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前篇:夢の通ひ路
第十九話 其の一
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規則的に流れる水音と、話し声が聞こえる。
池のほとりで小さな三の君に白い草花を差し出したのは、まだ少年らしさが残る顔立ちの兄、有明中将だった。そのどこにでもあるような草花を、三の君が大事そうに撫でる。
「お前は昔からその花が好きだったね」
「ええ、お兄様」
「もうすぐか。裳着を行えば、いよいよお前も一人前だ。私がこうして気軽に訪れることもできなくなるな」
兄の言葉に、三の君が首を振る。それは、先ほどまでのものとは違い、ひどく悲しげな表情だった。
「私は裳着などしたくありませんわ。ずっとこのままがいい」
「何を言うんだ。お前はこんなに可愛いのだから、山ほど文も来るだろうし、何も心配はいらないよ」
有明中将がにこりと微笑む。
「私の可愛い妹。きっと幸せにおなり」
◇◇◇
――夢だ。
まずそう思った。身体を起こして、いつもの見慣れた部屋に、やはりもう一度夢なのだと悟った。
あれは三の君の昔の記憶だろうか。それこそちょうど、裳着の儀式をする直前くらい……であれば、数年前のことになる。なぜあんな夢を見たのだろう。この身体が三の君のものだからか。
はあ、と溜息をこぼした。最近、随分と数も回数も増えてしまった。
溜息で幸せが逃げていくなら、もう逃げ出す幸せもないほどついている。というか、今この身に起こっている以上の不幸があるとも思えなかった。
平安時代に魂を飛ばされて、しかも自分の身体は死んでいる説が濃厚。
もうすでに最低だ、ここから更に落ちる未来など想像もできない。あるとすれば、この時代で一生暮らしていかなくてはいけないパターンか、私自身が消滅するパターンとか……?
うわ、怖い、考えるのはやめよう。不幸を想像なんて、ろくなものじゃない。どうせ同じ時間を使うなら、ネガティブよりポジティブ思考のほうがよほど生産的だ。
ああ、それにしても眠い。
「姫様、お目覚めになられたのですね」
「小梅……私、うたた寝をしていたみたい」
「ええ、それは気持ちよさそうにお休みでいらっしゃいましたから、私も声を掛けませんでしたの」
脇息にもたれかかって、そのまま意識が飛んだのだろう。
このところ、よく眠れないからだ。浅い眠りが続いて、夜中に何度も目を覚ましてしまう。
ついに昼間に居眠りをするほど睡眠不足に陥ってしまっているのだろうか。
「姫様、ちょうどよいところでした。こちら、兵部卿宮様と宰相中将様からのお文でございます」
「ええ、ありがとう」
いつもと同じように文を受け取って、私はまず宰相中将の文を開けた。
どうせまた、変わり映えのしない口説き文句が並んでいるのだろう。一読したら、小梅に渡して返歌を書いてもらうつもりでいたのだ。
ところが、その内容は少し異なっていた。「契りきな」――お約束したでしょう、と始まる和歌だ。
“お約束したではありませんか
貴女の道をご案内するのは私だと
それなのに貴女は他の人に心を奪われているのですか”
「何のことかしら……」
さっぱりわからない。大体、宰相中将と約束など、何を、いつしたのだ。あまりに一方的すぎる。他の人に心を奪われるも、全く心当たりがない。
宰相中将が考えることが意味不明なのは何も今にはじまったことではないが、それにしたって昨日一昨日まで好きだの愛してるだのと似たり寄ったりな恋文を送ってきたあの男が、一体どうしたのか。
「失礼いたします」と文を覗いた小梅までも、「なんですの、これ」と疑問のようだ。
「よく分からないわ。そのまま、何のことかわかりません、と返歌してくれるかしら」
「かしこまりました」
「あ、いえ、待って!」
何の勘違いをしているのか分からないが、ここは宰相中将に乗っかって「そうです、他に好きな人がいるのです」と返事をすれば、もしや諦めてもらえるのではないだろうか。
そうだ、なんて得策だ! そうしよう、それがいい!
「小梅、中将様には、『ええその通りです、だから私のことは諦めて下さいな』とお返事してちょうだい」
「姫様? ああ、なるほど! そういうことですの、かしこまりました」
言わずとも小梅には通じたらしい。「これが最後のお文になるといいですわねー」などと軽口を言いながら、願望も込めて筆を手にしている。
次に兵部卿宮の文だ。相変わらず達筆な字が美しく並んでいる。しかし、こちらもいつもとは様子が違った。よく見れば文字が多少乱れている。
“貴女には既に契ったお方がいたのでしょうか
そうと知っても、今となってはこの想いを止めることもできません
いてもたってもいられず、こうして筆をとってしまうのです“
「宮様まで? 一体、どういうことなの?」
契る……男女関係を持つという意味もあるし、将来を約束するという意味もある言葉だ。
三の君も私も、どちらの意味でも契った相手などいるはずもない。この身体はまだ乙女だし、三の君に限って男女関係ということはないはず。私だって、この世界でそんなことは断じてしていなければ、「結婚しようね」などと約束した相手も勿論いない。
兵部卿宮は、誰かと勘違いしているのだろうか。
そこまで考えて、ふと思い出した。
もし、もしもあの日のことを、兵部卿宮に見られていたとしたら? 鷹衛さんと二人でいたあの日のことを。
あり得なくはない、だってあそこは五条院という同じ敷地内だ。西の対を、東の対に住む兵部卿宮が訪れたとしても不思議ではない。
どこまで見ていたのか分からないが、男性と二人きりで人目を忍び会うなど、誤解されてもおかしくない行為だ。
しかし、そうなら、なぜ兵部卿宮は「鷹衛と恋仲なのですか」と直接聞かないのだろう。自分より身分が下の鷹衛さんに、兵部卿宮が気を遣っているというのも違和感が残る。
宰相中将も兵部卿宮も、二人揃って同じタイミングでこのような文が届くのはやはり何かおかしい。
「ねえ小梅。少し聞きたいのだけれど、最近、宮中で何か私の新しい噂はある?」
「姫様のお噂でございますか? さあ……女房仲間からは、何も聞いてはおりませんが。あ、でも」
「でも?」
「姫様が姫宮様の元へ出仕しているお話ならば耳にしたことがありますわよ。姫宮様と珍しい遊びをなさっていらっしゃるとか。おそらく、姫様のお作りになった双六のことではないでしょうか」
「そう……」
宮中で噂がない、となると、兵部卿宮と宰相中将は、一体どこで「私に契った相手がいる」と聞いたのだろうか。二人の共通点なんて、宮中くらいしか思い浮かばない。
私の生活なんて、外出は姫宮の元へ行くくらいで、あとは専ら邸の中だ。おかしな噂が流れる理由が思い当たらない。
“心当たりのないことに困惑しております
そのような方がいれば、貴方にこうして文を送れるでしょうか
いえ、送れるはずもございません”
兵部卿宮にはそう返事をしたためた。実際、その通りだからそれ以外に書きようがない。
ただ、左大臣家や三の君の名誉のためにも、変な誤解だけはされたくない。
あの人もこの人もいい、だなんて天秤にかけて八方美人だなんて真似、私ができるはずもないのだが、兵部卿宮にはちゃんと伝わるだろうか。実際に会ったこともなければ、文通だけの間柄だ。たとえ本当に嘘がなくとも、兵部卿宮は文でしか判断できないのだから不安は残る。
もう一度脇息によりかかって、ふうと息を吐いた。
捨てることもしまうこともできない檜扇は以前にも増して存在感を放っていて、否応なく目に入ってくるので、彼を思い出さざるを得ない。
私は、私を慕っているというあの人のことを何も知らない。兵部卿宮に仕えているということだけ。
どこの貴族の家の出身なのか、何が好きなのか嫌いなのか、どんな暮らしをしているのか。
この時代で、全く姫君らしくもない私の何がよかったのだろう。鷹衛さんは、よほどの物好きとか?
思えば、あの人は私のことを知りたい、会えてよかった、嬉しいと、いつだって直球ばかりだった。直球すぎて気づけずにいた、まさかそれが本心からの言葉だったなんて思いもしなかったのだ。
もう、彼のことを思うと、どうしてこうも落ち着かないんだろう。
「自惚れてもいいでしょう」なんて言葉、自信のあるあの人だから言えるのだ。だって私はすぐに否定できなかった。それは肯定したも同じことだ。鷹衛さんはきっと好意的に受け取っただろう。
返すはずだった檜扇は未だ私の手の中。描かれた満月は変わりなく輝いて、「かぐや殿」と呼ぶ彼の声を何度も頭の中で再現してしまう。
この扇ごと私を迎えにくるとはどういう意味なのだろう。思わず兵部卿宮のことを口にした私に、心配はいらないと笑って見せた。
許しとは何? まさか兵部卿宮に「三の君を私に譲って下さい」とでも言うつもりか。否、そんな不敬はあるはずもない。
鷹衛さんとあのような関係になってしまっているのに、私はこのまま気にせず兵部卿宮と文のやり取りなどしていていいのだろうか。もう、いっそ誰からも隠れてひっそり暮らし、現代へ帰るその日をただただ待つ方がよいのでは?
問題なんか山積みだ。
あの日、朱雀大路なんかに行かなければきっとこんなことにはならなかった。
鷹衛さんとも出会うこともなかっただろうに……
池のほとりで小さな三の君に白い草花を差し出したのは、まだ少年らしさが残る顔立ちの兄、有明中将だった。そのどこにでもあるような草花を、三の君が大事そうに撫でる。
「お前は昔からその花が好きだったね」
「ええ、お兄様」
「もうすぐか。裳着を行えば、いよいよお前も一人前だ。私がこうして気軽に訪れることもできなくなるな」
兄の言葉に、三の君が首を振る。それは、先ほどまでのものとは違い、ひどく悲しげな表情だった。
「私は裳着などしたくありませんわ。ずっとこのままがいい」
「何を言うんだ。お前はこんなに可愛いのだから、山ほど文も来るだろうし、何も心配はいらないよ」
有明中将がにこりと微笑む。
「私の可愛い妹。きっと幸せにおなり」
◇◇◇
――夢だ。
まずそう思った。身体を起こして、いつもの見慣れた部屋に、やはりもう一度夢なのだと悟った。
あれは三の君の昔の記憶だろうか。それこそちょうど、裳着の儀式をする直前くらい……であれば、数年前のことになる。なぜあんな夢を見たのだろう。この身体が三の君のものだからか。
はあ、と溜息をこぼした。最近、随分と数も回数も増えてしまった。
溜息で幸せが逃げていくなら、もう逃げ出す幸せもないほどついている。というか、今この身に起こっている以上の不幸があるとも思えなかった。
平安時代に魂を飛ばされて、しかも自分の身体は死んでいる説が濃厚。
もうすでに最低だ、ここから更に落ちる未来など想像もできない。あるとすれば、この時代で一生暮らしていかなくてはいけないパターンか、私自身が消滅するパターンとか……?
うわ、怖い、考えるのはやめよう。不幸を想像なんて、ろくなものじゃない。どうせ同じ時間を使うなら、ネガティブよりポジティブ思考のほうがよほど生産的だ。
ああ、それにしても眠い。
「姫様、お目覚めになられたのですね」
「小梅……私、うたた寝をしていたみたい」
「ええ、それは気持ちよさそうにお休みでいらっしゃいましたから、私も声を掛けませんでしたの」
脇息にもたれかかって、そのまま意識が飛んだのだろう。
このところ、よく眠れないからだ。浅い眠りが続いて、夜中に何度も目を覚ましてしまう。
ついに昼間に居眠りをするほど睡眠不足に陥ってしまっているのだろうか。
「姫様、ちょうどよいところでした。こちら、兵部卿宮様と宰相中将様からのお文でございます」
「ええ、ありがとう」
いつもと同じように文を受け取って、私はまず宰相中将の文を開けた。
どうせまた、変わり映えのしない口説き文句が並んでいるのだろう。一読したら、小梅に渡して返歌を書いてもらうつもりでいたのだ。
ところが、その内容は少し異なっていた。「契りきな」――お約束したでしょう、と始まる和歌だ。
“お約束したではありませんか
貴女の道をご案内するのは私だと
それなのに貴女は他の人に心を奪われているのですか”
「何のことかしら……」
さっぱりわからない。大体、宰相中将と約束など、何を、いつしたのだ。あまりに一方的すぎる。他の人に心を奪われるも、全く心当たりがない。
宰相中将が考えることが意味不明なのは何も今にはじまったことではないが、それにしたって昨日一昨日まで好きだの愛してるだのと似たり寄ったりな恋文を送ってきたあの男が、一体どうしたのか。
「失礼いたします」と文を覗いた小梅までも、「なんですの、これ」と疑問のようだ。
「よく分からないわ。そのまま、何のことかわかりません、と返歌してくれるかしら」
「かしこまりました」
「あ、いえ、待って!」
何の勘違いをしているのか分からないが、ここは宰相中将に乗っかって「そうです、他に好きな人がいるのです」と返事をすれば、もしや諦めてもらえるのではないだろうか。
そうだ、なんて得策だ! そうしよう、それがいい!
「小梅、中将様には、『ええその通りです、だから私のことは諦めて下さいな』とお返事してちょうだい」
「姫様? ああ、なるほど! そういうことですの、かしこまりました」
言わずとも小梅には通じたらしい。「これが最後のお文になるといいですわねー」などと軽口を言いながら、願望も込めて筆を手にしている。
次に兵部卿宮の文だ。相変わらず達筆な字が美しく並んでいる。しかし、こちらもいつもとは様子が違った。よく見れば文字が多少乱れている。
“貴女には既に契ったお方がいたのでしょうか
そうと知っても、今となってはこの想いを止めることもできません
いてもたってもいられず、こうして筆をとってしまうのです“
「宮様まで? 一体、どういうことなの?」
契る……男女関係を持つという意味もあるし、将来を約束するという意味もある言葉だ。
三の君も私も、どちらの意味でも契った相手などいるはずもない。この身体はまだ乙女だし、三の君に限って男女関係ということはないはず。私だって、この世界でそんなことは断じてしていなければ、「結婚しようね」などと約束した相手も勿論いない。
兵部卿宮は、誰かと勘違いしているのだろうか。
そこまで考えて、ふと思い出した。
もし、もしもあの日のことを、兵部卿宮に見られていたとしたら? 鷹衛さんと二人でいたあの日のことを。
あり得なくはない、だってあそこは五条院という同じ敷地内だ。西の対を、東の対に住む兵部卿宮が訪れたとしても不思議ではない。
どこまで見ていたのか分からないが、男性と二人きりで人目を忍び会うなど、誤解されてもおかしくない行為だ。
しかし、そうなら、なぜ兵部卿宮は「鷹衛と恋仲なのですか」と直接聞かないのだろう。自分より身分が下の鷹衛さんに、兵部卿宮が気を遣っているというのも違和感が残る。
宰相中将も兵部卿宮も、二人揃って同じタイミングでこのような文が届くのはやはり何かおかしい。
「ねえ小梅。少し聞きたいのだけれど、最近、宮中で何か私の新しい噂はある?」
「姫様のお噂でございますか? さあ……女房仲間からは、何も聞いてはおりませんが。あ、でも」
「でも?」
「姫様が姫宮様の元へ出仕しているお話ならば耳にしたことがありますわよ。姫宮様と珍しい遊びをなさっていらっしゃるとか。おそらく、姫様のお作りになった双六のことではないでしょうか」
「そう……」
宮中で噂がない、となると、兵部卿宮と宰相中将は、一体どこで「私に契った相手がいる」と聞いたのだろうか。二人の共通点なんて、宮中くらいしか思い浮かばない。
私の生活なんて、外出は姫宮の元へ行くくらいで、あとは専ら邸の中だ。おかしな噂が流れる理由が思い当たらない。
“心当たりのないことに困惑しております
そのような方がいれば、貴方にこうして文を送れるでしょうか
いえ、送れるはずもございません”
兵部卿宮にはそう返事をしたためた。実際、その通りだからそれ以外に書きようがない。
ただ、左大臣家や三の君の名誉のためにも、変な誤解だけはされたくない。
あの人もこの人もいい、だなんて天秤にかけて八方美人だなんて真似、私ができるはずもないのだが、兵部卿宮にはちゃんと伝わるだろうか。実際に会ったこともなければ、文通だけの間柄だ。たとえ本当に嘘がなくとも、兵部卿宮は文でしか判断できないのだから不安は残る。
もう一度脇息によりかかって、ふうと息を吐いた。
捨てることもしまうこともできない檜扇は以前にも増して存在感を放っていて、否応なく目に入ってくるので、彼を思い出さざるを得ない。
私は、私を慕っているというあの人のことを何も知らない。兵部卿宮に仕えているということだけ。
どこの貴族の家の出身なのか、何が好きなのか嫌いなのか、どんな暮らしをしているのか。
この時代で、全く姫君らしくもない私の何がよかったのだろう。鷹衛さんは、よほどの物好きとか?
思えば、あの人は私のことを知りたい、会えてよかった、嬉しいと、いつだって直球ばかりだった。直球すぎて気づけずにいた、まさかそれが本心からの言葉だったなんて思いもしなかったのだ。
もう、彼のことを思うと、どうしてこうも落ち着かないんだろう。
「自惚れてもいいでしょう」なんて言葉、自信のあるあの人だから言えるのだ。だって私はすぐに否定できなかった。それは肯定したも同じことだ。鷹衛さんはきっと好意的に受け取っただろう。
返すはずだった檜扇は未だ私の手の中。描かれた満月は変わりなく輝いて、「かぐや殿」と呼ぶ彼の声を何度も頭の中で再現してしまう。
この扇ごと私を迎えにくるとはどういう意味なのだろう。思わず兵部卿宮のことを口にした私に、心配はいらないと笑って見せた。
許しとは何? まさか兵部卿宮に「三の君を私に譲って下さい」とでも言うつもりか。否、そんな不敬はあるはずもない。
鷹衛さんとあのような関係になってしまっているのに、私はこのまま気にせず兵部卿宮と文のやり取りなどしていていいのだろうか。もう、いっそ誰からも隠れてひっそり暮らし、現代へ帰るその日をただただ待つ方がよいのでは?
問題なんか山積みだ。
あの日、朱雀大路なんかに行かなければきっとこんなことにはならなかった。
鷹衛さんとも出会うこともなかっただろうに……
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