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第2章 異世界人なので非常識とか言わないでください
その2
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「初めまして、ヤヤコ様。魔術の講義を担当します、ゾイド=カリューンと申します」
「よ、よろしくお願いします」
訓練室に戻ると、オルレンシアさんともう一人、男性がいた。
襟足まで伸びた茶色い髪を邪魔そうに束ねている。
オレンジ色の瞳はオルレンシアさんよりも緩めのつり目。
書類を見ながら話をしていたけれど、私に気づくとニコリと笑ってくれた。
オルレンシアさんよりは厳しくなさそう。
「ヤヤコ様、突然で申し訳ないのですが、ヤヤコ様を含めた特殊部隊の出立が明日に決まりまして」
「あ、明日ですか!?」
「ええ。ですので予定を変更して実技の授業とまいります」
「予備知識もなしにですか!?」
「ヤヤコ様の世界に魔術はないとの事ですから、実際に見て体験していただいた方が早いかと」
「な、なるほど…」
ゲームや小説などの魔法の知識ならあるけど、実際には確かに見たことがない。
この世界の魔法がどういうものなのか実際に見てみるのは、理解する上でとてもいい体験になるかもしれないわ。
場所を移動し、庭の野外訓練所へ。
「ではます、7歳で習う超初級魔術から」
ゾイドさんの手の平の上に突然水の塊が現れた。
大きさは子供の握りこぶしくらい。
「最初は詠唱が必要になりますが、慣れればこのように感覚だけで作り出せるようになります」
「すごい…あの、触ってみてもいいですか?」
「どうぞ」
手の平から5cm程浮いている水の玉をつつく。
弾かれる事なく指は中に入っていく。
お水だ、本当にお水だ。
温かさは常温のお水くらい。
「指はそのままで。ここに熱を加えると…」
「温かくなってきました!」
「練習すれば誰でもできるようになりますよ」
「すごいです!」
初めての魔法体験に子供のようにはしゃいでしまった。
これが超初級なら上級にもなったら、やっぱり精霊召喚!なんてのもできちゃうのかなぁ。
魔法少女ヤヤコ☆見・参!みないな?
いやいや18歳で魔法少女はないよねぇ。
自分が魔法を使う姿を想像し、興奮が止まらない。
私も早くやってみたい。
「魔術は呪文と手順で誰でも使えます。何か一つ間違えると上手くいきませんからね。水の球を思い浮かべると上手くいきやすいですよ」
「はい!」
「呪文は、ヴェネ・チ・ア・ノーゥですよ」
「ヴェ、ヴェネチアの?」
「ヴェネ・チ・ア・ノーゥ」
だめだ、ヴェネチアの、にしか聞こえない。
あ、でも日本語に聞こえる外国語もあるし、空耳外国語も意外と通じたりするし、なんとかなるかな。
ヴェネチアといえば水の都だし、イメージはぴったりよね。
「できそうですか?」
「はい!やってみます!」
魔法が使えるかもと思った途端にやる気が出るなんて現金かもしれないけど、これはもうしょうがないよね。
「では超初級魔術、ファイヤーボールをやってみましょうか」
「はい!ファイヤーボールを……え?ファイヤーボール…?アクアボールとかしゃなくて?」
私の質問にキョトンとした顔でゾイドさんが答える。
「ええ、ファイヤーボールですよ。アクアボールはこれです」
そう言って、彼は反対の手でゴウゴウと燃える火の玉を作り出した。
えーっと、ファイヤーが水で、アクアが火で、呪文がヴェネチアで…。
あれ?なんか、こんがらがってきた…。
「よ、よろしくお願いします」
訓練室に戻ると、オルレンシアさんともう一人、男性がいた。
襟足まで伸びた茶色い髪を邪魔そうに束ねている。
オレンジ色の瞳はオルレンシアさんよりも緩めのつり目。
書類を見ながら話をしていたけれど、私に気づくとニコリと笑ってくれた。
オルレンシアさんよりは厳しくなさそう。
「ヤヤコ様、突然で申し訳ないのですが、ヤヤコ様を含めた特殊部隊の出立が明日に決まりまして」
「あ、明日ですか!?」
「ええ。ですので予定を変更して実技の授業とまいります」
「予備知識もなしにですか!?」
「ヤヤコ様の世界に魔術はないとの事ですから、実際に見て体験していただいた方が早いかと」
「な、なるほど…」
ゲームや小説などの魔法の知識ならあるけど、実際には確かに見たことがない。
この世界の魔法がどういうものなのか実際に見てみるのは、理解する上でとてもいい体験になるかもしれないわ。
場所を移動し、庭の野外訓練所へ。
「ではます、7歳で習う超初級魔術から」
ゾイドさんの手の平の上に突然水の塊が現れた。
大きさは子供の握りこぶしくらい。
「最初は詠唱が必要になりますが、慣れればこのように感覚だけで作り出せるようになります」
「すごい…あの、触ってみてもいいですか?」
「どうぞ」
手の平から5cm程浮いている水の玉をつつく。
弾かれる事なく指は中に入っていく。
お水だ、本当にお水だ。
温かさは常温のお水くらい。
「指はそのままで。ここに熱を加えると…」
「温かくなってきました!」
「練習すれば誰でもできるようになりますよ」
「すごいです!」
初めての魔法体験に子供のようにはしゃいでしまった。
これが超初級なら上級にもなったら、やっぱり精霊召喚!なんてのもできちゃうのかなぁ。
魔法少女ヤヤコ☆見・参!みないな?
いやいや18歳で魔法少女はないよねぇ。
自分が魔法を使う姿を想像し、興奮が止まらない。
私も早くやってみたい。
「魔術は呪文と手順で誰でも使えます。何か一つ間違えると上手くいきませんからね。水の球を思い浮かべると上手くいきやすいですよ」
「はい!」
「呪文は、ヴェネ・チ・ア・ノーゥですよ」
「ヴェ、ヴェネチアの?」
「ヴェネ・チ・ア・ノーゥ」
だめだ、ヴェネチアの、にしか聞こえない。
あ、でも日本語に聞こえる外国語もあるし、空耳外国語も意外と通じたりするし、なんとかなるかな。
ヴェネチアといえば水の都だし、イメージはぴったりよね。
「できそうですか?」
「はい!やってみます!」
魔法が使えるかもと思った途端にやる気が出るなんて現金かもしれないけど、これはもうしょうがないよね。
「では超初級魔術、ファイヤーボールをやってみましょうか」
「はい!ファイヤーボールを……え?ファイヤーボール…?アクアボールとかしゃなくて?」
私の質問にキョトンとした顔でゾイドさんが答える。
「ええ、ファイヤーボールですよ。アクアボールはこれです」
そう言って、彼は反対の手でゴウゴウと燃える火の玉を作り出した。
えーっと、ファイヤーが水で、アクアが火で、呪文がヴェネチアで…。
あれ?なんか、こんがらがってきた…。
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