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第3章 魔王退治に魔王が同行するってどういう事?
その13
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私達が街に戻ると、そこはすでに戦場だった。
街の中心には遠目からでも認識できる巨大なバラのような花が咲いており、多数の岩ダルマが徘徊しては騎士団と戦っていた。
洞窟内にいた岩ダルマと違い、頭にはバラのような花が咲き、手のツタにもバラのようにトゲがある。
区別のためにも薔薇ダルマと仮称させてもらいましょう。
ルナさんはいないようだけど、建物や石畳の道路がかなり破壊されている。
住民達は避難したのか見当たらない。
「おそらくあの花が元凶じゃ、アレをなんとかせんとキリがないじゃろうな」
「あんな大きいのどうしたら…」
「焼き払うのが手っ取り早いのじゃが、生憎今の魔力では無理じゃ」
「そんな…」
「兎に角、隊長くんに合流しよう」
「そうですね」
薔薇ダルマ達をゾウさんで浄化しつつ、私達はオルレンシアさんを探す。
ゼロさんとしては薔薇ダルマの瘴気を吸収して魔力を回復させたいところらしいけど、さすがに騎士団の前では出来ない。
ゼロさんにアシストしてもらいつつ、ゾウさん主体で道を切り開いていく。
「ヤヤコくん、あそこだ!」
オルレンシアさんはすぐに見つかった。
五体の薔薇ダルマ相手に互角に戦っている。
薔薇ダルマの腕は切ってもすぐに伸びてきて中々本体にたどり着けないみたい。
「お願い、ゾウさん!」
「ぱおーん」
小さな体を生かし、ツタをすり抜けて本体に飛びつく。
頭の花に鼻を押し付けると、勢いよく瘴気を吸い出していった。
「なんですのコレ!?」
驚きながらも、残りの4体を今までと変わらずいなしているオルレンシアさんの方が、私は凄いと思う。
私だったらびっくりして動き止めちゃうもの。
「オルレンシアさん、大丈夫ですか?」
「ヤヤコ!ゼロ!貴方達一体今までどこに…」
「えっと洞窟の瘴気をなんとか出来ないかなぁって、それで…」
「話は後だ。こいつらはただの副産物にすぎん。あっちの本体を叩かんとキリがないぞ」
「それもそうですわね。後でじっくり聞かせていただきますわよ」
「相手は植物だ、焼き払えばなんとかなるだろう」
「だそうよ、聞こえまして?ゾイド」
『はい、バッチリと』
オルレンシアさんの言葉にどこからともなくゾイドさんの声が聞こえてきた。
『これより降布陣を敷きます』
「時間稼ぎは任せなさい」
『了解』
「あの、今のって…?」
「通信用の魔道具よ。そんな事より、ゾイドが魔術を発動させるまで時間を稼ぎますわよ」
「は、はい」
ゾイドさんの声はオルレンシアさんの胸元にある赤いブローチのようなものから聞こえてきていた。
この世界の通信機みたいなものなのかしら。
こうふじん、というのが何かはわからないけれど、あの花をなんとかする為に時間稼ぎが必要ならば頑張るしかないよね。
街の中心には遠目からでも認識できる巨大なバラのような花が咲いており、多数の岩ダルマが徘徊しては騎士団と戦っていた。
洞窟内にいた岩ダルマと違い、頭にはバラのような花が咲き、手のツタにもバラのようにトゲがある。
区別のためにも薔薇ダルマと仮称させてもらいましょう。
ルナさんはいないようだけど、建物や石畳の道路がかなり破壊されている。
住民達は避難したのか見当たらない。
「おそらくあの花が元凶じゃ、アレをなんとかせんとキリがないじゃろうな」
「あんな大きいのどうしたら…」
「焼き払うのが手っ取り早いのじゃが、生憎今の魔力では無理じゃ」
「そんな…」
「兎に角、隊長くんに合流しよう」
「そうですね」
薔薇ダルマ達をゾウさんで浄化しつつ、私達はオルレンシアさんを探す。
ゼロさんとしては薔薇ダルマの瘴気を吸収して魔力を回復させたいところらしいけど、さすがに騎士団の前では出来ない。
ゼロさんにアシストしてもらいつつ、ゾウさん主体で道を切り開いていく。
「ヤヤコくん、あそこだ!」
オルレンシアさんはすぐに見つかった。
五体の薔薇ダルマ相手に互角に戦っている。
薔薇ダルマの腕は切ってもすぐに伸びてきて中々本体にたどり着けないみたい。
「お願い、ゾウさん!」
「ぱおーん」
小さな体を生かし、ツタをすり抜けて本体に飛びつく。
頭の花に鼻を押し付けると、勢いよく瘴気を吸い出していった。
「なんですのコレ!?」
驚きながらも、残りの4体を今までと変わらずいなしているオルレンシアさんの方が、私は凄いと思う。
私だったらびっくりして動き止めちゃうもの。
「オルレンシアさん、大丈夫ですか?」
「ヤヤコ!ゼロ!貴方達一体今までどこに…」
「えっと洞窟の瘴気をなんとか出来ないかなぁって、それで…」
「話は後だ。こいつらはただの副産物にすぎん。あっちの本体を叩かんとキリがないぞ」
「それもそうですわね。後でじっくり聞かせていただきますわよ」
「相手は植物だ、焼き払えばなんとかなるだろう」
「だそうよ、聞こえまして?ゾイド」
『はい、バッチリと』
オルレンシアさんの言葉にどこからともなくゾイドさんの声が聞こえてきた。
『これより降布陣を敷きます』
「時間稼ぎは任せなさい」
『了解』
「あの、今のって…?」
「通信用の魔道具よ。そんな事より、ゾイドが魔術を発動させるまで時間を稼ぎますわよ」
「は、はい」
ゾイドさんの声はオルレンシアさんの胸元にある赤いブローチのようなものから聞こえてきていた。
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こうふじん、というのが何かはわからないけれど、あの花をなんとかする為に時間稼ぎが必要ならば頑張るしかないよね。
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