あの頃のクロッカス

ハム子

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あの頃のクロッカス

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『別に付き合ってないよ彼女とは。...ごめん。』


喧嘩の末、勢いのまま「別れるッ!」と言い捨て逃げた年上の元恋人に。


1人になり冷静になって考えたら、自分も悪かったかもとジワジワと申し訳なさが湧き上がって。


恋人へ謝るため走って着いた彼の家の中では、事後を漂わせる2人の男女が居て。


その片割れの元恋人に、やっぱり女の方が良いんだなと少しの失望感とともに「新しい彼女?」と聞いた俺に対して放った言葉。


気づけば女は家から出ていっており、俺と元恋人の2人で少し話をすると今まで知らなかった彼の本当の姿に呆然とする。結局それ以降元恋人には会っていない。家で枯れる程涙を流し暫く高校に行けず家族や友人にたくさんの心配をかけてしまった。







###

「...起きろ将生...おい...おきろっ!」


「....うるさい...あと少し」


彰が身体を揺すりながら俺を起こそうとするけどまだ眠い。


「...ったく!今日サボれないゼミなんだろ!起きろ!」


煩い彰に「..ハァ」とふっかい溜息を吐きながら目を向ける。ゼミは午後だからこんな朝早くに起きる必要ない。ったく今何時だよ、は?6時とかふざけてる...


「ほんと、お前なぁ...」


のしっ、と俺に覆いかぶさり、何も身につけていない素肌に手を滑らされる。はぁ、またかよ。


「お前昨日どんだけやったと思ってんの...ほんと性欲ゴリラ...」

ブツブツ文句は言いつつも行為に慣れた俺の身体は少し撫でられるだけで熱をもつ。...それに肌を合わせるのは気持ちがよい。


彰に応えるように唇を重ねる。俺は舌を絡ませるねっとりとしたキスが行為の中で一番好きだ。


「...んッ..んぅ........ハァッ...あきら....ここ..まだ入るだろ?...早く欲しい...」


昨夜の名残りでまだ柔らかな蕾を指でひろげながら誘う。あれだけ出したというのにビンビンに勃っている彰の男根にニヤッとほくそ笑む。以前はあまり乗り気じゃなかった彰がこんなにも積極的に求めてくるなんて.... ハハッ。かわいいなぁ!


「..あー....くそ...入れるぞ」


「.....ぅン~~!...あっ....キタ......きもち..ィ!」


ぬるっと入ってくる熱いモノにうっとりと恍惚感に浸る。肌を合わせるのは最高に気持ちがよい。お互いの体温を感じるとフワフワと夢見心地になりながら何度もエクスタシー を感じることができる。


「....ッアっ...! ハァ!....ん..ッ....アはッ...ハハハッ!..!あきらきもちいい?.... 最高だよッ..」



「...ハッ...ハァッ..気持ちいいよ.. 将生...」



性に臆病になることなどないのだ。お互いに貪るように行為にふけり気持ち良くなる。唾液に塗れた舌を絡ませる。そして誘うように広げた汗ばむ両足を彰の打ち付ける腰にスルリと絡ませる。ムチ打つ男根に連動するように俺も腰を揺らすと漏れる嬌声も艶めかしくなる。


先程からグリグリと抉るように前立腺をせめられている。パンパンッと鼠蹊部がぶつかる音とグジュグジュと結合部から漏れるローションと腸液に身体の興奮は最高潮になる。ハッハッと盛りのついた動物のようにまぐわる。ただただ気持ち良さを求めたセックスは獣の叫びのような汚い喘ぎを撒き散らし絶頂に向かう。


「...オッ!...オオオッ..アギィっ......ガハッ...ああアッ!!ぎもぢ...いい.....ッ!もっと!..ッもっとォ!!」


「はぁっ...わがままだなッ..!」



ガツンッと強烈な突きがくる。何も触っていない前からはだらしなく液を撒き散らしまるで喜んでいるようだ。 


ああっ!気持ちいい!気持ちいい!もっともっと!もっと!!たくさん!たくさん!!ああああっ!



「...ッあ.....ガッー?~~~~ッ!」






***


「........」



「....起きたかよ」



「...んはッ.... おはよ」



起きたら目の前にムスッとした彰の顔が。昨日酔っ払っていた彰を無理矢理襲ったことを根に持っているのか。宥めるようにちゅッと音をたててキスする。



「ごちそうさま!」


「お前ほんとそうゆーとこ!」


ハァッと溜息ついているが少し機嫌はなおったようだ。俺を抱き上げて風呂場に向かってくれる。



彰とは大学生になってからできた友達だ。学部も同じだし趣味も合うので仲良くなるまでに時間はかからなかった。


そして、俺が誘ったことからただの友人からセックスもする友人へと変わった。初めは応えてくれてはいても乗り気ではなかった行為は段々と彰もノリノリになってきてくれて嬉しい。でも、やっぱノンケだと時間かかるもんだと再確認したものだ。



風呂場の中で時間を確認くると現在11時30分。朝の6時からだからどれだけセックスするんだ俺たちは。


「俺どれくらい落ちてた?」


「あー?んーっと、5分位か?多分」


すぐにホテルを出ないと大学に間に合わない。今日は昼飯抜き確定だ。....すでに腹減っているのに。な。



後処理して風呂場にでて身支度する。彰は女にもそうなのか俺にも行為後は甲斐甲斐しく世話してくれるからありがたい。ガタガタの身体は着替えるのもキツいのだ。



2人でホテルを出て大学へ向かおうと駅へ足を向ける。


「.....将生か?」


なんだか聴き慣れた声が後ろから聞こえる。



「あれ....凄い偶然。お久し振りですね!佑哉せんぱい」





「知り合い?」


「ああ。高校のときの彼氏」


「...お前恋人居たことあんのかよ」


「....あ~...まあな」


「将生そちらの彼は...恋人じゃないのか?」


「....別に付き合ってるわけじゃないですよ彼は。」



久しぶりに、あの別れた以来だから本当に久しぶりに会った先輩は俺の言葉に顔を歪ませた。なんだか苦しそうだ。


そうだ。

「彰、先学校行ってて」


「分かった。じゃ、また後でなー」





先輩に言わなければ。




「....あの、先輩。あの時はすみません。あと、ありがとうございました。俺あの時は、今よりずっと子供だったから、先輩が誰か別の人に取られるかもってずっと不安だったんです。俺、年下だし、告白も俺からだったから、先輩断りにくかったのかなって。あの時も俺、塾の帰りに先輩が女性と歩いてるの見ちゃって。だから癇癪起こしてつい、別れるとか言っちゃったんです。男同士なら心広くするべきでしたよね。」


「...はッ?...どうゆうこと??」


「....えっ?いや、俺今大学生だから分かりますよ。ただでさえ高校生に比べて交友関係広くなるし、付き合いもあっただろうし....そんな先輩を縛っていたの間違ってました。あの時は謝ったらまた、付き合えると思っていたんです。」


「..........彰.....」




「でも先輩に感謝しています!だって!先輩が教えてくれたから。セックスは気持ちがいいです。」


「俺、あの時は先輩と高校卒業するまでセックスはしないって約束したからまだ、したことなかったし何も良さが分からなかったんですけど。それに、セックスって付き合ってる人同士がするものだと思っていたから。」


「だから、付き合っていなくてもセックスすることに吃驚したんです。それに、先輩の友達にも聞いたんですよ。俺と付き合う前はそれこそ遊び相手沢山いたんでしょう?言ってくれれば良かったのに....でも、付き合ってる間は遊んでいなかったとも聞いたんです!それには嬉しくて。もしかしたら愛されていたのかもって。」


「俺ももう大学生だし、あの時のこと思い出すと子供だったなと感じます。あれから先輩には謝らないとってずっと思っていたんですが、別れた時に電話番号とか消しちゃったし。でも大学や家に行くのは迷惑かなって思っていました。だから、これから偶然会うことあれば謝ろうと思ってました。」


「先輩相変わらず、格好いいですね。ううん、前よりも男前で吃驚しました。初めての彼氏が先輩でよかったです....今日会えて良かったです。もう会うことはないと思いますがこれからも元気で。」





***




「あー!やっと来た彰。大丈夫だったのかよ。さっきの奴。元彼だって?」



「おう。まあ、喧嘩別れみたいな感じだったからモヤモヤしててさ。ちゃんと話してきたわ。」



「それにしても、お前が恋人ね~?日替わりでセフレと寝てる奴に恋人が居たことあったとか、今日エイプリルフールかと思ったわ。(笑)」



「....ま~だって、その時高校生だよ俺。流石にその時は爛れて無かったわ。」




「なるほど~?(笑)ヨリ戻すとかならなかったんか?」



「え~。ないだろ。まあ、初めての恋人だった人だし情はあるけどな。恋人はもう作らないと思う。面倒だし。」



「はぁー。なんだよ。モトサヤなるかとちょっと期待してたのによー。だって、彼奴、俺のこと殺しそうな目で睨みつけてよぉ、マジこえぇよ。向こうは将生のことまだ好きなのかと思ってたわ。」



「...睨んでた?いや、先輩は優しくて、それこそ物語の王子様みたいな人だぞ。どこぞの大企業の御曹司だって聞いてたからマナーとかしっかりしてたし...見間違いだろ。」


「......ふーん?」


「...さっきから何ニヤついてんだよ。気持ち悪いな。」


「.....いーやー?んじゃ、そいつとはもう会わないのか?」



「あぁ、俺はそのつもりだったんだけどな。先輩がせっかく久しぶりに会えたんだから今度ご飯に行かないかって。また、頼ってくれってさ。いやぁ、イケメンだよなー。元彼にも親切で。だから来週××ホテルのディナーに先輩と行くんだよ。あそこ高いけどめっちゃ美味しいフレンチって聞いてたからよ、マジでラッキーだわ。先輩が、年上だから奢らせて。って言ってくれたし甘えようかなーって。だから食べたら彰にもどんなんだったか教えてやるよ。」




「...............ハハッ。楽しみにしてるわぁ.....」








あ~、高級フレンチ楽しみ。






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