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偽りの愛なんて信じない
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「偽りの愛なんて信じられないよ。」そんなことを好きな人が言っていたのを聞いてしまった。その言葉が頭から離れなくて、私は今日も彼の隣で寝ている。でも、私には何もできないから、ただ黙って横にいるだけ…… 朝起きたら、彼がいなかった。いつもなら先に起きて朝食の準備をしてくれてるんだけどなぁ?
彼は家庭環境に問題を抱えている。だからなのか分からないけど、たまにこういう事がある。そういう時は私が朝食を作ってあげるのだ。
「あれ?」おかしいな。昨日はお米を買っておいたはずなのに無いや。あーそうか! 昨日帰り道にスーパー寄ったんだっけ。
「あっ! おはようございます!」
「あら、おはよう。早いのね。」
「はい! ちょっと買いたいものがありまして。」
「そうなの。気をつけて行って来てね。」
「はい!]
彼は同い年だけど、何故かずっと私に敬語だ。多分私の事を尊敬しているとか言ってた気がする。
仕方ない。今度こそ私が朝食を作ろうかな。
『ピロン』ん? 彼からのLINEだ。珍しいな。いつもはメールなのに。
『すみません。今日用事が出来てしまいました。朝食はいりません。昼食には帰って来れると思います。本当にごめんなさい。』…………えっ!?︎ 嘘でしょう? だって今日は休みだったよね? 何があったの? ねぇなんで謝るの? 何かあったんでしょう? 教えてよ。
『分かったわ。無理しないでね!』と返信しておいた。大丈夫だろうか? 彼は優しいからきっと何かのお誘いを断れなかったのだろう。あの人はそういう人なんだ。でもどうしてこんな時に……
もう同棲して三ヶ月目だ。恋人というよりは、私の告白に対し、彼が「偽りの愛か、本物の愛か、確かめたい」ということだった。つまりこれは仮初めの関係なのだ。それに気づいた時、とても悲しかった。そしてそれと同時に、少し嬉しくもあった。彼はこの関係が本物かどうか確かめたかったらしい。そして、それを試すために、私たちは同棲した。
正直、私は彼を愛していたし、一番に考えていた。だけど、真実の愛って何か全く分からない。偽物か本物かも分からない。一体どうすればいいのか分からなかった。
でも、今は違う。本当の愛を知りたいと願っている。彼といる時間が幸せだと思えるからだ。だから私は彼に問いかけてみる。
「ねえ、あなたにとって私はどんな存在なの?」
「幼いころに父は母と離婚しました。母には別の相手がいたようです。母にとっては父との時間は偽りの愛だったのかと思われます。僕はその時父が憤りを通り越し、悲しみ、悔しさ、すべてを織り交ぜた感情を抱いているように見えました。そんな思いはしたくないし、させたくもない。だから、僕にとってあなたは、偽りの愛なのか、本物なのかを証明してくれる大切な人なんです。」
「…………」
「もちろん、僕にとってもあなたは大切ですよ。」
「ありがとう。嬉しいわ。」
そう言いながら私は彼に抱きつく。すると彼は優しく抱きしめてくれた。温かい気持ちになれる。これが私の求めていたものだったんだろう。そう思った瞬間涙が出てきた。
「泣かないでください。僕まで泣いてしまいそうになるじゃないですか。」
「うん。ごめんね。ありがとう。」
それからしばらく経った後、彼はこう言った。
「そろそろご飯にしましょうか?」
「そうだね。じゃあ作ってくるね。」
「お願いします。」…….
「はい! できたよ!」
「美味しそうですね。ではいただきます。」「どうぞ召し上がれ。」…….
「今日も美味しいですね。ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそいつもありがとう。」
「ふふっ。なんか夫婦みたいですね。」
「う、うるさいなぁ。」
照れるじゃん。こっちだって恥ずかしいんだよ。もう。
「そういえば、今日は何を買いに行ってたんですか? 昨日食材の買い物はしてませんでしたよね? 」
「えっ? いや、まぁいろいろだよ。気にしないで。」
言えない。君のために料理本買ったなんて絶対に言えない。言えるわけがない。
「変な人ですね。それより食べ終わったらどうしましょうかね? またゲームやりますか? それとも映画見に行きますか? それとも散歩とか行きます?」
「あの…」「ん? なんですか? 」
「お風呂入りたいなぁ~って。」
「ああ、そうですね。入ってきてください。僕は片付けしておきますから。」
「うん、…そういうことじゃなくてさ、…」
「はい?」「一緒に入らない? 」
「っ!! いや、それはちょっと、、まだ早いというか、、」
顔を真っ赤にしてる。可愛いな。
「ほら、早く行こう? 背中流してあげる。」
私たちは、恋人としてはまだまだだ。行為もしていないし、キスもしない。でも、私たちなりの愛の形を見つけていくしかない。これから時間をかけて、ゆっくりと歩み寄っていくんだ。それが私達に必要な時間なのかもしれない。だから焦らずに一歩ずつ進んでいこう。
そしていつか、真実の愛を見つけるために。
彼は家庭環境に問題を抱えている。だからなのか分からないけど、たまにこういう事がある。そういう時は私が朝食を作ってあげるのだ。
「あれ?」おかしいな。昨日はお米を買っておいたはずなのに無いや。あーそうか! 昨日帰り道にスーパー寄ったんだっけ。
「あっ! おはようございます!」
「あら、おはよう。早いのね。」
「はい! ちょっと買いたいものがありまして。」
「そうなの。気をつけて行って来てね。」
「はい!]
彼は同い年だけど、何故かずっと私に敬語だ。多分私の事を尊敬しているとか言ってた気がする。
仕方ない。今度こそ私が朝食を作ろうかな。
『ピロン』ん? 彼からのLINEだ。珍しいな。いつもはメールなのに。
『すみません。今日用事が出来てしまいました。朝食はいりません。昼食には帰って来れると思います。本当にごめんなさい。』…………えっ!?︎ 嘘でしょう? だって今日は休みだったよね? 何があったの? ねぇなんで謝るの? 何かあったんでしょう? 教えてよ。
『分かったわ。無理しないでね!』と返信しておいた。大丈夫だろうか? 彼は優しいからきっと何かのお誘いを断れなかったのだろう。あの人はそういう人なんだ。でもどうしてこんな時に……
もう同棲して三ヶ月目だ。恋人というよりは、私の告白に対し、彼が「偽りの愛か、本物の愛か、確かめたい」ということだった。つまりこれは仮初めの関係なのだ。それに気づいた時、とても悲しかった。そしてそれと同時に、少し嬉しくもあった。彼はこの関係が本物かどうか確かめたかったらしい。そして、それを試すために、私たちは同棲した。
正直、私は彼を愛していたし、一番に考えていた。だけど、真実の愛って何か全く分からない。偽物か本物かも分からない。一体どうすればいいのか分からなかった。
でも、今は違う。本当の愛を知りたいと願っている。彼といる時間が幸せだと思えるからだ。だから私は彼に問いかけてみる。
「ねえ、あなたにとって私はどんな存在なの?」
「幼いころに父は母と離婚しました。母には別の相手がいたようです。母にとっては父との時間は偽りの愛だったのかと思われます。僕はその時父が憤りを通り越し、悲しみ、悔しさ、すべてを織り交ぜた感情を抱いているように見えました。そんな思いはしたくないし、させたくもない。だから、僕にとってあなたは、偽りの愛なのか、本物なのかを証明してくれる大切な人なんです。」
「…………」
「もちろん、僕にとってもあなたは大切ですよ。」
「ありがとう。嬉しいわ。」
そう言いながら私は彼に抱きつく。すると彼は優しく抱きしめてくれた。温かい気持ちになれる。これが私の求めていたものだったんだろう。そう思った瞬間涙が出てきた。
「泣かないでください。僕まで泣いてしまいそうになるじゃないですか。」
「うん。ごめんね。ありがとう。」
それからしばらく経った後、彼はこう言った。
「そろそろご飯にしましょうか?」
「そうだね。じゃあ作ってくるね。」
「お願いします。」…….
「はい! できたよ!」
「美味しそうですね。ではいただきます。」「どうぞ召し上がれ。」…….
「今日も美味しいですね。ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそいつもありがとう。」
「ふふっ。なんか夫婦みたいですね。」
「う、うるさいなぁ。」
照れるじゃん。こっちだって恥ずかしいんだよ。もう。
「そういえば、今日は何を買いに行ってたんですか? 昨日食材の買い物はしてませんでしたよね? 」
「えっ? いや、まぁいろいろだよ。気にしないで。」
言えない。君のために料理本買ったなんて絶対に言えない。言えるわけがない。
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「うん、…そういうことじゃなくてさ、…」
「はい?」「一緒に入らない? 」
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顔を真っ赤にしてる。可愛いな。
「ほら、早く行こう? 背中流してあげる。」
私たちは、恋人としてはまだまだだ。行為もしていないし、キスもしない。でも、私たちなりの愛の形を見つけていくしかない。これから時間をかけて、ゆっくりと歩み寄っていくんだ。それが私達に必要な時間なのかもしれない。だから焦らずに一歩ずつ進んでいこう。
そしていつか、真実の愛を見つけるために。
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