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親の離婚のせいで10年会えなかった姉に恋をした

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その時、僕は3歳だった。親は離婚した。これも人から聞いた話。僕は覚えていない。当時5歳の姉とは親権が別れ、もう10年も会っていない。
いつしか僕は13歳の中学生になってしまった。父はいつも穏やかに生活している。父子家庭でも何ら不自由はない。母のことはよくわからないけど、僕の記憶には確かに残っている。
姉のことは朧気だ。写真でしか見たことがないからだろうか? 姉との思い出をあまり思い出せない。
しかし、姉がいたという記憶はある。それはきっと僕の中に姉がいるからだ。
そして今、信じられない日々が始まろうとしている。父と母が再婚の見込みなのだ。夏のことである。父から告げられた言葉は衝撃的であった。
僕は父のことが嫌いではない。むしろ好きな方である。しかし、かつて離婚した相手と再婚するとは。
十年ぶりに母と姉に会える。また一緒に暮らせる。嬉しいはずなのに複雑な気持ちでいっぱいだった。
母と姉はどんな人なのだろう。不安もあったし期待もある。
この先どうなるのか全く予想できない。
しかし、僕の生活は大きく変わることだけは間違いなかった。
そして今日は面会する日。10年ぶりの家族。母はどのような人になっているのか。僕は緊張していた。
「お待たせしました」
ドアの向こうから声がした。
ガチャッ! 扉が開かれた。
初老の女性と、15歳の少女が入ってきた。二人は笑顔だった。
「こんにちは!」
母さんと姉さんだ。母さんの顔を見ると涙が出そうになった。その横にいる姉さんの顔を見た。
…!!
噓だろ!これが僕の姉さんだって!?え?めっちゃ可愛いじゃん。何これ?めちゃくちゃ美人になってるんだけど……!だって、10年ぶりだよ?こんなに可愛くなるなんて想像できるかよ……。
「はじめまして。これからよろしくね。」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします……」
敬語になってしまった。
なんだこの子。超かわいいんですけど。顔ちっさ。足細い。背は僕と同じくらいか。髪長すぎだろ。あと胸でかいな。なんかいい匂いもするぞ。しかも、ちょっと色っぽい感じがする。それにスタイルもいいじゃないか。モデルみたいだなぁ……。
短パンを履いているせいで脚線美が嫌というほど強調されている。
そして目元がくっきりしていて綺麗な二重をしている。鼻筋が通っている。唇は少し厚めのピンク色で艶やかでぷっくりとしている。肌は白くてとてもきれいだしまつ毛が長い。
これはもう神の領域だろ。なんつーもん持ってんだよ。
「はじめまして!私は桜庭華恋です。あなたは弟になるんだよね?よろしくね。」
「あ、うん。俺は佐藤祐樹です。こちらこそよろしくお願いします……」
「あら、二人とも随分大人っぽくなったわねぇ。姉弟って言っても分からないくらいよぉ。私も歳をとるわけだわ。」そう言うと母さんは笑った。確かに言われてみるとそうだ。10年前の写真と比べると大分変わっているように感じる。
「これから四人で暮らしていくんだから、仲良くね!」母さんの優しい声で場の雰囲気が変わった。僕は今までの気持ちを忘れたかのように、自然に会話をしていた。
姉さんは優しかった。僕のことをいろいろと気遣ってくれているようだ。僕はそんな姉さんを好きになっていった。
しかし、どうやら好きの範囲が聊か恋愛対象へのものになっているのをどうしても意識せざるをえなかった。そして僕は自分の気持ちを抑えながら生活をしていくしかないのか。そう思っていた矢先に事件が起きた。
僕がお風呂に入ろうとドアを開けるとーそこには裸の姉がいたのだ。
一瞬の出来事だったが、僕の脳裏にはしっかりと焼き付いていた。
「…あ」姉の声が聞こえたがすぐにドアを閉めた。
そして僕は一目散に逃げていった。心臓の鼓動が速くなっているのを感じた。
「姉さんごめん!!」
「あ、大丈夫だから気にしないで……」
「ほんとごめんなさい……」
「ううん、全然平気だよ。私の方こそごめんね……」
「いえ、こちらこそすみません……」
「ふふっ。じゃあ、おやすみ~」
「はい、、、」
正直やばい。理性が飛びそうになる。
落ち着け俺!今姉さんと一緒に暮らしているんだぞ!いくらなんでもまずいだろ。もし、ここで姉さんを襲ったりしたら父さんと母さんにも迷惑をかけることになる。それどころか社会的に死ぬかもしれない。それだけは絶対に避けなければならない。しかし、この生活に慣れてしまったらどうなるんだろうか?このままだと確実にヤバい気がする。姉さんも多感な時期だろうし、いつまで我慢できるか……。
この生活が始まってから1週間が経った。
凄く気になっているのは、僕と姉さんが同じ部屋で寝させられていることだ。
今まで僕と父さんの二人暮らししていた家なので、部屋も少ないせいだ。
断ることもできず、結局二人で寝ることになった。もちろんドキドキして眠れない。
「ねえ、まだ起きてる?」
突然、姉さんが話しかけてきた。
「はい、起きてますよ」
「あのさ……今日はありがとうね」
「え、何のことですか」
「ほら、私がお風呂に入ってる時に逃げちゃったこと。びっくりしたよね」「まぁ……はい……」
「でもね……本当は嬉しかったんだ。」
「えっ!?どういうことですか?」
「だってさ、あんなに顔を真っ赤にして慌ててるんだもの。すごく可愛かったなぁ」
「そ、そうなんですか……」
「それにしても、弟ができて嬉しいなぁ。こんな可愛い弟ができるなんて思わなかった」
「え、それはどういう意味でしょうか……」「だって、弟って言ったら小さい男の子のイメージしかなかったし」
「あ、確かに……」
「だけどさ、いざ会ってみたらめちゃくちゃイケメンなんだもん。驚いたよ。これはモテるなって思ったし、実際モテてるでしょ?」
「いや、全然…」
どうしても僕はぎこちない。
しかも、よくよく考えたら暗い部屋で十代の男女二人が同じ布団で寝ているのだ。
僕に見えるのは、姉さんの艶やかな身体だ。しかもパジャマ。薄い生地のため、胸の形とか脚線美とかもろ見えだ。目のやり場がない。豊満なバストは地味に寝返りを打った時に揺れていた。僕は興奮を抑えるのに必死だった。
「ねぇ?彼女いないの?」
「いませんけど……」
「へぇ~意外」
「そういう姉さんはいないんですか?」
「私もいないよ。ていうかそろそろ敬語やめてよ。」「あ、はい。じゃなくて、うん。分かったよ」
「やった!」
姉さんは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が眩しくて直視できなかった。
「ねぇ、祐樹くんってどんな女の子が好き?」
「いきなりだね。うーん、そうだな。やっぱり明るい子がいいかなぁ。一緒にいて楽しいっていうか、元気が出るというか」
「ふぅん……なんか意外かも」
「そう?あと、ちょっとわがままな子もいいよね。自分の意見をちゃんと言ってくれる人の方が、僕は好きかな」
「そっかぁ……」
姉さんは何か考えているようだった。
そして、しばらくすると僕の方に顔を向けた。
「おやすみなさい。」
天使だった。というより心臓に刺さった。破壊力が高すぎる。僕はどうにかなりそうだった。
「あ、うん。お休み……」
こうして、僕の理性との戦いが始まった。
2ヶ月ほど経ったある日。
「ただいま~」
姉さんが帰ってきた。今日は珍しく早いようだ。僕が玄関に行くと、姉さんが靴を脱いでいた。
「おかえり」
「あれ、今日は早かったんだね」
「うん。いつも遅くてごめんね」「全然大丈夫だよ。じゃあご飯作るよ」
「うん」
僕は台所に行き、冷蔵庫を開けた。中には食材が入っている。姉さんが買ってきてくれたものだ。
最近、姉さんと僕は一緒に料理をするようになっていた。両親の帰りが遅いためだ。最初は僕一人で作っていたが、次第に姉さんが手伝ってくれるようになった。姉さんの手際は良く、今ではすっかり料理上手になっていた。
ちなみに調理中はもうドキドキだ。エプロン姿の姉さんは、新妻感が半端なかった。そして、時折見せる色っぽい表情。思わずドキッとしてしまう。
「姉さんできたよ」
「わぁ~やっぱり二人で作ればおいしいものできるね!」
「う、うん…」
いちいち距離が近いんだよ!なんでこんなに近いんだ……。
しかし、そんなことを言ってしまえば引かれてしまうかもしれない。我慢するしかない。
「じゃあ食べよっか」
「うん」
二人で食卓につき、食事を始めた。今日のメニューは肉じゃがとほうれん草のおひたしだ。
「うん、おいしくできてるね」
「ほんと!?良かった」
「あ、でもちょっと味付け濃いかも」
「えっ!?」
「冗談、美味しいよ」
「え、今のは本当にわざとなのかと思ったよ……」
「あっはは、まぁね。それよりさ、明日出かけない?」
「えっ!?どこに?」
「買い物に行こうと思ってるんだけど……」
「ああ、それなら僕も行きたい」
「本当!?嬉しい!」
それから、僕たちは色々な話をしながら食事をした。か、買い物…ってデートみたい。次の日。
「じゃあ行こっか」
「うん」
駅に向かって歩き出す。姉さんの歩幅に合わせて歩く。
今日は暖かいので、コートはいらない。なので、姉さんの格好は薄手のトップスにスカートといった感じだ。スタイルが良いからか、とても綺麗に見える。それにしても露出が多い気がするが……まあ仕方ない。
「どこ行くの?」
「えっと、まずは服屋さんに行ってみようと思うの」
「へぇ~いいじゃん」
「でしょでしょ?」電車に乗り、ショッピングモールに向かう。休日だからか家族連れやカップルが多くいる。僕たちも周りからはどう見えているのだろうか。姉弟には見えないだろうなぁ。
「ここかな」
着いたのは女性用の洋服店だった。正直入りにくいのだが、姉さんは気にせず入って行った。仕方なく僕も後を追う。店内に入ると、様々な種類の洋服があった。
「わ~すごい数だね」
「そうだね」
「ねぇ、祐樹くん。どれが似合うか選んでくれない?」「え?僕が選ぶのか……いいけど」
姉さんは嬉しそうだった。僕は姉さんを上から下までじっくり見てみる。トップスは白を基調としたワンピースタイプのものだった。丈は短く膝上10センチくらいだ。脚がかなり出ている。姉さんのスタイルの良さがよく分かる。
「これとか良くない?」
「うーん……ちょっと子供っぽくないかしら」
「そうかなぁ……じゃあこれは?黒をベースにしてて大人っぽいし」「あ、それも可愛いかも!」
姉さんは早速試着室に入った。僕は少し緊張しながら待つ。
しばらくするとカーテンが開き、姉さんが出てきた。
「ど、どうかな……」
「おぉ……」
すごく良いです。「あ、あんまり見つめられると恥ずかしいな……」
「ご、ごめん……」
僕は顔を背けた。
「ねぇ、祐樹くん。どう思う?」
「うん。すっごくいいよ」
「ふふ、ありがと」その後、姉さんはいくつか試着をして、結局最初に選んだものを買おうということになった。「ありがとうございました~」
「よし、これで全部揃ったね」
「うん。じゃあ帰ろっか」
「あ、待って。最後に一つだけ行きたいところがあるんだよね」
「そうなの?」
「すぐそこだからさ、付き合ってよ」「分かった」
僕たちは再び電車に乗ると、目的の場所に向かった。
到着した場所は映画館だ。
「え?映画観るの?」
「うん。私この映画が前から気になっててさ」
まさかの恋愛映画だった。僕も観たかったのでちょうど良かったが。
「ほら、早く入ろうよ」
「う、うん……」
中に入り、チケットを購入すると飲み物とポップコーンを買って、指定された席に着いた。
「なんか、ドキドキするね」
「そ、そうだね……」
しばらくして、照明が消え場内が暗くなった。そしてスクリーンに映像が映し出された。内容は男女のラブストーリーらしい。
結構刺激的だ。姉さんは、僕の肩にもたれかかってきた。ち、近い……。
「うぅ……泣ける……」
姉さんは泣いていた。涙を拭きながら、必死で耐えている様子だ。
僕はハンカチを取り出し、姉さんに差し出した。
「はい」「あ、ありがとう……」
姉さんは僕からハンカチを受け取ると、目に当てた。
「ご、ごめんね……」
「大丈夫だよ。」
「うん……」
それから姉さんは静かになった。
その夜ー「ねぇ、姉さん」
僕はベッドの上で横になっている姉さんに声をかける。
「なぁに?」
「今日楽しかった?」
「もちろん!とっても!」
「良かった」
「祐樹くんはどうだった?」
「うん。僕も同じ気持ち」
「嬉しい……」
次の瞬間地震が起きた。かなり大きい揺れだ。
「きゃっ!」
「姉さん!?」
僕は慌てて姉さんのそばに駆け寄った。
すると、姉さんは僕を抱きしめた。
「ゆ、祐樹くん…私が…守るから」
やばい。姉さんの身体めっちゃ柔らかい。それにいい匂いがする。
「姉さん。僕が守るよ」
僕も姉さんを抱き返す。姉さんは震えていた。安心させるように背中をさすってあげる。
「ゆ、祐樹くん……」
「なに?」
姉さんのバストの感触が伝わる。やばすぎる……。
「やっぱり怖い…」姉さんの声が弱々しくなる。
「もうちょっとこうしてていい?」
「うん……いいよ」
僕たちはそのまま抱き合っていた。しばらくすると、余震は収まったようだ。
「姉さん、落ち着いた?」
「うん……ありがと」姉さんは僕の胸の中に顔を埋めたまま答えた。「あのさ……僕も姉さんのこと守れるくらい強くなるよ」
「ほんとう?」
「うん」
「ありがとう……祐樹くん大好き」
姉さんはそう言うと、再び僕をぎゅっと抱きしめてきた。
「ねぇ、祐樹くん。一緒に寝てもいいかな?」
「え?まぁ、いいけど……」
姉さんが一緒の布団に入る。僕は緊張していた。
同じ部屋で寝ると言っても布団は分かれていたのだ。
「お邪魔しまーす!」「ど、どうぞ……」
僕は壁側を向いて横になった。すると後ろでモゾモゾと動く気配がした。
「ねぇ、祐樹くん」
「なに?」
「こっち向いてくれないかな……」
「う、うん……」僕は寝返りを打つと、姉さんの顔がすぐ近くにあった。「あ……」「……」
お互い見つめ合う形になる。姉さんは頬を赤らめて言った。
「ねぇ、キスしてみない?」
「え?」
「ダメ?」「ダ、ダメじゃないけど……」
「じゃあ……」そう言って姉さんは目を閉じた。
僕は意を決して姉さんに唇を重ねる。柔らかい。
「んっ……」
姉さんは声を出した。すごく可愛い……。
「もっと……」「う、うん……」
今度は舌を入れてみた。姉さんも受け入れてくれた。
「ふぅ……」ようやく口を離すと、銀糸が垂れて切れた。それを指ですくって舐める。
「美味しい」
「も、もう一回……」「うん……」
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