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前篇:夢の通ひ路
第二十三話 其の二
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二度と会うこともないが、今度会ったらどうしてくれよう。
渾身の平手打ち程度じゃ私の気が済まない。既成事実は作れなかったから、噂だけでも勝手に流して外堀を埋めていたってこと!?
はらわたが煮えくり返るとはこのことか。もう絶対に許せない! 三の君になんてひどい噂を流してくれちゃってるのだ。
しかも、なぜ父や兄は黙っている!?
いや、待て。あの三の君溺愛の二人が、三の君のことで沈黙するはずは絶対にない。ということは、その噂自体を知らないということだ。
では、もしも宰相中将が兵部卿宮にだけ話していたとしたら……?
そうだ、兵部卿宮と私が文のやり取りをしていることを聞きつけ、兵部卿宮を牽制したのではないか? 「私は三の君と将来の約束をしているのです」などと、さりげなく吹聴していたとしたら?
あり得る、あの色好みに限ってあり得る。というか、もうそれしか考えられない。まさか親王相手に、随分と卑怯なことをしてくれる。
そうだ、だからあんな文が兵部卿宮から来たのだ。それを聞いて、兵部卿宮はどんな気持ちになっただろう。
あれほど丁寧に文をくれていたのに、私が……私が、宰相中将なんかと契っているだなんて!!
扇を持つ手が怒りでふるふると震える。
そんな私を見て、なぜか鷹衛さんは嬉しそうな顔をしていた。意味が分からない。私の頬はこんなに強張っているのに。
「全くの偽りですわ、ああ、宮様になんと申し上げればよいのか……」
「それなら、私の方から直接お伝えいたしますからご心配なく。それに、かぐや殿は直接宮様にそうではないと否定した文を既に送られていたのでしょう?」
「ええ、突然、契った相手がいらっしゃるのですかとお聞きになられたので、何のことか分からず戸惑ってしまって…… そう申し上げるしかなかったのですわ」
「宮様なら、貴女のお言葉の方を信じるとおっしゃっていますから、大丈夫ですよ。私も、中将殿の言葉が嘘と分かり、安心いたしました。では、かぐや殿は誰ともそういった約束を交わしてはいないのですね?」
「あえて言うのならば……宮様だけです。約束はしておりませんし、まだお返事もしておりません、けれど……」
「さようでございましたか。それならばいいのです」
よくない。
だって、いつまでも兵部卿宮への返事を先延ばしにしていてはいけないのだから。求婚されているのに、良いとも悪いとも伝えずに文だけで待たせている。それはとても失礼なことだ。
私だって、答えを出さなければとは思っている。ただ、兵部卿宮からの文を見ると、どこか心が安らいだ。この世界にいる不安も、その時だけは忘れられた。それを失ってしまうのが嫌だったのだ。
今だってそうだ。宰相中将よりも私なんかを信じると言ってくれていたと……そんな話を聞けば聞くほど、兵部卿宮への罪悪感が募る。
あるいは鷹衛さんと出会ってさえいなければ、もっと別の気持ちを兵部卿宮に抱いたのかもしれないが、いずれにしろ、三の君の人生がかかっている決断をそう易々と私が決められるはずはない。
「宮様は、お怒りにならないのでしょうか。文のやり取りばかりで、一向に返事をしようともしない私に」
「それはありませんね。文を書き、読む楽しみが増えたとはおっしゃっておりましたが」
「宮様は……お優しいのですね……」
だから苦しくなるのだ。いい人だから、裏切っているような気持ちになる。
こうして、彼に仕えている鷹衛さんと人目を忍ぶように会い、その時間を楽しいと思ってしまう自分がいるから。
彼の文を受け取る資格なんか、私には……
「鷹衛様、やはりこの扇はお返しします。宮様のことがある限り、私は――」
その先を言うことができなかった。
鷹衛さんの人差し指が、あとは何も言うなと言わんばかりに唇の上に置かれたからだ。
じわり、と熱が身体の奥からこみ上げてくる。鷹衛さんの瞳の中で、戸惑った私が揺れていた。
「貴女の口から、私を遠ざける言葉など聞きたくありません」
「そんな……」
「一言でいいのです。私は貴女をお慕いしております。ねえ、貴女はどうですか」
答えられない。でも、もう自分に嘘はつけない。今だって彼の言葉が嬉しい。
この気持ちに名前を付けるとしたら、ただ一つしか思い浮かばない。
どうして会えると胸が弾むのか。
どうして彼だけに胸が痛むのか。
兵部卿宮へ感じる罪悪感の理由。
何度も思い出して、手元に置き続けた檜扇の意味。
全部分かっている。分かっていて、知らないふりをしていただけ。
私は、彼が好きだ。
鷹衛さんに惹かれている。
扇を持つ手を彼が押さえた。近づいてくる影に自然と目を閉じる。
いつの間にか雲が月を覆い、わずかな灯りでさえ消し去った。誰も私達のことは見えない。すべては夜が隠してくれる。
彼の息遣いを感じる、もう止められないと思った。速まる心音以外には、何も聞こえない。
闇だけが深まる中で、私達は口づけをした。
鷹衛さんが目を閉じて、こつ、と額を合わせたまま囁く。
「これが、貴女の答えと思ってもいいでしょう」
恋などしてはいけない。
この人はこの時代に生きる人で、私とは時間の流れが違う。なのに、どうしようもなく心を奪われてしまう。一層苦しくなるだけと知っていたのに、どうしたらこの想いを消せるのだろう。
気付かないふりをしようと思っていても、こうして会ってしまえばそれさえできない。「恋はしない」とどんなに固い決意をしたとしても、この人は一瞬でそれを壊してしまう。
「私以外の誰にも、こんな貴女をみせないで。きっと奪われてしまう」
「そのようなこと……ございませんわ……」
「ご自分がどれほど魅力的か、何もお分かりでないのですね。私はそれが心配でならない。ねえ、約束してください」
魅力的なのは、鷹衛さんの方じゃないか。どれだけ甘い言葉で私を支配したら気が済むの。
逆らえるはずもなく、こくりと頷いた。鷹衛さんが幸せそうな顔をするから、やっぱり反則だと思う。ぎゅっと抱きしめられると、どうにも胸が苦しくなった。もう、こんな気持ちを知らなかった数分前には戻れない。
ああ、なんでこんなに幸せを感じてしまうんだろう。
「想いは同じと分かりました。今宵はそれで十分です」
鷹獲さんはもう一度軽く口づけると、身体を離して微笑んだ。
「朝まではまだ長いですから、どうぞ先にお休みください」
「鷹衛様は?」
「私はもう少し、こちらで熱を冷ましてから戻ります。貴女は本当に可愛らしいですね、そんな目で見つめられたら帰したくなくなってしまう」
一体私はどんな顔をしているのだろう。
名残惜しい、とか、離れたくない、とか、そんなことは思った。だって、まだ一緒にいたい。私は私が思う以上に欲深い人間だったのだろうか。だめだと分かっていても、そう思ってしまうことを止められない。
「月明かりが戻ってきましたね。満月は人を狂わせる何かがあると聞きましたが、なるほど確かにそうだ。今宵の貴女は、一段と美しいですから。私が我慢できるうちに、お戻りください。でなければ」
「なければ?」
「今すぐにでも、貴女を、私の北の方にしてしまいますから」
この人は本当にずるい……
そんなことを言われて熱が冷めなくなるのはこちらの方なのに。これじゃ、寝所に戻っても眠れるわけがない。
「かぐや殿」
「はい」
「何もご心配なさらないでください。次にお会いできるその時は、きっと……」
「鷹衛様?」
「いえ、何でもありません。お休みなさい、私の愛しい人」
髪を一束すくって口づけた鷹衛さんに、もういい加減胸が爆発しそうだった。
火照った体が熱い。夜の空気は冷たいはずだったのに、少しも寒さなど感じない。
「おやすみなさいっ……」
それだけ言って、私は寝所へ戻ったのだけれど、当然のようにその日は寝付けなかった。
目を閉じていても、鷹衛さんの顔ばかりが浮かんで。
渾身の平手打ち程度じゃ私の気が済まない。既成事実は作れなかったから、噂だけでも勝手に流して外堀を埋めていたってこと!?
はらわたが煮えくり返るとはこのことか。もう絶対に許せない! 三の君になんてひどい噂を流してくれちゃってるのだ。
しかも、なぜ父や兄は黙っている!?
いや、待て。あの三の君溺愛の二人が、三の君のことで沈黙するはずは絶対にない。ということは、その噂自体を知らないということだ。
では、もしも宰相中将が兵部卿宮にだけ話していたとしたら……?
そうだ、兵部卿宮と私が文のやり取りをしていることを聞きつけ、兵部卿宮を牽制したのではないか? 「私は三の君と将来の約束をしているのです」などと、さりげなく吹聴していたとしたら?
あり得る、あの色好みに限ってあり得る。というか、もうそれしか考えられない。まさか親王相手に、随分と卑怯なことをしてくれる。
そうだ、だからあんな文が兵部卿宮から来たのだ。それを聞いて、兵部卿宮はどんな気持ちになっただろう。
あれほど丁寧に文をくれていたのに、私が……私が、宰相中将なんかと契っているだなんて!!
扇を持つ手が怒りでふるふると震える。
そんな私を見て、なぜか鷹衛さんは嬉しそうな顔をしていた。意味が分からない。私の頬はこんなに強張っているのに。
「全くの偽りですわ、ああ、宮様になんと申し上げればよいのか……」
「それなら、私の方から直接お伝えいたしますからご心配なく。それに、かぐや殿は直接宮様にそうではないと否定した文を既に送られていたのでしょう?」
「ええ、突然、契った相手がいらっしゃるのですかとお聞きになられたので、何のことか分からず戸惑ってしまって…… そう申し上げるしかなかったのですわ」
「宮様なら、貴女のお言葉の方を信じるとおっしゃっていますから、大丈夫ですよ。私も、中将殿の言葉が嘘と分かり、安心いたしました。では、かぐや殿は誰ともそういった約束を交わしてはいないのですね?」
「あえて言うのならば……宮様だけです。約束はしておりませんし、まだお返事もしておりません、けれど……」
「さようでございましたか。それならばいいのです」
よくない。
だって、いつまでも兵部卿宮への返事を先延ばしにしていてはいけないのだから。求婚されているのに、良いとも悪いとも伝えずに文だけで待たせている。それはとても失礼なことだ。
私だって、答えを出さなければとは思っている。ただ、兵部卿宮からの文を見ると、どこか心が安らいだ。この世界にいる不安も、その時だけは忘れられた。それを失ってしまうのが嫌だったのだ。
今だってそうだ。宰相中将よりも私なんかを信じると言ってくれていたと……そんな話を聞けば聞くほど、兵部卿宮への罪悪感が募る。
あるいは鷹衛さんと出会ってさえいなければ、もっと別の気持ちを兵部卿宮に抱いたのかもしれないが、いずれにしろ、三の君の人生がかかっている決断をそう易々と私が決められるはずはない。
「宮様は、お怒りにならないのでしょうか。文のやり取りばかりで、一向に返事をしようともしない私に」
「それはありませんね。文を書き、読む楽しみが増えたとはおっしゃっておりましたが」
「宮様は……お優しいのですね……」
だから苦しくなるのだ。いい人だから、裏切っているような気持ちになる。
こうして、彼に仕えている鷹衛さんと人目を忍ぶように会い、その時間を楽しいと思ってしまう自分がいるから。
彼の文を受け取る資格なんか、私には……
「鷹衛様、やはりこの扇はお返しします。宮様のことがある限り、私は――」
その先を言うことができなかった。
鷹衛さんの人差し指が、あとは何も言うなと言わんばかりに唇の上に置かれたからだ。
じわり、と熱が身体の奥からこみ上げてくる。鷹衛さんの瞳の中で、戸惑った私が揺れていた。
「貴女の口から、私を遠ざける言葉など聞きたくありません」
「そんな……」
「一言でいいのです。私は貴女をお慕いしております。ねえ、貴女はどうですか」
答えられない。でも、もう自分に嘘はつけない。今だって彼の言葉が嬉しい。
この気持ちに名前を付けるとしたら、ただ一つしか思い浮かばない。
どうして会えると胸が弾むのか。
どうして彼だけに胸が痛むのか。
兵部卿宮へ感じる罪悪感の理由。
何度も思い出して、手元に置き続けた檜扇の意味。
全部分かっている。分かっていて、知らないふりをしていただけ。
私は、彼が好きだ。
鷹衛さんに惹かれている。
扇を持つ手を彼が押さえた。近づいてくる影に自然と目を閉じる。
いつの間にか雲が月を覆い、わずかな灯りでさえ消し去った。誰も私達のことは見えない。すべては夜が隠してくれる。
彼の息遣いを感じる、もう止められないと思った。速まる心音以外には、何も聞こえない。
闇だけが深まる中で、私達は口づけをした。
鷹衛さんが目を閉じて、こつ、と額を合わせたまま囁く。
「これが、貴女の答えと思ってもいいでしょう」
恋などしてはいけない。
この人はこの時代に生きる人で、私とは時間の流れが違う。なのに、どうしようもなく心を奪われてしまう。一層苦しくなるだけと知っていたのに、どうしたらこの想いを消せるのだろう。
気付かないふりをしようと思っていても、こうして会ってしまえばそれさえできない。「恋はしない」とどんなに固い決意をしたとしても、この人は一瞬でそれを壊してしまう。
「私以外の誰にも、こんな貴女をみせないで。きっと奪われてしまう」
「そのようなこと……ございませんわ……」
「ご自分がどれほど魅力的か、何もお分かりでないのですね。私はそれが心配でならない。ねえ、約束してください」
魅力的なのは、鷹衛さんの方じゃないか。どれだけ甘い言葉で私を支配したら気が済むの。
逆らえるはずもなく、こくりと頷いた。鷹衛さんが幸せそうな顔をするから、やっぱり反則だと思う。ぎゅっと抱きしめられると、どうにも胸が苦しくなった。もう、こんな気持ちを知らなかった数分前には戻れない。
ああ、なんでこんなに幸せを感じてしまうんだろう。
「想いは同じと分かりました。今宵はそれで十分です」
鷹獲さんはもう一度軽く口づけると、身体を離して微笑んだ。
「朝まではまだ長いですから、どうぞ先にお休みください」
「鷹衛様は?」
「私はもう少し、こちらで熱を冷ましてから戻ります。貴女は本当に可愛らしいですね、そんな目で見つめられたら帰したくなくなってしまう」
一体私はどんな顔をしているのだろう。
名残惜しい、とか、離れたくない、とか、そんなことは思った。だって、まだ一緒にいたい。私は私が思う以上に欲深い人間だったのだろうか。だめだと分かっていても、そう思ってしまうことを止められない。
「月明かりが戻ってきましたね。満月は人を狂わせる何かがあると聞きましたが、なるほど確かにそうだ。今宵の貴女は、一段と美しいですから。私が我慢できるうちに、お戻りください。でなければ」
「なければ?」
「今すぐにでも、貴女を、私の北の方にしてしまいますから」
この人は本当にずるい……
そんなことを言われて熱が冷めなくなるのはこちらの方なのに。これじゃ、寝所に戻っても眠れるわけがない。
「かぐや殿」
「はい」
「何もご心配なさらないでください。次にお会いできるその時は、きっと……」
「鷹衛様?」
「いえ、何でもありません。お休みなさい、私の愛しい人」
髪を一束すくって口づけた鷹衛さんに、もういい加減胸が爆発しそうだった。
火照った体が熱い。夜の空気は冷たいはずだったのに、少しも寒さなど感じない。
「おやすみなさいっ……」
それだけ言って、私は寝所へ戻ったのだけれど、当然のようにその日は寝付けなかった。
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