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19.対人スキルの値踏み
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城内を案内して貰い、そのままオルクティスと一緒に昼食を取ったアズリエールは、その後オルクティスの執務室にも案内された。
すると室内にはお馴染みでもある護衛のラウルと、初日に挨拶をしてくれたオルクティスの元教育係のハミエル、更に先程のお茶の席で見かけたオルクティスの側近らしき男性の姿があった。
通常のオルクティスの側近は、護衛をメインで行っている甘党のラウルと身の周りの世話をしてくれるハミエル、そして事務面を補佐するこの男性が側に付いているそうだ。
そこでまだ紹介をされていなかったその側近の男性が挨拶をしてきた。
「ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。私はオルクティス様の事務的な業務のお手伝いをさせて頂いているエドワルド・クレイシャーと申します。以後お見知りおきを……」
銀縁の細いフレームの眼鏡に黒に近いグレーの髪を横分けにし、いかにも生真面目そうな硬い雰囲気をまとった青年だったが、アズリエールに対してはとても丁寧な接し方をしてくれる。
年齢的にはラウルよりもやや年下のようだ。
「アズリエール・ウインド・エアリズムです。こちらこそ、よろしくお願い致します」
アズリエールも丁寧に挨拶を返すと、何故かエドワルドの隣にいたラウルが、やや不満げな表情を浮かべながら、アズリエールに話しかけてきた。
「アズリエール様。エドは私と同じ立場なので、そこまで丁寧な接し方をなさらなくてもよろしいのですが……」
「そうなの? ラウルの方が爵位が下なのかと」
「爵位は同じです! むしろ同じ爵位でも私の家格の方が若干上です! どちらでそのようなご判断をされたのですか!?」
「えっと、彼の方が何となく気品があるから?」
「アズリエール様……」
ムキになって反論したラウルだが、その後のアズリエールの言葉に落胆する。
その二人のやりとりを見ていた全員が吹き出した。
オルクティスと婚約してから、頻繁にその護衛でサンライズに訪れていたラウルとは、いつの間にか冗談が言える程、アズリエールは打ち解けていた。
すると、執務室の扉から丁寧なノック音が響く。
扉のすぐ近くに控えていた元教育係のハミエルが開けると、昨日アズリエールが誘導させた船の責任者のフィルクスが入室して来た。
「失礼致します。オルクティス様、昨日の風巫女様のご報告を……」
そこまで言いかけたフィルクスだったが、室内のアズリエールと目が合った瞬間、ポカンとした表情を浮かべた。
「フィルクス様、先日はご協力ありがとうございました!」
「アズリエール様!? ええと……こちらこそ、先日はありがとうございました」
まさか報告内容のメインとなる人物が執務室にいたとは思わなかったフィルクスが戸惑いを見せる。
その様子に苦笑しながら、オルクティスが会話に入って来た。
「やあ、フィル。今、アズリルに僕の執務室の様子を見て貰っているんだ」
「さようでございましたか……。申し訳ございません。まさか報告内容の主役でもある方がいらっしゃるとは思わなかったのもので……」
「昨日はアズリルに協力してくれて、ありがとう。お陰で両親と兄夫妻は大興奮だったよ」
「お役に立てたようで何よりです」
二人がそんな会話をしていると、またしてもラウルが何か言いたげな表情をアズリエールに向けてくる。
「ラウル、どうしたの?」
「アズリエール様……。フィルも私と同じ立場なので、もっとぞんざいな扱いで構わないのですが……」
恨めしそうにそう訴えてきたラウルにアズリエールが呆れた表情で返した。
「また、そのパターンっ!?」
「我々はオルクティス様だけでなく、アズリエール様にもお仕えする身です! ですからアズリエール様にはこの二人にも上の立場の人間として振舞って頂かないと!」
「もしかしてラウルは、自分だけ私の扱いが軽い事を気にしているの?」
「まさか! ですが、平等であっては欲しいとは思っております」
そのラウルの返答にその場の全員が、再び声をあげて笑い出した。
そんな和やかな雰囲気だった執務室内だが、再び響いたノック音で静まり返る。
またしてもハミエルが扉を開けると、今度は王妃テイシア付きの侍女が入室して来たのだ。
「ご歓談中のところ大変失礼致します。実は王妃様よりアズリエール様にお茶のお誘いをするようお言付けを頂きまして……」
その侍女の言葉に一瞬だけアズリエールの動きが止まった。
その反応に何故かオルクティスが、物凄く良い笑顔を向けてくる。
「アズリル、頑張って行っておいで」
「オルクが、とても楽しそうで何よりだよ……」
その二人の会話を聞いた男性陣4人が同時に笑いを噛み殺した。
するとアズリエールを迎えに来た侍女が、敢えてニッコリと微笑む。
「アズリエール様、王妃殿下はアズリエール様とお話しが出来る事を大変楽しみにされていらっしゃいます。ですからどうぞ、そのように身構えずにお越しくださいませ」
「え!? あ、あの! お気遣い、ありがとうございます!」
やや情けない様子を王妃付きの侍女に見抜かれてしまった事にアズリエールが、恥じらいながら礼を告げると、その侍女は更に労うような優しい笑みを返してくれた。
流石王妃付きの侍女だけあって、相手を気遣うレベルが高い。
「それじゃ、オルク。行ってくるね」
「お茶の後の着せ替え人形役も頑張ってね」
「もう! 何で、そういう事言うの!?」
一言多いオルクティスに不満を訴えながら、アズリエールは侍女の案内を受けて王妃テイシアの元に向う。
先程の好意的な侍女の接し方から、テイシア自身も少なからずアズリエールに不快な印象は持っていないとアズリエールは予想する。
だが、昨日の風巫女の力の披露の仕方が度肝を抜く方法だった事も事実だ。
その為、まだ気を抜く事は出来ない……。
再度アズリエールが心中で自分自身に活を入れると、目の前に上品なデザインの扉が見えて来た。そして、その扉の前で侍女がピタリと止まってノックする。
「アズリエール様をお連れしました」
そう告げた侍女から入室するように丁寧に促されたので、アズリエールは室内へと足を踏み入れる。
すると、穏やかな笑みを浮かべた王妃テイシアと、何故か満面の笑みを浮かべた王太子妃ハルミリアがアズリエールの事を待ち構えていた。
「アズリエール嬢、急にお茶のお誘いをしてしまって、ごめんなさいね……」
年頃の息子が二人もいるとは思えない程の可憐な容姿のテイシアが、やや両眉を下げながら申し訳なさそうに謝罪してくる。
一見、柔和な雰囲気のテイシアだが、その瞳の奥ではアズリエールの人間性を見抜こうと、かすかに目を光らしているのも読み取れた。
やはり油断ならない相手である……。
「いえ。こちらこそ王妃殿下より直々にお茶のお誘いを頂きまして、誠に光栄でございます」
「そのように硬くなさらないで。さぁ、こちらにいらして一緒にお茶を楽しみましょう?」
「はい。お心遣い、ありがとうございます」
アズリエールが二人の許へ歩き出すと、一瞬だけテイシアの値踏みするような視線が強まった。
その事に気付いたアズリエールは、もしや今自分が何か失態を犯してしまったのではと、少し焦ってしまう。
しかし、席に着いた際にテイシアから言われた言葉で、その心配は杞憂だった事が判明する。
「あなたは本当に歩き方が素敵ね。今も昨日と同じくらい高いヒールの靴を履いているのでしょう? その靴であんなに優雅に歩けるなんて素晴らしいわ!」
まさか立ち居振る舞いまで吟味されているとは思わなかったアズリエールは、この後の行動に益々慎重にならなければと警戒心を強めた。
だがそんな雰囲気は、微塵も匂わせてはならない。
「お褒め頂き、ありがとうございます。はい。靴は基本的にこのヒールの高さの物を常日頃から、愛用しております」
「まさかダンスも、その高さのヒールの靴で?」
「ええ。高いヒールの靴は、一見動きづらそうに思えますが、重心の乗せ方次第で歩きやすくなる事もあるので。何よりも美しい姿勢での歩き方を身に付ける事では良い訓練にもなりますので」
「まぁ! そうなの? ハミ、あなたも挑戦してみてはどうかしら?」
どうやらテイシアは、ハルミリアの事を『ハミ』と呼んでいるらしい。
婚約期間中は息子の嫁として、なかなか手厳しい指導を受けた様子のハルミリアだが、やはりこの二人の仲はかなり良好だとアズリエールは感じた。
だが、その義理の母の言葉にハルミリアは過剰に反応する。
「お義母様、ご冗談を! わたくしは通常のヒールの高さの靴でも、よく靴擦れを起こしてしまうのですよ? それなのにそのような高さのヒールの靴を履いたら、確実に転んでしまいますわ!」
「ふふ! 確かに。あなたは少々落ち着きがなさ過ぎるものね。それよりも……ハミはアズリエール嬢の事をもう愛称でお呼びしているの?」
「ええ。昨日、オルクがそうのように呼んでいたのを聞いたので、是非わたくしも愛称呼びをと申し出たのです」
「あら、あなたばかりがアズリエール嬢と親睦を深めていてズルいわ。アズリエール嬢、もしよろしければわたくしもあなたの事を愛称である『アズリル』と呼ばせていただきたいのだけれど」
「ええ! もちろん! こちらこそ、王妃殿下にそのように接して頂ける事は大変光栄でございます」
「大袈裟ねぇ……。そうだわ、あなたもハミと同じようにわたくしの事を『お義母様』と呼んでくださっても結構よ?」
にっこりと、それでいて何か含んでいるような甘い笑みを浮かべながら提案してきたテイシア。
その提案内容にうっかり頷きそうになってしまったアズリエールは、瞬時に踏みとどまった。
「そのような恐れ多い事は……」
「どうして? あなたはいずれ息子のお嫁さんになるのだから、今から呼び慣れておくのも良いかと思ったのだけれど……」
いかにも不思議だと言いたげな表情を浮かべて尋ねてきたテイシアだが……その言葉と表情から、何か含みがあるとアズリエールは感じてしまい、慎重に返答しなければと考え出す。
同時に今、自分がどういう扱いを受けているかも一瞬で把握した。
今の自分は、あきらかに王妃テイシアに試されている……。
その証拠に先程のテイシアの提案への返事は、どちらに転んでも落第点となるものだ。
まだ仮の婚約者の分際のアズリエールが、ここですんなりその申し出を受けてしまえば、かなり図々しい令嬢という印象を与えてしまう可能性がある。
だが断れば、親睦を深めようとした王妃に対して、距離を取ろうとしている態度にも取られてしまう……。
ようするにこの中間になるベストな返答をアズリエールは、導き出さなければならないという事だ。
「では、テイシア様とお名前でお呼びさせて頂く事をお許し頂けますか? わたくしはあくまでも風巫女としてオルクティス殿下の婚約者に望まれた立場でございます。将来的にそのまま婚姻という部分までご配慮頂ける事は、わたくしとしては喜ばしい限りですが……。しかし本来は風巫女としての役割を重視した婚約である事をわたくし自身は、心に止めておかねばならない立場ですので……」
やや困り気味な笑みを浮かべながら、アズリエールは切り返す。
その返答にテイシアの方も同じような笑みを浮かべた。
「アズリルは随分と謙虚なお嬢さんなのね……。分かったわ。お義母様呼びは諦めます。でもいつか、あなたからそう呼んで貰える日を楽しみにしているわね?」
「はい!」
穏やかな笑みでニッコリ微笑むテイシアに元気の良い声で返答したアズリエールだが……内心では冷や汗をかきながら、大きく胸をなでおろしていた。
どうやらテイシアの許容範囲内での回答を何とか自分は導き出せたらしい。
しかしこのお茶の席では、今の様な際どい会話でベストな返答を見出し続けなければならない会話展開が続きそうだ……。
オルクティスの前では、相手の心情を読み取るのが得意だと豪語していたアズリエールだが……特に勝負ごとを楽しむタイプではないので、この常に自分が試され続ける状況では、かなり神経をすり減らすしかない。
ハルミリアは、過去この状況を一体どうやって乗り切ったのだろうか……。
そんな考えを張り巡らしている事を微塵も感じさせないように無邪気な笑顔を必死で張り付けていたアズリエール。
だがその厳しい状況を察してくれたのか、ハルミリアが助け舟を出してくれた。
「それよりもお義母様! アズリルの明日の歓迎会用のドレスをもう一度吟味し直すと伺いましたが……それは本当ですの?」
「まぁ。あなたは本当に耳が早いのね……。その情報を洩らしたのは誰? オルクかしら?」
「ちょうどわたくしとアズリルがお茶を楽しんでいる時にあの子がその件を伝えにきたのです」
「まったく! 家族以外に対しては気遣いは天才的なのにそういう所は、あの子はダメね!」
「お義母様? そのおっしゃりようでは、アズリルのドレス着せ替えをお一人で楽しまれるおつもりに聞こえるのですが?」
「当たり前でしょ! こんなにも着飾り甲斐のあるご令嬢を独り占めしないなんて、勿体ないじゃない!」
「ズルいわ! わたくしも混ぜてくださいませ!」
「もぉ……。仕方がないわねぇー」
先程から当人の意見を一切求められないまま、勝手に進んでしまっている着せ替え人形談議に引きつった笑顔しか浮かべられないアズリエール。
これはもう大人しく着せ替え人形になるしかなさ良さそうだ……。
だが、このハルミリアの会話誘導は、常に試される会話を求められ続ける状況からアズリエールを救ってくれた。
たとえその救いの所為で、この後5着以上のドレスをとっかえひっかえ着せられる事になったとしても、常に試されるような際どい会話が続くよりかは、ずっとマシである。
その考えに至ったアズリエールは、心の中でハルミリアに感謝した。
しかし結局、この後のアズリエールは嬉々とした様子の王族女性二人によって、合計7着のドレスの試着をさせられた……。
その際、いつの間にか王妃テイシアは、アズリエールを試す事を忘れたかのように着せ替えに夢中になっおり、ハルミリアと共にアズリエールで着せ替え人形遊びを楽しんでいた。
その為、明日のでアズリエールは王妃テイシア一押しのドレスで、歓迎パーティーに臨む事となった。
すると室内にはお馴染みでもある護衛のラウルと、初日に挨拶をしてくれたオルクティスの元教育係のハミエル、更に先程のお茶の席で見かけたオルクティスの側近らしき男性の姿があった。
通常のオルクティスの側近は、護衛をメインで行っている甘党のラウルと身の周りの世話をしてくれるハミエル、そして事務面を補佐するこの男性が側に付いているそうだ。
そこでまだ紹介をされていなかったその側近の男性が挨拶をしてきた。
「ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。私はオルクティス様の事務的な業務のお手伝いをさせて頂いているエドワルド・クレイシャーと申します。以後お見知りおきを……」
銀縁の細いフレームの眼鏡に黒に近いグレーの髪を横分けにし、いかにも生真面目そうな硬い雰囲気をまとった青年だったが、アズリエールに対してはとても丁寧な接し方をしてくれる。
年齢的にはラウルよりもやや年下のようだ。
「アズリエール・ウインド・エアリズムです。こちらこそ、よろしくお願い致します」
アズリエールも丁寧に挨拶を返すと、何故かエドワルドの隣にいたラウルが、やや不満げな表情を浮かべながら、アズリエールに話しかけてきた。
「アズリエール様。エドは私と同じ立場なので、そこまで丁寧な接し方をなさらなくてもよろしいのですが……」
「そうなの? ラウルの方が爵位が下なのかと」
「爵位は同じです! むしろ同じ爵位でも私の家格の方が若干上です! どちらでそのようなご判断をされたのですか!?」
「えっと、彼の方が何となく気品があるから?」
「アズリエール様……」
ムキになって反論したラウルだが、その後のアズリエールの言葉に落胆する。
その二人のやりとりを見ていた全員が吹き出した。
オルクティスと婚約してから、頻繁にその護衛でサンライズに訪れていたラウルとは、いつの間にか冗談が言える程、アズリエールは打ち解けていた。
すると、執務室の扉から丁寧なノック音が響く。
扉のすぐ近くに控えていた元教育係のハミエルが開けると、昨日アズリエールが誘導させた船の責任者のフィルクスが入室して来た。
「失礼致します。オルクティス様、昨日の風巫女様のご報告を……」
そこまで言いかけたフィルクスだったが、室内のアズリエールと目が合った瞬間、ポカンとした表情を浮かべた。
「フィルクス様、先日はご協力ありがとうございました!」
「アズリエール様!? ええと……こちらこそ、先日はありがとうございました」
まさか報告内容のメインとなる人物が執務室にいたとは思わなかったフィルクスが戸惑いを見せる。
その様子に苦笑しながら、オルクティスが会話に入って来た。
「やあ、フィル。今、アズリルに僕の執務室の様子を見て貰っているんだ」
「さようでございましたか……。申し訳ございません。まさか報告内容の主役でもある方がいらっしゃるとは思わなかったのもので……」
「昨日はアズリルに協力してくれて、ありがとう。お陰で両親と兄夫妻は大興奮だったよ」
「お役に立てたようで何よりです」
二人がそんな会話をしていると、またしてもラウルが何か言いたげな表情をアズリエールに向けてくる。
「ラウル、どうしたの?」
「アズリエール様……。フィルも私と同じ立場なので、もっとぞんざいな扱いで構わないのですが……」
恨めしそうにそう訴えてきたラウルにアズリエールが呆れた表情で返した。
「また、そのパターンっ!?」
「我々はオルクティス様だけでなく、アズリエール様にもお仕えする身です! ですからアズリエール様にはこの二人にも上の立場の人間として振舞って頂かないと!」
「もしかしてラウルは、自分だけ私の扱いが軽い事を気にしているの?」
「まさか! ですが、平等であっては欲しいとは思っております」
そのラウルの返答にその場の全員が、再び声をあげて笑い出した。
そんな和やかな雰囲気だった執務室内だが、再び響いたノック音で静まり返る。
またしてもハミエルが扉を開けると、今度は王妃テイシア付きの侍女が入室して来たのだ。
「ご歓談中のところ大変失礼致します。実は王妃様よりアズリエール様にお茶のお誘いをするようお言付けを頂きまして……」
その侍女の言葉に一瞬だけアズリエールの動きが止まった。
その反応に何故かオルクティスが、物凄く良い笑顔を向けてくる。
「アズリル、頑張って行っておいで」
「オルクが、とても楽しそうで何よりだよ……」
その二人の会話を聞いた男性陣4人が同時に笑いを噛み殺した。
するとアズリエールを迎えに来た侍女が、敢えてニッコリと微笑む。
「アズリエール様、王妃殿下はアズリエール様とお話しが出来る事を大変楽しみにされていらっしゃいます。ですからどうぞ、そのように身構えずにお越しくださいませ」
「え!? あ、あの! お気遣い、ありがとうございます!」
やや情けない様子を王妃付きの侍女に見抜かれてしまった事にアズリエールが、恥じらいながら礼を告げると、その侍女は更に労うような優しい笑みを返してくれた。
流石王妃付きの侍女だけあって、相手を気遣うレベルが高い。
「それじゃ、オルク。行ってくるね」
「お茶の後の着せ替え人形役も頑張ってね」
「もう! 何で、そういう事言うの!?」
一言多いオルクティスに不満を訴えながら、アズリエールは侍女の案内を受けて王妃テイシアの元に向う。
先程の好意的な侍女の接し方から、テイシア自身も少なからずアズリエールに不快な印象は持っていないとアズリエールは予想する。
だが、昨日の風巫女の力の披露の仕方が度肝を抜く方法だった事も事実だ。
その為、まだ気を抜く事は出来ない……。
再度アズリエールが心中で自分自身に活を入れると、目の前に上品なデザインの扉が見えて来た。そして、その扉の前で侍女がピタリと止まってノックする。
「アズリエール様をお連れしました」
そう告げた侍女から入室するように丁寧に促されたので、アズリエールは室内へと足を踏み入れる。
すると、穏やかな笑みを浮かべた王妃テイシアと、何故か満面の笑みを浮かべた王太子妃ハルミリアがアズリエールの事を待ち構えていた。
「アズリエール嬢、急にお茶のお誘いをしてしまって、ごめんなさいね……」
年頃の息子が二人もいるとは思えない程の可憐な容姿のテイシアが、やや両眉を下げながら申し訳なさそうに謝罪してくる。
一見、柔和な雰囲気のテイシアだが、その瞳の奥ではアズリエールの人間性を見抜こうと、かすかに目を光らしているのも読み取れた。
やはり油断ならない相手である……。
「いえ。こちらこそ王妃殿下より直々にお茶のお誘いを頂きまして、誠に光栄でございます」
「そのように硬くなさらないで。さぁ、こちらにいらして一緒にお茶を楽しみましょう?」
「はい。お心遣い、ありがとうございます」
アズリエールが二人の許へ歩き出すと、一瞬だけテイシアの値踏みするような視線が強まった。
その事に気付いたアズリエールは、もしや今自分が何か失態を犯してしまったのではと、少し焦ってしまう。
しかし、席に着いた際にテイシアから言われた言葉で、その心配は杞憂だった事が判明する。
「あなたは本当に歩き方が素敵ね。今も昨日と同じくらい高いヒールの靴を履いているのでしょう? その靴であんなに優雅に歩けるなんて素晴らしいわ!」
まさか立ち居振る舞いまで吟味されているとは思わなかったアズリエールは、この後の行動に益々慎重にならなければと警戒心を強めた。
だがそんな雰囲気は、微塵も匂わせてはならない。
「お褒め頂き、ありがとうございます。はい。靴は基本的にこのヒールの高さの物を常日頃から、愛用しております」
「まさかダンスも、その高さのヒールの靴で?」
「ええ。高いヒールの靴は、一見動きづらそうに思えますが、重心の乗せ方次第で歩きやすくなる事もあるので。何よりも美しい姿勢での歩き方を身に付ける事では良い訓練にもなりますので」
「まぁ! そうなの? ハミ、あなたも挑戦してみてはどうかしら?」
どうやらテイシアは、ハルミリアの事を『ハミ』と呼んでいるらしい。
婚約期間中は息子の嫁として、なかなか手厳しい指導を受けた様子のハルミリアだが、やはりこの二人の仲はかなり良好だとアズリエールは感じた。
だが、その義理の母の言葉にハルミリアは過剰に反応する。
「お義母様、ご冗談を! わたくしは通常のヒールの高さの靴でも、よく靴擦れを起こしてしまうのですよ? それなのにそのような高さのヒールの靴を履いたら、確実に転んでしまいますわ!」
「ふふ! 確かに。あなたは少々落ち着きがなさ過ぎるものね。それよりも……ハミはアズリエール嬢の事をもう愛称でお呼びしているの?」
「ええ。昨日、オルクがそうのように呼んでいたのを聞いたので、是非わたくしも愛称呼びをと申し出たのです」
「あら、あなたばかりがアズリエール嬢と親睦を深めていてズルいわ。アズリエール嬢、もしよろしければわたくしもあなたの事を愛称である『アズリル』と呼ばせていただきたいのだけれど」
「ええ! もちろん! こちらこそ、王妃殿下にそのように接して頂ける事は大変光栄でございます」
「大袈裟ねぇ……。そうだわ、あなたもハミと同じようにわたくしの事を『お義母様』と呼んでくださっても結構よ?」
にっこりと、それでいて何か含んでいるような甘い笑みを浮かべながら提案してきたテイシア。
その提案内容にうっかり頷きそうになってしまったアズリエールは、瞬時に踏みとどまった。
「そのような恐れ多い事は……」
「どうして? あなたはいずれ息子のお嫁さんになるのだから、今から呼び慣れておくのも良いかと思ったのだけれど……」
いかにも不思議だと言いたげな表情を浮かべて尋ねてきたテイシアだが……その言葉と表情から、何か含みがあるとアズリエールは感じてしまい、慎重に返答しなければと考え出す。
同時に今、自分がどういう扱いを受けているかも一瞬で把握した。
今の自分は、あきらかに王妃テイシアに試されている……。
その証拠に先程のテイシアの提案への返事は、どちらに転んでも落第点となるものだ。
まだ仮の婚約者の分際のアズリエールが、ここですんなりその申し出を受けてしまえば、かなり図々しい令嬢という印象を与えてしまう可能性がある。
だが断れば、親睦を深めようとした王妃に対して、距離を取ろうとしている態度にも取られてしまう……。
ようするにこの中間になるベストな返答をアズリエールは、導き出さなければならないという事だ。
「では、テイシア様とお名前でお呼びさせて頂く事をお許し頂けますか? わたくしはあくまでも風巫女としてオルクティス殿下の婚約者に望まれた立場でございます。将来的にそのまま婚姻という部分までご配慮頂ける事は、わたくしとしては喜ばしい限りですが……。しかし本来は風巫女としての役割を重視した婚約である事をわたくし自身は、心に止めておかねばならない立場ですので……」
やや困り気味な笑みを浮かべながら、アズリエールは切り返す。
その返答にテイシアの方も同じような笑みを浮かべた。
「アズリルは随分と謙虚なお嬢さんなのね……。分かったわ。お義母様呼びは諦めます。でもいつか、あなたからそう呼んで貰える日を楽しみにしているわね?」
「はい!」
穏やかな笑みでニッコリ微笑むテイシアに元気の良い声で返答したアズリエールだが……内心では冷や汗をかきながら、大きく胸をなでおろしていた。
どうやらテイシアの許容範囲内での回答を何とか自分は導き出せたらしい。
しかしこのお茶の席では、今の様な際どい会話でベストな返答を見出し続けなければならない会話展開が続きそうだ……。
オルクティスの前では、相手の心情を読み取るのが得意だと豪語していたアズリエールだが……特に勝負ごとを楽しむタイプではないので、この常に自分が試され続ける状況では、かなり神経をすり減らすしかない。
ハルミリアは、過去この状況を一体どうやって乗り切ったのだろうか……。
そんな考えを張り巡らしている事を微塵も感じさせないように無邪気な笑顔を必死で張り付けていたアズリエール。
だがその厳しい状況を察してくれたのか、ハルミリアが助け舟を出してくれた。
「それよりもお義母様! アズリルの明日の歓迎会用のドレスをもう一度吟味し直すと伺いましたが……それは本当ですの?」
「まぁ。あなたは本当に耳が早いのね……。その情報を洩らしたのは誰? オルクかしら?」
「ちょうどわたくしとアズリルがお茶を楽しんでいる時にあの子がその件を伝えにきたのです」
「まったく! 家族以外に対しては気遣いは天才的なのにそういう所は、あの子はダメね!」
「お義母様? そのおっしゃりようでは、アズリルのドレス着せ替えをお一人で楽しまれるおつもりに聞こえるのですが?」
「当たり前でしょ! こんなにも着飾り甲斐のあるご令嬢を独り占めしないなんて、勿体ないじゃない!」
「ズルいわ! わたくしも混ぜてくださいませ!」
「もぉ……。仕方がないわねぇー」
先程から当人の意見を一切求められないまま、勝手に進んでしまっている着せ替え人形談議に引きつった笑顔しか浮かべられないアズリエール。
これはもう大人しく着せ替え人形になるしかなさ良さそうだ……。
だが、このハルミリアの会話誘導は、常に試される会話を求められ続ける状況からアズリエールを救ってくれた。
たとえその救いの所為で、この後5着以上のドレスをとっかえひっかえ着せられる事になったとしても、常に試されるような際どい会話が続くよりかは、ずっとマシである。
その考えに至ったアズリエールは、心の中でハルミリアに感謝した。
しかし結局、この後のアズリエールは嬉々とした様子の王族女性二人によって、合計7着のドレスの試着をさせられた……。
その際、いつの間にか王妃テイシアは、アズリエールを試す事を忘れたかのように着せ替えに夢中になっおり、ハルミリアと共にアズリエールで着せ替え人形遊びを楽しんでいた。
その為、明日のでアズリエールは王妃テイシア一押しのドレスで、歓迎パーティーに臨む事となった。
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アリシアは優雅に頭を下げながらも、心の中で嘲笑っていた。自分が悪役令嬢としてこの場にいる理由は、まさにここから始まるのだ。
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