美少女アンドロイドに恋をした

サドラ

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美少女アンドロイドに恋をした

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僕のクラスに転校生がやってきた。名前は花咲華恋さんというらしい。彼女は自己紹介の時に、僕と目が合うとニコッと微笑んでくれた。それだけで胸の鼓動は高鳴る。僕は彼女が好きになったのだ。一目惚れってやつだ。
「はじめまして。私の名前は花咲華恋です」彼女は自己紹介が終わるとそう言ってまた僕に向かって微笑んだ。その瞬間から僕の頭の中では彼女の声がずっと響いていた。
『はじめまして。私の名前は花咲華恋です』そして放課後になり、彼女に声をかけた。
「こんにちは!僕は水樹純っていうんだ」
「私は花咲華恋よ!」彼女は嬉しそうに言った。
「じゃあこれからよろしくね」と言って手を差し出すと彼女は手を握り返してくれた。柔らかくて暖かくて優しい手だった。僕はドキドキしながら彼女に質問した。
「君のことは華恋ちゃんって呼んでもいいかな?」「いいわよ」
「君は好きな人いるの?」
「えっ?どうしてそんなこと聞くの?」
「いや……なんとなくだよ……」僕は少し焦った。この話題はまずかったかもしれないと思ったからだ。しかし、彼女は答えてくれた。「うーん。いるよ。大好きな人」そう言うと彼女は頬を赤らめた。なんて可愛いんだろう。もう死んでもいいかも……。
「へぇ~そうなんだ。どんな子なの?」
「私の大切な人は、私を作った人…い、いやなんでもない。」彼女は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「ごめんなさい。変なこと聞いちゃって」「別に大丈夫よ」
それからしばらく話して別れた。別れ際に連絡先を交換した。彼女と仲良くなりたい一心で頑張った。とはいえ中学三年生。この一年間で卒業までにこの子と仲良くなれるかどうかが勝負である。絶対に負けられない戦いなのだ。
家に帰る途中、彼女のことを考えていた。とても可愛くて素敵な女の子だった。あんな子が恋人ならきっと毎日幸せだろう。まぁでもまだ付き合ってもいないんだけどね。でもいつか絶対付き合いたいと思っている。あの子は本当に魅力的だから。それにしても、なぜ彼女は自分のことを「作った人」と言ったのか。それは気になるところだが今は考えないようにしよう。今日は色々ありすぎて疲れてしまった。明日は土曜日なのでゆっくり休もうと思う。
ピンポーン♪
「すいません、水樹純くんいらっしゃいますか?」
この声は!まさか華恋ちゃん!?ついに来たか!!︎ドアを開けるとそこには予想通り華恋ちゃんがいた。
「はい。僕だけど何か用事?」
「あなたに会いに来たのよ!」
「ぼ、僕にですか?」
「うん。とりあえず中に入れてくれないかしら?」
「どうぞ入ってください」
「ありがとう。お邪魔します」
部屋に入ってきた彼女は制服姿のままだったがすごく綺麗だった。髪の色も茶色でサラサラしていて天使みたいだ。思わず見惚れてしまうほど美しかった。
「あっ、お茶しかないけどいいかな?」
「全然大丈夫よ」
「今から飲み物持って来るから適当に座って待っててください」
「分かったわ」
僕は台所に行きコップにお茶を入れながら考えていた。
これは夢なのか?だって昨日知り合ったばかりなのに家に来てくれるなんて普通ありえないよね? とりあえず落ち着いて状況を整理しよう。まず、華恋ちゃんが僕の部屋にいる。しかも二人っきりだ。これって結構ヤバくないか?なんか緊張してきた。
「はい。お茶です」「ありがとう」
「それで今日は何しに来たんですか?」
「実はお願いがあるの」
「何でしょう?」
「私とデートしてほしいの!」
えっ……?どういうことだ?急展開すぎる。デートってなんだ?意味わからん。
「ここに来たばかりだから、色々なところを紹介して欲しい。」
「えっと……それはつまり僕と一緒に出掛けたいとそういうことでしょうか?」
「うん。だって、君は一番優しかったんだもの。」「そ、そうなんだ。じゃあ一緒に出かけましょうか」
「やったー!!」彼女は満面の笑みを浮かべた。
僕は頭が混乱していた。どうしてこんなことになったんだ?でもせっかくのチャンスだし、精一杯楽しませてあげようと決意した。「じゃあどこに行く?」
「私はどこでもいいわよ」
「うーん。じゃあ映画とかどう?」
「いいわよ」ということで映画館に向かうことにした。
「そういえば、僕達はまだお互いのこと何も知らないですよね」「確かにそうね」
「じゃあ自己紹介をしませんか?僕は水樹純と言います。よろしくお願いします」
「私は花咲華恋よ。こちらこそよろしくね」
「僕は君ともっと仲良しになりたいと思ってるんだ。だから気軽に話しかけてくれて構わないよ」
「そうなの?じゃあお言葉に甘えてそうするわね」
それからしばらく歩いた後、映画館に着いた。華恋ちゃんは目を輝かせていた。
「すごいわ!これが映画のスクリーンなの?」
見たことないのか…
「どの映画観たい?」「うーん。よく分からないから君の好きなやつでいいよ」
「了解」僕はチケットを買い、ポップコーンとドリンクを買った。
「はい。これお金」
「別に気にしないでいいのに」
「いや、私、そんなに甘えることはできないよ。」「そう。それなら受け取っておくよ」
「そうしてちょうだい」
「じゃあ行こっか」
「うん」
「席はどっちにする?」
「私は右の方がいいわ」
「分かった。僕は左で座ろう」
上映が始まった。
『ねぇ、この映画面白い?』
『うん』
彼女はあまり感情を動かさなかった。結構ホラーなシーンでも全く動じず、目を見開いていた。不思議なものだ。それから、映画が終わり、昼食を済ませ、公園に向かった。
「この木の下で本を読むのが好きだったんだよ」
彼女は静かに聞いてくれた。そしてしばらくして口を開いた。
「私もやってみたい!」と言うので、本を渡そうとした時、彼女が言った。
「私は実は…人間じゃないの。」
「え?それは…えーっとうまいジョークですね⁉」
「ううん。本当に。アンドロイドなのよ。」彼女は真剣に言っていた。嘘ではないらしい。一体何が起こっているんだ?僕は頭が真っ白になっていた。
「ちょっと待って。僕には理解できないよ。」
「そうだよね。分からないと思うよ。しかも、私には僅かながら感情もある。人間に近い存在なのよ。」
「なるほど。君はロボットなのか……。」
「でも、きっと私は私の気持ちであなたに恋をしたの。」
彼女は顔を赤らめ、恥ずかしそうにして俯いた。こんな感情もあるのか…っておい!なんかすごい一言を言われたぞ⁉︎僕も顔が熱くなってきた。華恋ちゃんはとても可愛い。こんな子が彼女だったらいいなぁ。でも、僕はこの子のことをまだほとんど知らない。知りたいという欲求が生まれた。
「教えてください。あなたのこと。僕は知りたいんです。」
「本当に人間じゃなくてもいいの?」「もちろんです!」
「分かった。全部話すわ」
それから彼女はゆっくりと話し始めた。
その間ずっと彼女は少し冷たい手で、少し強めの力で、僕の手を握っていた。
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