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「スミ様、ぜひこれをお納め下さいませ~」
昨日気になって試行錯誤しながら作った、防犯ブザーを手のひらにのせスミに差し出した。
「な、なんだよ。向こうのダンジョン行ってどっかおかしくなってね?食い過ぎか?」
失礼だな。食べ過ぎは君たち二人だよ。
昨日どれだけ食べたんだよ?よく入るな?と、こっちがびっくりよ。
「あらあら。チェーンがあるってことは、どこかにつけるものかしら?」
「正解ー。学校にいく時の鞄にでも、つけてくれると嬉しいわ。使い方は簡単。何かあったら、このピンを抜いてちょうだい。そしたら警報音が鳴り響く仕組みなの。相手がひるんだ隙に逃げてもいい」
ガーゴイル君の音声が入っている。はったりでも「警邏隊をよんでいます!」と聞けば少しでもひるむはず。ここも同じ警邏隊であってる?あとで確認しよう。騎士団かもしれないし。捕り物のとき騎士がきたって言ってたもんね。
「大丈夫だって」
「今回はたまたま相手がアホだったからいいけど。いや、よくないけど。人間恐怖にあうと声が出なくなることもあるのよ?そんな時。ここをひっぱればいい。魔獣にも効くかもしれないし」
声は出せなくても、手の方が動かせるかもしれない。
嫌がらせにはなりそうだ。
「世の中なにが起きるかわからないんだから、ありがたくいただきなさいな」
トルードさんが後押ししてくれた。
「ん。ありがと」
…反抗期の男子のお礼ってキュンとくる。そんなこと口に出しちゃいけないわ。『かわいい』なんて。
トルードさん、何もいわないでっ。私と目が合うと慌てて口に手をやってた。あぶないあぶない。注意してなかったら、言ってたわね。
そしたら突き返されるじゃないのよー。
本当はGPSつきにしたかったんだけど、さすがに思いつけなかったんだよねぇ。いつかバージョンアップ版を作りたい。魔力を魔石に覚え込ませて、魔力を追える何かができれば、作れそうなんだけどな。
「これなに?食えんの?青いけど。スライムじゃないよな?」
照れ隠しなのか、スミがいつもより早口で言った。トルードさん、まだまだおさえてっ。
「スライム食べられるの?」
まさか。
「まさか」
心の中の声とセリフがかぶった。ん?
でもさ、ラオン食べられるんだよ?案外グミみたいな感じじゃないの?
「スライムは味がないらしいわよ」
さわやかな色してるのに?
「へ?もしや」
「ちょっと変な目をするのはやめてちょうだい。聞いた話よ」
味がしないなら食べる気もしないかー。そもそも核つぶしたらグチャってなるし。難易度高い?そこまで苦労してとっても、おいしくないなら誰もしたがらないな。
「これは寒天ゼリーよ」
「聞いたことないけど、透明でキレイねー。なぜこっちは青なの?あ、海ね」
そうでーす。
「深海宮の思い出シリーズ。みてみてー」
アイシングクッキーも出す。
「なんだこれ」
「イビツな形…だけど」
もう二人とも何言ってるのよ。
「魚でしょ」
二人が「え?」と口をあわせて私を見る。さすが親子。ぴったりそろってた。
そりゃ苦労したわよ、形にさ。難しかったわ。ヘラでやってみたけど、納得いく形にならず何回もやり直ししたし。これでも一応見える形を焼いたのだ。
「も、もしかしてこれダンジョンのボスなの?」
トルードさんが指指したところは、白い角の部分。
「ピンポーン」
ほらほら~わかるじゃん。
「ダンジョンボス?!」
スミが驚いている。あれ、言ってなかったっけ?…言ってないか。
「実物はコレでーす」
自慢しちゃうよ?自慢だからね。
スミが目をまん丸くしている。もっと見るー?
「あんた、強かったんだな…」
なぜか疲れた声でつぶやかれたけど。
「んー気合いかな」
もしくは執念ともよべる。
「気合いで倒せんのか?」
「倒せないわよ。しかも海中なのよ?」
ソロンは気合いでいったと思う…。休憩なしのノンストップで五層までいけるって人間じゃないわ。
「…だよな。あ、うまい。普通の形でいいと思うけど」
普通の形ってなによ。
「これ青色だなんてどうやったのかしら」
「今回はジャムを使いました」
着色料とかが売ってないしね。ブルーベリーに近い果物。青は野菜系には出なかったんだよね。
ラスボスが不評(なんでだ)だったので、型抜きアイシングクッキーを出した。
「かわいいわ~」
ピンクと黄色と。ポテっとした感じがかわいいよね、アイシングクッキーって。
「これもジャムなのかしら?」
「こっちはビーツルです」
赤い蔓を市場で見つけて着色に使えるかもって買ってあったのだ。先見の明があるぞ、私。
「糸がわりの食材よね。確かに時間たつと色つくわ。だからこそ敬遠されてるとこもあったのに」
そもそもは、そういう使い方をする食材だったのか。なるほど、今度肉を巻いてみよう。
「味はどれも同じなんだな」
「ちょ、ちょっとスミ。もっと目で楽しんでから食べてよー」
「あ。まだ完成じゃないからちょっと待って」
大きな白い皿を出してもらって、青い寒天ゼリーをちりばめ、その下に透明の寒天ゼリーを、そしてクッキーを手前に置く。
「素敵~絵画みたいだわ~」
「グラスに敷き詰めてもかわいいですよ」
今日もいい出来!写メとっておきたいわ。なんかこう思うことが増えてきたな。スマホのカメラってなんてありがたかったのかしら。
トルードさんがさっとグラスを出してきた。はいはい、やりますとも。
透明の上に青い寒天ゼリーを。飾りはクッキー。星形もいいよね。
「食べるのもったいないわ~どれからいただこうかしら」
結局食べる気満々ですよね?
クネクネとトルードさんが目移りして迷ってる中、
「じゃ、オレこれ」
スミは迷わずさっと一つを手に取る。
「あーそれも狙ってたのに」
「早いもん勝ちだろ。味は同じ?」
もう、とトルードさんがわかりやすくぷんぷんしている。細マッチョな男の人なのになぜかかわいく見えた。女子力負けた気が…。
カララーン。
「あら、騒がしいと思ったら、帰ってきてましたのね」
お嬢様?!と、同じ執事だ。今日もゴージャスですね。
「わたくしにもそれを。セバスン」
「はい、お嬢様」
…だから、そうじゃない。またこのパターンか?
スミは我関せず、トルードさんはちゃっかり手に自分の分を確保しながらも苦笑していた。
はいはい、ご用意させていただきますとも。お礼も言わないとね。このお嬢様の口添えで場は収まったのだろうし。
別の皿にゼリーとクッキーを並べる。スミのように皿を手に持ってガッとは食べないだろうから、スプーンとフォークも持って行こう。
「これも初めて見るものですわ。ゼリーでよいのかしら?」
「はい。海草を使用したゼリーですので体にもよいです。青色はジャムを元にしていますが甘くはありません」
甘くないけど大丈夫かな?
お嬢様はフォークの背にスプーンでさっとのせると、一口で食べた。上品な食べ方だなぁ。私はやっぱフォークを使うとしても、スプーンに入れて食べるね。
もちろんセバスンの分も用意してある。
「宝石のようでございますな」
褒め言葉をいただきましたー。にっこりと言っていただけるだけで満足ですよ。
「こちらも色がついているのね」
変なものは使っていませんよ?と説明をする。でも自己責任でお願いしますね。
ギルドの件でお礼を言うと「ケーキをいただきに来ただけですわ」とツンなセリフが返ってきた。まあ、本音ではあるどうけど。
残念ながらカカオの残量がなくて作ることができない、と言ったらお嬢様が停止した。え?え?
執事の咳払いで復活した。
以前どこで入手したのかなども聞かれたので、たまたま手に入れた館から譲ってもらった話をした。
「それがあればできますのね?」
念をおすお嬢様の顔が少し怖かった。
そして今回のお礼にとまた例の紅茶をいただいた。やったね。少なくなってたものが増えるって嬉しい。
トルードさんとスミの何か言いたげな視線は無視だ。
いいじゃないか。一般人には買うことができない紅茶なんだから。プレミアムもんよ?
次にお嬢様に会ったら、カカオを手渡しされそうな気がするわ…。
ま、それでおこぼれが手に入るならいっか。どうか見つかりますようにー。
願いをこめて出ていった扉に手を合わせた。案の定二人には変な目で見られたけど。
君たちも祈っておきたまえ~。
昨日気になって試行錯誤しながら作った、防犯ブザーを手のひらにのせスミに差し出した。
「な、なんだよ。向こうのダンジョン行ってどっかおかしくなってね?食い過ぎか?」
失礼だな。食べ過ぎは君たち二人だよ。
昨日どれだけ食べたんだよ?よく入るな?と、こっちがびっくりよ。
「あらあら。チェーンがあるってことは、どこかにつけるものかしら?」
「正解ー。学校にいく時の鞄にでも、つけてくれると嬉しいわ。使い方は簡単。何かあったら、このピンを抜いてちょうだい。そしたら警報音が鳴り響く仕組みなの。相手がひるんだ隙に逃げてもいい」
ガーゴイル君の音声が入っている。はったりでも「警邏隊をよんでいます!」と聞けば少しでもひるむはず。ここも同じ警邏隊であってる?あとで確認しよう。騎士団かもしれないし。捕り物のとき騎士がきたって言ってたもんね。
「大丈夫だって」
「今回はたまたま相手がアホだったからいいけど。いや、よくないけど。人間恐怖にあうと声が出なくなることもあるのよ?そんな時。ここをひっぱればいい。魔獣にも効くかもしれないし」
声は出せなくても、手の方が動かせるかもしれない。
嫌がらせにはなりそうだ。
「世の中なにが起きるかわからないんだから、ありがたくいただきなさいな」
トルードさんが後押ししてくれた。
「ん。ありがと」
…反抗期の男子のお礼ってキュンとくる。そんなこと口に出しちゃいけないわ。『かわいい』なんて。
トルードさん、何もいわないでっ。私と目が合うと慌てて口に手をやってた。あぶないあぶない。注意してなかったら、言ってたわね。
そしたら突き返されるじゃないのよー。
本当はGPSつきにしたかったんだけど、さすがに思いつけなかったんだよねぇ。いつかバージョンアップ版を作りたい。魔力を魔石に覚え込ませて、魔力を追える何かができれば、作れそうなんだけどな。
「これなに?食えんの?青いけど。スライムじゃないよな?」
照れ隠しなのか、スミがいつもより早口で言った。トルードさん、まだまだおさえてっ。
「スライム食べられるの?」
まさか。
「まさか」
心の中の声とセリフがかぶった。ん?
でもさ、ラオン食べられるんだよ?案外グミみたいな感じじゃないの?
「スライムは味がないらしいわよ」
さわやかな色してるのに?
「へ?もしや」
「ちょっと変な目をするのはやめてちょうだい。聞いた話よ」
味がしないなら食べる気もしないかー。そもそも核つぶしたらグチャってなるし。難易度高い?そこまで苦労してとっても、おいしくないなら誰もしたがらないな。
「これは寒天ゼリーよ」
「聞いたことないけど、透明でキレイねー。なぜこっちは青なの?あ、海ね」
そうでーす。
「深海宮の思い出シリーズ。みてみてー」
アイシングクッキーも出す。
「なんだこれ」
「イビツな形…だけど」
もう二人とも何言ってるのよ。
「魚でしょ」
二人が「え?」と口をあわせて私を見る。さすが親子。ぴったりそろってた。
そりゃ苦労したわよ、形にさ。難しかったわ。ヘラでやってみたけど、納得いく形にならず何回もやり直ししたし。これでも一応見える形を焼いたのだ。
「も、もしかしてこれダンジョンのボスなの?」
トルードさんが指指したところは、白い角の部分。
「ピンポーン」
ほらほら~わかるじゃん。
「ダンジョンボス?!」
スミが驚いている。あれ、言ってなかったっけ?…言ってないか。
「実物はコレでーす」
自慢しちゃうよ?自慢だからね。
スミが目をまん丸くしている。もっと見るー?
「あんた、強かったんだな…」
なぜか疲れた声でつぶやかれたけど。
「んー気合いかな」
もしくは執念ともよべる。
「気合いで倒せんのか?」
「倒せないわよ。しかも海中なのよ?」
ソロンは気合いでいったと思う…。休憩なしのノンストップで五層までいけるって人間じゃないわ。
「…だよな。あ、うまい。普通の形でいいと思うけど」
普通の形ってなによ。
「これ青色だなんてどうやったのかしら」
「今回はジャムを使いました」
着色料とかが売ってないしね。ブルーベリーに近い果物。青は野菜系には出なかったんだよね。
ラスボスが不評(なんでだ)だったので、型抜きアイシングクッキーを出した。
「かわいいわ~」
ピンクと黄色と。ポテっとした感じがかわいいよね、アイシングクッキーって。
「これもジャムなのかしら?」
「こっちはビーツルです」
赤い蔓を市場で見つけて着色に使えるかもって買ってあったのだ。先見の明があるぞ、私。
「糸がわりの食材よね。確かに時間たつと色つくわ。だからこそ敬遠されてるとこもあったのに」
そもそもは、そういう使い方をする食材だったのか。なるほど、今度肉を巻いてみよう。
「味はどれも同じなんだな」
「ちょ、ちょっとスミ。もっと目で楽しんでから食べてよー」
「あ。まだ完成じゃないからちょっと待って」
大きな白い皿を出してもらって、青い寒天ゼリーをちりばめ、その下に透明の寒天ゼリーを、そしてクッキーを手前に置く。
「素敵~絵画みたいだわ~」
「グラスに敷き詰めてもかわいいですよ」
今日もいい出来!写メとっておきたいわ。なんかこう思うことが増えてきたな。スマホのカメラってなんてありがたかったのかしら。
トルードさんがさっとグラスを出してきた。はいはい、やりますとも。
透明の上に青い寒天ゼリーを。飾りはクッキー。星形もいいよね。
「食べるのもったいないわ~どれからいただこうかしら」
結局食べる気満々ですよね?
クネクネとトルードさんが目移りして迷ってる中、
「じゃ、オレこれ」
スミは迷わずさっと一つを手に取る。
「あーそれも狙ってたのに」
「早いもん勝ちだろ。味は同じ?」
もう、とトルードさんがわかりやすくぷんぷんしている。細マッチョな男の人なのになぜかかわいく見えた。女子力負けた気が…。
カララーン。
「あら、騒がしいと思ったら、帰ってきてましたのね」
お嬢様?!と、同じ執事だ。今日もゴージャスですね。
「わたくしにもそれを。セバスン」
「はい、お嬢様」
…だから、そうじゃない。またこのパターンか?
スミは我関せず、トルードさんはちゃっかり手に自分の分を確保しながらも苦笑していた。
はいはい、ご用意させていただきますとも。お礼も言わないとね。このお嬢様の口添えで場は収まったのだろうし。
別の皿にゼリーとクッキーを並べる。スミのように皿を手に持ってガッとは食べないだろうから、スプーンとフォークも持って行こう。
「これも初めて見るものですわ。ゼリーでよいのかしら?」
「はい。海草を使用したゼリーですので体にもよいです。青色はジャムを元にしていますが甘くはありません」
甘くないけど大丈夫かな?
お嬢様はフォークの背にスプーンでさっとのせると、一口で食べた。上品な食べ方だなぁ。私はやっぱフォークを使うとしても、スプーンに入れて食べるね。
もちろんセバスンの分も用意してある。
「宝石のようでございますな」
褒め言葉をいただきましたー。にっこりと言っていただけるだけで満足ですよ。
「こちらも色がついているのね」
変なものは使っていませんよ?と説明をする。でも自己責任でお願いしますね。
ギルドの件でお礼を言うと「ケーキをいただきに来ただけですわ」とツンなセリフが返ってきた。まあ、本音ではあるどうけど。
残念ながらカカオの残量がなくて作ることができない、と言ったらお嬢様が停止した。え?え?
執事の咳払いで復活した。
以前どこで入手したのかなども聞かれたので、たまたま手に入れた館から譲ってもらった話をした。
「それがあればできますのね?」
念をおすお嬢様の顔が少し怖かった。
そして今回のお礼にとまた例の紅茶をいただいた。やったね。少なくなってたものが増えるって嬉しい。
トルードさんとスミの何か言いたげな視線は無視だ。
いいじゃないか。一般人には買うことができない紅茶なんだから。プレミアムもんよ?
次にお嬢様に会ったら、カカオを手渡しされそうな気がするわ…。
ま、それでおこぼれが手に入るならいっか。どうか見つかりますようにー。
願いをこめて出ていった扉に手を合わせた。案の定二人には変な目で見られたけど。
君たちも祈っておきたまえ~。
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