名も無き農民と幼女魔王

寺田諒

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第三章 誰かの目的地、誰かの帰り道

painful to think

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「一体何をしておるのじゃソフィ!」

 大声で怒鳴られて、ソフィは萎縮してしまった。アデルに抱えられるようにして宿の部屋に戻ってきた後、アデルはソフィをベッドに座らせ、その両肩を掴んだ。
 怒りをぶつけられて、ソフィが言葉を失う。

「わ、妾は……」
「人前で魔法を使うなと言ったであろう」
「しかし……、アデルよ、お主は毒を盛られておった」
「毒など盛られておらん、あれは違うものじゃ。よいか、今から説明するでな、よく聞くのじゃぞ」

 アデルがそう言ってから、酒がどういうものかを説明し始める。
 しかし、ソフィはその言葉がなかなか耳に入らない。

 何故?

 それがソフィの心に浮かんだ言葉だった。アデルはあの女によって毒を盛られていた。このままではアデルが死んでしまう。
 アデルを守らなければいけない、ソフィはそう思った。アデルは今までずっと、自分のために苦労をしてくれた。
 笑わせてくれた、色んな事を優しく教えてくれた、アデルを殺そうとした自分を許し、そして自分をあの城壁の中から連れ出してくれた。
 歩くのが遅く、アデルに迷惑をかけた自分を許し、優しい言葉で慰めてくれた。肩車をして、一生懸命走ってくれた。
 まだ沢山のことは知らなくても、アデルが自分を大事にしてくれていることはソフィには十分わかっていた。


 そんなアデルを守りたいと思った。
 自分には強力な魔法がある。それを使えば、きっとアデルを守ることが出来る。
 そうすれば、アデルを救った自分を認めて褒めてくれるだろう。そう思っていたのに、アデルは自分を床に引き倒してその大きな体で圧し掛かってきた。
 強く掴まれた手首はまだ痛む。けれど、それよりも何よりもソフィはもっと強い痛みを胸に感じていた。



 痛みが膨らんでいく。胸に収まらない。ついにその痛みは瞼の裏から溢れた。
 肩が跳ねる、自分の意思とは無関係にお腹が弾み、嗚咽が漏れる。

「ううっ……」

 ソフィの頬に涙が走る。アデルはぎょっとして話を止め、ソフィの顔を覗きこんだ。

「お、おい、ソフィ、泣くでない」

 頬を伝う幾条もの涙がぽたぽたとソフィの太ももを濡らす。アデルはおろおろと意味も無く宿の部屋を見渡し、その後でソフィの膝元に跪いた。

「すまぬソフィ! わしがすべて悪い! わしが全て悪かったんじゃ! お主はまったく悪くない!」

 泣き止まないソフィに、アデルが頭を下げる。 

「本当に、わしが悪かった! 久しぶりだったのもあってあれくらいならと調子に乗って飲みすぎた。ソフィが酒のことを知らんかったのに、じゃからわしが悪い! ソフィ、すまん、泣き止んでくれ」
「……なんなのじゃ」
「いや、本当にわしが悪かった。泣き止んでくれソフィ、ソフィに泣かれるともうわしも泣きたくなる」


 ソフィにはアデルが何故そんなことを言い出しているのかよくわからなかった。アデルの話もあまり頭に入ってこなかったので、どう返答すべきかわからない。
 ただ、ひとつだけ気になることがあって、それだけを言う。

「アデルよ……」
「なんじゃ? なんでも言うてくれ」
「……妾のことが嫌いになったのか」

 ようやく涙が収まったものの、ソフィの横隔膜はまだ震えている。
 アデルは焦った様子で言葉を並べ始めた。

「そ、そんなわけなかろう! 何を言うか、わしはソフィのことが大好きじゃ! 大好きじゃぞ!」
「ほ、本当か?」
「おお、当たり前であろう!」
「ならば、何故あんなことをしたのじゃ」
「あんなこと?」
「妾を……、床に引き倒して……、痛かったのじゃ」
 ソフィは掴まれた右手首を挙げて、左手でさする。
「す、すまぬソフィ! いや、咄嗟のことであった。ソフィがあの女給に魔法を出して、それでそれを止めねばと思ったのじゃ」
「……妾が間違っておったのか? 何度も言ったように、妾はあまり人のことに詳しくない」
「いやいやいや、わしが悪かった。ちゃんと説明しておらんかったからこうなってしまったのじゃ。ソフィよ、ソフィはわしを助けてようとしてくれたのじゃな」

 ソフィがこくりと小さく頷く。そしてそのまま自分の膝に視線を落とした。

「うむ、ありがとうソフィ。わしを守ろうとしてくれたのじゃな、それはとても嬉しい。本当に、ありがとう」
 アデルはソフィが落とした視線の先に回り込もうと、さらに体を低くした。
「アデル、お主は一体何を飲んでおったのじゃ? あれは毒が入っておったのではないのか?」
「いや……、うむ。もう一度最初っから説明するでな、ソフィよ、よく聞いておくれ」






 アデルは酒についてもう一度説明をはじめた。少し心に余裕が出来たのか、ソフィはアデルの話に聞き入った。
 その内容は理解しがたい部分も多かったが、ソフィは最後までアデルの説明を聞き終えた。その上で、やはりわからないことがあったのでアデルに尋ねる。


「アデルよ、酒がどういうものであるかは理解した。しかし、何故そのような物を飲むのじゃ? 飲みすぎれば病となり死ぬこともあるのであろう?」
「うむ……、いやまぁそれは、飲むと心が楽しくなるからじゃな」
「……それだけか?」
「いや、まぁ色々とあるじゃろうが」
「ならばその色々とやらも話すがよい」
「ええと、人にもよるが、例えば辛いことがあった時に酒を飲むことで嫌なことを忘れようとしたりとか」
「そんなことをして一体なんの意味があるのじゃ。原因となっておる辛いことは無くならないではないか」
「う、うむ。まぁしかし大人には色々とあるでな」
「大人という言葉を言い訳に使うでない。確かに妾は物を知らず未だに幼いかもしれぬ、しかし、聞かされた道理を理解できぬほど愚かではない」
「うむ……。いや、あれじゃな。人には自分の力ではどうしようもできんことが多いのでな、まぁ、そういう理由であったり、お祭りのように社会的な習慣に則って酒を飲んだりとかもするが」

 アデルは言葉を選びながら話を続ける。

「もちろん、一番の理由は、飲むと楽しい気持ちになれるからであることは確かじゃな。わしも、その、久しぶりの町じゃったし、ソフィのような者と一緒になれて嬉しかったというのもあって、ちょっとくらいなら飲んでもよいかなーと」
「その結果があれか」

 ソフィは冷たい視線をアデルに向けた。

「うっ……、うむ、我ながら少々度が過ぎたかもしれん、いや実に酒という物はいかんな」
「ほんの一時前のことでも覚えておらんかのように、同じような話を繰り返し、まっすぐ立つことも出来なくなり、妾にこんな心配をさせ、酒に責任を押し付けようとするのか。酒というものについて理解はした、しかし、酒ではなく酒を飲むものに責任があるのではないのか」
「おおお、ソフィ、なんとお主は頭が良いのであろう。この世の中に、ソフィと同じ年頃でソフィほど賢いものがおるとは思えん、いや素晴らしい」
「アデル、そのような褒め言葉が欲しいわけではない」
「う、うむ、そうじゃな……」
「何故このような、人を愚かにするような物がこの世に溢れ、それを好んで飲むというのじゃ。楽しい気持ちになりたいのなら、楽しいことをすればよいのではないのか」

 アデルはソフィの言葉に反駁することができなかった。
 ソフィは溜息を吐いて、軽く首を振った。

「よいかアデルよ、あのようなもの、二度と飲むでないぞ」
「えええええええぇぇぇっ?!」

 ソフィの言葉にアデルが叫ぶ。その反応に、ソフィがむっと眉を寄せた。

「なんじゃこの阿呆! 何を言っておる、当たり前であろう。なにゆえあんなものを飲む必要がある! もう飲むでない」
「いやいやいやいや、待ってくれ、待つのじゃソフィよ、いや、あのね」
「あのねも何も無いわ! あんなもの、必要無いであろう」
「そ、そんなことはないぞソフィよ、酒というのはだな、人と人との間を円滑にしたり色々と」
「何故そのように反論をする。さきほど、お主はすべて自分が悪いと言うたではないか、ならば反省すべきではないのか。そして二度と同じことを起こさぬようにする。妾も愚かで、自分の魔法で自分が死にそうになったが、あんなこと二度と起こさんぞ。それは妾が学び、成長したからじゃ。アデルよ、お主は沢山のことを知っており、頭も良いではないか、なぜ愚かになる飲み物などに固執するのじゃこのたわけ者が!」

 ソフィの怒りは留まることを知らず、その声の大きさは段々と増していく。
 アデルは周りを見てから再びソフィへ視線を向けた。

「落ち着けソフィ、もう夜も更けてきたでな。もう少し声を小さくしようか、の?」
「む……、なるほど、それはわかった。しかし、それは妾の問いに対する返答ではないぞ」
「う、うん、そうだね、その通りだね、さすがだねソフィ」
「なんじゃその口調は、誤魔化すでない」
「うむ……、そ、そうじゃな。ええとなソフィ、酒というものはさっきも言った通り、人と人と仲良くしたりもするのじゃな。酒によって楽しい気持ちになれば、色んな話もするじゃろ?」
「ふむ、別に酒がなくても色々話せるではないか。妾たちがやっておるように」
「それもそうではある。しかし、時には酒を断るというのは失礼なことになる。例えば、目上の偉い人がわざわざ高いお酒を用意してくれたりするじゃろ、それを断るというのはその人の心や誇りを傷つけることにもなる。その人の優しさや気持ちを踏みにじるというのは、失礼じゃし、嫌われてしまう」
「なるほど、わかったのじゃ」

 ソフィが頷く。

「おおソフィよ、わかってくれたか! わしは嬉しいぞ」
「ではそのように目上の者から勧められた時だけ酒を飲むことを許そう」
「あれええぇぇッ?!」
「なんじゃ、なんの文句がある。お主の主張を認めてやったではないか」
「そ、そうじゃな……。うん、ソフィさんすごい、ははははは、はは、魔王こわい……」

 乾いた笑い声をあげるアデルから視線を逸らし、ソフィは溜息を吐いた。

「そうなると、あの女には悪いことをしてしまったことになるのう。あの者は自分の仕事をまっとうにこなしておっただけであったのに、この阿呆のせいで」
「あ、ああ、そうじゃな」
「ふぅ……。今日も妾は色々なことを学んだような気がするぞ。アデルよ、あのような愚かな振る舞いはもうするでない。妾はお主から色々なことを学ぼうと思っておる。お主の中に、おそらく余人が持たぬであろう大切なものを見出した。しかし、同時に、他の事、他の者からも色々学ばねばならんようじゃな。お主だけが絶対ではないのじゃな」
「う、うむ。さすがじゃなソフィ」

 疲れた様子でアデルはそう言って、それから溜息をこぼした。


 ソフィは一度大きく息を吸い込み、そして小さな唇から息をゆっくりと吐き出した。息を吐き切った後で、ソフィが意を決したように顔を上げてまっすぐにアデルを見る。

「のうアデルよ、妾は、あの娘に謝らねばならんように思う。妾の無知によって、あの娘を怖がらせてしまった。そのことを、妾は謝らねばならぬのではないか?」
「おお、ソフィ。そのようなことを考えるとは……」

 アデルは口を半開きにして、目を大きく開いた。数日前に会ったばかりで、ソフィの性格の深いところまではまだわからない。
 しかし、アデルは感動していた。自分の過ちに対して真摯であろうとするその心構え、他者への思いやり、そのような心を持っていることに驚きを隠せない。
 初めて会った時は、思考は非常に幼く、例え人を殺しても何とも思わないような子どもだったが、今はそういう幼さを脱しているように思えた。

「ふむ、謝罪か……」

 アデルは腕組みをして、真剣な面持ちのソフィを見つめた。その気持ちはとても大事なものだと思える。
 しかし、実際に謝罪に行くというのが本当に良い選択だとはアデルには思えなかった。
 魔法使いがその魔法で罪の無い女を殺そうとした。まだ周囲が騒然として、誰もが冷静さを取り戻せないうちにあの食堂を逃げ去ったが、落ち着けばその行為の重大性にすぐ気づくだろう。
 もしかしたら、大きな問題になっているかもしれない。そこに飛び込んでいくのは果たして賢い選択なのかどうか迷う。
 もちろん、ソフィが謝罪をしたいと思っているその気持ちを尊重してやりたいとも思った。

「うーむ……、謝罪に、か……」
「アデルよ、何故に迷うのじゃ。妾の考えは間違っておるのか」
 ソフィが不安気に唇を結ぶ。

「いや、そういうわけではない。ソフィがそのように考えたこと、わしは実に素晴らしいと思う」
「そ、そうか! では」
 喜び、ソフィが立ち上がろうと腰をあげる。アデルはその動きを手で制した。
「なんじゃアデル、やはり間違っておるのか」
「そういうわけではない、そういうわけではなくてじゃな……」
「ならどういうわけなのじゃ」
「う、うむ……」

 アデルは少し迷ったが、自分の考えをソフィに伝えることにした。
 もしかしたら、大きな問題になっているかもしれない。謝ったところで許してもらえるとは限らない。何か問題に巻き込まれれば、この旅路に影響が出るであろうということ。

「一応、人の世では人を殺すということは大きな罪だと考えられておる。その刑罰は非常に重い。それを行おうとしたことももちろん大きな罪になる。そういうことをソフィはしてしまったということになる。あっ、勘違いするでないぞ! ソフィを責める気はないし、ソフィは悪くない。すべてはわしの阿呆さ加減が招いたことじゃ」
「ふむ……」

 ソフィはアデルの話を聞いて考え込む。こうやって聞かされると、アデルの言うことも理解できた。俯いていた顔をあげて、ソフィはアデルの瞳に訴えた。

「しかし、それでもじゃ、妾は謝罪をすべきではないかと思っておる」
「……そうか、わかった」

 ソフィがそこまで言うのであれば、自分もまた腹を括らなければいけない。
 アデルは自分の両頬を強く叩いて立ち上がった。 




 あくまで念の為だが、アデルは部屋の荷物をすべて纏め上げて、フレイルを天秤棒に代わりにしてすぐ持ち出せるようにしておいた。
 もし面倒なことになればこの町から一気に逃げ出さなければいけない。荷物よりもソフィのほうが大事ではあったが、しかし失うには惜しいものも荷物の中に含まれている。
 アデルは部屋の窓を開け、ソフィに手招きをした。

「よいかソフィ、あの教会が見えるか?」
「うむ」
「あの教会の塔は四角じゃろ、んでもってあの面に時計がある。この宿が、あの面に対してこの角度にあり、このように見上げた距離にこの宿がある。これを覚えておけば、もし迷ったとしてもある程度自分がいる場所の目星がつけられるのじゃな」
「なるほど……、しかし何故そんなことを?」
「まぁそれは後で説明する。さて、行くぞソフィ」

 窓を閉めて、二人は宿を後にした。


「ソフィよ、これから通る道をよく覚えておくのじゃぞ」
 外に出てから、アデルはソフィにそう言った。すでに町は暗く、人の通りもまばらになってきている。
「どういうことじゃ?」
「いや、とりあえず道を覚えてほしい。よいか、ソフィ、もし何かあれば逃げなくてはならん。その時は、今からわしが通る道を通って宿屋に戻れ、よいな? 宿の主人が入れてくれるかどうか悩みどころではあるが」
「逃げることまで考えるのか」
「念の為じゃ、念の為」

 アデルが先に歩き、町の細い通りを行く。

「よいかソフィ、こうやって振り返り、そしてその景色をよく覚えておくのじゃぞ。行きと帰りでは見えるものが違うからな」
「なるほど」
 そう言ってアデルはさらに進む。遠回りしながら、二人はさきほど訪れた食堂を目指した。
「大丈夫かソフィ? ちゃんと覚えられそうか?」
「うむ、問題ない」
「本当か? では三つ前に曲がった場所に何があったか覚えておるか?」
「樽が二つ積まれておった。そこの近くに何やら裏口のような扉があり、その扉に曲がった鉄の棒が吊り下げられておった。窓の中から明かりが零れておって、その中で年老いた男が机に向かっておった。ああ、あと猫がおったのう。あと」
「いや、もうよい、うむ。大丈夫そうじゃな」

 アデルはそう言ってソフィの言葉を遮った。アデルの額に冷や汗が浮かぶ。覚えるように言ったのは自分だが、思ったよりも詳細に覚えているようだった。しかし、気になる箇所があったのでアデルは一応伝えておく。

「あと、猫とか男とかは覚えんでもよい。それらは時間が経てばいなくなったりするかもしれんからな」」
「おお、なるほど。道理じゃな」
「ある程度長い時間変わらないであろうものを目印にするほうがよいのじゃな」
 そう言ってアデルは足元に気をつけながら先に進んだ。


 ぐるっと遠回りしたせいで、少し時間がかかった。しかし、ようやく目的地に到着する。
 アデルとソフィは裏路地の角に隠れて食堂の様子を伺った。もう閉店したのか、窓の向こう側に客がいる気配はない。

「……いかん、妾は何かこう、胸がドキドキしてきた」
「緊張しておるのじゃな。まぁわしもそうじゃ。うーむ、村長に悪事がバレた時のことを思い出す」

 胸を手で押さえて、アデルは意を決したように目をカッと開いた。

「よし、ではよいかソフィよ、とりあえずわしが先に行く。そしてあの女給がおれば、なんとか話して、謝罪をし、わかってもらおうとする。それで話が通じたなら、今度はソフィを呼ぶでな」
「……う、うむ。しかし、本来ならば妾が行くべきではないのか。このような振る舞いは、なんというか違うような気がするのじゃ」

 ソフィが困惑に表情を曇らせた。しかしここは譲れない。

「いや、とりあえずわしが先に行く。もし何かよろしくない事態に発展しそうであれば、さきほど通って来た道を引き返すんじゃ、よいな?」
「……うぅ、そ、それでよいのか? 悪いのは妾じゃろう」
「何度も言うが、これはわしの過ちよ。ええい、ぐだぐだとしておっても埒が明かん。では行ってくる、何があってもそこで隠れて見ておるのじゃぞ。わしに何かあったとしても、魔法は使ってはいかんし、出てきてはいかんぞ。魔法を使ってよいのは、ソフィ自身が危ない時だけじゃ」

 薄暗い闇の中で、アデルはソフィにそう告げた。よし、と呟いてからアデルが通りに飛び出した。










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