日報受取人

episode17. 泥黎電車

日報受取人


これはある男の報告である。


岡山駅に現れる目的地が"泥黎ないり"と書かれた電車には乗らない方が良い。

山陽本線が通る車線に泥黎駅なる駅は存在しない。

別名"泥黎電車"は岡山駅の山陽本線内に時間指定なく現れる。電車内には透けた人間、顔が不鮮明の人間の乗車が確認されている。駅構内には数名、同様の人間がいるが話しかけてはならない。

各駅停車であるが岡山駅を発車すると通常通り運行を開始し、○長○駅、○瀬駅には停車するものの、次の○○駅では無く、世迷駅という存在しない駅に停車する。

毎年その電車に乗り、行方不明者が出ていることが報告されている。また、行方不明者がその電車に透けて現れることが多々あるが生気は無く、その全員が身体が透けている、顔が不鮮明等何処か違和感がある。
泥黎電車を一番多く見掛けるのは午前3時20分から午前4時の間である。

オカルトルポライターの人見秀一氏は該当の電車に乗車したが2駅で下車した。
人見秀一氏曰く、電車内で乗客に話しかけたが聞いた事のない言語で叫ばれたため、慌てて下車した。下車した際に、全乗客がこちらに睨むように見ていた。また、下車した後すれ違う人間が皆こちらを見ているような錯覚に陥ったことから人見秀一氏は数日間隠居した。

泥黎電車を終電まで乗車した人間が生還した事例は確認できていない。



以上。