大神官様の初恋はけして一筋縄ではいかない

ありま

文字の大きさ
上 下
4 / 4

よん、中途半端に知っている法具師はあえて口を閉じる

しおりを挟む



(注:翻訳具使用)


 私の名前はイゾッテ。
 イゾッテ=グラーゴレオ=リーニ。

 リーニ公爵の娘で、第十三王位継承権拝領してるけど、ぶっちゃけこれぐらいだと「持ってない」って言うのと同じってやつよね?
 これで女王になれたら、どんだけ希代の死を招く女王って感じ……不吉すぎ。

 そんな私に。

 今、これ結構ピンチ?
 危機的状況の序章?
 惨劇の開幕?

 ……ってフラグが、めっちゃ立った!

 幼馴染みで、従姉弟である大神官殿が……あ、ちなみに彼は王の実弟で、王に子供がいない今、第二王位継承権者なんだけど。
 彼の継承権は実質あってなき如し。
 王族の変わりはいくらでもいるけど。この大陸を守護する精霊たちに、寵愛されて祈りをささげる「大神官」は彼しかいないので、私より王座とは程遠い特殊な位置にいる。

 そんな、特殊設定が山盛りな従姉弟殿。
 失恋のために、恋敵をいびり殺しそうなフラグがたったんで、どうしようかと迷って……見なかったことにしたわ。

 さっきまで爆笑の渦に包まれていたというのに、何この落差。
 で、爆笑していた理由は、簡単でもあり難しい問題。

 我が親愛なる従姉弟である彼は「落とされし者」であるマッダレーナちゃんに、驚く程恋してる。
 彼女の「身元保証人」といいつつ、実質「婚約者」として屋敷に引き取るぐらいに。
 肝心の彼女はそのことよく分かってないようで、「きちんと働きます!」って言って、お屋敷で働き出した。彼女にデロ甘な従姉弟殿が、彼女の意思を尊重しますで、いうがまま雇っちゃったのだ。
 彼女は異世界ではまだ結婚前の学生で、なんの技能もない。「掃除ならできそうです」という彼女の意見をさらに尊重し、メイドとして従姉弟殿のお屋敷に就職することになったけど。周りの使用人は勿論、彼女が実質婚約者って事知ってるので、ぎこちない。
 この館の使用人を管理する家令が、普通のメイドと隔離するためか。先程、マレーネちゃんが掃除していた場所は、来客を通すことがない従姉弟殿の超プライベートゾーン。選び抜かれた使用人しか、入れない場所だ。

 そりゃあ、仕える主人の婚約者ってなれば、女主人候補だもんねぇ。
 めっちゃやりにくいわ……。

 唯一の例外が、王族でも口出し無用の聖域である、厨房のコックぐらいかしら。
 でもその厨房のコックも、彼女の美味しそうにご飯を食べる姿に心揺さぶられたらしい。「菓子職人 パスティチェーレ を雇っては?」と、従姉弟殿に進言する始末。そしてすんなりと、最高の菓子職人を、金に糸目をつけずに引き抜いて、雇ってしまうという従姉弟殿の溺愛ぶりだ。
 おかげで、私もおいしいケーキを好きな時に、ご相伴にあずかれるってわけ。うちの屋敷の菓子職人は、両親の趣味だから私の趣味じゃないのよね。

 でも厨房のコックの気持ちも、わかるわー。

 小動物的な可愛さのある彼女が、おいしそうに幸せそうに食べてるのを見ると、とてもかわいい。見ているこっちも、ほのぼのしてしまうのだ。さあさあ沢山お食べなさいな、と言ってしまう。

 ――ペットについつい餌を沢山あげてしまう、的な気持ちに近いのかしら?

 それもあってマレーネちゃんとの会話は、お菓子を食べながらにしてしまう。


 で、話は戻るけど、私が爆笑していた理由。

 そんな恋に浮かれた従姉弟殿と、マレーネちゃんとの会話。

 なんか、かなり噛み合って……ない?

 かすかな違和感から、あくまでも法具師としての知的好奇心で、その原因を調べるため。彼女が翻訳法具で聞いているままの"声"を聴く法具を開発して、こっそり物陰から二人のやり取りを聞いていたのだけれども。

 左耳は直に従姉弟殿が喋っている言葉。
 右耳だけにマレーネちゃんと同調シンクロした翻訳法具。

左耳「君の相手……楽しくて、このままでは遅刻しそうだ。離れがたいけどもう神殿に行かなきゃ。心配だから、僕の目の届かない所では、頑張りすぎて無理しないで」

 が。

右耳「お前の相手をしていては遅刻しそうだ。今から私は神殿に行くが、これ以上、私の目の届く範囲外では何かしでかさないように」

 なーんでっ、これになるかな?
 まぁ、翻訳的には間違ってないんだけど、間違ってないんだけど、ね。
 ある「重要な感情」がこもった部分が、排除されたように全く訳されてない。

 あれ、何かこんなに嫌味ったらしく喋るキャラだっけ?
 どこのツンデレさんよ!

 って全力でツッコミたいぐらいに意訳されてる。
 声の調子も、本当なら抑揚がない掴みどころのない声音なのに、外見に似合った冷たさになっているという、さらに誤解を招くおまけ付きだ。
 従姉弟殿のキャラ付けって、冷淡よりも浮世離れした不思議キャラなんだけど。
 顔は同じなのにしゃべり方が違うだけで、ここまで印象が違うとは……。
 まぁ、従姉弟殿は基本の表情が、鉄仮面だから。仮面劇のように吹き替えによって印象が変わっても仕方ないのよね。
 さらに、マレーネちゃんを見つめる従姉弟殿の表情は真剣というか。ガン見というか。
 いつも遠い目をしている儚い目が、睨み付けているように見えて、ちょっと怖く見える。

 とりあえず、その謎翻訳にびっくりした後。盗み聞きしてるのがバレちゃうので、すぐに柱の陰に隠れて、必死に笑いをこらえた。

 下手な喜劇を見るより面白い。
 あー、頬の筋肉、痛ったいわ。

 濡れた服を乾かした法術って、相性の悪い精霊達を同時に使い、デリケートな誤差を修正するとっても神経を使う無駄にハイレベルな技だ。そうそう使いこなせる人間なんていないだろう。
 そんなかっこつけも、「魔法使えるって凄い」と単純にびっくりされるだけで、よく伝わってないみたいだし。無駄骨。

 し、か、もっ!

 重要なのが、その謎翻訳のせいで、マレーネちゃんが従姉弟殿の好意に、気がついていない。
 しかも素直な子だからか、ツンデレ耐性ないために、ただのヤな男になってるわよ!
 とにかく従姉弟殿にお世話になっているという、自分の置かれてる状況をわきまえてるマレーネちゃん。立場上言われても仕方ないって感じで、申し訳なさそうにしてるけど、これ私だったらシバく。ていうか印象最悪で、彼女の気持ちを掴むどころか、わざわざ遠ざけてどうすんのよと言いたいぐらい。
 でも、それは翻訳法具のせいであって、直に「ラマンディーラ語」で聞きさえすれば、従姉弟殿の気持ちなんて好意ダダ漏れの言葉で丸わかり。でも翻訳具を使わなかったら、マレーネちゃんには言葉が通じないというジレンマ。

 こうややこしい状況に、なってるのは何故なのかしら?

 私の整備不良……そんなはずはないわよと思ったら。
 落ち着いて見てみると、精霊の干渉が起こってる。


 この世界の法術は、世界を漂う精霊たちの力を貸してもらっている。

 この世に生まれ落ちた時に、相性のいい精霊たちに祝福を受けるのだ。その精霊達に好かれれば好かれるほどに、力を貸してもらえて、より強力な法術を使えるようになるのがこの世の理だった。
 だから、マレーネちゃん達のように、違う世界で生まれた「落し者」には、「祝福」がなく、精霊達に力を貸してもらえないから、法術が使えない。

 従姉弟殿は、精霊達からもらえる恩恵の「祝福」よりもさらにえこひいきされる「加護」を凌駕する「寵愛」を賜っている。彼らに愛されてるばかりに、恋を妨害されてるのだ。マレーネちゃんには、直接精霊の力が及ばないから、間接的にネチネチと。まさに小姑ねぇ。

 精霊に愛されすぎてるってのも、問題。

 高スペックながらも……いや高スペックすぎるからこそ、相手が向こうから押し寄せて来て、自分から行くという恋愛経験値0の従姉弟殿。
 この前までは独身主義だったのが嘘みたいなほど、勉強して頑張って気持ちを表して彼女を口説いてる分、かなり哀れだわ。

 どこの放蕩児ドンファンだと言いたい、超こっぱずかしい決め台詞くどきもんくを吐いてても。
 そこ「訳せません!」的に邪魔されてる。

 ――ああ、どうりでスルースキルパネェのか、それともそんなこともわからない純粋培養ちゃんなのか、マレーネちゃんの今までの態度不明だったのかが腑に落ちた。

 実質、従姉弟殿の婚約者だってことが、わかってない最大の理由もこれなんでしょうね……。

 従姉弟殿が恋愛について勉強してるって知ったのは、この前勝手に入った従姉弟殿の部屋の机に積まれた本の山を見たから。
 読書家の従姉弟殿のそれ自体は珍しくないんだけど。
 本のタイトルが「お姫様と王子様はしあわせにくらしました」的童話から始まり、今王都で貴族子女に大流行りの「目が合う・手が触れ合うだけで胸キュン」純愛小説というなんと乙女チックなラインナップ。そして装丁も思いっきり内容に見合ったファンシーでカラフルな色ばかり。
 いい年をした男の執務机の上に広げられてる、かなり異様な光景にドン引きしたけれど。涙ぐましい努力に、おねーさん感動したので、たぶん知らずに混ざっていた、「禁断のラブ」とか、「強引に奪う」とか、「体から始まる関係」とかどう考えても物語の中の「ただしイケメンに限る」的の、実行したら犯罪よ? なジャンル小説は、彼の恋愛どころかこの世界の人生が積みそうなので排除してあげた。読んだら意外と面白いけど、この手はあの子に使っちゃダメ。

 ……マレーネちゃんを落とすには、誠実ルートだと思うの。

 あんまりにも想いが伝わらない事態に哀れに思えてきたので、さっきマレーネちゃんのメイド服が濡れたとき、気付かれないように胸を一瞬ガン見していた事への、鉄拳制裁はやめておくことにする。
 いい年した男が、十代のように慌てふためいて距離を取っていたのも。精霊たちのお力によって、汚いものを遠ざけるような事になっていて、爆笑モノだったのだけれども。

 まぁあれは見ちゃっても仕方のない、いい胸してるから仕方ないかもねぇ。
 異世界の服装でずぶぬれの時はよくわからなかったけど、童顔小柄なのに意外と胸あるのよ。従兄妹様おうさまに謁見する為に、ドレスを貸してあげる時、体に会わせると胸がパッツンパッツンに、胸に合わせると全体がぶっかぶかという困った事態になっちゃって。

 ――苦労したわ。
 私じゃなく、侍女がだけど。

 そう、こんなロリ巨乳なんて、きっと嫌な思いしてきたんだろうしー。
 誠実ルートで正解よ、正解!

 今回の経費では落ちない、改造翻訳法具の代金請求で勘弁してあげようっと。

 因みに、翻訳法具は目玉が飛び出るぐらい高い。
 こんなの着けるぐらいだったら、有能な通訳を常時雇った方がお得ってほどの国宝級レベル。
 まぁ日本語を習得している通訳なんて、居ないから雇う以前の問題なんだけれども。

 無くしたって、従姉弟殿が喜んでホイホイ弁償してくれるだろうけど、そんなこと言ったらマレーネちゃんが萎縮するから言わないけどねぇ。

 とにかく、従姉弟殿が全力で空回りしていることがわかって、ちょっと同情したので、お節介を焼いてみようと思ったのが運のつき。
 彼女に軽いジャブで、恋愛について探りをいれたら、気になる相手がどうやら他に居るみたい。という藪をつついて緊急事態に陥った。否定していたけど。
 あの表情は、どう考えても眼中にないらしい従姉弟殿とは一線を画した感情を抱いているようだし。
 その証拠に、いつも幸せそうにお菓子を食べるマレーネちゃんの表情が今日は雲っているし、話したくないようだし、で。

 一体いつの間に……従姉弟殿の鉄壁のガードに守られているはずなのに。
 意外とやるわね、マレーネちゃん。

 なーんて。
 思ってる場合じゃないのよね。

 こんなこと従姉弟殿に知られたら、恐ろしいことになるのは必死。

 彼女がこの世界に落とされし時。
 怯えた彼女は、すぐに逃げちゃって王宮関係者が総出で探していた。
 マレーネちゃんには、この世界の祝福がない。祝福がなく法術が使えないからこそ、逆に法術では探せない。さらに宮殿に張り巡らされる、侵入者用の捜索法術にも引っかからないので、居場所を特定するのは困難を極めていた。

 なのに。

 噴水での「落されし者」の出迎えには、王族として全員参加の義務を拒否。興味全くなしで、神殿で精霊達に祈りを捧げるという大義名分を使って欠席していたくせに。
 捜索困難なマレーネちゃんの居場所を知らせてきたのは、マレーネちゃんと出会い恋して変わり果てた従姉弟殿だった。

 そう、まさに奴は変わり果てていたわね。

 まずは服装。
 妻帯しないという神官の不犯の誓いの「青き衣」から、通常の「赤き衣」に着替えてやって来た。
 神官の力は血筋によることが多いので、妻帯に変えることはむしろ歓迎される。王族であるのなら、なおさら血を途絶えさせちゃいけないしねぇ……だからそれは問題ないけど。

 ――理由を知ったら、それってすでにマレーネちゃんと結婚する気前提かーい! なで引いた。

 まぁ、大神官である彼が結婚したいと言い出したのなら誰も止められないし。
 代々「落し者」は、王族が保護するという流れができているので、内心色々思うところがあったとしても、誰も反対する者なんていない。

 そして、衣の色とともに変わったのは、髭と髪。
 結婚売り出し市場で狙われることにウンザリしていた従姉弟殿が、衣にさらにダメ押しでバリアのつもりなのか伸ばし放題だった髪と髭。
 小汚いから切れと、遠まわしに、時には直接的に。あれほど誰に何を言われようが、頑なに切らなかったのが、きれいさっぱりしている。

 従兄弟殿にも人並みの感性がーー!!

 一応そこに気が回ったのね。
 ちょっと感心してしまったというか。
 私の中の従姉弟殿の人間的な評価って、そんなことも気にしないと思うほどに、低かったのねと、改めて認識したわ。

 周りの人間は数年ぶりに顔をまともに見た所為で、誰? という表情を浮かべてる人間も少なくなかったのが、面白かったかしら。
 長衣に縁取られた金糸の刺繍が、大神官の位イコール従姉弟殿と表す、唯一の身分証明書でよかったわよね。そうじゃなきゃ、王宮兵士に捕まってたはず。ちょっと……いやかなりその光景見たかったかも。

 その奇跡のイメチェンに加えて。
 もう、これも笑った笑った。
 髪の毛と髭の色は、恋が燃え上がってるって感じで、火の精霊の影響もろ受けて真っ赤だったし。
 マレーネちゃんに一目惚れした従姉弟殿の気の乱れは凄まじく、それに反応して精霊が荒れ狂ってたっていう。精霊達を押さえる法具もしてたけど、最凶を最強に押さえるぐらいの効果しかない……あ、それも私が昔作ってあげたやつなんだけど。
 初めての感情に戸惑ってたみたいだけど、何とか一晩で押さえ込んだみたい。
 次の日はいつもの銀髪に戻ってた。

 恋しちゃっただけでこれなんだから、恋敵が出てきちゃったら、お察し。
 きっと制御できなくて、相手を殺しかねないわよー。
 全力で相手に精霊をけしかけそう。
 いや、相手だけで済むならいいけど、感情の暴走で、周りが更地になりそうな予感。下手するとこの大陸全土焦土と化しても不思議じゃない。
 あーでもその時の後処理とかは、私がやることになっちゃうんだろうなぁ。

 マジ、勘弁。

 面白いことと法具作りには首突っ込みたいけど、どうみても楽しみに釣り合わない、めんどくさいことには関わりたくないというのが、偽りのない本音。

 恋敵の名前聞いちゃったら、対処しないといけないし。
 もしなにかあった時に後味悪いし、その人見たら挙動不審になっちゃうしっ!
 対処に常々当たるよりは、後始末の一回位の方が、楽でいいかも~~と、算盤ずくで、ものわかりのいいふりして詳しいこと聞かなかったんだけど。

 ……ああっ!
 でもっやっぱり相手はどんなんだか気になるジレンマ。
 従姉弟殿が、どんな男に負けたのか気になるーーーーっ!!

 恋したのが従兄弟殿相手だったのなら、めでたしめでたしの大団円だったのだけれど。
 人生はそう簡単に、うまくはいかないみたいなカンジ?

 天は二物を与えたどころか三物も四物も与えられた従姉弟殿。
 好みはあるだろうけど、スタイル抜群なイケメン、王族・大神官の身分に、精霊の寵愛……あ、これは障害か。



 そんな彼でも初恋は一筋縄ではいかないなんて、私に恋人がいないのも仕方がないって事で。


 とりあえずは、この状況。
 私も傍観者として、楽しませるだけ楽しませてもらうわね。


しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

みん
2019.09.23 みん

このお話、これで完結ですか?面白かったので、すごく、すごく、続きが気になるのですがΣ(´□`;)

2019.09.23 ありま

続きが気になると言う嬉しい感想ありがとうございました!( ´∀`*)
すみませんが、とりあえずここで完結です。
続きが浮かんだら、大神官様やら家令さんやらでチャレンジして見たいと思います!(予定は未定ですいません……)

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

21時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。