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前篇:夢の通ひ路
第二十九話 其の二
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いつもよりも頭がどこかクリアなのは、連日続く三の君の夢を見なかったからだろう。
といっても、眠ったのはほんの数時間なので、不眠が解消したわけではないのだが、それでも、あんな小一時間程度で何度も目を覚ますよりはよっぽどいい。
転がりながら、今日はきっと色々と忙しくなるだろうなと思った。
宮とこうなった以上、私がやらなくてはいけないことが山積みだ。おそらく話を聞いた小梅や父母は飛んでくるだろうし、今夜もここへ来る宮のために部屋を調えなくてはいけない。それと、これは重要な案件とも言えるが、兄に注意しなければ。
そもそも兄が酒に呑まれさえしなければ、宰相中将に襲われることもなかったのだ。お酒を楽しむことは別にいいけれど、兄が酒に酔うたびに、私の身の危険と隣り合わせになるのは絶対におかしい。
とにかく、左大臣家に宿泊する際は、二度と宰相中将に送られるなと強く言おう。いくら外側の警備を強化したところで、あの男に、兄を理由に易々と邸に入られてはどうしようもない。
ちょうど今、兄は左大臣家にいるのだし、帰る前にこちらへ寄ってもらうことにしよう。
そう算段をつけたところで、「姫様」と呼ばれた。
「お休みでいらっしゃいますか? 姫様、よろしいでしょうか」
外から遠慮がちに問いかけてきたのは、雛菊の声だった。
「ええ、どうしたの」
「宮様より、お文が届いております」
御帳台から出て文を受け取ると、雛菊が興奮気味に言う。その顔はとても嬉しそうなものだった。
「後朝の文ですわ! これほど、これほどお早いだなんて!! 宮様は姫様のことをとても大切に想っておいでなのでしょう」
――後朝の文。
男女が一夜を共にしたあと、男性が女性に送る恋文のことだ。これは早ければ早いほど愛情が深いしるしとされていた。ちなみにこの後朝の文が届かなかったということは、一夜限りの遊びだったり、女性が捨てられてしまったりと、まあ、あまりいい意味ではない。
宮の文は私も驚くほど早いものだった。きっと、邸に戻ってすぐに筆をとり、文使えに託したのだろう。
開いてみると、見慣れた達筆が並んでいた。
“ずっと恋焦がれた貴女にやっとお会いすることができたのに
これほど夜明けを恨めしく思ったことはありません
離れている時間のなんと辛いことでしょう”
文をぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られそうになって、はっと我に返った。重症だ、宮にこんなに心をいっぱいにされるなんて。私はどこまで宮を好きになるんだろう。こんな、恋に夢中になってしまうような一面が自分にあることも、宮に出会わなければきっと知らないままだった。
私も急いで紙に筆を走らせた。これは代筆ではなく、自分で書きたかった。宮は私の下手な文字も歌も、優しく受け止めてくれる人だ。
“貴方のお言葉が私にとってどれほど嬉しいものなのか
きっと貴方にはお分かりにならないでしょう
今はただこの身に残った香りに貴方を恋しく思い出すばかりです”
私の大好きな古典文学によると、恋には駆け引きも必要で、多少はつれない返事をするのがいいらしい(現代にも言えるのかもしれない)。けれど、そんな気にはとてもなれなかった。そもそも、駆け引きなんて、恋愛上級者の小技などできそうもないし、宮相手にしようとも思わない。
ここまで大好きになってしまっているのに、どうしたら素っ気ない歌なんて書けるのか。「正直言って貴方にべた惚れ状態です」という内容なら、いくらでも思いつくが。
「雛菊、これをお願い」
「かしこまりました」
「私はもう少し休むわね、なんだか身体が辛くて」
文を渡しながら言うと、雛菊の顔がポッと赤く染まった。目を泳がせて、「ま、まあ、姫さまったら!」などとおかしな感嘆の声をあげている。
え、なに??
疑問に思ったのは一瞬で、思い当った原因に私もあたふたとしてしまった。
違う、雛菊、そういう意味じゃない! そういう意味じゃなくて、寝不足気味でまだ辛いからっていうことなのだけれど……宮と約束をしたばかりで、まさか否定もできるはずもない。いちいちどうのこうのというのも不自然だ。
あぁぁぁ……恥ずかしい、なんてことを言ってしまったんだろう、もうやだ隠れたい。
「と、とにかく、宮様への返歌をよろしくね」
「はい、お休みなさいませっ……」
きっと雛菊は、周りの女房に聞かれて私の様子を話すだろうし、こんな状態で皆の前に姿を見せなきゃいけないだなんて気恥ずかしい。平安時代の貴族の女性は、誰もがこういう道をたどったのだろう。
私なんて、宮という、身分も性格も容姿もこれ以上ない人に好かれ、後朝の文まで最高速かと思えるスピードでいただいたのだから、十分すぎるくらい幸せだ。だけど、そうはなれなかった女性達のことを思えば、なんと切なく苦しいことだろうと思う。
現代のように携帯電話を使って気安く連絡することも、直接会って心変わりを問い詰めることもできなかった。あくまで女性は受け身だったのだから。
自分が同じ時代に存在し、同じ立場になってやっと分かることもある。やはり、物語だけでは分からない想いというものはあるのだろう。
宮は今頃、何を考えているのだろう。私と結婚したことを、後悔していないだろうか。
あれほどまでにストレートに愛を囁かれても、不安になってしまうのは、この身があやふやなものだからだ。いつ消えるとも知れない私に宮が愛想をつかしたとしても、私にはそれを咎められない。ただ、願うだけ。宮の気持ちが変わらないように、と。その辺りは、なるほど自分も平安貴族の姫君と同じなのだと思う。男性の心変わりがないように願っているのだから。
ふと瞼がとてつもなく重く感じた。ああ、夢が呼んでいるのだ。私を暗い世界へ誘おうとしている、この感覚にももう大分慣れた。
嫌だ、眠りたくなんかない、見たくなんかない――意識を強く持とうと唇を思い切り噛んだけれど、痛みは感じなかった。
一瞬のことだった。痛みを感じる前に、私はもう既に三の君の夢へと連れ去られていた。そして、底なし沼へ吸い込まれていくように、深く深く落ちて行った。
◇◇◇
控え目な泣き声が聞こえてくる中で、臥せた三の君と小梅の二人がいた。
どちらも、今とさほど変わらない容姿なのを見るに、つい最近のことなのだろうか。
「――姫様、薬湯でございます。どうかお飲みください」
額に大粒の汗を浮かべうなされるように苦しむ三の君に、小梅が椀に入った汁を差し出した。
それを三の君がやんわりと拒否したので、小梅の顔が泣き出しそうにゆがむ。
「姫様! お願いですから、お飲みになって」
「いい、の……いいのよ、小梅……」
言葉少なに首を振って、三の君は微笑んだ。
「自分のことは自分でよく分かる……私はもう永くないわ」
「何をおっしゃっておいでですの! 姫様!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、小梅……でも、これでいいの……」
消えてしまいたいの。
苦しい、苦しい、苦しい。
たとえこの身を長らえても、待ち受けるのは地獄のような毎日。それならば今すぐにでも死んでしまいたい。
あの歌のように泡と成り果ててしまえたら、いっそいいのに。
そうしたら、もう二度と辛いと感じることはないでしょう。
そうしたら、もう二度と……
三の君の、声にはならない心の叫びだった。嫌というほど、ありありと伝わってくる。
私が彼女の身体の中にいるから? 彼女の立場から、彼女の夢を見ているから?
何にあれほどまで苦しんでいたのだろう。地獄のような日々とはなんだ?
ただ一つ、分かったことがある。
以前から、薄々とそんな気はしていたが、確信に変わった。
彼女は――、彼女は私がここに来るずっと前から「死にたがり」だったのだ。
といっても、眠ったのはほんの数時間なので、不眠が解消したわけではないのだが、それでも、あんな小一時間程度で何度も目を覚ますよりはよっぽどいい。
転がりながら、今日はきっと色々と忙しくなるだろうなと思った。
宮とこうなった以上、私がやらなくてはいけないことが山積みだ。おそらく話を聞いた小梅や父母は飛んでくるだろうし、今夜もここへ来る宮のために部屋を調えなくてはいけない。それと、これは重要な案件とも言えるが、兄に注意しなければ。
そもそも兄が酒に呑まれさえしなければ、宰相中将に襲われることもなかったのだ。お酒を楽しむことは別にいいけれど、兄が酒に酔うたびに、私の身の危険と隣り合わせになるのは絶対におかしい。
とにかく、左大臣家に宿泊する際は、二度と宰相中将に送られるなと強く言おう。いくら外側の警備を強化したところで、あの男に、兄を理由に易々と邸に入られてはどうしようもない。
ちょうど今、兄は左大臣家にいるのだし、帰る前にこちらへ寄ってもらうことにしよう。
そう算段をつけたところで、「姫様」と呼ばれた。
「お休みでいらっしゃいますか? 姫様、よろしいでしょうか」
外から遠慮がちに問いかけてきたのは、雛菊の声だった。
「ええ、どうしたの」
「宮様より、お文が届いております」
御帳台から出て文を受け取ると、雛菊が興奮気味に言う。その顔はとても嬉しそうなものだった。
「後朝の文ですわ! これほど、これほどお早いだなんて!! 宮様は姫様のことをとても大切に想っておいでなのでしょう」
――後朝の文。
男女が一夜を共にしたあと、男性が女性に送る恋文のことだ。これは早ければ早いほど愛情が深いしるしとされていた。ちなみにこの後朝の文が届かなかったということは、一夜限りの遊びだったり、女性が捨てられてしまったりと、まあ、あまりいい意味ではない。
宮の文は私も驚くほど早いものだった。きっと、邸に戻ってすぐに筆をとり、文使えに託したのだろう。
開いてみると、見慣れた達筆が並んでいた。
“ずっと恋焦がれた貴女にやっとお会いすることができたのに
これほど夜明けを恨めしく思ったことはありません
離れている時間のなんと辛いことでしょう”
文をぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られそうになって、はっと我に返った。重症だ、宮にこんなに心をいっぱいにされるなんて。私はどこまで宮を好きになるんだろう。こんな、恋に夢中になってしまうような一面が自分にあることも、宮に出会わなければきっと知らないままだった。
私も急いで紙に筆を走らせた。これは代筆ではなく、自分で書きたかった。宮は私の下手な文字も歌も、優しく受け止めてくれる人だ。
“貴方のお言葉が私にとってどれほど嬉しいものなのか
きっと貴方にはお分かりにならないでしょう
今はただこの身に残った香りに貴方を恋しく思い出すばかりです”
私の大好きな古典文学によると、恋には駆け引きも必要で、多少はつれない返事をするのがいいらしい(現代にも言えるのかもしれない)。けれど、そんな気にはとてもなれなかった。そもそも、駆け引きなんて、恋愛上級者の小技などできそうもないし、宮相手にしようとも思わない。
ここまで大好きになってしまっているのに、どうしたら素っ気ない歌なんて書けるのか。「正直言って貴方にべた惚れ状態です」という内容なら、いくらでも思いつくが。
「雛菊、これをお願い」
「かしこまりました」
「私はもう少し休むわね、なんだか身体が辛くて」
文を渡しながら言うと、雛菊の顔がポッと赤く染まった。目を泳がせて、「ま、まあ、姫さまったら!」などとおかしな感嘆の声をあげている。
え、なに??
疑問に思ったのは一瞬で、思い当った原因に私もあたふたとしてしまった。
違う、雛菊、そういう意味じゃない! そういう意味じゃなくて、寝不足気味でまだ辛いからっていうことなのだけれど……宮と約束をしたばかりで、まさか否定もできるはずもない。いちいちどうのこうのというのも不自然だ。
あぁぁぁ……恥ずかしい、なんてことを言ってしまったんだろう、もうやだ隠れたい。
「と、とにかく、宮様への返歌をよろしくね」
「はい、お休みなさいませっ……」
きっと雛菊は、周りの女房に聞かれて私の様子を話すだろうし、こんな状態で皆の前に姿を見せなきゃいけないだなんて気恥ずかしい。平安時代の貴族の女性は、誰もがこういう道をたどったのだろう。
私なんて、宮という、身分も性格も容姿もこれ以上ない人に好かれ、後朝の文まで最高速かと思えるスピードでいただいたのだから、十分すぎるくらい幸せだ。だけど、そうはなれなかった女性達のことを思えば、なんと切なく苦しいことだろうと思う。
現代のように携帯電話を使って気安く連絡することも、直接会って心変わりを問い詰めることもできなかった。あくまで女性は受け身だったのだから。
自分が同じ時代に存在し、同じ立場になってやっと分かることもある。やはり、物語だけでは分からない想いというものはあるのだろう。
宮は今頃、何を考えているのだろう。私と結婚したことを、後悔していないだろうか。
あれほどまでにストレートに愛を囁かれても、不安になってしまうのは、この身があやふやなものだからだ。いつ消えるとも知れない私に宮が愛想をつかしたとしても、私にはそれを咎められない。ただ、願うだけ。宮の気持ちが変わらないように、と。その辺りは、なるほど自分も平安貴族の姫君と同じなのだと思う。男性の心変わりがないように願っているのだから。
ふと瞼がとてつもなく重く感じた。ああ、夢が呼んでいるのだ。私を暗い世界へ誘おうとしている、この感覚にももう大分慣れた。
嫌だ、眠りたくなんかない、見たくなんかない――意識を強く持とうと唇を思い切り噛んだけれど、痛みは感じなかった。
一瞬のことだった。痛みを感じる前に、私はもう既に三の君の夢へと連れ去られていた。そして、底なし沼へ吸い込まれていくように、深く深く落ちて行った。
◇◇◇
控え目な泣き声が聞こえてくる中で、臥せた三の君と小梅の二人がいた。
どちらも、今とさほど変わらない容姿なのを見るに、つい最近のことなのだろうか。
「――姫様、薬湯でございます。どうかお飲みください」
額に大粒の汗を浮かべうなされるように苦しむ三の君に、小梅が椀に入った汁を差し出した。
それを三の君がやんわりと拒否したので、小梅の顔が泣き出しそうにゆがむ。
「姫様! お願いですから、お飲みになって」
「いい、の……いいのよ、小梅……」
言葉少なに首を振って、三の君は微笑んだ。
「自分のことは自分でよく分かる……私はもう永くないわ」
「何をおっしゃっておいでですの! 姫様!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、小梅……でも、これでいいの……」
消えてしまいたいの。
苦しい、苦しい、苦しい。
たとえこの身を長らえても、待ち受けるのは地獄のような毎日。それならば今すぐにでも死んでしまいたい。
あの歌のように泡と成り果ててしまえたら、いっそいいのに。
そうしたら、もう二度と辛いと感じることはないでしょう。
そうしたら、もう二度と……
三の君の、声にはならない心の叫びだった。嫌というほど、ありありと伝わってくる。
私が彼女の身体の中にいるから? 彼女の立場から、彼女の夢を見ているから?
何にあれほどまで苦しんでいたのだろう。地獄のような日々とはなんだ?
ただ一つ、分かったことがある。
以前から、薄々とそんな気はしていたが、確信に変わった。
彼女は――、彼女は私がここに来るずっと前から「死にたがり」だったのだ。
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