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いい加減振り向いてよ
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「あーちゃんは好きな人いるの?」
友達にそう聞かれた時、いつものように答えられない自分がいる。
「いないよ」
私はある男の子のことばかり考えるようになった。彼の名前は高梨(たかなし)翔(しょう)くん。私の隣の席の子だった。私が教室に入ると彼はすぐに気付いてくれる。今日あった出来事を話したり、勉強を教えてもらったりしているうちにどんどん仲良くなっていった。そしていつの間にか彼のことが大好きになっていたのだ。初恋ってやつだ。
しかし、この気持ちを伝えることはしないつもりだった。私達はただのクラスメイトでしかないし、そもそも彼はモテるから彼女もいるだろう。もし付き合えたとしても辛い思いをするだけだ。だからこの気持ちを胸に秘めたまま卒業してもいいと思っていた。なのに……。
「ねぇ、翔くんって彼女いるのかなぁ」友達が突然そんなことを言い出した。えっ?!もしかして……そういうこと!?
「さ、さぁどうなんだろね……」
ドキドキしながら答えると彼女はニヤリとした顔になり言った。
「じゃあさ、今度聞いてみようよ!」「えぇっ?!」
「だって気になるじゃん!それにもしいなかったらチャンスだよ!告白しちゃいなよ!」
いやいや、何言ってんのこの子。確かに好きだけど告白なんてできるわけないじゃない。ってか何で好きって知ってるのよ。まぁいいけど。でも本当に聞くつもりなのかなぁ。
「うぅん、それはちょっと勇気がいるかも……」
「大丈夫だよ!当たって砕けろの精神でいけばいけるって!」
いやいや、それ全然ダメじゃん。しかもその言い方だと絶対フラれるじゃん。もうちょっとこう……雰囲気とかムードがあるところでしたいんだけどなぁ。例えば放課後誰もいなくなった屋上とかで二人っきりになってさ、夕日をバックに見つめ合って……みたいな感じで。
そんなことを考えていると彼女がまた口を開いた。「よし、じゃあ明日聞こっか」「えぇー!まだ心の準備できてないよぉ」
「じゃあいつにすんのよ!」「明後日くらいかなぁ」
「わかったわよ!とりあえず聞いてみるだけ聞いてみてよ!」なんか上手く丸め込まれてる気がするけど仕方ないか。
「うん、頑張ってみるよ……」
そして約束の日が来た。緊張しながらも彼女に言われた通り聞いてみた。
「あのさ、翔くんって彼女いるの?」すると彼は少し照れながら答えてくれた。
「いないよ。なんで?」
やった!いたらいたらで諦めがつくと思って聞いたけど、やっぱり嬉しい!これはもしかしてもしかするかも!そう思った私は思い切って告白することにした。
「そっか。実は私もいないんだよね~」……言っちゃった。これなら自然に言えると思ったんだけどなぁ。「そうなんだ。じゃあ僕達お似合いかもしれないね」えっ!えっ?!どゆこと?!もしかしてオッケーしてくれる流れ?!
「ほ、ほんとに?私と付き合ってくれますか?」「もちろんだよ。これからよろしくお願いします」
…というシナリオだ。まぁ、違うと思うが。
ということでいざ本番だ。
「あ、あの…」
しまった緊張して声が震える。深呼吸をしてもう一度チャレンジしよう。
「あ、あの……しょ、翔くんは彼女とか作らないんですか?」
よし!よく言ったぞ私!
「う~ん、今はいいかなぁ。僕は恋愛より勉強の方が大事だし。それに……」彼が何かを言いかけた時、誰かの声が聞こえてきた。
「おい高梨!お前こんなとこにいたのかよ!探したぜ!」見るとクラスの男子達が数人集まってきた。
「ごめん、ちょっと用事があって」「早く行こうぜ。先生が呼んでるからさ」
「わかったすぐ行くよ。じゃあまた後でね、あ、あ……名前なんだっけ?」「愛奈です。」と言ってウインクをした。「ありがとう、じゃあね、愛奈さん」
そう言うと彼は他の人と一緒に行ってしまった。結局最後まで名前を呼ばれなかった。私はその場に立ち尽くしたまましばらく動けずにいた。
「……帰ろう」
家に帰る途中もずっと落ち込んでいた。せっかく勇気を振り絞って告白しようとしたのに、邪魔が入ったせいで何もできなかったのだ。
家に帰ってからも落ち込んだままだった。部屋に入った瞬間、ベッドに飛び込んだ。
(私のバカ!何やってんのよ!)
枕をギュッと抱きしめて叫んだ。
(いい加減…振り向いてよ…)
友達にそう聞かれた時、いつものように答えられない自分がいる。
「いないよ」
私はある男の子のことばかり考えるようになった。彼の名前は高梨(たかなし)翔(しょう)くん。私の隣の席の子だった。私が教室に入ると彼はすぐに気付いてくれる。今日あった出来事を話したり、勉強を教えてもらったりしているうちにどんどん仲良くなっていった。そしていつの間にか彼のことが大好きになっていたのだ。初恋ってやつだ。
しかし、この気持ちを伝えることはしないつもりだった。私達はただのクラスメイトでしかないし、そもそも彼はモテるから彼女もいるだろう。もし付き合えたとしても辛い思いをするだけだ。だからこの気持ちを胸に秘めたまま卒業してもいいと思っていた。なのに……。
「ねぇ、翔くんって彼女いるのかなぁ」友達が突然そんなことを言い出した。えっ?!もしかして……そういうこと!?
「さ、さぁどうなんだろね……」
ドキドキしながら答えると彼女はニヤリとした顔になり言った。
「じゃあさ、今度聞いてみようよ!」「えぇっ?!」
「だって気になるじゃん!それにもしいなかったらチャンスだよ!告白しちゃいなよ!」
いやいや、何言ってんのこの子。確かに好きだけど告白なんてできるわけないじゃない。ってか何で好きって知ってるのよ。まぁいいけど。でも本当に聞くつもりなのかなぁ。
「うぅん、それはちょっと勇気がいるかも……」
「大丈夫だよ!当たって砕けろの精神でいけばいけるって!」
いやいや、それ全然ダメじゃん。しかもその言い方だと絶対フラれるじゃん。もうちょっとこう……雰囲気とかムードがあるところでしたいんだけどなぁ。例えば放課後誰もいなくなった屋上とかで二人っきりになってさ、夕日をバックに見つめ合って……みたいな感じで。
そんなことを考えていると彼女がまた口を開いた。「よし、じゃあ明日聞こっか」「えぇー!まだ心の準備できてないよぉ」
「じゃあいつにすんのよ!」「明後日くらいかなぁ」
「わかったわよ!とりあえず聞いてみるだけ聞いてみてよ!」なんか上手く丸め込まれてる気がするけど仕方ないか。
「うん、頑張ってみるよ……」
そして約束の日が来た。緊張しながらも彼女に言われた通り聞いてみた。
「あのさ、翔くんって彼女いるの?」すると彼は少し照れながら答えてくれた。
「いないよ。なんで?」
やった!いたらいたらで諦めがつくと思って聞いたけど、やっぱり嬉しい!これはもしかしてもしかするかも!そう思った私は思い切って告白することにした。
「そっか。実は私もいないんだよね~」……言っちゃった。これなら自然に言えると思ったんだけどなぁ。「そうなんだ。じゃあ僕達お似合いかもしれないね」えっ!えっ?!どゆこと?!もしかしてオッケーしてくれる流れ?!
「ほ、ほんとに?私と付き合ってくれますか?」「もちろんだよ。これからよろしくお願いします」
…というシナリオだ。まぁ、違うと思うが。
ということでいざ本番だ。
「あ、あの…」
しまった緊張して声が震える。深呼吸をしてもう一度チャレンジしよう。
「あ、あの……しょ、翔くんは彼女とか作らないんですか?」
よし!よく言ったぞ私!
「う~ん、今はいいかなぁ。僕は恋愛より勉強の方が大事だし。それに……」彼が何かを言いかけた時、誰かの声が聞こえてきた。
「おい高梨!お前こんなとこにいたのかよ!探したぜ!」見るとクラスの男子達が数人集まってきた。
「ごめん、ちょっと用事があって」「早く行こうぜ。先生が呼んでるからさ」
「わかったすぐ行くよ。じゃあまた後でね、あ、あ……名前なんだっけ?」「愛奈です。」と言ってウインクをした。「ありがとう、じゃあね、愛奈さん」
そう言うと彼は他の人と一緒に行ってしまった。結局最後まで名前を呼ばれなかった。私はその場に立ち尽くしたまましばらく動けずにいた。
「……帰ろう」
家に帰る途中もずっと落ち込んでいた。せっかく勇気を振り絞って告白しようとしたのに、邪魔が入ったせいで何もできなかったのだ。
家に帰ってからも落ち込んだままだった。部屋に入った瞬間、ベッドに飛び込んだ。
(私のバカ!何やってんのよ!)
枕をギュッと抱きしめて叫んだ。
(いい加減…振り向いてよ…)
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