻であり、良き夫を持つ事』と言われているでしょう……?」
シボレットのその質問で彼女の中で何が引っ掛かっているのか、何となく分かって来たセレティーナ。
その質問に対する自分なりの考えを正直な気持ちでシボレットに返答する。
「それはあくまでも延長線上での結果の一つに過ぎないと思います。良き淑女であったからこそ、良き妻として評価され、良き夫に恵まれる。良き淑女とは、より良い結婚を目指すのではなく、どこまで自身が描いている理想の女性像に近づけるかを目指す事だと、わたくしは思います」
「で、でも! あなたは今後も周りから、ユリスお兄様から婚約破棄をされたと色々と言わ……」
そう言いかけて、シボレットがとっさに口元を手で押さえた。
そのボレットの行動にセレティーナは、思わず笑みをこぼす。
人をあからさまに傷付けてしまうような言葉を放ってしまった自分の行動に気付けるシボレットは、恐らく『良き淑女』の資質を十分持っている。
「それはユリオプス殿下の描く理想の淑女像と、わたくしが目指していた理想の淑女像の認識が異なっていただけだと思われます……。ならば自分の目指している淑女像に共感してくださる殿方を見つければ良いのです」
「殿方を見つける……?」
「正確にはそのような殿方に見初められるという言い方が正しいでしょうか……。選ばれるという立場は変わりませんが、それならば少しでもわたくしを理解し、わたくしと歩み寄る努力をしてくれるような殿方に選ばれたいではありませんか? 選ぶ側の殿方をある程度、自身の理想に近い男性になるように世の男性をふるいにかける、その一つの方法として良き淑女を目指すのだと、わたくしは考えております」
セレティーナの言葉にシボレットが茫然とする。
「あなたは……今までの教育係のご婦人方とは真逆の考えをお持ちなのね……」
「オールドミスへの道に一歩踏み出しているので。この先わたくしを求めてくださる殿方には、ユリオプス殿下以上の方は現れる事はないかと思います。それどころか王太子殿下より婚約を解消された身では、後妻や条件の悪い婚約の申入れが多くなるかと……。ですが、そうなってしまっても相手の男性が大事にしたいという女性になれば、きっとわたくしは幸せな結婚生活を送る事が出来ると信じております。『良き淑女』を目指す事は、自分が生涯幸せで過ごせる為に努力する事だと思えば、頑張れる気が致しませんか?」
そうにっこり微笑むセレティーナを見つめるシボレットの表情が、ゆっくりと和らいでいく。
「あなたの様に聡明で美しい方なら、たとえユリスお兄様に婚約破棄をされた経緯をお持ちでも、すぐに良縁のご結婚の申し入れが入ってくると思うわ!」
「そうなるようわたくしは、ユリオプス殿下の婚約者だった際、王妃教育に励んでいたのです。よろしければシボレット様もその準備をお試しになってみませんか?」
いたずらを企むような笑みを浮かべながら、誘って来たセレティーナにシボレットは破顔する様に満面の笑みで答える。
「ええ、是非!」
こうして初日からシボレットの心を掴んだセレティーナは、翌日から教育係を始めた。
そんなシボレットはジョセフィーヌの言っていた通り、聡明で頭の回転が速く、始めはセレティーナが教える事など何もない様に思えた。しかし、日々教えてゆくうちに所々虫食いのように抜けている部分がある。
恐らく度々教育係が代わった所為なのだろう……。
恐らくシボレットは、教育係が変更する度に同じ内容の淑女教育の講義を何度も受けさせられたと思われる。
毎回、新しい教育係に代わる度にそれを訴えてきたのだが「復習だと思って……」と言われてしまい、聞き入れて貰えなかったそうだ。ただでさえ飲み込みの早いシボレットにとって、すでに理解している事を何度も繰り返し指導される事は、相当の苦痛だったはずだ。
そんなシボレットは、いつしか自ら独学で得て行った知識を披露し、やって来る教育係をことごとく返り討ちにしだしたのだ。その度に「知識をひけらかす様な女性は殿方に生意気だと思われ、よい結婚生活が出来ない」や「良き淑女は相手を立てる事が美徳だ」などと言われ、教養を学ぶ意欲だけでなく結婚願望も同時に失っていってしまった……。
だが公爵令嬢ともなると、隣国の王族との政略結婚が殆どとなる。
しかし今までの教育係だった夫人達が推奨する淑女を目指す事は、シボレットのような身分の高い女性にとっては、むしろマイナス要素となる。
身分が高ければ高い程、周りにひけらかせる事が出来る知識を持ち、自分の意見をはっきり言える女性の方が、人の上に立つ王族の男性達にとって、魅力的な女性として目に映るからだ。
シボレットの場合、まさにその素養に恵まれた令嬢でもある。
幼い頃から宰相である父の仕事を手伝い、王太子であるユリオプスの婚約者としてやってきたセレティーナは、その事を経験上、よく知っている。たとえ夫や婚約者の考えに意見するような形になったとしても自身が納得出来ない内容であれば、賛同せずにハッキリと自分の考えを述べる事も大切なのだ。
だがその結果、リナリスの件でユリオプスに自身の感じた事を正直に口にしたセレティーナは、婚約を解消されたのだが……。
しかし、その婚約のその後について、父フェンネルは何も言ってこなかった。
新しい婚約の話もなければ、実家に戻れと言う指示もない……。
むしろこのまま公爵家に居座り続ける事を望まれている様な扱いだ。
そもそも現在セレティーナとユリオプスの婚約が継続されているのかさえ、セレティーナは知らないのだ。
その事を確認しようと家族や友人に手紙で確認しようとするも相変わらず到着までの時差があり、しかも現在のユリオプスの現状を質問する内容を書くと、その件についての返答が一切ないのだ。
しかも社交界に参加しているシボレットやセルノプスにその事を確認してみるが……二人に上手く躱されてしまい、返答が貰えない……。そんなセレティーナ自身の社交活動は、シボレットの教育係に専念して欲しいと言われ、一切参加させて貰えない状況だ。
他にも不可解なのが、トムズと一緒に馬車で買い物に出かける際、まるで王族の様な仰々しい護衛が付き、店に入れば王族御用達の個室に案内され、そこで商品の紹介を受けるという……まるでセレティーナを人目にさらしたくない様な扱いを受けた。だがそれが悪意からではなく、厳重に守られているという感覚なのでセレティーナも抗議する事が出来なかった……。
そんな真綿で徐々に首を締める様な隔離された生活を強いられていたセレティーナだったが、苦痛だという思いも不自由だと感じる事も一切なかった。何故ならばシボレットの目まぐるし過ぎる成長を目の当たりにし、その事に夢中になっていた為、そんな生活でも楽しいと感じる状況が多すぎたからだ。
シボレットは一つの事から、たくさんの知識を自発的に身に付けていく。そして更に上の事を教えると、それも物凄い速度で知識として吸収していくのだ。
ただ……それはあくまで知識的部分のみで、実践的な部分はあまり身に付いていない。
淑女としての立ち居振る舞いやダンス等は、かなり教え甲斐があるレベルだったので、その辺を楽しく学ばせようと工夫する事にセレティーナは尽力を注ぎ、そしてすぐに身に付けてしまうシボレットの指導が楽しくてたまらなかったのだ。
そんな指導者としての日々に充実感を得ながら大満喫していたセレティーナだが……。
気が付けばユリオプスのもとを離れてから4年もの歳月が流れてしまっていた。
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