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夢中でしゃべったから、あんまり覚えてない。
神山くんは口元を手でかくしながら、照れたようにそっぽを向く。
「ま、いいや。だいたい話はわかった。でも、凛はあんたのことをきらいだって言ったの?」
はっとした。
言ってない。凛ちゃんは、そんなこと一言も私に言わなかった。
「前の学校の親友のこともそうだけどさ。あんたって――自覚ないときはかなり素直だけど――自分の本音も言わないうえに、勝手に人のことも決めつけてないか?」
――『いいの。やっと菜月の気持ちがわかって、ほっとしたから』
亜衣の言葉がよみがえる。
――『うそつき』
――『菜月さんは、神山くんのことも好きだし、絵だって本気で上を目指しているくせに!』
そうだ。私はいままで、友だちに本音でぶつかったことなんてなかったかもしれない。
亜衣にも、凛ちゃんにも自分の気持ちを一言も話してなかった。
本当は、絵が上手な亜衣のことがうらやましくてたまらなかったのに。
誰よりも負けたくなかったのに。
いつも二番でいいよって顔をしてた。
神山くんのことだって、私も凛ちゃんとおなじぐらい好きなのに。
応援するよ、なんて……。
心のどこかで本音を言ったらきらわれちゃうって、決めつけていたんだ。
これじゃあ、すれちがって当たり前だ。
「私、凛ちゃんと仲直りがしたい」
「なら、やることは決まってんじゃねえの?」
神山くんはぶっきらぼうに言って立ち上がる。
もう、ふるえていなかった。
そのまま一緒に、となりの教室までついていく。
神山くんはすこしためらったあと、意を決したように教室の戸を開けた。
ゆっくりと、教室へと足を踏みだす神山くん。
「えっ、神山!?」「久しぶりじゃん!」
教室の中にいた人たちのざわめく声が聞こえてくる。
それはまるで、ドラマのワンシーンみたいで。
友だちにかこまれて、楽しそうに笑う神山くんのうしろ姿をみつめる。
もし、『ヒカリ・スクール』の最終話があるなら、きっとこんな感じだったんじゃないかなって思うくらい、神山くんの背中はまぶしかった。
「私も、がんばらなきゃ」
神山くんは口元を手でかくしながら、照れたようにそっぽを向く。
「ま、いいや。だいたい話はわかった。でも、凛はあんたのことをきらいだって言ったの?」
はっとした。
言ってない。凛ちゃんは、そんなこと一言も私に言わなかった。
「前の学校の親友のこともそうだけどさ。あんたって――自覚ないときはかなり素直だけど――自分の本音も言わないうえに、勝手に人のことも決めつけてないか?」
――『いいの。やっと菜月の気持ちがわかって、ほっとしたから』
亜衣の言葉がよみがえる。
――『うそつき』
――『菜月さんは、神山くんのことも好きだし、絵だって本気で上を目指しているくせに!』
そうだ。私はいままで、友だちに本音でぶつかったことなんてなかったかもしれない。
亜衣にも、凛ちゃんにも自分の気持ちを一言も話してなかった。
本当は、絵が上手な亜衣のことがうらやましくてたまらなかったのに。
誰よりも負けたくなかったのに。
いつも二番でいいよって顔をしてた。
神山くんのことだって、私も凛ちゃんとおなじぐらい好きなのに。
応援するよ、なんて……。
心のどこかで本音を言ったらきらわれちゃうって、決めつけていたんだ。
これじゃあ、すれちがって当たり前だ。
「私、凛ちゃんと仲直りがしたい」
「なら、やることは決まってんじゃねえの?」
神山くんはぶっきらぼうに言って立ち上がる。
もう、ふるえていなかった。
そのまま一緒に、となりの教室までついていく。
神山くんはすこしためらったあと、意を決したように教室の戸を開けた。
ゆっくりと、教室へと足を踏みだす神山くん。
「えっ、神山!?」「久しぶりじゃん!」
教室の中にいた人たちのざわめく声が聞こえてくる。
それはまるで、ドラマのワンシーンみたいで。
友だちにかこまれて、楽しそうに笑う神山くんのうしろ姿をみつめる。
もし、『ヒカリ・スクール』の最終話があるなら、きっとこんな感じだったんじゃないかなって思うくらい、神山くんの背中はまぶしかった。
「私も、がんばらなきゃ」
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