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【我が家の元愛犬】
91.我が家の元愛犬は元飼い主を称賛する
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初めてアルスに本気で怒鳴られてしまったフィリアナは、ビクリと全身を強張らせた後、悲痛な表情を浮かべながら、その瞳にジワリと涙を溜め出した。
そんなフィリアナの反応に先程まで苛立ちと焦りを募らせていたアルスが、息を呑むような反応をしながら我に返る。
「…………っ! すまない……。その、フィーを怒鳴るつもりはなかった……。だが、こればかりは絶対に譲れない……。もう俺は……決めたんだ!」
アルスはフィリアナを怒鳴りつけてしまった事への謝罪はしてはきたが、ラッセルの命を奪う事で解呪する方法は、何が何でも決行するらしい……。説得出来なかったフィリアナは、足早に会場出口に向かうアルスの背中を悲痛な表情で必死に涙を堪えならが、見つめる事しか出来なかった。
そんなフィリアナの気持ちを察してくれたのか、ロアルドとシークがアルスの後を追い掛け、扉前で考え直す様に説得し始める。だが、フィリアナは二人の後に続く事は出来なかった……。フィリアナはアルスに怒鳴られた事で、自分が配慮の無い言葉を口にしてしまった事に気が付いてしまったからだ。
何故、自分はアルスに『もう少しよく考えれば』などと、無神経な事を口走ってしまったのだろうか……。
その『もう少し』の間にセルクレイス達がリオレスの手に掛かり、命を落としてしまうかもしれない可能性がフィリアナの中で抜けていた。もし、そのような事態になってしまったら、アルスは王族としての地位だけでなく、父親と兄を一気に失う事になる……。何よりも今の状態のリオレスでは、セルクレイスの命を奪った後は、すぐにアルスの命も狙ってくるはずだ。
『父上に息子殺しをさせるわけにはいかない』
今更ながら、先程アルスが口にした言葉がフィリアナに大きく圧し掛かってくる。
早く父親の暴走を止められなければ、兄の命が危ない。
また兄が死ぬような事があれば、自身も父親に殺されるかもしれない。
何よりも、もし自分達を手に掛けてしまった場合、正気に戻った父親はどうなる?
先程ついフィリアナに怒鳴ってしまったアルスはそんな不安に苛まれながら、ラッセルを殺す事でしか解決の糸口がない状況に追いつめられてしまっていたのだろう。そんな状態のアルスにフィリアナが口にしてしまった『もう少し考えれば』という言葉は、アルスが重く捉えている現状を軽視するような言い方に聞こえしまったはずだ……。それを先程アルスに怒鳴られるまで、フィリアナは気付けなかった。
それでもフィリアナは、どんなに仕方のない状況であっても、誰かの命を奪うような行為をアルスにして欲しくはなかった。それはフィリアナのエゴからの思いではなく、そういう行為をしてしまえば、アルスが深く傷ついてしまう事を知っているからだ。
アルスは人間相手で戦わなくてはならない状況でも、かなり容赦のない攻撃を割り切って出来るようだが、だからと言って人を傷付け、命を奪う行為が平然と出来るタイプではない。アルスの性格からすると、その判断を下さなければならない状況が訪れる度に、その罪深い行為から生まれる罪悪感で押しつぶされそうになっているはずだ。
それでも……王族という立場上、どうしても命のやりとりをする状況が発生してしまう。だが、フィリアナは少しでもいいから、アルスがそのような判断を下さなければならない状況を減らしたいと思ってしまう。誰かを傷付けなければいけない状況に追い込まれ、その罪悪感で苦しんでいるアルスの負担を少しでも減らしたいと思ってしまうのだ。
だが現状、国王リオレスの暴走を止めるには、術者であるラッセル自身に闇属性魔法を解呪してもらうか、あるいはラッセルかリオレスのどちらかが命を落とすという二つの方法しか見いだせない……。
実際にまだアルスが犬の姿だった頃に受けた魔法封じの術が、アルスが一度命を失った事でしか解呪出来なかった状況を目の当たりにしているフィリアナは、その事を誰よりも痛感している。
だからと言ってリオレスも同様に仮死状態にするわけにもいかない。
誰も命を落とさずにリオレスに掛かった術を解呪が出来る方法は、この二つの方法以外は本当にないのだろうか……。
すでに会場の出口の扉に手を掛け、今にも出て行こうとしているアルスの背中を見つめながら、フィリアナが自問自答する。だが次の瞬間、フィリアナは以前ルケルハイト公爵邸を訪れた時のあるやり取りを思い出した。
『もしかしたら……私の闇属性魔法の重ね掛けでアルスの解呪が出来るかもしれない』
アルスが魔法封じの術を受けてしまい、ルケルハイト公爵邸に相談に行った際、王弟クレオスは、そう言ってアルスの解呪を試みてくれた。先程、犬の姿からアルスが今の姿に戻った事を思い出したからか……。急にそのやりとりの記憶が蘇ってきたフィリアナは、兄達を振り切り、今まさに会場から出て行こうとしているアルスのもとへ駆け寄り、後ろから抱き付きつくように引き留める。
「フィー! 悪いが、もう俺の考えは変わら――――」
「違う! そうじゃないの! アルス! もしかしたら……ラッセル宰相閣下でなくても、闇属性魔法を解呪が出来るかもしれない!」
そのフィリアナの主張にアルスが怪訝そうに片眉をあげる。
「あのね、前にアルスが魔法を封じられる闇属性魔法を受けてしまった時があるでしょう!? その時、クレオス公爵閣下が言ってたよね!? 『重ね掛けで解呪出来るかもしれない』って!」
そのフィリアナの話にアルスが一瞬だけ、驚きの中に期待を含んだように目を見開く。
だが、それはすぐに落胆の表情へと変化した。
「仮にそうだとしても……今ここに叔父上はいない……」
「確かに公爵閣下はいらっしゃらないけれど……。もう一人、いるでしょう!? 闇属性魔法が扱える人が、この城に!」
その瞬間、ある人物が頭に思い浮かんだアルスが興奮気味でフィリアナの両肩を掴む。
「そうか! パルマンか!」
「うん! もしかしたらパルマン様が闇属性魔法を重ね掛けして陛下の闇属性魔法を解呪する事が出来るかもしれない!」
すると感極まったアルスが、ガバリとフィリアナを勢いよく抱きしめる。
「凄いぞ! 流石はフィーだ!! よく気が付いたな!!」
「う、うん……。褒めてくれるのは後でいいから……。あの、とりあえず今は早くパルマン様のところに行って解呪をして貰えるように説得しないと……」
「そうだった! おい! ロア、シーク! 今の話を聞いていたか!? 俺は今からフィーと一緒にパルマンを説得後、絶対にここへ連れてくる! 悪いがそれまで、もう少し耐えてくれ!」
そう叫んだアルスは、抱きしめていたフィリアナの腰をがっしりと片腕を回し、足早に会場を出て行く。そんな二人を追いかけてきたロアルドが、慌てながら引き留めた。
「ちょっと待て、アルス! それはあくまでもパルマン殿が解呪可能だった場合だろう!? もしパルマン殿の魔力がラッセル宰相閣下よりも低かったら、どうするんだ! その場合、解呪は出来ないんだぞ!?」
そのロアルドの指摘でアルスの表情は、一瞬で険しいものへと変わる。
「その時は……もう最終手段として俺がラッセルを討つ……。だが、パルマンが解呪出来る可能性が少しでもあるならば、まずそれに掛けたい!」
そのアルスの主張を聞いたロアルドは、短く息を吐いた後に「分かった」と呟く。
「でも無理そうなら、なるべく早く別の方法を決断してくれ……。正直なところ、もうセルクレイス殿下達も僕達もあまり持たない……」
疲弊気味のロアルドが力なくそう告げると、アルスの方も覚悟を決めるように深く頷く。
そしてアルスはフィリアナを伴い、足早にパルマンのもとへと向かった。
そんなフィリアナの反応に先程まで苛立ちと焦りを募らせていたアルスが、息を呑むような反応をしながら我に返る。
「…………っ! すまない……。その、フィーを怒鳴るつもりはなかった……。だが、こればかりは絶対に譲れない……。もう俺は……決めたんだ!」
アルスはフィリアナを怒鳴りつけてしまった事への謝罪はしてはきたが、ラッセルの命を奪う事で解呪する方法は、何が何でも決行するらしい……。説得出来なかったフィリアナは、足早に会場出口に向かうアルスの背中を悲痛な表情で必死に涙を堪えならが、見つめる事しか出来なかった。
そんなフィリアナの気持ちを察してくれたのか、ロアルドとシークがアルスの後を追い掛け、扉前で考え直す様に説得し始める。だが、フィリアナは二人の後に続く事は出来なかった……。フィリアナはアルスに怒鳴られた事で、自分が配慮の無い言葉を口にしてしまった事に気が付いてしまったからだ。
何故、自分はアルスに『もう少しよく考えれば』などと、無神経な事を口走ってしまったのだろうか……。
その『もう少し』の間にセルクレイス達がリオレスの手に掛かり、命を落としてしまうかもしれない可能性がフィリアナの中で抜けていた。もし、そのような事態になってしまったら、アルスは王族としての地位だけでなく、父親と兄を一気に失う事になる……。何よりも今の状態のリオレスでは、セルクレイスの命を奪った後は、すぐにアルスの命も狙ってくるはずだ。
『父上に息子殺しをさせるわけにはいかない』
今更ながら、先程アルスが口にした言葉がフィリアナに大きく圧し掛かってくる。
早く父親の暴走を止められなければ、兄の命が危ない。
また兄が死ぬような事があれば、自身も父親に殺されるかもしれない。
何よりも、もし自分達を手に掛けてしまった場合、正気に戻った父親はどうなる?
先程ついフィリアナに怒鳴ってしまったアルスはそんな不安に苛まれながら、ラッセルを殺す事でしか解決の糸口がない状況に追いつめられてしまっていたのだろう。そんな状態のアルスにフィリアナが口にしてしまった『もう少し考えれば』という言葉は、アルスが重く捉えている現状を軽視するような言い方に聞こえしまったはずだ……。それを先程アルスに怒鳴られるまで、フィリアナは気付けなかった。
それでもフィリアナは、どんなに仕方のない状況であっても、誰かの命を奪うような行為をアルスにして欲しくはなかった。それはフィリアナのエゴからの思いではなく、そういう行為をしてしまえば、アルスが深く傷ついてしまう事を知っているからだ。
アルスは人間相手で戦わなくてはならない状況でも、かなり容赦のない攻撃を割り切って出来るようだが、だからと言って人を傷付け、命を奪う行為が平然と出来るタイプではない。アルスの性格からすると、その判断を下さなければならない状況が訪れる度に、その罪深い行為から生まれる罪悪感で押しつぶされそうになっているはずだ。
それでも……王族という立場上、どうしても命のやりとりをする状況が発生してしまう。だが、フィリアナは少しでもいいから、アルスがそのような判断を下さなければならない状況を減らしたいと思ってしまう。誰かを傷付けなければいけない状況に追い込まれ、その罪悪感で苦しんでいるアルスの負担を少しでも減らしたいと思ってしまうのだ。
だが現状、国王リオレスの暴走を止めるには、術者であるラッセル自身に闇属性魔法を解呪してもらうか、あるいはラッセルかリオレスのどちらかが命を落とすという二つの方法しか見いだせない……。
実際にまだアルスが犬の姿だった頃に受けた魔法封じの術が、アルスが一度命を失った事でしか解呪出来なかった状況を目の当たりにしているフィリアナは、その事を誰よりも痛感している。
だからと言ってリオレスも同様に仮死状態にするわけにもいかない。
誰も命を落とさずにリオレスに掛かった術を解呪が出来る方法は、この二つの方法以外は本当にないのだろうか……。
すでに会場の出口の扉に手を掛け、今にも出て行こうとしているアルスの背中を見つめながら、フィリアナが自問自答する。だが次の瞬間、フィリアナは以前ルケルハイト公爵邸を訪れた時のあるやり取りを思い出した。
『もしかしたら……私の闇属性魔法の重ね掛けでアルスの解呪が出来るかもしれない』
アルスが魔法封じの術を受けてしまい、ルケルハイト公爵邸に相談に行った際、王弟クレオスは、そう言ってアルスの解呪を試みてくれた。先程、犬の姿からアルスが今の姿に戻った事を思い出したからか……。急にそのやりとりの記憶が蘇ってきたフィリアナは、兄達を振り切り、今まさに会場から出て行こうとしているアルスのもとへ駆け寄り、後ろから抱き付きつくように引き留める。
「フィー! 悪いが、もう俺の考えは変わら――――」
「違う! そうじゃないの! アルス! もしかしたら……ラッセル宰相閣下でなくても、闇属性魔法を解呪が出来るかもしれない!」
そのフィリアナの主張にアルスが怪訝そうに片眉をあげる。
「あのね、前にアルスが魔法を封じられる闇属性魔法を受けてしまった時があるでしょう!? その時、クレオス公爵閣下が言ってたよね!? 『重ね掛けで解呪出来るかもしれない』って!」
そのフィリアナの話にアルスが一瞬だけ、驚きの中に期待を含んだように目を見開く。
だが、それはすぐに落胆の表情へと変化した。
「仮にそうだとしても……今ここに叔父上はいない……」
「確かに公爵閣下はいらっしゃらないけれど……。もう一人、いるでしょう!? 闇属性魔法が扱える人が、この城に!」
その瞬間、ある人物が頭に思い浮かんだアルスが興奮気味でフィリアナの両肩を掴む。
「そうか! パルマンか!」
「うん! もしかしたらパルマン様が闇属性魔法を重ね掛けして陛下の闇属性魔法を解呪する事が出来るかもしれない!」
すると感極まったアルスが、ガバリとフィリアナを勢いよく抱きしめる。
「凄いぞ! 流石はフィーだ!! よく気が付いたな!!」
「う、うん……。褒めてくれるのは後でいいから……。あの、とりあえず今は早くパルマン様のところに行って解呪をして貰えるように説得しないと……」
「そうだった! おい! ロア、シーク! 今の話を聞いていたか!? 俺は今からフィーと一緒にパルマンを説得後、絶対にここへ連れてくる! 悪いがそれまで、もう少し耐えてくれ!」
そう叫んだアルスは、抱きしめていたフィリアナの腰をがっしりと片腕を回し、足早に会場を出て行く。そんな二人を追いかけてきたロアルドが、慌てながら引き留めた。
「ちょっと待て、アルス! それはあくまでもパルマン殿が解呪可能だった場合だろう!? もしパルマン殿の魔力がラッセル宰相閣下よりも低かったら、どうするんだ! その場合、解呪は出来ないんだぞ!?」
そのロアルドの指摘でアルスの表情は、一瞬で険しいものへと変わる。
「その時は……もう最終手段として俺がラッセルを討つ……。だが、パルマンが解呪出来る可能性が少しでもあるならば、まずそれに掛けたい!」
そのアルスの主張を聞いたロアルドは、短く息を吐いた後に「分かった」と呟く。
「でも無理そうなら、なるべく早く別の方法を決断してくれ……。正直なところ、もうセルクレイス殿下達も僕達もあまり持たない……」
疲弊気味のロアルドが力なくそう告げると、アルスの方も覚悟を決めるように深く頷く。
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