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もしも詐欺師が詐欺師に詐欺を掛けたら…? Side Winner
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私は詐欺師だ。しかも、巧妙な術で、警察すら嗅ぎつけたことがことがない、テクニックも持っている。詐欺師の中でも大物といって過言ではないだろう。
更に、日頃は普通に店で働いている。これでいざ疑われても、そもそも働いているのに、どうして詐欺をすると思うんですか、と言い返せる。
そんな私に、いきなり電話が掛かってきた。
「あ~もしもし」
知り合い出はない様だ。
「はい」
少しの間があってから男性とみられる相手は喋りだした。
「すみません。あのー私、お宅の商品買った者なんですけどぉ~」
「ああ! そうですかぁ!」
「ええ。それでですね? ちょっと相談したいことがありましてぇ~」
「はいはい。なんでしょう?」
うちの店のお客さんだろうか。製品に問題があったら面倒だな。
「実はそのーうちの母が病気でしてね。なんとかお金が必要になったんですよ。でも、なかなかうまくいかなくて、困っているんです。」
「はいはい。そりゃ大変ですねぇ。」
これはおかしい。こんな素人に頼るはずがない。こいつ、詐欺師だ。しかも頭が悪すぎる。
「はいはい。そりゃ大変ですねぇ。」
「はい。そこでご提案なのですが、私があなたからお金を借りたいんですよ。」
「ほう。なるほど。それはいい考えだ。少しなら金を持っているぞ。」
「ありがとうございます。では、すぐにそちらに行きますんで。」
「いいえ。こちらが伺いますよ。」
ここで男が止まった。さては、予想外だったな。馬鹿め。こういう返し技は現金の詐欺に効く。
「いえいえ。こっちの方が近いですよ。それにお礼もしたいんで。」
「いやいや、お母様のそばで看病してあげて下さい。」
まるで真っ当な善人のように振る舞う。きっと相手は苛立ち始めただろう。
「あ、振り込みの方がいいですかね。」
ここからはこちらのターンだ。フフフ…
「いえいえ。現金でお願いします。」
「今の時代現金はきついですよ。大金になるかもしれませんから、振り込みで行きましょうよ。口座の番号教えてくれますか。」
何も間違ったことは言っていない。現金でしか騙し取れないやつが弱い。
「いや、直接のほうが…。」
「大金持って歩くのは危ないでしょう。口座番号は?」
「いや、だから…」
「いいから、教えなさい!!」
この口調でトドメだ。もうメンタルは持たないだろう。
「わ、わかりましたよ。教えるから怒鳴らないでくださいよ。」
「ふんっ! 最初から素直に言えばいいんですよ。」
おっと素が出てしまった。
教えてもらった口座番号のパスワードを特殊技術で破り、私は見せつけとして1万円だけ盗んだのだった。
更に、日頃は普通に店で働いている。これでいざ疑われても、そもそも働いているのに、どうして詐欺をすると思うんですか、と言い返せる。
そんな私に、いきなり電話が掛かってきた。
「あ~もしもし」
知り合い出はない様だ。
「はい」
少しの間があってから男性とみられる相手は喋りだした。
「すみません。あのー私、お宅の商品買った者なんですけどぉ~」
「ああ! そうですかぁ!」
「ええ。それでですね? ちょっと相談したいことがありましてぇ~」
「はいはい。なんでしょう?」
うちの店のお客さんだろうか。製品に問題があったら面倒だな。
「実はそのーうちの母が病気でしてね。なんとかお金が必要になったんですよ。でも、なかなかうまくいかなくて、困っているんです。」
「はいはい。そりゃ大変ですねぇ。」
これはおかしい。こんな素人に頼るはずがない。こいつ、詐欺師だ。しかも頭が悪すぎる。
「はいはい。そりゃ大変ですねぇ。」
「はい。そこでご提案なのですが、私があなたからお金を借りたいんですよ。」
「ほう。なるほど。それはいい考えだ。少しなら金を持っているぞ。」
「ありがとうございます。では、すぐにそちらに行きますんで。」
「いいえ。こちらが伺いますよ。」
ここで男が止まった。さては、予想外だったな。馬鹿め。こういう返し技は現金の詐欺に効く。
「いえいえ。こっちの方が近いですよ。それにお礼もしたいんで。」
「いやいや、お母様のそばで看病してあげて下さい。」
まるで真っ当な善人のように振る舞う。きっと相手は苛立ち始めただろう。
「あ、振り込みの方がいいですかね。」
ここからはこちらのターンだ。フフフ…
「いえいえ。現金でお願いします。」
「今の時代現金はきついですよ。大金になるかもしれませんから、振り込みで行きましょうよ。口座の番号教えてくれますか。」
何も間違ったことは言っていない。現金でしか騙し取れないやつが弱い。
「いや、直接のほうが…。」
「大金持って歩くのは危ないでしょう。口座番号は?」
「いや、だから…」
「いいから、教えなさい!!」
この口調でトドメだ。もうメンタルは持たないだろう。
「わ、わかりましたよ。教えるから怒鳴らないでくださいよ。」
「ふんっ! 最初から素直に言えばいいんですよ。」
おっと素が出てしまった。
教えてもらった口座番号のパスワードを特殊技術で破り、私は見せつけとして1万円だけ盗んだのだった。
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