旦那様がいるあなたのことが僕はどうしても諦めきれない

サドラ

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旦那様がいるあなたのことが僕はどうしても諦めきれない

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働き始めて、2年。僕の会社は起業のレベルで言う大企業だ。社員数も700人を超えていて、オフィスも立派である。しかし、社長のワンマン経営で僕達には不満が募るばかりであった。そんな会社だが、社長から直々に呼び出しをくらった。何事かと思えば、営業成績が下がっているではないかというのだ。
まあ実際そうだ。僕の部下はみんな優秀だから業績は上がっているのだが、社長の目が行き届いていないところがあるのだろう。
「お前は何をしているんだ?俺の期待に応えないのか?」
社長はそう言った。僕は少しイラついたが冷静さを保った。
自分のデスクに帰ってきた僕はため息をついた。
「どうしたんですか?」
声をかけてきたのは部下の一人だった。
「いやー……ちょっとね……」
「なんかあったら相談してくださいよ」
彼女は優しい言葉をかけてくれた。僕は彼女に対して特別な感情を抱いていた。
「うん……ありがとう……」
「ところで、これ見て下さい!」
彼女は嬉しそうな顔をしながら1枚の紙を差し出してきた。
「なんだい?これは……」
彼女が考えた新しい企画のようだ。たまにこういう新しい企画を考えてくれる。とても助かる。
「実はですね!これを来週までにプレゼンしていただきたいのです!!」
「えっ!?」
思わず大きな声を出してしまった。
「私、頑張って考えたんですよ!!この企画!!」
彼女の目は輝いていた。しかし、その反面不安もあった。この企画はまだ完成していない。未完成の企画をクライアントに提出するわけにもいかないだろう。それに、こんな中途半端な状態ではプレゼンしても無駄だ。
「ごめん……まだ出来上がっていないよね……」
「あっ……すいません……つい興奮してしまいました……」彼女はしゅんとした表情になった。僕は彼女になんて声を掛ければいいかわからなかった。すると、そこに部長が入ってきた。
「おい!何をしているんだ!?早く仕事に取り掛かれ!!」
部長は怒鳴りつけてきた。僕達は急いで仕事に戻った。
それから数日後、彼女はまた眩しい笑顔で語りかけてくる。嬉しい。だけど、この笑顔を壊したくない。僕には出来ない。そう思っていた。
「ねえ、この企画って今どのくらい進んでる?」
僕は聞いた。本当は聞きたくなかったが、聞かないと先に進めないと思ったからだ。
「今は、半分くらいですかね~」彼女はさらっと答えてきた。すごいと思うと同時に、やっぱり無理だよとも思った。
「でも、私は頑張りますよ!」
「どうしてそこまでできるの?」
「だって、私は先輩のこと尊敬していますもん!!」
「へぇ~それはありがたいね」「はい!!先輩は本当に素晴らしい方ですよ!!」
彼女はそう言ってくれた。僕が彼女を好きになってしまったのはこういうところなんだ。
「そろそろ帰るかなぁ……」時計を見ると22時を過ぎていた。今日も残業してしまった。最近いつもこうだ。早く帰りたい。疲れた。そう思いながら歩いていると目の前に彼女が立っていた。
「あ!おつかれさまです!!」
彼女は元気よく挨拶をしてくれた。僕は、その姿を見て安心した。
「あれ?もう帰ったんじゃなかったのかい?」
「はい!あの……一緒に帰ろうと思いまして……」
「あー……じゃあ帰ろうか」僕は彼女と一緒に歩き出した。彼女と話すのはとても楽しい。癒される。だけど、今の僕の心は曇っていた。
「そういえばさ、このあいだ話していた企画についてなんだけど……」
「ああ!あれですか!もう少し待っていてくださいね!」
「いや、別に急がないけど……」
「いえいえ!私がやりたいことなので!!気にしないでください!!」
「そうか……ならいいんだけど……」
彼女はすごく楽しそうな顔をしている。そんな彼女の横顔を見てると、こちらまで楽しくなってきてしまう。
「そうだ……君に伝えなくちゃいけないことがあるんだ」僕は立ち止まって言った。そして、ポケットから一枚の紙を取り出した。
「これはなんでしょうか?」彼女は首を傾げている。
「企画書だよ」
「企画書??」
「うん。これが出来たら社長に提出しようと思っているんだ」「え……?それってもしかして……」
「うん。君の考えている通りだよ」
「やったー!!!」彼女は飛び跳ねて喜んだ。
「喜んでくれてよかった」
「はい!!ありがとうございます!!」彼女は満面の笑みを浮かべていた。「ところで……企画の内容はどんな感じになっているんですか?」彼女は目を輝かせながら聞いてきた。
「そうだねぇ……まずは……」僕は説明を始めた。彼女は真剣に聞いていた。その姿はまるで先生に質問する生徒のように見えてしまった。
一年後ー
僕たちは出世した。課長補佐になっていた。もちろん彼女も同じだ。業績は右肩上がりだった。社長も満足そうな表情をしていた。
「いやー……君のおかげでここまで来れたよ」
僕は感謝の言葉を述べた。
「いえいえ、私達だけの力で成し遂げられたわけではありません。あなたがいたからこそ、ここまでこれたんです」
彼女は謙遜した様子を見せたが、僕は彼女の言葉に救われたような気がした。
「いやいや、君は本当に優秀だよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
僕達は笑い合った。そろそろ僕は彼女に告げてしまおうか。この気持ちを……。
「あのさ……」
「あの……」
同時に声が出てしまった。
「どうぞ……」
「どうぞ……」
「「どうぞ……」」
「ハハッ……」
「フッ……」
僕と彼女はまた吹き出してしまった。「はははははっ」
「アハハハハっ」
「あははっ……」
「ふぅ~……」
「……」
「あー!私、先に言わせてください!」
「あ、はい!ど、どうぞ!」
「結婚しました!」
「…え?」「結婚しました!」
彼女は左手の薬指を見せてきた。
そこには指輪が光っていた。
「おめでとう……」
僕は彼女に拍手を送った。
彼女は照れくさそうにしている。
「それで……相手の方は誰なのかな?」
「大学の先輩で…ずっとお付き合いしていたんですけど。」「へぇー……知らなかったなぁ……」
「言ってませんでしたからね……」
「そっかぁ……まあ、幸せになってね」
「はい!先輩も頑張って下さいね!!」
「うん……頑張るよ」
僕は少し泣きそうになった。
さらに四年後ー
僕は今、彼女とベッドにいる。不倫だ。僕達は今、愛し合っている。
「はぁ……はぁ……」
彼女の息遣いが荒くなっている。僕達はお互いに求め合っていた。
「ねえ……」
「ん?なに?」
「好き……」
「僕も好きだよ……」僕は彼女を強く抱きしめた。彼女もそれに応えるように強く抱き締め返してきた。僕達はそのままキスをした。お互いの舌が絡み合い、唾液が混ざり合う。僕達は唇を離すと銀糸を引いた。そしてまた口づけを交わす。
互いの太ももが交差する。彼女は僕の首筋に噛み付いてくる。僕の全身に電流が流れる。僕は彼女を優しく押し倒した。そして腰を動かす。
「あっ!あぁん!」
僕たちは…堕ちた。
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